「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
            嶋津 暉之

中国電力が神戸(かんど)川上流にある来島(きじま)ダムから流量のほとんどを取水して流域外の潮(うしお)発電所に送水しているため、神戸川の河川環境は大きなダメージを受け、農業用水の取水にも支障が出ています。
木島発電所の水利権更新に対して、この分水の中止を求める運動が進められています。

◆来島ダム分水問題で出雲市の方針承認
(読売新聞島根版2017年02月18日)
http://www.yomiuri.co.jp/local/shimane/news/20170217-OYTNT50120.html

 ◇住民団体…渇水時放流最優先など

 神戸川上流の中国電力来島ダム(飯南町)の分水の水利権更新を巡る問題で、出雲市は「更新後の水利使用期限は確認書の締結から10年経過後の3月31日まで」「中国電力は環境放流量を常時毎秒2トンとし、渇水時にも放流を最優先する」などとする確認書案の方針を決めた。17日、分水に反対する流域住民団体「神戸川再生推進会議」の林要一会長らが長岡秀人市長に確認書案を承認すると伝えた。市は、県や流域自治体を交えた「調整会議」で市の方針として報告する。(佐藤祐理)

 同会議によると、元々の確認書は1983年12月、中国電と河川管理者の県、ダム下流の旧出雲市、頓原(現飯南町)、佐田(現出雲市)、大社(同)の各町が交わした。水利権の許可期間などが記載されていたが、渇水時などの対策は検討されておらず、農業水利使用者の声が届かない内容だった。

 30年間の水利権終了を控えた2013年2月、中国電が新たに国に更新を申請。水利権の期間や流量は記載せず、1983年の確認書が添えられたという。

 漁業や農業関係者、森林組合などでつくる同会議は、分水のために神戸川で水不足による水質悪化が進んだと指摘し、分水廃止などを主張。同会議と市、県などの間で協議が進展せず、昨年6月から出雲選挙区の佐々木雄三県議が調整役となり、新たな確認書案を作ってきた。

 今月6日には同会議が長岡市長を訪問。「更新後の水利使用期間を10年とし、2023年3月末を期限とする」「洪水ゲートを2年間開放し、分水時と分水しない時の河川環境の比較検証を実施する」など、確認書案の追記変更を盛り込んだ要請書を市に提出。中国電から内容に関する回答を求めるように要請していた。

 10日までに中国電から芳しい回答が得られなかったが、市は水利使用者や漁業関係者、流域住民らで「環境等を評価する組織」を新たに設け、河川流量などは同組織の議題として提起する考えが示された。

 同会議は、新たな組織が設置されれば関係者が同じテーブルで協議できるため、市の提案を受け入れることとし、17日、林会長らが長岡市長を訪ね、確認書案について了承すると伝えた。

 メンバーは「今後の調整会議で、我々の思いをくんで発言していただきたい」「我々としては一歩前進」などと述べた。長岡市長は「中国電に対する住民の不信感が大きい壁になっていた。その辺を中国電にもしっかりと受け止めていただきたい」などと話した。

 市は、近く開かれる調整会議で確認書案を報告。関係者の異論がなければ、年度内に市と県、美郷町、飯南町、中国電で確認書を締結することを目指す。

 長岡市長は取材に「1983年の確認書は今の時代にそぐわない。下流に志津見ダム(飯南町)も出来ているので、それらを総合的に見た時、あのまま継承するのは無理な話だ」と語った。


◆追跡
来島ダム 住民側、分水中止訴え 34年前の水利権確認書を巡り /島根

(毎日新聞島根版2017年2月17日)
http://mainichi.jp/articles/20170217/ddl/k32/040/395000c

 神戸(かんど)川上流にある中国電力の来島(きじま)ダム(飯南町)を巡り、下流の流域住民らでつくる「神戸川再生推進会議」が、34年前に結ばれた中国電の水利権の許可期間などを定めた確認書廃止を求めている。

中国電はダムの貯水池から分水し、約11キロ西の潮(うしお)発電所(美郷町)に送って水力発電をしている。水利権の許可期間は更新されていないが、国は「河川法の運用上、違法ではない」としている。

住民側は分水で神戸川の流量が減り、渇水時の農業用水不足や河川環境の悪化につながっているとして、分水中止を訴える。【山田英之】

 住民側が問題視している確認書は1983年12月、中国電と県、出雲市など流域自治体で調印した。中国電の神戸川の水利権の許可期間を30年間とし、ダム下流約3キロの八神地点(飯南町)で毎秒0・8トンの流量を確保するとしている。

 国土交通省出雲河川事務所によると、中国電の水利権は2013年3月で満了。中国電は13年2月に水利権の更新を国に申請し、今も許可は出ていないが分水を続けている。
(写真)流域住民らは神戸川再生推進会議の結成前に来島ダムを視察した=島根県飯南町の同ダムで2012年、金志尚撮影

 中国電によると、13年の申請時に、83年の確認書を添付。放流量や許可期間は申請書に具体的に記入せず、「県、関係市町との調整を踏まえて定める」としていた。河川事務所は「河川法に明記はないが運用上、許可が切れる前に更新申請があった場合、前回の取水量は継続される。違法ではない」と説明する。
来島ダム(島根県)

 一方、再生会議は情報公開請求で入手したデータで、八神地点は支川からの流入で、ほぼ毎秒1トン以上あることを確認。ダムの放流がほとんどなくても確認書が示す流量が得られる数値と主張する。

     ◇

 「分水は自然の法則に反する。確認書は不条理で納得いくものではなかった」

 再生会議の石橋正伸事務局長は今月6日、出雲市内であった記者会見でこう語った。会見前に長岡秀人・出雲市長に、確認書の全面改定を訴える要請書を提出。長岡市長は「住民側の要望は中国電に伝えたい」と話す。

 要請書の主な内容は、水利権の使用期間を前回満了時から10年間の23年3月末とする▽23年3月末で分水を中止▽神戸川へのダム放流量を常時毎秒2トンとし、渇水時は2トン以上放流▽発電を2年間停止し、本来の流量を神戸川に流し、分水しなかった時と河川環境を比較検証する--。

 たたき台になったのは、地元3県議の案だ。県議案も83年の確認書廃止を明記。中国電や国、流域住民、学識経験者らで意見交換する組織発足を提言している。現在、この案で関係者の水面下の調整が続いているという。

 神戸川漁協の片寄巌・代表理事組合長は「思ったより早い速度で河川環境は悪くなった。現代に合った確認書にしてほしい」と望む。また再生会議の林要一会長は「分水をやめさせ、清流を取り戻したい。我々の代で再生しなくてはいけない」としている。

 これまで中国電は「水利使用期間は前回満了時から15年間。放流量はかんがい期(3~11月)が毎秒2トンで12~2月は1~2トン」と提案。中国電は自主的な試験放流として点検時などを除き、13年6月から毎秒2トンを既に放流している。

 中国電の松村知憲島根用地総括・不動産管理グループマネジャーは「再生可能エネルギーの有効利用の面から、今の発電方法を継続したい。電力の需給調整のためにも潮発電所は重要」と話す。分水による河川環境悪化の指摘については「来島ダムがすべての原因と特定されたという認識はない」としている。

 ■ことば
来島ダムからの分水と水力発電

 1956年に神戸川に来島ダム(飯南町)が完成。ダム貯水池から分水して、送水管で約11キロ離れた潮発電所(美郷町)まで水を送っている。水力発電に利用した後、江の川に水を流している。分水の必要性について、中国電は「発電に有効な標高差が約280メートルあり、効率的に多くの発電ができる」と説明する。潮発電所は56年4月に発電を始めた。最大出力は3万6000キロワットで、最大取水量毎秒15トン。年間の発電量は近年約1億キロワット時(2015年度は約0.9億キロワット時)。中国電の試算では約3万2000世帯分の使用電力量に相当する。


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 国土交通省出雲河川事務所によると、中国電の水利権は2013年3月で満了。中国電は13年2月に水利権の更新を国に申請し、今も許可は出ていないが分水を続けている。
(写真)流域住民らは神戸川再生推進会議の結成前に来島ダムを視察した=島根県飯南町の同ダムで2012年、金志尚撮影

 中国電によると、13年の申請時に、83年の確認書を添付。放流量や許可期間は申請書に具体的に記入せず、「県、関係市町との調整を踏まえて定める」としていた。河川事務所は「河川法に明記はないが運用上、許可が切れる前に更新申請があった場合、前回の取水量は継続される。違法ではない」と説明する。
来島ダム(島根県)

 一方、再生会議は情報公開請求で入手したデータで、八神地点は支川からの流入で、ほぼ毎秒1トン以上あることを確認。ダムの放流がほとんどなくても確認書が示す流量が得られる数値と主張する。

     ◇

 「分水は自然の法則に反する。確認書は不条理で納得いくものではなかった」

 再生会議の石橋正伸事務局長は今月6日、出雲市内であった記者会見でこう語った。会見前に長岡秀人・出雲市長に、確認書の全面改定を訴える要請書を提出。長岡市長は「住民側の要望は中国電に伝えたい」と話す。

 要請書の主な内容は、水利権の使用期間を前回満了時から10年間の23年3月末とする▽23年3月末で分水を中止▽神戸川へのダム放流量を常時毎秒2トンとし、渇水時は2トン以上放流▽発電を2年間停止し、本来の流量を神戸川に流し、分水しなかった時と河川環境を比較検証する--。

 たたき台になったのは、地元3県議の案だ。県議案も83年の確認書廃止を明記。中国電や国、流域住民、学識経験者らで意見交換する組織発足を提言している。現在、この案で関係者の水面下の調整が続いているという。

 神戸川漁協の片寄巌・代表理事組合長は「思ったより早い速度で河川環境は悪くなった。現代に合った確認書にしてほしい」と望む。また再生会議の林要一会長は「分水をやめさせ、清流を取り戻したい。我々の代で再生しなくてはいけない」としている。

 これまで中国電は「水利使用期間は前回満了時から15年間。放流量はかんがい期(3~11月)が毎秒2トンで12~2月は1~2トン」と提案。中国電は自主的な試験放流として点検時などを除き、13年6月から毎秒2トンを既に放流している。

 中国電の松村知憲島根用地総括・不動産管理グループマネジャーは「再生可能エネルギーの有効利用の面から、今の発電方法を継続したい。電力の需給調整のためにも潮発電所は重要」と話す。分水による河川環境悪化の指摘については「来島ダムがすべての原因と特定されたという認識はない」としている。

 ■ことば
来島ダムからの分水と水力発電

 1956年に神戸川に来島ダム(飯南町)が完成。ダム貯水池から分水して、送水管で約11キロ離れた潮発電所(美郷町)まで水を送っている。水力発電に利用した後、江の川に水を流している。分水の必要性について、中国電は「発電に有効な標高差が約280メートルあり、効率的に多くの発電ができる」と説明する。潮発電所は56年4月に発電を始めた。最大出力は3万6000キロワットで、最大取水量毎秒15トン。年間の発電量は近年約1億キロワット時(2015年度は約0.9億キロワット時)。中国電の試算では約3万2000世帯分の使用電力量に相当する。

【2017/02/19 10:43】 | 各地のダム情報
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