「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
             嶋津 暉之

地下水が豊富で、「水の国」とも呼ばれる熊本県で、水に異変が起きています。
なお、厚労省の情報によれば、熊本地震による断水戸数は1406戸まで減ってきました。濁水はほとんど解消されたようです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000122323.html 

◆「水の国」熊本に異変 枯れた水源、止まった温泉も
(朝日新聞2016年5月9日09時35分

 水道水の約8割をまかなえるほど地下水が豊富で、「水の国」とも呼ばれる熊本県。地震後、その水に異変が起きている。豊かな水量を誇った水源が枯れ、暮らしへの影響が懸念されるところもある。一方で、水量が増えた井戸も。地中で何が起きたのか。専門家と歩いた。
 同行してもらったのは、県内の地下水に詳しい東海大学の市川勉教授(地下水学)。今月4日、県内6カ所の水源などを回った。

 「完璧に枯れてますね」

 市川さんが声を上げたのは南阿蘇村の塩井神社にある塩井社(しおいしゃ)水源。集落や田畑を抜けた先にある。倒壊した神社の社の横で、豊かな水をたたえていた場所が干上がっていた。幅約35メートル、深さ約2メートル。底には阿蘇火山由来の溶岩が見えた。

 水源は4月16日の本震後に枯れたという。地元の人によると、数百年前から生活に使ってきた水。田植えなどへの影響も心配だという。
 神社から東へ5キロほど。名水百選の一つ「白川水源」にも足を運んだ。ここでは豊かな水が湧いていた。阿蘇市中心部に近い役犬原(やくいんばる)の自噴井戸でも、変わらぬ勢いで水が噴き出していた。飲み水用の水をくみに来る地元の人の姿がみられた。

 一方、阿蘇市の内牧(うちのまき)温泉では一部の宿で温泉が止まったり湯量が減ったりした。市川さんによると、温泉は地下水よりも深いところを源とする。阿蘇市では地面に断続的に亀裂が走るところもあり、「地面が動いたことで、温泉設備に支障が出た可能性もある」という。

 中心部にあるホテルでは本震後、温泉がとまった。地下約100メートルの泉源からくみ上げるポンプの電源を入れると、ゴボゴボという音がして赤っぽい冷たい水がチョロチョロと出るだけ。社長は「泉源まで通じる管が壊れたか、水位が下がったのが原因では」。水道水をボイラーで温めたシャワーだけを提供して、しのいでいるという。

 温泉を掘り直すには多額の費用と時間がかかるうえ、掘れば必ず温泉が出る保証もない。社長はこぼす。「温泉を復旧したいが、どの旅館やホテルも自力で温泉を復活させる体力はない」

■地下の貯水システム変化か

 阿蘇の外輪山の西にあたる熊本市内に向かった。観光名所、水前寺成趣園(じょうじゅえん)(水前寺公園)の池が枯れていた。園を管理する出水神社の岩田徹・宮司代務者(68)は「季節で水量は変わるが、こんなことは初めて」と話す。

 一体何が起きているのか。市川さんは、地震で地下の「貯水システム」が変化した可能性に触れる。

 熊本に水の恵みをもたらしているのは阿蘇火山の噴出物が作り出す貯水システムだ。水を通しにくい層の上に、水を通しやすい火山灰や溶岩の層が重なり、そこにたまった水が湧き出す。水が枯れた南阿蘇村の塩井社水源では、今も水量豊かな白川水源と異なり、「地震の影響で地下水の進路が変わったのではないか」という。土砂崩れなどの被害が大きい同村立野周辺で断層が見つかったことにも触れ、「塩井社水源が白川水源より断層に近いことも、水枯れに関係しているかもしれない」。

 水前寺公園の池が干上がったことについては「地下水位が下がったのでは」と推測。市川さんによると、熊本市などでは地下水の通り道が浅いところと深いところの2層ある。水前寺公園の池の水は浅い方から湧いており、その水位が下がったのではとみる。隣接する益城町でも地震後、浅井戸が枯れ、深井戸の水は増えた例があった。各自治体の水道水は深い方の水を使っているため、影響がなかったとみられる。

 市川さんは、地下水位が下がった原因は分からないとしながら、「今後、各地で地下水位のデータを集め、原因を分析したい」と話した。

 地下水の異変は過去の地震でも例がある。阿蘇火山博物館学術顧問の須藤靖明さん(72)は「規模の大きな地震で震源近くの温泉や地下水の水量が変化することがあった」といい、「地下の水脈がずれた可能性があるが、地震が収まれば、温泉も元に戻る可能性はある」。立正大の河野忠教授(水文学)によると、1995年の阪神・淡路大震災後、野島断層を境に地下水位が変わり、枯渇した湧き水は10年後も回復しなかったことがあったという。(小林舞子、阿部彰芳、尾立史仁)


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 神社から東へ5キロほど。名水百選の一つ「白川水源」にも足を運んだ。ここでは豊かな水が湧いていた。阿蘇市中心部に近い役犬原(やくいんばる)の自噴井戸でも、変わらぬ勢いで水が噴き出していた。飲み水用の水をくみに来る地元の人の姿がみられた。

 一方、阿蘇市の内牧(うちのまき)温泉では一部の宿で温泉が止まったり湯量が減ったりした。市川さんによると、温泉は地下水よりも深いところを源とする。阿蘇市では地面に断続的に亀裂が走るところもあり、「地面が動いたことで、温泉設備に支障が出た可能性もある」という。

 中心部にあるホテルでは本震後、温泉がとまった。地下約100メートルの泉源からくみ上げるポンプの電源を入れると、ゴボゴボという音がして赤っぽい冷たい水がチョロチョロと出るだけ。社長は「泉源まで通じる管が壊れたか、水位が下がったのが原因では」。水道水をボイラーで温めたシャワーだけを提供して、しのいでいるという。

 温泉を掘り直すには多額の費用と時間がかかるうえ、掘れば必ず温泉が出る保証もない。社長はこぼす。「温泉を復旧したいが、どの旅館やホテルも自力で温泉を復活させる体力はない」

■地下の貯水システム変化か

 阿蘇の外輪山の西にあたる熊本市内に向かった。観光名所、水前寺成趣園(じょうじゅえん)(水前寺公園)の池が枯れていた。園を管理する出水神社の岩田徹・宮司代務者(68)は「季節で水量は変わるが、こんなことは初めて」と話す。

 一体何が起きているのか。市川さんは、地震で地下の「貯水システム」が変化した可能性に触れる。

 熊本に水の恵みをもたらしているのは阿蘇火山の噴出物が作り出す貯水システムだ。水を通しにくい層の上に、水を通しやすい火山灰や溶岩の層が重なり、そこにたまった水が湧き出す。水が枯れた南阿蘇村の塩井社水源では、今も水量豊かな白川水源と異なり、「地震の影響で地下水の進路が変わったのではないか」という。土砂崩れなどの被害が大きい同村立野周辺で断層が見つかったことにも触れ、「塩井社水源が白川水源より断層に近いことも、水枯れに関係しているかもしれない」。

 水前寺公園の池が干上がったことについては「地下水位が下がったのでは」と推測。市川さんによると、熊本市などでは地下水の通り道が浅いところと深いところの2層ある。水前寺公園の池の水は浅い方から湧いており、その水位が下がったのではとみる。隣接する益城町でも地震後、浅井戸が枯れ、深井戸の水は増えた例があった。各自治体の水道水は深い方の水を使っているため、影響がなかったとみられる。

 市川さんは、地下水位が下がった原因は分からないとしながら、「今後、各地で地下水位のデータを集め、原因を分析したい」と話した。

 地下水の異変は過去の地震でも例がある。阿蘇火山博物館学術顧問の須藤靖明さん(72)は「規模の大きな地震で震源近くの温泉や地下水の水量が変化することがあった」といい、「地下の水脈がずれた可能性があるが、地震が収まれば、温泉も元に戻る可能性はある」。立正大の河野忠教授(水文学)によると、1995年の阪神・淡路大震災後、野島断層を境に地下水位が変わり、枯渇した湧き水は10年後も回復しなかったことがあったという。(小林舞子、阿部彰芳、尾立史仁)

【2016/05/13 04:24】 | 新聞記事から
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