「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
          嶋津 暉之

八ッ場ダムによって吾妻峡は上流4分の1が水没するだけではありません。
残った下流部3/4も下久保ダム直下の三波石峡と同様に景観美が失われてしまうことが予想されます。、

◆上毛かるた70年 異聞見聞録/5 「や」 耶馬溪しのぐ吾妻峡 上流4分の1水没の運命
(2017年1月7日 毎日新聞群馬版)
http://mainichi.jp/articles/20170107/ddl/k10/040/144000c

いつまでも」-牧水の思い断つダム計画
 私はどうかこの渓間の林がいつまでもいつまでもこの寂びと深みとを湛(たた)えて永久に茂つてゐて
呉(く)れることを心から祈るものである。ほんとに土地の有志家といはず群馬縣(けん)の當局者
(とうきょくしゃ)といはず、どうか私と同じ心でこのさう廣大(こうだい)でもない森林のために
永久の愛護者となつてほしいものである。

 歌人、若山牧水(1885~1928年)は紀行文「静かなる旅をゆきつゝ」の中で、吾妻渓谷(長野原町、東吾妻町)への思いをこう記した。しかし、その願いもむなしく、100年近くたった今、渓谷には、八ッ場ダムの建設工事に伴い24時間体制で槌音が響く。
山肌は削られ、昨年6月にはコンクリートが流し込まれた。

 牧水は晩年、移住先の静岡県沼津市で、潮風への防風林「千本松原」を伐採する県の計画に反対し、中止にこぎつけた。「吾妻峡がダムに沈むと知ったら、間違いなく反対運動に加わったでしょう」。
八ッ場ダム建設中止を求めてきた川村晃生・慶大名誉教授(環境人文学)は思いをはせる。

   □  □

 吾妻渓谷は、地理学者の志賀重昂に1912年、新聞紙上で「九州の耶馬溪にも勝る」と評された。牧水は18年秋、中之条町から長野県松本市に向かう馬車で、偶然出会った渓谷の美しさに心を奪われる。旅程を変更して近くの川原湯温泉に一泊し、数時間のうちに22首もの歌を詠んだ。翌々年にも新緑を見ようと再訪し、発表した紀行文が冒頭で紹介したものだ。
 「吾妻峡」として国の名勝に指定されたのは35年。その17年後の52年、八ッ場ダム計画が浮上した。国土交通省によると、当初、渓谷の中央部から建設する構想だったが、景観保護の観点から約600メートル上流に建設地を移した。それでも、ダム本体工事の建設で、渓谷の上流4分の1がダムに埋まり、水没する。

   □  □

 地元では、影響がすでに出始めている。「ここ数年で、渓谷への見学客がずいぶん減った」。
東吾妻町の観光関係者はこう明かす。以前は川原湯温泉から吾妻渓谷まで足を延ばす温泉客がいた。渋川と草津を結ぶ国道145号沿いに渓谷があったため草津の行き帰りに立ち寄る観光客も多く、渓谷、国道、温泉が「三位一体」だった。しかし、ダム工事に伴い、長いトンネルが続く新国道ができた。渓谷と川原湯温泉もダムで分断される。

 東吾妻町は昨秋、江戸から大正時代にかけ実在した木橋「猿橋」を復元させ、今春には駐車場と猿橋を結ぶ森内の遊歩道も整備するが、観光客は戻るのか--。

 牧水は紀行文にこう書いている。

 若(も)しこの流を挟んだ森林が無くなるやうなことでもあれば、諸君が自慢して居るこの渓谷は水が涸(か)れたより悲惨なものになるに決つてゐるのだ。【尾崎修二】=つづく

 ■ことば

吾妻峡十勝
 約4キロの吾妻渓谷には10カ所の見どころがある。最も上流にあり、3段に分かれて落ちる「白糸の滝」
▽川幅わずか3メートル、高さ50メートルの「八丁暗がり」▽中国の蓬莱山を連想させる崖「大蓬莱」
「小蓬莱」など。このうち、白糸の滝はダムの下に沈む。


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 「吾妻峡」として国の名勝に指定されたのは35年。その17年後の52年、八ッ場ダム計画が浮上した。国土交通省によると、当初、渓谷の中央部から建設する構想だったが、景観保護の観点から約600メートル上流に建設地を移した。それでも、ダム本体工事の建設で、渓谷の上流4分の1がダムに埋まり、水没する。

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 地元では、影響がすでに出始めている。「ここ数年で、渓谷への見学客がずいぶん減った」。
東吾妻町の観光関係者はこう明かす。以前は川原湯温泉から吾妻渓谷まで足を延ばす温泉客がいた。渋川と草津を結ぶ国道145号沿いに渓谷があったため草津の行き帰りに立ち寄る観光客も多く、渓谷、国道、温泉が「三位一体」だった。しかし、ダム工事に伴い、長いトンネルが続く新国道ができた。渓谷と川原湯温泉もダムで分断される。

 東吾妻町は昨秋、江戸から大正時代にかけ実在した木橋「猿橋」を復元させ、今春には駐車場と猿橋を結ぶ森内の遊歩道も整備するが、観光客は戻るのか--。

 牧水は紀行文にこう書いている。

 若(も)しこの流を挟んだ森林が無くなるやうなことでもあれば、諸君が自慢して居るこの渓谷は水が涸(か)れたより悲惨なものになるに決つてゐるのだ。【尾崎修二】=つづく

 ■ことば

吾妻峡十勝
 約4キロの吾妻渓谷には10カ所の見どころがある。最も上流にあり、3段に分かれて落ちる「白糸の滝」
▽川幅わずか3メートル、高さ50メートルの「八丁暗がり」▽中国の蓬莱山を連想させる崖「大蓬莱」
「小蓬莱」など。このうち、白糸の滝はダムの下に沈む。

【2017/01/09 01:16】 | 新聞記事から
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