「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
              嶋津 暉之

東日本大震災で農業用ダムが決壊して死者が出たことを受けて、農水省が補助金を出して全国の自治体が約3千カ所の農業用ため池を緊急調査を行いました。
その調査結果についての記事です。

◆ため池1787カ所、耐震不足 全国、緊急調査の6割 農水省まとめ
(朝日新聞2016年4月12日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12305294.html?rm=150

東日本大震災で農業用ため池が決壊して死者が出たことを受け、全国の自治体が約3千カ所を緊急調査したところ、6割のため池で耐震強度が不足していることがわかった。農林水産省は改修工事やハザードマップ作りを求めているが、数が膨大なうえに費用がかさみ、対策は進んでいない。

ため池は江戸時代以前に造られたものが多く、構造がよくわからないものも多い。震災で福島県須賀川市の藤沼湖が決壊し、近くの7人が死亡、1人が行方不明となった。これを受け、農水省は2013、14年度に自治体に補助金を出して調査を進めてきた。

農水省のまとめによると、下流や周囲に民家や公共施設があるなどの理由で自治体が優先して調査した3095カ所のうち、58%にあたる1787カ所で、水をせき止める堤体などが耐震不足だった。国の基準では、東日本大震災や阪神大震災より頻度の高い、数十年に1~2回起きる地震に耐える必要がある。

耐震不足が最も多かったのは愛知県の252カ所。2番目の兵庫県は調査した9割以上の185カ所が耐震不足で、新潟県128カ所、秋田県118カ所と続いた。

ため池は、農家で構成する水利組合や土地改良区が管理している場合が多い。改修費が全額補助されるのは公共性が高いと判断される場合に限られ、通常農家が1割を負担する。離農や高齢化で負担金を賄えないなどの理由で、改修がほとんど進んでいない。

改修には時間と費用がかかるとして、農水省は決壊に備えたハザードマップ作りを促している。今回の調査対象外のため池も含め全国の約3千カ所でマップ作りが進んでいるが、公表しているのは6割という。

同省の担当者は「危険性が分かると地価が下がるという理由で、調査結果の公表やマップ作りに前向きでない自治体もある」と話す。


■改修に数億円も 進まぬ対策

「改修工事が決まってほっとした。藤沼湖のことを聞いてから、ずっと心配していた」。愛媛県新居浜市の池田池を管理する「船木・泉川(池田池)土地改良区」の藤田豊治理事は言う。今年度から事業が始まった。

降水量が少ない瀬戸内地方では、全国のため池の半数以上が集中する。奈良時代にできたという池田池は貯水量125万トンで、県内最大級。堤体のすぐ下には数十軒の民家がある。

県の調査で耐震不足が判明した。国と県、市は決壊した場合の被害が甚大として、補助金で改修費4億円を全額賄うことに。藤田理事は「積立金では足りず、農家に負担を求めるのも難しかった。助かった」。

改修費は通常1カ所あたり数千万~数億円かかる。愛媛県では耐震不足とされた90カ所のうち、改修工事が決まったのは池田池のみ。県農地整備課は「農家の負担が壁となり進まない。補助金には限りがあり、大きいため池を優先して進めざるを得ない」という。

地震で壊れ7人の犠牲が出た福島県須賀川市の藤沼湖。20棟以上が全壊した下流地区は、まだ更地のままの宅地や田畑が残る。農業再開のために農業用水が必要との声があがり、県は13年秋から総工費63億円で再建工事を始めた。だが、耐震不足が判明した県内55カ所のうち工事のめどが立っている所は1カ所のみだ。

福島県土地改良事業団体連合会の車田次夫会長は「震災後の風評被害などで離農が進み、農家が多額の負担をすることは現実的に難しい」と話す。

農林水産省は今年度予算で農業施設の防災対策費を前年度の約2倍の508億円に拡充した。だが、耐震不足は約1800カ所にも及び、「改修には10年はかかる」(防災課)と話す。

川越清樹・福島大准教授(水工学)は「耐震強度を補強するのが一番だが、ハード対策は時間も費用もかかる。大雨や地震の際には決壊するおそれがあることを住民に周知して、ハザードマップ作りなど、今できる対策を進める必要がある」と指摘する。

(石川智也、座小田英史)


◆キーワード

<農業用ため池> 降水量の少ない地域で農業用水を確保するために、山間部の沢などをせき止めた人工の池。全国に約20万カ所あり、7割が江戸時代以前に造られた。近代的な工法で造られたダムとは違い、人力によるものが多い。



■耐震不足が判明したため池

都道府県 調査数 耐震不足

北海道 3 1

青森県 12 10

岩手県 1 1

宮城県 0 0

秋田県 167 118

山形県 11 11

福島県 99 55

茨城県 6 1

栃木県 5 4

群馬県 27 14

埼玉県 29 9

千葉県 20 11

東京都 0 0

神奈川県 8 0

新潟県 228 128

富山県 59 39

石川県 0 0

福井県 20 18

山梨県 78 51

長野県 67 32

岐阜県 50 17

静岡県 94 56

愛知県 449 252

三重県 66 53

滋賀県 51 50

京都府 16 11

大阪府 104 0

兵庫県 203 185

奈良県 5 0

和歌山県 12 8

鳥取県 71 52

島根県 68 56

岡山県 108 88

広島県 107 77

山口県 187 44

徳島県 102 82

香川県 45 16

愛媛県 128 90

高知県 13 6

福岡県 42 14

佐賀県 3 2

長崎県 133 43

熊本県 71 14

大分県 23 3

宮崎県 90 65

鹿児島県 13 0

沖縄県 1 0

合計 3095 1787


追記を閉じる▲

耐震不足が最も多かったのは愛知県の252カ所。2番目の兵庫県は調査した9割以上の185カ所が耐震不足で、新潟県128カ所、秋田県118カ所と続いた。

ため池は、農家で構成する水利組合や土地改良区が管理している場合が多い。改修費が全額補助されるのは公共性が高いと判断される場合に限られ、通常農家が1割を負担する。離農や高齢化で負担金を賄えないなどの理由で、改修がほとんど進んでいない。

改修には時間と費用がかかるとして、農水省は決壊に備えたハザードマップ作りを促している。今回の調査対象外のため池も含め全国の約3千カ所でマップ作りが進んでいるが、公表しているのは6割という。

同省の担当者は「危険性が分かると地価が下がるという理由で、調査結果の公表やマップ作りに前向きでない自治体もある」と話す。


■改修に数億円も 進まぬ対策

「改修工事が決まってほっとした。藤沼湖のことを聞いてから、ずっと心配していた」。愛媛県新居浜市の池田池を管理する「船木・泉川(池田池)土地改良区」の藤田豊治理事は言う。今年度から事業が始まった。

降水量が少ない瀬戸内地方では、全国のため池の半数以上が集中する。奈良時代にできたという池田池は貯水量125万トンで、県内最大級。堤体のすぐ下には数十軒の民家がある。

県の調査で耐震不足が判明した。国と県、市は決壊した場合の被害が甚大として、補助金で改修費4億円を全額賄うことに。藤田理事は「積立金では足りず、農家に負担を求めるのも難しかった。助かった」。

改修費は通常1カ所あたり数千万~数億円かかる。愛媛県では耐震不足とされた90カ所のうち、改修工事が決まったのは池田池のみ。県農地整備課は「農家の負担が壁となり進まない。補助金には限りがあり、大きいため池を優先して進めざるを得ない」という。

地震で壊れ7人の犠牲が出た福島県須賀川市の藤沼湖。20棟以上が全壊した下流地区は、まだ更地のままの宅地や田畑が残る。農業再開のために農業用水が必要との声があがり、県は13年秋から総工費63億円で再建工事を始めた。だが、耐震不足が判明した県内55カ所のうち工事のめどが立っている所は1カ所のみだ。

福島県土地改良事業団体連合会の車田次夫会長は「震災後の風評被害などで離農が進み、農家が多額の負担をすることは現実的に難しい」と話す。

農林水産省は今年度予算で農業施設の防災対策費を前年度の約2倍の508億円に拡充した。だが、耐震不足は約1800カ所にも及び、「改修には10年はかかる」(防災課)と話す。

川越清樹・福島大准教授(水工学)は「耐震強度を補強するのが一番だが、ハード対策は時間も費用もかかる。大雨や地震の際には決壊するおそれがあることを住民に周知して、ハザードマップ作りなど、今できる対策を進める必要がある」と指摘する。

(石川智也、座小田英史)


◆キーワード

<農業用ため池> 降水量の少ない地域で農業用水を確保するために、山間部の沢などをせき止めた人工の池。全国に約20万カ所あり、7割が江戸時代以前に造られた。近代的な工法で造られたダムとは違い、人力によるものが多い。



■耐震不足が判明したため池

都道府県 調査数 耐震不足

北海道 3 1

青森県 12 10

岩手県 1 1

宮城県 0 0

秋田県 167 118

山形県 11 11

福島県 99 55

茨城県 6 1

栃木県 5 4

群馬県 27 14

埼玉県 29 9

千葉県 20 11

東京都 0 0

神奈川県 8 0

新潟県 228 128

富山県 59 39

石川県 0 0

福井県 20 18

山梨県 78 51

長野県 67 32

岐阜県 50 17

静岡県 94 56

愛知県 449 252

三重県 66 53

滋賀県 51 50

京都府 16 11

大阪府 104 0

兵庫県 203 185

奈良県 5 0

和歌山県 12 8

鳥取県 71 52

島根県 68 56

岡山県 108 88

広島県 107 77

山口県 187 44

徳島県 102 82

香川県 45 16

愛媛県 128 90

高知県 13 6

福岡県 42 14

佐賀県 3 2

長崎県 133 43

熊本県 71 14

大分県 23 3

宮崎県 90 65

鹿児島県 13 0

沖縄県 1 0

合計 3095 1787

【2016/04/14 03:11】 | 新聞記事から
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック