「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
       嶋津 暉之

水需要の減少で水あまりが各地で問題になっています。
鬼怒川の川治ダムで開発した工業用水道の水利権のうち、86400㎥/日が未利用になっており、その費用約157億円を栃木県の一般会計で負担してきています。

◆工業用水、55%が35年間未利用 栃木県「鬼怒工水」事業 管理費157億円、一般会計で負担
(下野新聞2017年9月5日 朝刊)
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 県企業局が企業に水を供給する工業用水道事業で、最大取水量の55%の水が1982年の事業開始から35年間未利用であることが4日までに、県や同局への取材で分かった。社会情勢の変化などによって需要が生まれず、水余りの状態が続く。県は毎年、未利用水分のダム管理費などを一般会計から拠出。繰り出し金は2016年度末で累計約157億円に達し、未利用水の活用が長年の懸案となっている。

 事業は「鬼怒川左岸台地地区工業用水道事業(鬼怒工水)」で、水源は川治ダム(日光市)。工業用水として毎秒1・83立方メートル分(日量15万8100立方メートル)の取水が可能だ。

 そのうち55%に当たる同1・0立方メートル分(日量8万6400立方メートル)が事業開始以来未利用で、県が負担する。県民1人当たりが使用する1日の平均水量に換算すると、約25万人分に相当する。

 残る45%の同0・83立方メートル分(日量7万1700立方メートル)は企業局が管理する。だが4月時点で供給しているのは、宇都宮市の清原工業団地などの工場に同0・286立方メートル(日量2万4700立方メートル)。同局分の約3割にとどまり、最大取水量の84%の水が余っていることになる。

【2017/09/07 00:48】 | 各地のダム情報
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       嶋津 暉之

ナイル川上流にエチオピアが建設している巨大ダムに対して下流のエジプトが危機感を強めています。

◆ナイル川 エチオピアのダム建設、エジプト水不足懸念
(毎日新聞2017年8月23日 12時25分)
https://mainichi.jp/articles/20170823/k00/00e/030/280000c?inb=fa

 【カイロ篠田航一】ナイル川上流でエチオピアが建設している巨大ダムを巡り、下流のエジプトが危機感を強めている。ダムが完成し、ダム湖に水がたまり始めれば、下流に向かう水量が減少し、エジプトが水不足に見舞われる懸念があるためだ。「エジプトはナイルのたまもの」(紀元前5世紀の歴史家ヘロドトス)の言葉通り、現代のエジプトも水需要の95%をナイル川に依存しており、水資源を巡る神経戦が続いている。

 「わが国は人口も増え、水不足が始まっている。流域国は水資源維持のため協力すべきだ」。エジプトのシシ大統領は今年6月、ウガンダで開かれたナイル川流域国による国際会議でこう訴えた。

 問題のダムは、スーダン国境に近いエチオピア西部で2010年に建設が始まった水力発電用の「大エチオピア・ルネサンス・ダム」。イタリア企業が工事を受注し、総工費は約33億ユーロ(約4300億円)。全長約1・8キロのアフリカ最大のダムで、今年中に完成予定だ。

 だが稼働を始めれば下流域への水量が減るとして、エジプトは度々懸念を表明。一方でエチオピアは「下流への影響はない」と反論し、両者の協議は続く。干ばつによる食糧不足などに悩むエチオピアにとって、安定的な電力確保につながるダム稼働は悲願でもある。
 エジプトが懸念を深める背景には人口増もある。1970年に約3500万人だった人口は現在約9500万人で、1億人突破も目前だ。一方、地元メディアによると、70年に1972立方メートルだった1人あたりの年間の水消費量は、2013年には663立方メートルまで激減。国連が「絶対的な水不足」のラインとする500立方メートルも近付いている。

 1929年以降、エジプトは英国やスーダンと協定を結び、ナイル川の年間流量840億トン(うち100億トンは蒸発)のうち75%の取水権をエジプト、残りの25%をスーダンが持つと定めた。その他の流域国が水資源開発を行う場合、両国の同意が必要と規定する強気の内容だ。だが20世紀後半以降、アフリカ諸国の独立や経済発展が進む中、エジプトとスーダンが水資源を独占する状況に各国から反発が強まった。エチオピアやケニア、ウガンダなど上流の流域国は2010年、エジプトの同意がなくても事業ができるとする新たな協定を締結したが、エジプトは署名を拒否している。

 ナイル川は全長約6700キロ。エチオピアから流れる「青ナイル」と、ビクトリア湖周辺の高原地帯から流れるとされる「白ナイル」がスーダンで合流し、エジプトに流れ込む。


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【2017/09/03 11:58】 | 各地のダム情報
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            嶋津 暉之

ダムがもたらす弊害の一つとして洪水後、川の濁りが長期化するという問題があります。
熊野川では2011年9月の紀伊半島大水害から6年たつ今も水の濁りが収まりません。

◆和歌山)濁水続く熊野川 対策へ国交省局長が現地視察
(朝日新聞和歌山版2017年8月24日)
http://digital.asahi.com/articles/ASK8R3D02K8RPXLB004.html

 川の参詣(さんけい)道として世界遺産の一部をなす熊野川で、2011年9月の紀伊半島大水害から6年たつ今も水の濁りが収まらない。上流の山腹崩壊で土砂が川へ流れ、ダムにたまってじわじわと流れ続けている。観光や水産への影響を懸念する地元自治体は23日、視察に訪れた国土交通省の局長に抜本対策を要望した。

 国交省や自治体でつくる協議会にダム管理者の電源開発が提出した資料によると、熊野川の宮井地点(新宮市熊野川町)で濁りがひどかった日数は04年で120日。それがダム設備の改善などによって05年31日▽06年34日▽07年15日▽08年11日▽09年40日▽10年39日と推移してきた。

 ところが大水害があった11年は54日になり、12年は188日に急増。13年184日▽14年165日▽15年225日▽16年207日と悪化、長期化している。

 同省水管理・国土保全局の山田邦博局長がまず訪れたのは、電源開発・二津野ダム(奈良県十津川村)。発電に回す水はここから8キロの導水管路を通り、発電後にまた熊野川に戻るが、この間は自然の浄化作用が働かず、濁ったダムの水そのままが下流で合流する事態になっている。

 「水害後、ダムに流れ込む水がひどくなった。沈殿池工事など対策を進めているが、まだ途中経過」と説明する電源開発に対し、山田局長は「工期を前倒ししてもう一歩進んだ対策を」と依頼した。視察に立ち会った市議からは、ダムにたまった汚泥の撤去を強く求める声が上がった。

 下流の道の駅「瀞峡街道熊野川」では、新宮市の田岡実千年市長や三重県紀宝町の西田健町長らが、水害後に河道に堆積(たいせき)したままの土砂を国主導で早期に撤去するよう要望。川舟下りの語り部をしている西浦康代さん(57)が「自然の魅力を観光客、特に子どもに伝えるのに、やはり川に透明感がほしい」と伝えると、山田局長は集まった住民らに「濁水対策を強力に進めていく」と話した。(東孝司)

【2017/08/25 00:45】 | 各地のダム情報
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     嶋津 暉之

スリット(切れ目)を入れた「透過型」と呼ばれる砂防ダムは流木を止める効果があるようですが、その設置に取り組んでいる長野県でもスリット型砂防ダムは7%です。
他の都道府県ではわずかな割合であると思います。

◆流木被害防ぐスリットダム 県が整備推進
(信濃毎日新聞2017年7月15日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170715/KT170714ATI090006000.php

15日に発生から10日を迎える九州北部の豪雨は、大量の流木が被害の拡大を招き、行方不明者の捜索を難航させている。多くの森林を抱える長野県は、スリット(切れ目)を入れた「透過型」と呼ばれる砂防ダムの整備を進めている。スリット部分から水が下流に流れ、流木がダムを乗り越えにくくなる構造だ。ただ、危険箇所の全てにこうしたスリットダムを造ることは不可能なため、県は「事前に危険箇所を確認し、早めの避難を心掛けてほしい」としている。

 県砂防課によると、スリットが入っていない「不透過型」の砂防ダムは大雨時、水がダムを乗り越えるのと同時に流木が下流域に流れ出す危険性がある。国は2015年、砂防ダムを流木が乗り越える例があるとして、流木止めを設置するよう各都道府県に通知した。

 県はこれを受け、通知以降に建設する砂防ダムを透過型にしている。ただ、県内の砂防ダム約3300基のうち、スリットダムは今年3月末時点で通知前に建設した分を含めて237基。全体の1割に満たない。
 長野市若槻地区の田子川では昨年度、県が高さ12・5メートル、幅75メートルのスリットダムを整備。中央部には格子状の鋼製の枠(高さ8・5メートル、幅7メートル)が入り、流木や岩など4200立方メートルを食い止められる。1969(昭和44)年に土石流災害が発生したことや、下流域に人家や保育園があることから設置を決めた。

 5月に飯山市の井出川流域で起きた土石流災害で、大規模な山腹崩落地から3キロ下流にある桑名川砂防ダムは別タイプのスリットダム。ダム中央部に幅2メートルの切れ目が入っており、流木のほとんどをせき止めた。

 県砂防課によると、砂防ダムを造る費用は規模によって異なるが数億円かかり、県が整備できるのは年に10基程度とする。高齢者や障害者など要配慮者がいる施設や、過去に災害に見舞われた場所を優先して整備しているが、危険箇所のうち設置済みなのは2割程度。県はハード整備だけでは人命を守り切れないとして、防災マップ作りを担う人材の養成などを進めるとしている。


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【2017/07/17 18:30】 | 各地のダム情報
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      嶋津 暉之

長野県・浅川ダムの内部公開についての記事を参考までにお知らせします。

2001年に当時の田中康夫知事が脱ダム宣言をして、9基のダム計画の中止を進めました。
しかし、浅川ダムのみが推進勢力の巻き返しで建設されることになり、今年3月に完成しました。

9基のダムのうち、8基が中止されたのですから、脱ダム宣言の意味は大変大きなものがありました。
なお、角間ダムは中止になっていませんが、いずれ中止になる見込みです。

浅川ダムは穴あきダム(流水型ダム)として建設されましたが、常用洪水吐きの幅が1.3メートルしかありません。
穴あきダムは大洪水時には穴が流木等で詰まって洪水調節機能を失ってしまうことが心配されていますが、特に浅川ダムはその可能性が高いと思います。

◆「穴あきダム」の特徴は 県が浅川ダムの内部公開
(信濃毎日新聞2017年7月13日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170713/KT170712ATI090007000.php

県は12日、3月に運用を始めた県営浅川ダム(長野市)の本体内部を報道機関に公開した。県浅川改良事務所(同)の吉川達也所長らが「穴あきダム」の特徴や検査機器について説明。運用開始後、異常は見られないとした。県などは24日、現地で完成式を開く。

浅川ダムは治水専用。通常時はダム下部に設けたトンネル構造の穴「常用洪水吐き」(高さ1・45メートル、幅1・3メートル)から河水を流し、大雨時には自然と水がたまる仕組み。上流側は流木などによる「穴詰まり」を防ぐため、格子状の金属「スクリーン」で覆われている。

ダム内の点検用通路「監査廊」には、ダムの漏水量や傾きなどを測る機器を設置。監査廊最下部には、漏水をポンプで上げる装置があるが、平時に水をためないことから、他のダムに比べて漏水量は少ないという。監査廊内には地震計もあり、震度4以上の揺れを観測した場合などに、施設を点検するとした。
浅川ダム本体の高さは53メートル、上部幅165メートルで、総貯水容量は110万立方メートル。県はダムを含む流域の治水水準について「100年に1度」の大雨(日雨量130ミリ)に対応できる規模としている。総事業費は約380億円。

運用開始後、最も水位が上がったのはダムの雨量計が1時間当たり32ミリの降雨を観測した11日。常用洪水吐きの上部から1メートルほど高い位置まで水が漬かり、約1千立方メートルの水がたまったという。


◆【浅川ダム報道陣に公開】 曲折たどった治水対策 脱ダム宣言象徴、3月から運用 長野
(産経新聞 2017.7.13)
http://www.sankei.com/region/news/170713/rgn1707130016-n1.html

田中康夫元知事による「脱ダム宣言」の象徴ともなった県営浅川ダム(長野市)が完成し、県は12日、施設内を報道陣に公開した。ダムの建設工事をめぐっては、地元住民の一部が活断層の存在などを主張し、反対運動を展開。

一方で、長野市の中心市街地を流れ、氾濫を繰り返してきた「暴れ川」の浅川(長野市-小布施町、延長17キロ)流域の住民は、完成を心待ちにしていた。曲折をたどった治水対策を振り返る。 (太田浩信)



浅川ダムの本体の高さは53メートル、横幅165メートルで最大貯水量は110万立方メートルに上る。周辺の付け替え道路も含めた総事業費は約380億円。

浅川の流域全体で実施された河川改修事業と、千曲川との水位差で豪雨時に浅川の水があふれる「内水氾濫」への対策も講じたため、市街地の洪水も防げるという。内水の対策事業も今年度中にほぼ終了する。

工事の最終段階として昨年10月~今年2月、排水口(高さ1・45メートル、幅1・3メートル)をふさいで満水状態にする試験湛水(たんすい)が行われた。その結果、ダム本体や周辺の地形に異常はなく、3月から運用が開始された。



■田中元知事が中断

浅川ダムは当初、千曲川に流れ込む浅川の治水と利水を目的に計画された。平成12年9月に工事契約が結ばれたが、反対運動もあって同10月に就任した田中元知事が工事の中断を決断した。

13年2月には、唐突に脱ダム宣言を行い事業は白紙に。治水対策は有識者や地元住民らによる検討委員会に委ねられた。だが結局は、恒久的な対策を見いだせず、県議会は田中元知事の責任を問う形で14年7月、県政史上初めてとなる不信任決議を可決した。

ダム建設はその後、遊水池の整備などが検討されたが、国や地元の理解を得られず迷走を続けた。最終的には、村井仁前知事が19年2月、治水専用となるダム建設を容認し、動き出すことになる。

貯水せずに堰堤(えんてい)の底部に排水口を設け、常に川の水が流れ続ける特異な構造が採用され、大雨のときだけ一時的に水をせき止め、流量を調節する機能を持たせた。22年5月に着工し、同9月に就任した阿部守一知事も、第三者機関の調査で安全性が確認できたとして工事を継続した。



■「流域の住民に安心」

24日には県や浅川改修期成同盟会(会長・加藤久雄長野市長)が完成式典を開き、治水拠点の運用開始を祝う。だが、その一方で、一部住民による建設工事関連の公金差し止め訴訟は今後も続く。

東京高裁は今年3月、住民側全面敗訴の判決を出した。原告側は「建設地には活断層が存在し、周辺は地滑りが起きる危険もある。費用対効果もない」と主張し、上告の手続きを行っている。

県浅川改良事務所は「ダムの安全を常時監視しながら、流域の住民が安心して暮らせるように今後も適切な運用を図っていく」と話している。



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【2017/07/17 00:50】 | 各地のダム情報
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