「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
      嶋津 暉之

既報のとおり、浜松市の西遠流域下水道事業の民営化が今年度から始まりました。
続いて、水道事業も民営化する可能性に関する報告書がまとまりました。

浜松市の下水道の事例は、国内初の下水道の運営権譲渡ですので、注目されていますが、特異な事例ではないかと思います。

西遠流域下水道は元々は静岡県の事業でしたが、2005年の市町村合併に伴い、対象流域が浜松市のみとなり、合併特例法の適用により2016年3月末に浜松市に移管されました。管理は移管前は静岡県下水道公社を通して民間会社に委託し、移管後は市が直接、民間会社に委託していました。したがって、もともと市が直営で運営したものではなく、運営方式を模索した結果、今回の民営化を選択したのであって、他の下水道や水道にそのまま当てはまるものではありません。

浜松市が直接運営していたものではないので、民営化によって「働く人々にしわ寄せがいく問題」「正規職員から非正規職員への転換が進む問題」はありませんでした。また、浜松市も下水管の部分は譲渡されていません。

したがって、浜松市の水道事業について今回、民営化に関する報告書がまとまりましたが、西遠流域下水道事業のように民営化がスムーズに進むとは思われません。

◆<水道事業>「コンセッション方式」有利 浜松市の報告書
(毎日新聞2018/6/11(月) 8:58配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180611-00000005-mai-soci

 浜松市は、水道事業で施設の所有権を渡さず運営権を民間に売る「コンセッション方式」の導入可能性に関する報告書をまとめた。完全民営化や独立行政法人化など他の運営方法と資産の面で比べた結果、コンセッション方式が最も有利との結論に達した。導入にあたっては、災害時などの対応など40項目の課題を挙げた。【奥山智己】

 市は、水道事業でコンセッションの導入を検討している。昨年度、新日本有限責任監査法人(東京都)に報告書の作成を委託した。

 報告書では、今のまま市が運営して水道施設を健全に維持するためには、今後50年間で水道管の耐震化や老朽化の対策、浄水場の改築などに約2900億円が必要となると試算。2037年度までに水道料金を約46%値上げする必要があるとした。
 こうした状況が予想される中、各運営方法に関して資産上の観点で利点と課題をまとめた。その結果、独立行政法人化なら「弾力的な運営が可能」、完全民営化なら「極めて効率的な運営ができる」という利点を挙げた。

 しかし、課題として「独立行政法人化は中期計画などで議会の承認が必要で、独自に長期の借金をすることができない」「完全に民営化すると運営会社に固定資産税などのコストが重荷になる」などと指摘した。

 一方、コンセッションについて「(運営会社を監督するため)長期の経営計画策定など市側の技術の育成、継承ができる仕組み作りが必要」などの課題を列記したものの、「契約や条例で料金の大幅な値上げを抑止できる」などと利点を評価。浄水場だけでなく水道管の運営権まで含めたコンセッションが、市の財政健全化が最も見込めると結論付けた。

 コンセッションの導入にあたり、管理、運営手法では災害時の役割分担など40の課題も示した。安全・安心な水道サービスを持続的に提供できるよう、「速やかに検討を進めていく必要がある」としている。

 国は、厚生労働相が許可すれば運営権者となる民間企業が水道事業を運営できるよう、水道法の改正を目指している。市は法律が改正されれば、その年から最短で5年目にコンセッションで事業を始める方針。報告書は市のウェブサイトで公表している。

 ◇水道事業でのコンセッション導入で浜松市が検討すべき主な課題

・市職員の派遣が認められない場合、工事の品質管理、確保の方法

・資材倉庫の管理や在庫調整

・運営権者との対話による市の瑕疵(かし)担保の範囲

・運営権者や市による、それぞれの水質チェックの具体的な方法

・運営権者と市の庁舎使用区分

(「市水道事業へのコンセッション導入可能性調査業務報告書」より)

 


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【2018/06/16 07:15】 | 未分類
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   嶋津 暉之

去る5月17日に大河原雅子衆議院議員が衆議院決算行政監視委員会で、鬼怒川と雄物川のダムと堤防に関する質問を行いました。
議事録が公開されましたので、その質疑の部分をお送りします。

2015年9月の鬼怒川水害はダム建設ばかりに力を入れ、下流部の河川改修をなおざりにしてきた河川行政の誤りが引き起こしたものであり、同様なことが秋田県の雄物川で繰り返されていることがこの質疑で明らかになっています。是非、お読みください。

雄物川の最上流部で建設中の成瀬ダムは集水面積が雄物川の流域面積のわずか1.4%しかないことにも驚かされます。

第196回国会 決算行政監視委員会 第2号
平成三十年五月十七日(木曜日)   
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/196/0058/19605170058002a.html

   午後一時一分開議

出席委員・・・・・・・・・  大河原雅子君
国土交通大臣政務官    秋本 真利君
政府参考人  (国土交通省水管理・国土保全局長)  山田 邦博君

○荒井委員長 次に、大河原雅子さん。
○大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。
 決算行政監視委員会、初めて質問させていただきます。
 決算の報告書などを見ておりましても、私の目が行きますのは、どうしても河川とかそういった問題になります。
 実は、小さいときに横浜で水害に遭ったことがありまして、そのときの体験が非常に、近くの鶴見川が堤防が切れて氾濫をしたというところで、夜になってから救援の舟が、家の畳を上げたところにボートが入ってくる、それに乗せてもらって助けられたということがあります。
 非常にそうした小さいときの体験はなかなか消えないものでございまして、水というのは本当に怖いものだなと。近くにある川については親しみを覚えますが、一度、その川が牙をむくといいますか、大きな抗しがたい力になってくるという、本当にひどい被害に遭われた方がこの日本じゅうにたくさんおられるということを思いまして、質問をさせていただきます。
 二〇一五年九月、台風十八号の影響で鬼怒川の堤防が決壊いたしました。甚大な被害が発生したわけです。
 鬼怒川の堤防といっても、現場は常総市ですから、すぐ近くということで、しかも平野、こんなところで水害が起こるのかと私も本当にびっくりしたわけですけれども、決壊で鬼怒川からあふれた洪水が次々と家々を襲っていくすさまじい光景がテレビでも放映され、そして堤防決壊がもたらす被害の恐ろしさというものを多くの方たちが息をのむ思いでごらんになったんじゃないかと思います。私も現地に行かせていただきましたけれども、この鬼怒川、近くに流れている鬼怒川はそんなに牙をむくような川には見えなかったんですけれども。
 実は、鬼怒川の上流には、国土交通省が建設した四つの大規模ダムがあります。五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムです。
 二〇一二年ですから、つい最近という感じがするんですけれども、湯西川ダムが完成したばかりであって、そして、私は、洪水は確かに怖いけれども、水を大事にするという意味で、川に幾つものダムをつくるということについても疑問を持ってきました。この湯西川ダム、ダムの上流に更にまたダムをつくるという、屋上屋を架すようなダム建設だという印象を持っております。
 この四つのダムの治水量というのは実に一億二千五百三十万立米ということで、しかも、鬼怒川のこの四つのダムの集水面積は全流域の三分の一を占めている。ダムで洪水調節がきちんとできれば、ほとんどの洪水は、氾濫を防止することができると言われている河川なんですね。そこで洪水が起こった。洪水のために堤防が決壊して、すさまじい被害をもたらしたわけです。ダムでは洪水の氾濫を抑止できないということが明らかにもなったんじゃないかと思うんです。
 このことに関して質問をしていきたいと思います。
 湯西川ダムのございます鬼怒川では、今回の水害の前年、二〇一四年度までに、河川改修にどのぐらいの予算が使われてきたんでしょうか。二〇一四年度までの十年間の予算額をお示しいただき、そしてまた、同じ期間に湯西川ダム建設事業に投じた予算額をお示しください。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 治水事業の実施に当たりましては、頻度は少ないけれども壊滅的な被害となるような水害ですとか、あるいは被害は少ないんですけれども毎年のように被害が出るような水害といったように、予測が難しい自然現象に対しましてさまざまな事態への備えを進めていく必要がございます。
 そのような考えのもとで、予算制約もある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったようなものと、それからダムや遊水地の整備など、さまざまな治水手段を各河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。
 鬼怒川の直轄河川改修事業は、昭和元年より、用地買収等の制約がある中、堤防などの整備を順次進めており、御質問のございました平成十七年度から平成二十六年度までの十年間に鬼怒川の河川改修事業に投じた予算は約百三十二億円となっております。
 また、湯西川ダム建設事業は、昭和六十年に建設事業に着手をいたしまして、平成十七年度から平成二十六年度までは、用地買収もピークを越えまして、ダム本体の実施中であったため、効果を早急に発現するよう予算を重点投資している段階でございましたが、この十年間に湯西川ダム建設事業に投じた予算は、利水者の負担額も含めて約一千五十六億円となってございます。
○大河原委員 そうすると、この十年間、鬼怒川の河川改修の予算額は湯西川ダムの予算額の何分の一なんですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
 平成十七年度から平成二十六年度までの十年間、順次整備を進める河川改修費と、ダム本体実施中の利水者の負担額も含めたダム建設費でございますが、これを比較いたしますと、河川改修費は約八分の一ということになります。
○大河原委員 これ、洪水に遭った方たちが聞いたら驚かれますよね。ダムをつくる予算の八分の一しか河川改修に使われていなかったわけですね、この期間。
 鬼怒川というのは、河川改修の予算が少なくて、堤防の整備が極めておくれていた。そして、水害後、鬼怒川緊急対策プロジェクトということで慌てて、慌ててというか、この緊急プロジェクトを打っているわけです。六百億円使っているということですけれども、これも、二〇二〇年までの計画で、改修工事が急ピッチで行われております。私もこの場所に行ってプロジェクトの様子も昨年見ましたけれども、遅過ぎたと言わざるを得ない洪水対策です。
 水害前の鬼怒川の堤防整備率、鬼怒川全体、それから栃木県側、茨城県側、分けて御説明をいただきたいと思います。そして、新聞報道によりますと、この茨城県側の堤防整備率というのはわずか一七%ですけれども、これは事実でしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 鬼怒川につきましては、以前より、下流部の茨城県区間では、連続堤防の整備による流下能力の向上、それから、流れの速い上流部の栃木県区間では、護岸整備によります河岸の強化、そしてダム整備による流量の低減などを行うことによりまして、河川全体にわたって安全度を向上させてまいりました。
 このような中、昭和四十八年に、茨城県内区間の重要性等を踏まえまして、以前より更に大きな洪水を安全に流下させるために治水計画を変更したことから、茨城県区間では、計画上の堤防の断面を大きくする必要が生じたところでございます。その結果といたしまして、栃木県区間の完成堤防の整備率がほぼ変わらない一方で、茨城県区間の完成堤防としての整備率が約四二%から約九%と、数字の上では小さくなりました。したがって、それまでの堤防整備の状況に関しましては、茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しくおくれていたわけではございません。
 ただ、その後、限られた予算の中ではございますが、鬼怒川の河川改修を進めて、特にここ十五年程度の間は、茨城県区間の堤防整備に重点的に予算を投入いたしまして、流下能力が大きく不足する箇所を優先して下流から整備を進め、平成二十七年三月末時点で、鬼怒川全体の完成堤防の整備率は約四三%、うち、栃木県区間で約六二%、茨城県区間で約一七%となっているところでございます。
○大河原委員 一七%なんですね。各県、こんなに整備率に差があるということを、恐らく地域住民の方たちが御存じないことがあると私は思います。
 そして、先ほどの水害被害に遭った家々の地域、茨城県なども非常に人口がふえてきているということがあるんじゃないでしょうか。河川整備に長く時間がかかればかかるほど、そこの地域に住んでいる方たちの危険な状況というのは増していく、そういうことだと思うんです。
 次に伺いたいのは、秋田県の雄物川のことです。
 秋田県の一級河川、雄物川の上流には、成瀬ダムの建設が進められています。
 ここも、私、行かせていただきました。御存じの方、あるかと思いますが、「釣りキチ三平」という漫画がありますが、本当に美しい川がこの成瀬川なんですね。こんなところにダムをつくるのかなと思うような場所です。普通、ダムというのは、切り立ったV字のところをぱっとせきとめてダムができるイメージなんですけれども、そうじゃないんですよね。
 この成瀬ダムの問題にも疑問を感じてまいりましたけれども、今年度、このダムは本体の堤体工事が始まるというふうにされております。成瀬ダムは雄物川の最上流に建設されるもので、洪水調節を行っても雄物川の氾濫防止に役立つとは思えません。
 成瀬ダムの集水面積と雄物川の流域面積をお示しください。そして、それはどのぐらいの割合になるのかも含めてお答えください。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 成瀬ダムは、秋田県雄勝郡東成瀬村に建設されます多目的ダムでございまして、ダム検証におきまして、ダムを含む案とダムを含まない案との比較、評価等を行って、ダム事業の継続が妥当と判断をして、実施しているダムでございます。
 成瀬ダムは、治水効果といたしまして、ダム直下で約九割の流量を減少させるだけではなく、基準地点であります椿川におきましても流量を低減するなど、全川にわたり効果を発揮するものでございます。
 成瀬ダムの集水面積は六十八平方キロメートルであり、雄物川の流域面積の四千七百十平方キロメートルに対し、その比率は一・四%でございますけれども、玉川ダムなどの他のダムや河川改修の効果と相まって治水安全度の向上に大きく寄与するものと考えており、特に、平成二十九年七月の洪水に対しては、雄物川上流に建設済みの玉川ダム等の効果によりまして、ダムがなければ約六十戸の浸水が見込まれる被害を解消したほか、下流部の水位を低減させるなど、被害軽減に大きく寄与しており、ダムによる治水効果は大きいものと考えているところでございます。
○大河原委員 集水面積を比べると、流域の一・四%ですね。
 今、効果はあるんだというふうにおっしゃいましたけれども、ここにダムを建てる、つくるという意味では、その周辺のすばらしい自然を壊してダムに沈めるというところもありますので、そこも私は極めて問題だと思ってきました。
 この雄物川も河川改修が極めておくれているというふうに聞いています。雄物川で、河川改修にどの程度の予算が使われてきたのか、最近十年間の予算額をお示しいただき、そして同時に、同じように、成瀬ダム建設事業の予算額と比べてみたいと思います。どのぐらいの割合になっているでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 雄物川の整備に当たりましても、鬼怒川と同様に、予算制約がある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったものと、ダムの整備など、さまざまな治水手段を河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。
 雄物川の河川改修の予算額は、平成二十年度から平成二十九年度までの十年間で、約四百三十六億円でございます。同期間における成瀬ダム建設事業の予算額は、利水者の負担も含めまして約二百九十六億円でございまして、雄物川の河川改修費は、利水者の負担額を含めた成瀬ダム建設事業費の一四七%となってございます。
○大河原委員 雄物川では、昨年になりますね、二〇一七年の七月下旬と八月の下旬に大きな氾濫がありました。これは、雄物川の中下流域において流下能力が極めて低い状況があって、それが長年放置されてきたことによるものだと思います。
 これも、起こるべくして起こってしまったんじゃないか、そういう氾濫であるというふうに思うわけですが、雄物川の中流部及び下流部における昨年時点での堤防整備率、これはどうなっていたでしょうか。
 そしてまた、河川整備計画をつくるときの計画高水流量に対して流下能力が確保されている区間、この割合は中流、下流部についてどのようになっているのか、これについても伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 雄物川の整備につきましては、その延長が長いこともございまして、沿川に秋田市を始め横手市や湯沢市などの市街地を抱える区間があります。これらの人口や資産状況等を考慮し、順次進める必要があるということ、二つ目に、上下流の流下能力のバランスを考慮する必要があるということ、三つ目に、堤防用地を取得する際に制約があるということ、これらの条件のもとで、なるべく効率的に改修が進むよう、例えば輪中堤などの手法をとりながら進めてきたところでございます。
 雄物川の中流部及び下流部の完成堤防の整備率についてでございますが、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約八九%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロメートルでは約五一%となっております。
 次に、雄物川の中流部及び下流部における計画高水流量に対して達成することとなっている流下能力が確保されている区間の割合でございますけれども、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約七七%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロでは約六〇%となっているところでございます。
○大河原委員 脆弱な部分に水が来たときのことというのはもう想像にかたくないわけで、河川整備計画をつくる段階でも、私は、もうダムの効用というのは限度が見えてきてしまっていると。洪水調節というところは本当に、長年、ダム偏重で日本の河川行政が行われてきたというふうに思います。
 どうでしょうか、ダムの限界というのをどのようにお考えでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
 先ほど申しましたように、治水事業の実施に当たりましては、堤防と河道の掘削とダムや遊水地の整備というさまざまな治水手段をそれぞれの河川の特性や流域の状況に応じて講じていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
 河川改修やダム建設についても、それぞれ予算や用地取得上の制約がある中で計画的に進めているところでございますけれども、引き続き、河川改修とダム建設の双方の適切な役割分担のもと、着実に治水事業を進めていくことが重要であると考えているところでございます。
○大河原委員 近年、雨の降り方も大分変わってきているわけですね。
 ダムというのは、ダムの上流に雨が降れば効果はあります。でも、下流に降った場合は役に立ちません。そして、どうでしょうか、地域住民の方々の安心を高めていく安全度というのは。ダムができるまでは、その流域の方たちの安全は守られないわけですね、全然。
 だから、この整備率が、もちろん、高くなればなるほど、堤防が強化されるとか、河川整備がされるというのは一番求められていることですけれども、極論すれば、たとえ九十何%の整備率であっても、その整備がされていないところが襲われたとき、むしろ、その整備されていないところに水が越水していく、そういう水の性質、特質というものをやはり一番捉えなきゃいけない事業だと思うんです。ダム偏重というふうに批判もされますし、どうでしょうか、この限界というものを、変える気はないでしょうか。
 例えば、今年度のダム全体の予算、それから河川改修の予算はどうなっているのか、お答えいただけますか。
○秋本大臣政務官 委員御指摘の鬼怒川や雄物川を始めまして、近年頻発している水害に対応するためには、引き続き、河川改修やダム建設等の治水事業を推進することが重要であると認識しております。
 全国の全体予算を見ますと、これまで、ダム建設よりも河川改修に予算を大きく配分してきているところがございまして、ダム偏重の予算配分とはなっておりません。
 お尋ねの金額で申しますと、平成三十年度は、河川改修費は全国で約二千百億円、ダム建設は一千八百億円でございます。
 また、過去八年間さかのぼってみまして、平成二十二年から二十九年、民主党政権から自民党政権まで見ましても、河川改修費は三千百億円、ダム建設費はその約半分の千六百億円でございます。また、これは中身を見ましても、河川改修につきましては、直轄と都道府県の激特などだけで三千百億円でございまして、ダム建設費は、都道府県までの補助金全てを入れても千六百億円ということでございます。
 堤防整備等の河川改修は、整備効果を順次発現するなどの長所がございまして、喫緊の河川改修については優先的に実施をしているものの、下流から実施しなければならないことなど、事業進捗に一定の制限がかかる場合もございます。
 一方で、ダムは、一時的に予算の集中投資が必要とはなりますけれども、下流の河川改修を待つことなく上流で貯水を始めることによりまして、長い期間にわたって効果を発揮することができる、効果の大きな施設であると認識しており、ダム建設に当たっては、ダム検証を含めた事業評価を適切に行った上で進めてきております。
 河川改修とダム建設につきましては、適切な役割分担のもとで整備を実施しているところでございますけれども、今後とも、河川ごとの特性を踏まえながら、河川改修とダム建設双方の適切な役割分担のもと、着実に治水対策を進めてまいるつもりでございますので、ダム偏重という指摘は当たらないものというふうに考えております。
○大河原委員 私は、ダムを全部否定しているわけじゃないんですよ。王道はやはり河川整備だ。堤防を強化し、そして弱いところをなくしていく。なぜなら、その地域の人の命が直結しているからなんです。
 ダム事業は、小さく産んで大きく育てる、長く時間がかかるから、トータルでは物すごいお金がかかっています。ですから、単純にことしの予算は少ないとか言えないんですよ。
 何より、何のために。命を守るための河川整備をしなきゃならないわけで、国土交通省、会計検査院の決算検査報告六百六十六ページにもありますけれども、河川整備計画によって堤防整備をすることになっている区間に、一部未整備の箇所あるいは改築が必要な橋梁、そういうものが残存していて、整備済みの堤防の効果を、既にそこは整備されている場所でさえ、目標とされているそうした効果が十分に発揮できない、こんなことまで言われているわけなんです。
 この背景になっている金額も、国土交通省の予算って本当に、何億円単位というのが本当に庶民の感覚を離れて、何だ、四百億円かみたいな形で言われるときがあるんですけれども、もっときちんとしたコストと効果を考えて、私たちは、ダムが壊れないようにするんじゃなくて、堤防が壊れないことはもちろんですが、命を守れるようにする、その視点からぜひこの予算を見直していただきたいというふうに思います。
 鬼怒川の緊急対策プロジェクトはまだまだ二〇二〇年まで続きますけれども、つまり、二〇二〇年まで、これまで放置してきたところ、本当に私たち、国会にかかわる、そして行政にかかわっている国土交通省も心して、人の命を守るということをしっかりと御自覚をいただきたいというふうに思います。
 終わります。


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【2018/06/16 07:00】 | 未分類
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   嶋津 暉之

6月7日のNHKの時論公論で「新技術を中小河川の防災に生かせ!」という解説がありました。
その解説の内容がNHKのHPに掲載されましたので、参考までにお送りします

◆「新技術を中小河川の防災に生かせ!」(時論公論)
(NHK 2018年06月07日 (木)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/299211.html

各地が梅雨入りし大雨への警戒が必要な季節になりました。大雨による災害の中でも中小河川の氾濫は事前の避難がとても難しい災害です。川の数が多いうえ、水かさが急激に増えるためです。しかし最近、開発されたふたつの技術で川の状況をリアルタイムに把握することで、避難のタイミングがはかりやすくなるという期待が持たれています。その可能性と課題について考えます。

解説のポイントは3つです。

▼中小河川対策の難しさ
▼2つの新しい技術とは
▼新技術を減災に生かす課題
【中小河川対策の難しさ】

岩手県岩泉町で21人が亡くなったおととしの水害や、41人が犠牲になった去年の九州北部豪雨は、氾濫の監視体制が薄い中小河川で起きて、避難対策が大きな問題になりました。

日本には人のいない山奥の川も含めて3万5000あまりの川がありますが、要所要所に水位計をつけて監視し住民に避難を呼びかける態勢がとられている川は2000河川です。大都市や中核市を流れる大きな川が中心で、それ以外の中小河川は警戒・監視体制がきわめて薄いのが現状です。

対策が難しいのは、なんと言っても数が多く、水位計の設置が追いつかないこと。そして小さな川は大雨で急激に水かさが上昇することから、避難を呼びかけるタイミングの見極めが非常に難しいためです。

【新しい技術① 洪水警報の危険度分布】
こうしたなかで、注目される2つの取り組みがあります。
ひとつは気象庁が発表する「洪水警報の危険度分布」です。

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対象は人の生活圏にあるほぼ全ての川、2万河川。氾濫の危険性を5段階に色分けして示し、薄い紫色は「3時間先までに重大な災害が発生する可能性が高い」川、濃い紫色は「すでに重大な災害が発生している可能性が高い」川の区間を示します。

どういう仕組みなのでしょうか。

まず、その川が雨水を集める範囲を決めます。そこで実際に観測された雨量と3時間先までに予測される雨量をあわせ、流れ込む水の量を計算します。そして過去に氾濫を起こしたときのデータと比較して、いつ限界を超えて氾濫になるのかを予測して色で示しているのです。実際の水位ではなく、精密な雨量と過去のデータからシミュレーションをするこれまでにない手法で、水位計のない川でも避難のタイミングを示すことができるのが最大のメリットです。

信頼性はどうなのでしょうか。去年7月の運用開始後、総務省消防庁が検証を行ってきました。

年7月、大雨で新潟県魚沼市を流れる4つの川で堤防が壊れたり水があふれたりする被害が出ました。
検証の結果、いずれの川も被害が出る25分から2時間あまり前に濃い紫色になり、さらにその1時間ほど前に薄い紫色になっていたことがわかりました。薄い紫色が「避難開始の目安」とされていますから、中小河川でも避難の時間的余裕がとれることがわかりました。

一方、紫色になっても被害が出ないケースもあります。実際に被害が出たのはどのくらいの割合でしょうか。
気象庁が去年7月に秋田県の広い範囲で浸水被害が出た大雨について調べたところ、薄い紫色になった川の半分近く、濃い紫色になった川では65パーセントで、実際に氾濫や堤防の損傷などの被害が出ていました。

こうした検証結果を受けて、総務省消防庁は「市町村が避難勧告などを判断するための情報のひとつとして有効」と結論づけました。この雨期から少なくとも13の市と町が避難勧告を判断する具体的な基準などに取り入れることにしているのをはじめ、多くの市町村が重視するようになっています。この情報はもちろん誰でもパソコンやスマホで見ることができます。

【新しい技術② 簡易型水位計】
もうひとつの新しい技術は簡易型水位計です。
中小河川に水位計の設置が進まないのは設置と維持に大きな費用がかかるためです。そこで国土交通省は民間企業に呼び掛けてさまざまな会社のノウハウを持ち寄ってもらい新型の簡易型水位計を開発しました。

最大の特徴は山奥など電源が取れないところでもバッテリーや太陽電池で最低5年間は観測できることです。大雨のときだけ観測をすることで消費電力を抑えるもので「危機管理型水位計」とも呼ばれます。また従来の水位計はデータを送るために専用の回線を使い装置も大がかりでしたが、簡易型水位計はスマートフォンなどと同じ、通信会社の一般回線でデータを送り、クラウドコンピュータで処理します。IoT技術によって設置費用は従来の10分の1以下の50万円から100万円。維持費も大幅に安くすることができました。

現在、従来型水位計が大きな川を中心に全国で7150か所ありますが、国土交通省は簡易型水位計を今後3年間で8700か所設置し、観測点を倍以上にしようと計画しています。

この水位計の情報もリアルタイムでパソコンやスマホでも見ることができることから、市町村や地域の防災組織などが身近な川に設置して、避難に生かすという使い方も想定されています。

【新技術を減災に生かす課題】
これらの新しい技術を中小河川の被害軽減に役立てるために何が課題なのでしょうか。

▼まず市町村は、新しい情報・データを避難勧告の判断に生かす準備を急ぐ必要があります。危険度分布について国はガイドラインで薄い紫色を「避難勧告の目安のひとつ」と位置づけています。広島県は市町村が使いやすいように独自のガイドラインをつくって利用を促しています。一方、簡易水位計について岐阜県は市町村と勉強会を開いて、設置する中小河川の川ごとに避難勧告を出す基準水位を検討することにしています。ほかの市町村でも対応を急いでもらいたいと思います。

▼もうひとつは、両方の技術を高めあって、次の総合的なシステムづくりをめざすことです。

気象庁の危険度分布には国土交通省や都道府県が持っている川の断面図つまり容量を示すデータが直接反映されていないほか、ダムの放流などの影響もほとんど考慮されておらず、実態を反映しない場合があります。
一方、簡易型水位計は数多く設置することで現状把握が飛躍的に進みますが、中小河川の急激な水位変化を見越して的確に避難判断をするには雨量予測との連動が不可欠です。

ふたつの技術は気象庁と国土交通省とで別々に開発が進められてきました。国土交通省側には気象庁の危険度分布の信頼性への疑問の声があり、独自のシステム開発にも取り組んでいます。

しかし、すでに運用されている危険度分布のシミュレーションに簡易水位計の膨大な実測データを突き合わせて修正していけば、危険度分布の信頼性が高まることが期待できます。さらに、いずれの技術も、知恵を出し合うことで中小河川のリスクを管理する、次世代の総合的なシステムに発展させられる可能性があります。一体的な取組みを期待したいと思います。

岩手の水害も九州北部豪雨も逃げ遅れて亡くなった人はほとんどが高齢者でした。もう少し早く危険を察知できていれば、隣の建物の2階に避難させるなどして助けることができた人は少なくありませんでした。今年も雨期を迎えて、市町村をはじめ防災関係者は、新しい情報も最大限に生かして、お年寄りなどを守る態勢を整えてほしいと思います。

(松本 浩司 解説委員)

 



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【2018/06/15 23:17】 | 未分類
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       嶋津 暉之

天然ニホンウナギの北限の漁場とされる青森県・小川原湖で実施されているウナギの生態調査についての記事です。
なお、平成28,29年度の調査結果は水産庁の「河川及び海域での鰻来遊・生息調査事業」の報告書に掲載されています。

◆<北限のウナギ>青森・小川原湖で成長確認 体重最大5倍に、稚魚遡上も3年連続

(河北新報20180608日金曜日)

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180608_23003.html


天然ニホンウナギの北限の漁場とされる青森県東北町の小川原湖で実施されている生態調査で、放流したウナギが順調に育つことが確認された。幼いウナギの追跡調査の結果、体重が最大約5倍まで成長したほか、稚魚のシラスウナギが3年連続で遡上(そじょう)してきたことも分かった。
 調査は青森県産業技術センター内水面研究所(十和田市)と小川原湖漁協(東北町)が2016年から水産庁の委託を受けて実施。養殖場で育てた生後1年ほどの幼いウナギに標識を付けて放流し、その後の成長ぶりを追った。

 太平洋と小川原湖をつなぐ高瀬川で、約5センチの天然のシラスウナギの遡上の有無も調べた。
 これまでの調査で、16年に放流した1匹(体長36.7センチ、体重53.9グラム)が約1年5カ月後に十分漁獲可能な体長59.8センチ、体重276グラムまで成長。他にも体重が約4.7倍になった個体が発見された。
 シラスウナギは16年に4匹、17年に1匹、今年は最多の8匹が見つかり、高瀬川を遡上してくることを3年連続で確かめた。
 本年度は小川原湖内の5カ所で、平均体長38.9センチ、平均体重67.7グラムの生後1年ほどの幼魚約930匹を7日に放流。このうち480匹に標識を付けた。
 小川原湖のウナギ漁獲量はピークの1979年度に96.1トンだったが、2014年度以降は1トン前後まで激減した。現在は40センチ以下のウナギを捕らないことや6~9月以外を禁漁にするなど資源保護の取り組みを展開している。
 全てのニホンウナギはマリアナ海溝付近で産卵するため、海へ向かうウナギを保護する取り組みが不可欠。だが小川原湖だけでは不十分なため、全国の漁場に働き掛けていく方針だ。
 内水面研究所の二木幸彦所長は「ニホンウナギはアジアの共有資源で、北限の小川原湖は貴重な場所。資源保護の効果も明らかになってきた」と話した。

 


◆資源回復狙いウナギ幼魚放流/小川原湖

(デーリー東北2018/06/08 08:00

http://www.daily-tohoku.co.jp/news/kita_ar/20180608/201806070P209322.htm

東北町の小川原湖漁協(濱田正隆組合長)は7日、ウナギの資源量の回復に向け、体長30~40センチの幼魚計63キロを湖に放流した。

宮崎県の養鰻(ようまん)業者から取り寄せた930匹のうち480匹の目に緑の樹脂でマーキングを施し、昨年同様に、水産庁の委託を受けた青森県産業技術センター内水面研究所の協力を得て生態調査も継続する。



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【2018/06/15 23:06】 | 未分類
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石木ダム予定地の川原(こうばる)地区に暮らす住民を追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の上映について毎日新聞と朝日新聞の記事をお送りします。

東京では渋谷のユーロスペースhttp://www.eurospace.co.jp/ (03-3461-0211)で7月7日(土)から上映されます(上映時間はまだ決まっていないとのことです)。

◆ホタルの里、ダム建設に翻弄される人々 ドキュメンタリー映画、順次全国公開
(朝日新聞2018年6月5日16時30分)

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(写真)映画「」のポスター=ぶんぶんフィルムズ提供
 
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダム。夏にはホタルが舞う建設予定地の川原(こうばる)地区に住む人々の暮らしを撮影したドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」が、順次公開される。

ダム建設に翻弄(ほんろう)されながらも暮らす13世帯54人の姿を描いている。

 鹿児島市で9日から、熊本市では23日から先行上映される。

全国上映は東京・渋谷で7月7日から始まり、その後、順次全国展開を予定している。前売り券は、ペアチケットで送料込み2600円。公式サイト(http://hotaruriver.net/別ウインドウで開きます)で購入できる。

 
◆「ほたるの川のまもりびと」 長崎・石木ダム水没予定地の住民ドキュメンタリー 
来月「東田シネマ」で上映 /福岡
(毎日新聞2018年6月8日)
https://mainichi.jp/articles/20180608/ddl/k40/200/340000c
 
里山や人柄の良さ発信

 長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画する石木ダムで、水没予定の川原(こうばる)地区に暮らす住民を追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」(2017年)が7月27~29日、八幡東区東田の北九州市環境ミュージアムで上映される。山田英治監督(49)が北九州入りし、作品に込めた思いを語った。【長谷川容子】

 山田監督は博報堂の元CMプランナー。東日本大震災を機に、企業より社会の課題解決に目が向き始め、50年近く議論になっている石木ダム事業のことを知ったという。「現地に足を運ぶと、家の中にホタルが飛び込んでくる豊かな自然環境と大家族のような社会があった。未来のヒントになる地域が失われるのは不条理だと思った」。会社員との二足のわらじで、休みのたびに現地へ足を運び、1年かけて撮影。製作費はインターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングで集めた。

 カメラは地区の13世帯の生活を淡々と映し出す。「ダム問題を糾弾する視点で描く方法もあるが、ぼくは里山の良さやそこにある暮らしのすてきさ、住民の人柄を前面に出す方が共感を得られるのではないかと思った」と山田監督。バリケード前の座り込みなど、暮らしを守るための闘いもあるが、人々の明るい表情が印象的だ。「お母さんたちは『つらいよ』と言いながらも、みな元気でエネルギッシュ。前向きに楽しくやらないと続かないと奮い立たせているんだと思う」と語る。

 3月末に退職し、株式会社「社会の広告社」を設立した。「僕の発想の軸足は今も広告戦略にある。世の中が目を背けがちな社会的な課題を、より軽やかな楽しい方法で誰もが語れるよう問題提起していきたい」と話す。

 上映は、館内のドームシアターを利用する「東田シネマ」の月例会で、各日(1)午前10時半(2)午後1時(3)同3時半(4)同6時--の4回。連携する北九州市立大の「北方シネマ」でも8月10日午後6時半に上映する。
〔北九州版〕

【2018/06/10 01:22】 | 未分類
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       嶋津 暉之

6月7~8日にニホンウナギの保護策を日本と韓国、台湾で協議する国際会議が開かれました。
シラスウナギを養殖池に入れる量の上限は現状を維持することを確認、上限を減らす案もあったが、中国の欠席や科学的な根拠による資源量の把握ができていないことを理由に見送られました。
この国際会議についての記事とニュースです。

◆シラスウナギ不漁 ウナギ高騰、打開なるか 日韓台協議へ
(毎日新聞2018年6月6日 22時04分)
http://mainichi.jp/articles/20180607/k00/00m/020/163000c

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2018/06/07/20180607k0000m020171000p/6.jpg?1

シラスウナギの取引価格の推移

7、8の両日、非公式協議を都内で 中国が欠席

 ウナギが高値となっている。今漁期は稚魚のシラスウナギが不漁で取引価格が上昇しているのに加え、来年以降の品薄懸念も強まり成魚を買いだめする動きも広がっているからだ。7、8の両日には、養殖に使う稚魚の年間上限量を決める周辺国・地域との非公式協議があり、日本は資源保護を強化する方向で議論をリードしたい考えだ。【加藤明子】

 「ウナギの仕入れ値が高く、確保に苦労した。今年は特売を縮小せざるを得ないかもしれない」。東京都練馬区などが地盤のスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は7月20日と8月1日の土用の丑(うし)の日を前に渋い表情だ。在庫が尽きたら、追加発注ができるかが不安だという。

 ウナギ養殖生産者でつくる日本養鰻漁業協同組合連合会の聞き取り調査によると、今年3月中旬以降の成魚の取引価格は1キロ(標準サイズ=5匹)当たり5300円と過去最高水準だ。同連合会では3月にウナギの問屋や専門店に「今年はサイズを大きくして出荷するので、例年なら1匹で1人前のうな重にするところを今年は1匹で2人前にしてほしい」と異例の要請をした。標準サイズは1匹約200グラムだが、今年は時間をかけて約350グラムまで大きく育て、“資源”を有効活用するという苦肉の策。品薄だけに、おおむね了承を得たという。

 シラスウナギ漁は11月から翌年4月にかけて行われる。今漁期は1月までの漁獲量が前年同期の13%と極度の不漁。2月以降は持ち直したものの、最終的には前期比29%減の約14トンだった。漁期前半が不漁だったため、シラスウナギや成魚を急いで確保する動きが強まり、取引価格は高止まりしている。

 水産庁などによると、2000年代前半には1キロ当たり20万円前後が相場だったシラスウナギの取引価格は、近年では100万~200万円台。輸入を含むウナギの国内供給量は00年の16万トンをピークに減少し近年は3万~5万トンにとどまる。

 日本や韓国、台湾は7、8の両日、ウナギの資源管理に関する非公式協議を東京都内で開き、養殖に使う稚魚の年間上限量について話し合う方針。来年5~6月には、ワシントン条約締約国会議が開催され、ウナギなどの資源保護が議論される可能性がある。水産庁はワシントン条約による国際取引制限などを回避するため、今回の非公式協議で資源保護を強化する方向で議論を主導したい考えだ。ただ、規制強化に消極的な中国が今回は欠席するため、どこまで実効性のある対策を打ち出せるかは見通せない。

ウナギの養殖

ウナギは完全養殖の技術が確立されておらず、国内で取ったり、輸入したりした稚魚「シラスウナギ」を育てる必要がある。養殖池に入れられたシラスウナギは半年から1年半ほど育てた上で出荷される。価格の高騰を受け、密漁や密輸も行われているとされる。一方、天然ウナギの漁獲量は年々減少し、2015年は国内流通量の0.001%にとどまる。

 

◆ウナギ養殖量「削減」先送り 国際会議、中国欠席で

NHK 2018/6/8 19:48

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31549480Y8A600C1EA1000/


 減少が危惧されているニホンウナギの保護策を日本と韓国、台湾で協議する国際会議が8日、閉幕した。稚魚のシラスウナギを養殖池に入れる量の上限は現状を維持することを確認。上限を減らす案もあったが、中国の欠席や科学的な根拠による資源量の把握ができていないことを理由に見送られた。ウナギ資源を将来にわたって守れるかどうかは不透明なままだ。

https://www.nikkei.com/content/pic/20180608/96958A9F889DE1E3E7E6EBE6EAE2E2EAE2E4E0E2E3EA9793E3E2E2E2-DSXMZO3155525008062018EA1001-PN1-2.jpg

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 ニホンウナギは日中韓台が2014年の会議で、シラスウナギを養殖池に入れる量を14年実績より2割少ない数量を上限とすることを決めた。日本の上限は21.7トンで、中国の36トンに次いで2番目に多い。

 日本で育てるウナギの大半は、天然のシラスウナギをとった後に養殖池で育てて出荷される。今年はシラスウナギが不漁に見舞われ、4月末時点でシラスウナギを国内の養殖池に入れる量は14トンと、前年同期に比べて約3割減った。相場も1キロ300万円と前年の3倍に上昇した。

 不漁の影響は店頭価格に波及している。親のウナギ相場も前年比4~6割高く、かば焼き専門店では、うな重1杯を500~千円値上げした店が多い。値上げで「消費量が前年比で3~4割落ちる可能性がある」(輸入商社)との予測もある。

 今回の会議では資源管理の徹底に向けて上限を減らす意見も出た。ただ、養殖量の上限が最も多い中国の不在や科学的根拠が不明確なため議論は低調だった。そのため、科学的な根拠にもとづいて資源管理を議論するために専門家を集めた会議を9月にも開くことを決めた。

 ニホンウナギをめぐっては19年5月にも開かれるワシントン条約締約国会議で資源状況について議論される可能性がある。資源管理の状況が不十分と判断されると、国際取引が厳しく制限される。ワシントン条約ではヨーロッパウナギがすでに国際取引の規制対象となっている。

 日本はウナギ消費量のうち約6割を海外からの輸入に頼る。国内養殖も中国などからシラスウナギを輸入している。国際取引が制限されれば国内供給が大幅に減り、価格上昇の要因にもなる。


◆ニホンウナギ稚魚、養殖使用数の上限変えず
(TBS 2018/6/9(土) 1:44配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20180609-00000005-jnn-bus_all

 絶滅が危惧されているニホンウナギの資源管理に関する国際会議が2日間の日程を終え、 養殖に使う稚魚の数の上限を変えないことで一致しました。

 7日から8日まで東京で開かれた国際会議では、今年11月から来年10月までの養殖に使うウナギの稚魚の数の上限について、話し合われました。

 会議では、資源保護を促す意見も出ましたが、上限の設定に科学的な根拠がないことや、稚魚を最もとっているとされる中国が4年連続で欠席したことなどから、参加した日本、韓国、台湾は今年は上限を変えないことで一致しました。

 また、これまで行っていなかった科学的な根拠に基づく管理の仕方を導入するため、今年の9月にも新たな会合を行う方向で調整するとしています。

 ニホンウナギをめぐっては、養殖に使う稚魚の量がこの時期としては過去2番目に不漁となっていて、取引価格も高騰しています。(0819:30

 

◆ウナギ、科学的に資源管理を 中国不在で議論

(産経新聞 2018/6/9(土) 7:55配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180609-00000072-san-bus_all


 絶滅の恐れのあるニホンウナギの資源管理について話し合う日本と韓国、台湾の非公式協議が7、8の両日、東京都内で開かれ、科学的根拠に基づく資源管理措置の導入に向けた議論を始めることで一致した。ただ、規制強化に消極的な中国が4年連続で欠席。中国不在で進む資源管理は効果に疑問も出そうだ。

 非公式協議では、ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を養殖に回す上限数量について、日本は昨年に続き21・7トンとすることも決定した。シラスウナギは東アジア全域で不漁で、日本が前回漁期(昨年11月~今年4月)に養殖に使った量は14トンにとどまった。

 ニホンウナギの生態は解明されていない部分が多い。このため「科学的根拠に基づいてシラスウナギを取る量を議論するべきだ」などの意見が出たという。9月下旬にも、データの扱いなどを議論する。

 来年5~6月のワシントン条約締約国会議では、ニホンウナギの国際取引の制限が議論される可能性もある。日本はそうなる前に、中国を協議の場に引き戻し4カ国・地域が一体となって持続的な資源利用に努めている姿をみせたい考えだ。

 ウナギの需要が高まる夏を前に、日本養鰻漁業協同組合連合会はウナギを通常の2倍近い大きさに育てて出荷する方針を決めた。「通常はウナギ1匹でうな重1人前のところを2人前にする作戦」(関係者)で、流通業界からはおおむね理解を得ているという。

 



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【2018/06/10 01:13】 | 未分類
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      嶋津 暉之

独立行政法人が日本企業の海外展開を支援できるようにする「インフラ輸出」促進法が本通常国会で可決され、成立しました。
法律の名称は「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」です。

法案の内容は、下記ををご覧ください。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19605032.htm 
これで、独立行政法人・水資源機構も海外で日本のゼネコンによるダム事業を支援することになります。

◆独法を企業利益に動員 「インフラ輸出」促進法 山添氏が批判
(しんぶん赤旗2018年6月5日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-05/2018060508_08_1.html

独立行政法人(独法)が日本企業の海外展開を支援できるようにする「インフラ輸出」促進法が5月25日の参院本会議で、日本共産党以外の各党の賛成で可決・成立しました。
 同法は、日本企業による鉄道や水道などの国土交通分野のインフラ輸出を推進するため、独立行政法人に海外業務を追加するもの。政府は、民間企業だけでは困難なインフラ輸出を、専門技術やノウハウをもつ独法の支援で促進するとしています。

 同月24日の参院国交委員会で、質疑と反対討論に立った日本共産党の山添拓議員は、公的機関である独法を特定企業の利益獲得に動員するのは、本来の独法の目的に反すると指摘。安倍晋三首相の肝いりで、日本政府が受注に向け8億円の調査費を投じている米国へのリニア高速鉄道の輸出を例に、「受注で利益を得るのはJR東海で、できなければ調査費は国民の負担になる。企業の利益のために国民にリスクを押し付けるものだ」と批判しました。

 さらに、「独法は国内のインフラ整備を担ってきた国民の財産であり、道路や上下水道管など国内施設の老朽化対策こそ優先すべきだ」と主張。同法には国内では義務付けられている環境影響評価や住民参加の規定がなく「環境や人権、民主主義への配慮を欠いている」とも指摘しました。



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【2018/06/06 00:26】 | 未分類
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     嶋津 暉之

横浜市では、水道管の更新がなかなか進まず、現在の進捗速度であると、全域の更新に80~90年かかるという論考記事をお送りします。

横浜市水道の経営が厳しいのは、2000年に完成した宮ケ瀬ダムとその関連水道施設の巨額負担があるからだと推測されます。

この問題については「横浜市 水道料金値上げを検討 原因は宮ヶ瀬ダム」をお読みください。
https://yamba-net.org/41185/

他の都市も同様だと思います。必要性がなくなったダム事業に参画している余裕はありません。「水道の老朽化問題」に真剣に取り組むべきです。

なお、下記の記事の終わりの方で、東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授が登場します。

滝沢氏は石木ダム予定地を強制収用するための事業認定で、佐世保市水道の架空水需要予測にお墨付きを与える意見書を出しました。

昨年12月、この事業認定取消訴訟の裁判で証人として出廷することが求められましたが、滝沢氏は出廷を拒否しました。

◆横浜市も悩む「水道の老朽化問題」の行方は?
 水道インフラ民営化、熱い理想と冷たい現実

(東洋経済2018年06月04日)
https://toyokeizai.net/articles/-/223419
一井 純 : 東洋経済 記者

5月中旬、横浜市の閑静な住宅街で、古い水道管の更新工事が行われていた。細い路地に重機が入り、アスファルトを剥がして地面を1メートルほど掘り返している。
現場監督は「1年の工期中に約1.4キロメートルの水道管を取り替えていく」と話す。

水道管の更新に80~90年?

水道管の法定耐用年数は40年。老朽化する水道管を放置すれば、漏水や断水、赤さびなどの原因となる。高度経済成長時代に水道が普及した横浜市では、水道管の総延長約9200キロメートルに対し、更新時期を迎えた水道管が約2400キロメートルに達している。

だが、水道管の更新はなかなか進まない。水道局の予算約850億円に対し、水道管の取り替え費用は約200億円に達するが、それでも更新できるのは「市内全体で年間110キロメートル」(横浜市水道局の木村正紀氏)にすぎない。単純計算で、全域の更新には80~90年かかる計算だ。

こうした状況を受けて、5月に横浜市が開催した「水道料金等在り方審議会」では、委員か事業の将来性を危ぶむ声が上がった。「今後、経営危機は加速度的に増していく」(委員)状況をふまえ、料金体系の抜本的な改定などが議論されたものの、活路は見いだせていない。

横浜市は維持更新費負担のため、この30年で2度の料金値上げに踏み切ったが、節水機器の普及などで料金収入の減少に歯止めがかからない。水道料金(約20立方メートルで2750円)の半分以上が維持更新費や設備投資の借入金の返済に消えているのが現状だ。

水道インフラの老朽化にあえぐのは横浜市だけではない。日本水道協会によれば、耐用年数を超えた水道管の割合は2015年に13.6%と、10年間で倍以上に増加した。他方で、全国の料金収入の合計は2015年時点で約2.6兆円と、10年間で2000億円以上も減少した。料金収入だけでは水の供給原価を賄えない自治体も多く、一般会計からの繰り入れで赤字を補塡している。

そこで、上水道を所管する厚生労働省が打ち出しているのが、水道事業の運営権を民間に売却する「コンセッション方式」の導入だ。

水道事業は公共性が高いため、これまで自治体が経営の中心となり、民間企業はポンプ場の運営や検針、料金徴収といった一部の業務を受託するにとどまっていた。

一方、コンセッションでは民間企業が水道事業の企画から実施まで一貫して行う。民間のノウハウを使い、運営を効率化する狙いがある。

水道料金は地域ごとの差が大きい

実は、水道料金は地域によって10倍近い差がある。豊かな水源や水利権を抱えていたり、効率的な送配水ができる自治体は安価に水を提供できる一方、維持・更新費がかさんだり、 水利権を持たず広域企業団(複数の自治体が設立した公営企業)から水を購入している自治体は、料金が高くなる。

(注)口径13ミリメートル、10立方メートルあたりの水道料金 (出所)総務省「2016年度地方公営企業年鑑」より東洋経済作成

上水道は手続きが煩雑で、これまでにコンセッションの導入実績がない。厚労省は昨年、今年と手続きを緩和する水道法改正案を国会に提出。コンセッション導入の道を開こうとしている。

コンセッションはすでに仙台空港や愛知県の有料道路といった一部の公共施設で採用されている。前者は東京急行電鉄、後者は前田建設工業が中心となって運営。いずれも利用者数は堅調に推移し、公営時代よりも収益を上げている。

民間企業も水道事業のコンセッションに熱い視線を送る。水道インフラ最大手の水ing(スイング)は、2012年に広島県企業局との共同出資で「水みらい広島」を設立。県と民間の合弁会社として県内3地域で水道の供給を請け負い、収支は4年連続で黒字を達成した。

「自治体は設備の老朽化度合いやスペックにかかわらず、規定どおりの調達をするためコストがかかる。民間なら予算や調達で柔軟な対応ができる」(水ingの倉持秀夫・総合水事業本部長)。今後はコンセッションも視野に入れるという。

今年4月に浜松市の下水処理施設の運営を仏水道会社の大手ヴェオリアらと受託した中堅ゼネコンの東急建設も「土木工事で培った技術を水道の維持・更新に生かしたい」とコンセッションへの関心を示す。

コンセッション参入を計画しているある事業者はこう打ち明ける。「日本の漏水率(浄水場から給水管までの間で漏れた水の比率)は5%と世界屈指の低さで多額の維持費がかかっている。漏水率が10〜20%になっても、結果的に維持費が浮くなら事業として十分に成り立つはず」。民間運営ならば、水道料金の値上げもしやすくなる。

財政難の自治体から水道運営を切り離し、民間の創意工夫で現状の水道インフラを維持する──。関係者はバラ色のシナリオを描くが、現実は甘くない。

コンセッションによって空港や道路の運営が収益を上げられるのは、サービス向上により利用客数や客単価が増加したため。人口減少や節水の普及で料金収入が減る水道では品質を上げても収益が増える見込みは立たない。

水道事業に詳しい東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授は「水道事業は、サービスに見合った対価を支払える利用者のみを対象にできる空港や有料道路とは異なる」と指摘する。

海外では多くの地域で水道事業の民間開放が行われたものの、収支計画が狂い頓挫した例も少なくない。

たとえば、米アトランタ市では1999年に民間企業が水道事業の運営を開始したものの、施設の老朽化が想定以上に激しく維持費がかさんだ。初年度にいきなり赤字を計上し、人員削減と水質悪化という悪循環に陥り、2003年に水道事業は再び公営へと戻された経緯がある。

ある水道事業者は「コンセッションを導入しても、料金収入だけではとても維持費を負担できない。水道管の更新は引き続き自治体が行うなら、収支が成り立つ」と話す。

魔法の杖は存在しない

民営化に対する住民側の合意形成もハードルになる。水道法改正を見込んで、2016年に奈良市が、2017年に大阪市がそれぞれ上水道へのコンセッションの導入を提案。だが、議会側は料金値上げや水質低下を警戒し、奈良は反対多数で否決、大阪は廃案となった。

とはいえ、公営のままでも将来的に料金値上げやサービスの低下は避けられない。日本政策投資銀行は、水道事業の継続には2046年度までに約6割の自治体で値上げが必要で、その金額は全国平均で2014年度の1.6倍にも上ると試算している。

 
滝沢教授は「コンセッションという言葉に踊らされている。官か民かではなく、どこまでコストを許容するかの議論が必要だ」と警鐘を鳴らす。

民営になれば状況が好転するというのは、いささか楽観的に過ぎるだろう。民間の“創意工夫”は決して魔法の杖ではない。日本全国を網羅する安心・安全でおいしい水をどう守っていくか。いま一度考え直す時期に来ている。

当記事は「週刊東洋経済」6月9日号 <6月4日発売>の転載記事に一部加筆したものです…



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【2018/06/06 00:23】 | 未分類
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    嶋津 暉之

ウナギについての記事を2点お送りします。
日本の養鰻場のウナギの7割が密漁や違法取引によっていることは重大な問題です。

さらに、ニホンウナギの他にヨーロッパウナギやアメリカウナギも日本の川や湖に入り込んできているという話もあります。
https://shuchi.php.co.jp/article/1072?p=1

水産庁がしっかりしてほしいと思います。

◆養殖ニホンウナギ7割が違法漁獲 ワシントン条約が報告
(東京新聞2018年6月1日 18時58分)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018060101002463.html

 日本の養殖池に入れられるニホンウナギの6~7割が違法に漁獲された可能性が高いなど、絶滅危惧種のウナギの密漁や違法取引が横行しているとする報告書をワシントン条約事務局が1日までに公表した。

 ニホンウナギの資源管理体制は不十分で、対策の強化が急務だと指摘しており、来年5月にスリランカで開く同条約締約国会議で、新たに取引規制の対象にするべきだとの声が高まるのは確実だ。

 報告書はウナギの国際的な取引規制の可否を巡る議論の材料とするため、条約事務局が進める実態調査の一環。事務局からの委託で、民間の野生生物取引監視団体トラフィックなどがまとめた。(共同)

 出荷を待つ養殖ウナギ。稚魚の不透明な取引の横行が指摘されている(写真)出荷を待つ養殖ウナギ。稚魚の不透明な取引の横行が指摘されている


◆アジア向けウナギ業者摘発 米司法当局、稚魚違法取引で
(日本経済新聞2018/5/31 )
米東部メーン州でアジア向けアメリカウナギの漁に長く携わり、「ウナギ漁の祖父」とも呼ばれる米国人業者が、大規模な稚魚の違法取引に関与したとして有罪判決を受けたことが分かった。米司法省当局者が30日、明らかにした。

絶滅が心配されているアメリカウナギ=米魚類野生生物局提供・共同

 関係者によると、アメリカウナギは漁獲された稚魚の多くが中国に輸出され、養殖池で育てられた後、日本に出荷される。国際自然保護連合(IUCN)が指定した絶滅危惧種だが、需要が高まり価格が急騰したため密漁や違法取引が横行しており、ワシントン条約での国際取引規制などを求める声が強まりそうだ。

 司法省によると、この業者は、他の州で違法に漁獲された稚魚のシラスウナギ約55万ドル(約6千万円)相当を購入し、輸出しようとしていた。罪を認め、5月上旬に罰金1万ドル、禁錮6月などの判決を受けた。共犯として2人の男も有罪判決を受けた。

 米国のシラスウナギ漁は、メーン州とサウスカロライナ州で許可を得た漁業者だけに認められている。米国外で漁獲されるニホンウナギやヨーロッパウナギの資源量減少を受け、稚魚の価格は1キロ当たり50万円近くに高騰しているという。

 司法省は2015年秋から、米魚類野生生物局や各州政府などと特別チームを編成して密漁の摘発を強化。これまでに約20人を摘発し、密漁や密輸の総額は500万ドルに上る。〔共同〕

 


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【2018/06/06 00:18】 | 未分類
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    嶋津 暉之

東京都工業用水道事業の廃止が決まりした。
前にも書きましたが、この工業用水道の水源は利根川水系渡良瀬川の草木ダムと、多摩川の自流水(玉川浄水場)です。
後者は水道浄水場としては休止状態にあるものを使っています。ただし、水量は前者が圧倒的に大きく、約84%を占めています(2015年度)。

工業用水道が廃止されれば、草木ダムの水利権84672㎥/日(0.98㎥/秒)が水道に転用されることになりますが、過剰の水源を抱える東京都水道の保有水源がさらに増えることになります。

なお、工業用水道は浄水工程が沈殿までで、砂ろ過がないため、飲用に使うことはできません。

◆東京都 工業用水道廃止へ 年間5億円赤字続く
(NHK 2018年6月4日 12時23分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180604/k10011463921000.html
 
東京都は、需要の増加が見通せず、維持費用がかさむなどして年間5億円の赤字経営が続く「工業用水道」について、廃止する方針を固めました。同様に赤字経営に悩む全国各地の自治体での廃止するかどうかの議論に影響する可能性があります。

東京都の工業用水道は、地盤沈下を防ぐため、工場での地下水のくみ上げを規制する代わりに、昭和30年代から整備され、上下水道とは別の配管を通じて工場などに供給され、鉄鋼の冷却や金属・皮革製品の洗浄などに使われています。
しかし、その後、地盤沈下はほぼ落ち着き、工業用水を使う企業は去年3月末の時点で185件とピーク時の3分の1以下に落ち込み需要の増加が見通せず、年間5億円の赤字が出ているほか、老朽化した施設の維持・更新におよそ2300億円が必要となっていて、関係者によりますと、有識者委員会が近く、「廃止すべきだ」と提言する報告書をまとめる見通しだということです。

こうした状況を踏まえ、都は、工業用水道を廃止する方針を固め、今月開かれる都議会で正式に表明することにしています。

地盤沈下対策として行われた工業用水道の事業では、全国の自治体で初めての廃止となり、都の方針を受け、同様に赤字経営に悩む各地の自治体での廃止するかどうかの議論に影響する可能性があります。

ただ、一部の業界にとっては、工業用水道に比べてコストがかかる上水道の使用は大きな負担となることから、今後は自治体による業界への支援の在り方も課題となります。

東京都の工業用水の変遷


東京都の工業用水道は、昭和30年代に当時深刻だった地盤沈下を抑制するため、工場による地下水のくみ上げを規制する代わりに整備され、現在も墨田区、江東区、北区など、都内の北東部にある工場などに供給されています。

都によりますと、工業用水を使う企業は昭和51年度には664件に上りましたが、その後、工場が都外に移転するなどして減少したのに伴い需要は年々減少し、去年3月末の時点では185件とピーク時の3分の1以下になりました。

また都の工業用水は中小企業の利用者が多く、都の料金収入が1件当たり年間129万円と全国平均の16分の1にとどまっているうえ、水道を使う工場などが点在しているため1件当たりの配水管が長いことなど、大阪府や千葉県、埼玉県などほかの大都市と比べて事業の効率性が低いということです。

さらに事業の開始から50年以上が経過し、浄水場の施設や、総延長344キロに上る配水管の多くが老朽化し補修には限界があり、更新が必要な時期を迎えています。

都は、これまでに最大4か所あった浄水場の一元化や、職員の削減、4回の料金値上げなどコスト削減に向けた取り組みを行ってきましたが、工業用水の需要は今後さらに減少が見込まれることから、事業の廃止を含めて方向性を検討してきました。

都は工業用水道を廃止した場合、およそ900億円をかけて浄水施設や配水管などを撤去し、上水道からの供給に切り替える方針ですが、これまで工業用水を利用してきた企業の負担が増えることから、水道料金の差額の補填(ほてん)や切り替え工事にかかる費用の負担など、必要な支援策を検討することにしています。

利用業者の組合「減免期間設けるなどの措置を」

東京・江戸川区にあるメッキ工場では、工業用水道が廃止された場合、年間で数百万円から1000万円近いコスト増加のおそれがあると試算しています。

メッキ製品は加工の工程で材料に付着した酸や油を取り除くため、何回も洗浄する必要があり、この工場では、1日およそ100トンの工業用水を使用しています。

東京都鍍金(めっき)工業組合に加盟するおよそ300の業者のうち、工業用水を利用しているのは現在は10社余りで、比較的、影響は少ないことから、組合として廃止に強く反対することはないということですが、この工場では、上水道への切り替えにより5倍のコストがかかることから、都に対し、減免期間を設けるなどの措置を望んでいます。

組合の副理事長を務める「朝日鍍金工場」の遠藤清孝社長は「都もだいぶ赤字だと聞くので廃止は致し方ないが、コストが上がるのは本当に頭が痛い話だ。中小零細企業には料金を据え置くとか、あるいは段階的に上げるなどの配慮を願いたい」と話しています。




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【2018/06/06 00:16】 | 未分類
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