「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
八ッ場ダムの建設を巡って一都五県の住民訴訟が起こされ、「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」も裁判を中心に活動してまいりましたが、昨年最高裁で敗訴が決定し、裁判という戦いの場がなくなりました。
しかし八ッ場ダムは国の間違った河川行政の象徴のような存在で、裁判を通じてことごとく不要性と不当性を明らかにしてきました。仲間と共に、このまま造らせてはいけない、後世のためにできることをやってゆこう、という共通の意思を確認できた集まりとなりました。
参加者は約20名でした。
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■ビデオ上映『八ッ場ダム 現地は今?』

八ッ場あしたの会が制作したビデオは、新しい王湯での湯かけ祭りの映像から始まり、工事が進み、無残に自然が破壊される現地の様子がドローンで俯瞰撮影され、反対していた方たちの声が記録されていました。
最後に水没地に咲く貴重なカザグルマ(クレマチス、てっせんの仲間)が映し出されました。

※パネルにしたカザグルマの写真
カザグルマ

■講演 嶋津暉之さん
講演 第一部「鬼怒川の堤防決壊が求める河川行政の転換」

1..河川行政の誤りと不手際が水害を引き起こした
すさまじい水害は「破堤」と「越水」と「八間堀川氾濫」の三つの要因で起きた。
鬼怒川の上流側は栃木県、下流側は茨城県だが、下流側の堤防の整備は17%にとどまり、整備の遅れが今回の結果をひきおこした。
昨年9月に敗訴が決まった栃木県の裁判では、今回破堤した堤防の低い部分の危険性を指摘した。必要性が稀薄な湯西川ダムばかりに河川予算を使うのでなく、下流の堤防整備に力を注ぐべきであると指摘したが、残念ながら判決には反映されなかった。
国交省が一年ちょっと前に作った改修計画を見ると、今回破堤した三坂地区は二十~三十年以内に改修を行うところになっていて後回しにされていた。
若宮戸でメガソーラーの太陽光パネルを設置するために自然堤防を削られて越水が進んでしまったが、国交省はこの場所を河川区域としてこなかった。
八間堀川は鬼怒川と小貝川の川の間を流れていて、普段はあまり水が流れていないが、今回は鬼怒川からの氾濫水が流れ込んだ。最下流の八間堀川排水機場の運転を長時間停止したため、八間堀川もひどく氾濫した。
※クリックで拡大します
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2.上流の四つのダムは効果があったのか
五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムと容量の大きなダムがあっても水害を防げなかった。国交省はしきりにダムのおかげで被害が少なくなったと喧伝しているが、ダムによる下流部での流量の減少は5%程度。ダムは上流部では効果があっても、下流に行くと効果が減衰してしまう。
川治ダムは満杯になって一時避難命令が出た。ダムは満杯になると機能を失い、かえって危険な存在となる。

→ダムに頼った河川行政は誤りだった。

3.これからは河川行政を変えてゆかなければならない
今まで危ないというところが放置されてきた。
越水しても壊れにくい安価な耐越水堤防の工法技術はすでにできている。
一部の川では実施されていたが、国交省はそれを進めようとしなかった。なぜか。
川辺川ダムの住民討論集会で千人以上集まった。
そこで住民側がこの工法でやればダムが必要ないと指摘し、国交省はこの工法がダムを造るための邪魔になると考え、お蔵入りにしてしまった。
※クリックで拡大します
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今後は耐越水堤防を普及させるとともに、降った水が末端で溢れてしまう「内水氾濫」への対策と、「危険な場所に住まない」流域治水の展開が急務。

講演 第二部「八ッ場ダム問題」

・ダム工事は進んでいる
本体の基礎岩盤掘削工事が昨年1月から残念なことに始まった。
国交省の予定では基礎岩盤掘削工事は今年の4月までに終え、6月からコンクリート本体工事を始める。
2019年度からは試験湛水。2020年3月には完成させるという予定。
移転に抵抗していた人に対して、本人だけでなく周りの人間にまで圧力をかけてきた。

・地質の問題
前門の虎=ダムサイト 後門の狼=貯水池周辺 いずれも地質が脆弱
昭和45年の国会では今のダムサイトの場所は危ないとされていたが、吾妻渓谷への影響を考えて48年に現在の
場所に変わった。
貯水池予定地の周辺は熱水変質帯、応桑岩屑流堆積物、崖錐堆積物などの脆弱な地層が広く分布。

・事業費の増額は避けられない
2011年国交省も地滑り対策などで180億円の増額の試算をしている。
これからなんだかんだで500~600億円の増額はあってもおかしくない。
関係都県は増額に反対している。先行き混沌とした状態が続くだろう。

・鉄鋼スラグ問題
渋川に大同特殊鋼という大きな会社。
廃棄物処理法に違反して八ッ場ダムの代替地の造成や道路工事などにも大同の鉄鋼スラグがたくさん使われた。
有害なフッ素と六価クロムが含まれていることと、前処理が不十分であるため、使った先で膨張するのが問題。
2002年の終わりから、禁止された2014年1月まで、総量として29万トンが搬出された。
産業廃棄物の処理場をつくると、1トン当たり2~3万円かかるので、大同は1トン当たり100円で販売した。
一方で販売管理費として250円以上支払い、運送費も負担するので、大同にとって数千円かかるが、2~3万円の処理費と比べれば、はるかに安上がりだった。

2010年に群馬県の倉嶋建設政策室長が「鉄鋼スラグをどんどん使いなさい」という通知を出した。
「鉄鋼スラグを天然砕石と混ぜてから有害物質の濃度を測ってよい」という通知→鉄鋼スラグがどんどん使われた。
国交省は八ッ場ダムの関連工事箇所で鉄鋼スラグの調査をしたが、それは氷山の一角を調べたに過ぎない。
国交省は表面的な調査で、幕引きを図ろうとしている。
今後、鉄鋼スラグが八ッ場ダムの代替地等で大きな問題になると思われる。

2018年度中にはダム本体が出来上がって、2019年度には試験湛水となっているが、実際にどうなるか、まだまだわかりません。
ダムサイトの地質もどうなるか、わかりません。水を貯めると貯水池周辺の地質問題もあります。事業費増額問題もあります。鉄鋼スラグ問題も暗い影を投げかけております。
状況は厳しいですけれど、われわれは引き続き、八ッ場ダム事業をしっかり監視し、問題を提起していきたい思いますので、よろしくお願いします。

質疑応答

Q.なぜ国交省はダムにこだわっているのか。

A.新規のダム計画はないけれど、いまあるダム計画はなんとしても造りたいと固執している。
大きな工事では建設会社だけでなく、調査会社にも大きな仕事が入る。建設会社や調査会社に官僚が天下りしている。
政官業のトライアングルと言われているが、一番大きなのは官僚の天下り先の確保だと思われる。
現在、止まっていたダム計画が次々と動きつつある。

Q.荒川の河川整備計画が策定されたが、川越線の鉄橋部分など低いところが残って氾濫の危険性が残るのでは。

A.地盤沈下が起きて堤防は土でかさ上げしたが、鉄橋は莫大な費用がかかるので下流部では四か所が取り残されている。
荒川の河川整備計画では一か所は鉄橋の嵩上げが行われることになっているが、他の三か所は低い鉄橋が残る。

*梅村さえこ衆議院議員
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先日国会で鬼怒川の決壊問題について質問させていただきました。
栃木で明後日「被害者の会」ができる予定。
超党派の議員で視察した時、国交省からまず「ダムがあるから、あれくらいで済んだんだ」と繰り返し説明。
栃木県側が60何%の整備率に対して、茨城県側が17%の整備率。
普通は河川は下から整備をしていくというのに、鬼怒川については結局、下流で一番弱いところにしわ寄せがきた。
現地の人たちは「被災者の会」でなく「被害者の会」なんです。
湯西川ダムの予算は全部で1800億円で、ある年は年間350億円使っているのに、鬼怒川の河川改修は毎年10億円なんです。
※クリックで拡大します
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これ言ったら、国交省は十分予算がないからと言っていた。ダムに使いすぎじゃないか、住民の安全を守るためにきちんと河川行政をやってくれと、この問題について今は攻め時だと思う。

*野本夏生弁護士
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(裁判を振り返って)
舞台が高裁に移されてからは法廷も開かれず、裁判所で進行協議が繰り返されて、なかなか前に進まなかった。
一審では証人尋問も行われて嶋津さんがパワーポイントを使って国が行っている施策の無意味を指摘したり、そういう訴訟活動ができたが、それ以降、裁判が八ッ場ダムを止める武器になりきれなかったことが、弁護団としても忸怩たる思いがあるところです。
十数年やってきましたが、政治の思惑に翻弄されたのが後半です。
弁護団もそうでしたが、裁判所もそうだったと思います。
民主党政権となって、特に象徴となっていた八ッ場ダムについては、まさか民主党が旗をおろしてしまうなんてないだろうという期待を私たちも持ってしまっていましたし、司法の方もそれを持っていたというところもありましたし、ちょっと追及の鉾が緩んでしまったということもあったかもしれないと思っています。

(裁判を通じて得たもの)
ただ、高橋利明弁護団長をはじめとして弁護団は奮闘しました。
埼玉の方は利水問題以外の方はなかなか結集できなくて、利水以外の分野に力を注ぐことができなかったんですが、嶋津さんが一番感じていただいていると思うんですが、高橋団長はじめ皆さんが本当に奮闘してですね、一線の利水治水の議論を裁判の場でしたんじゃないかと思います。
その財産というのがきちんとあります。
この後も国交省が同じ施策を続けていくなら同じようなことになります。
そのとき必ず役に立つものが、この裁判でできたと思っています。
今この裁判の総括の資料作りのことと、あと裁判で得た資料の保存のことと、それを使いやすくするにはどうしたらいいかとか、引き続き弁護団でやっているところです。

本当に止められなかったことは申し訳ないなと思っています。
この12年本当にお世話になりました。

Q.裁判はこれで終わりでしょうか?

(八ッ場ダム裁判の戦い方と今後について)
A.裁判は行動を起こす人がいておこるもの。
従来だと公共事業をとめるためには周辺の住民の方が施設の危険性など、そういったものを指摘して裁判を起こすというのが一般的だったものを、八ッ場ダム裁判は監査請求、住民訴訟というツールを使って、一都五県の住民が一斉に監査請求という手続きをおこして、お金の使い道、無駄なものにお金を使うのは問題だという形で住民訴訟をしました。
お金を止めると事業は進まなくなりますから。
ただ戦った結果として出てきたのは、差し止めなんかで求められる司法のハードルと、住民訴訟のハードル、僕らの方では住民訴訟の方はまた別の角度から、むしろハードルを下げられるんじゃないかと思っていたんですが、原発と同じような問題がダムにもあると思います。
もちろん、貯水池に大きな地滑りが起きて、大きな問題になれば、あらためて住民監査請求などできるんですが、その時にどれだけ怒りをあげる人が結集できるか、弁護士も呼応できるのかにかかるので。
でも八ッ場ダムに注視してゆくのは大切なことだし、僕らも関心持ち続けてゆきたいと思います。

Q.「違法ではないけれど著しく不当である」という観点をどうやってつくりあげればいいのか

(司法に逃げられた)
A.むしろ「著しく不当」というレベルで止められるということが今回否定されたんだと思います。
個別に河川法とか、個別の法律の中で規定されている要件とからめて主張してきたわけだけれども、裁判所はいやがって全部一般論の方にもっていってしまった。
司法の守勢というのを感じました。大法廷を開いてもらえなかったことでも感じますが。
高橋先生なんかは、新しい今まで出てない分野の判断だと期待されたんですが、逃げたんですね。


■総会

事務局長より
11年間の総括。2015年の活動報告。会計報告。
2016年度の活動方針と予算はすべて拍手で承認されました。

活動計画
1.河川行政の変革を求める活動
2.八ッ場ダム事業の実態を把握し、問題の解決を探るとともに情報の共有を図ります
3.イベント活動
4.県政への働きかけ

今年はイベントで荒川の問題にも取り組んでゆくことになりました。


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1..河川行政の誤りと不手際が水害を引き起こした
すさまじい水害は「破堤」と「越水」と「八間堀川氾濫」の三つの要因で起きた。
鬼怒川の上流側は栃木県、下流側は茨城県だが、下流側の堤防の整備は17%にとどまり、整備の遅れが今回の結果をひきおこした。
昨年9月に敗訴が決まった栃木県の裁判では、今回破堤した堤防の低い部分の危険性を指摘した。必要性が稀薄な湯西川ダムばかりに河川予算を使うのでなく、下流の堤防整備に力を注ぐべきであると指摘したが、残念ながら判決には反映されなかった。
国交省が一年ちょっと前に作った改修計画を見ると、今回破堤した三坂地区は二十~三十年以内に改修を行うところになっていて後回しにされていた。
若宮戸でメガソーラーの太陽光パネルを設置するために自然堤防を削られて越水が進んでしまったが、国交省はこの場所を河川区域としてこなかった。
八間堀川は鬼怒川と小貝川の川の間を流れていて、普段はあまり水が流れていないが、今回は鬼怒川からの氾濫水が流れ込んだ。最下流の八間堀川排水機場の運転を長時間停止したため、八間堀川もひどく氾濫した。
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2.上流の四つのダムは効果があったのか
五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムと容量の大きなダムがあっても水害を防げなかった。国交省はしきりにダムのおかげで被害が少なくなったと喧伝しているが、ダムによる下流部での流量の減少は5%程度。ダムは上流部では効果があっても、下流に行くと効果が減衰してしまう。
川治ダムは満杯になって一時避難命令が出た。ダムは満杯になると機能を失い、かえって危険な存在となる。

→ダムに頼った河川行政は誤りだった。

3.これからは河川行政を変えてゆかなければならない
今まで危ないというところが放置されてきた。
越水しても壊れにくい安価な耐越水堤防の工法技術はすでにできている。
一部の川では実施されていたが、国交省はそれを進めようとしなかった。なぜか。
川辺川ダムの住民討論集会で千人以上集まった。
そこで住民側がこの工法でやればダムが必要ないと指摘し、国交省はこの工法がダムを造るための邪魔になると考え、お蔵入りにしてしまった。
※クリックで拡大します
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今後は耐越水堤防を普及させるとともに、降った水が末端で溢れてしまう「内水氾濫」への対策と、「危険な場所に住まない」流域治水の展開が急務。

講演 第二部「八ッ場ダム問題」

・ダム工事は進んでいる
本体の基礎岩盤掘削工事が昨年1月から残念なことに始まった。
国交省の予定では基礎岩盤掘削工事は今年の4月までに終え、6月からコンクリート本体工事を始める。
2019年度からは試験湛水。2020年3月には完成させるという予定。
移転に抵抗していた人に対して、本人だけでなく周りの人間にまで圧力をかけてきた。

・地質の問題
前門の虎=ダムサイト 後門の狼=貯水池周辺 いずれも地質が脆弱
昭和45年の国会では今のダムサイトの場所は危ないとされていたが、吾妻渓谷への影響を考えて48年に現在の
場所に変わった。
貯水池予定地の周辺は熱水変質帯、応桑岩屑流堆積物、崖錐堆積物などの脆弱な地層が広く分布。

・事業費の増額は避けられない
2011年国交省も地滑り対策などで180億円の増額の試算をしている。
これからなんだかんだで500~600億円の増額はあってもおかしくない。
関係都県は増額に反対している。先行き混沌とした状態が続くだろう。

・鉄鋼スラグ問題
渋川に大同特殊鋼という大きな会社。
廃棄物処理法に違反して八ッ場ダムの代替地の造成や道路工事などにも大同の鉄鋼スラグがたくさん使われた。
有害なフッ素と六価クロムが含まれていることと、前処理が不十分であるため、使った先で膨張するのが問題。
2002年の終わりから、禁止された2014年1月まで、総量として29万トンが搬出された。
産業廃棄物の処理場をつくると、1トン当たり2~3万円かかるので、大同は1トン当たり100円で販売した。
一方で販売管理費として250円以上支払い、運送費も負担するので、大同にとって数千円かかるが、2~3万円の処理費と比べれば、はるかに安上がりだった。

2010年に群馬県の倉嶋建設政策室長が「鉄鋼スラグをどんどん使いなさい」という通知を出した。
「鉄鋼スラグを天然砕石と混ぜてから有害物質の濃度を測ってよい」という通知→鉄鋼スラグがどんどん使われた。
国交省は八ッ場ダムの関連工事箇所で鉄鋼スラグの調査をしたが、それは氷山の一角を調べたに過ぎない。
国交省は表面的な調査で、幕引きを図ろうとしている。
今後、鉄鋼スラグが八ッ場ダムの代替地等で大きな問題になると思われる。

2018年度中にはダム本体が出来上がって、2019年度には試験湛水となっているが、実際にどうなるか、まだまだわかりません。
ダムサイトの地質もどうなるか、わかりません。水を貯めると貯水池周辺の地質問題もあります。事業費増額問題もあります。鉄鋼スラグ問題も暗い影を投げかけております。
状況は厳しいですけれど、われわれは引き続き、八ッ場ダム事業をしっかり監視し、問題を提起していきたい思いますので、よろしくお願いします。

質疑応答

Q.なぜ国交省はダムにこだわっているのか。

A.新規のダム計画はないけれど、いまあるダム計画はなんとしても造りたいと固執している。
大きな工事では建設会社だけでなく、調査会社にも大きな仕事が入る。建設会社や調査会社に官僚が天下りしている。
政官業のトライアングルと言われているが、一番大きなのは官僚の天下り先の確保だと思われる。
現在、止まっていたダム計画が次々と動きつつある。

Q.荒川の河川整備計画が策定されたが、川越線の鉄橋部分など低いところが残って氾濫の危険性が残るのでは。

A.地盤沈下が起きて堤防は土でかさ上げしたが、鉄橋は莫大な費用がかかるので下流部では四か所が取り残されている。
荒川の河川整備計画では一か所は鉄橋の嵩上げが行われることになっているが、他の三か所は低い鉄橋が残る。

*梅村さえこ衆議院議員
umemura-mini.jpg

先日国会で鬼怒川の決壊問題について質問させていただきました。
栃木で明後日「被害者の会」ができる予定。
超党派の議員で視察した時、国交省からまず「ダムがあるから、あれくらいで済んだんだ」と繰り返し説明。
栃木県側が60何%の整備率に対して、茨城県側が17%の整備率。
普通は河川は下から整備をしていくというのに、鬼怒川については結局、下流で一番弱いところにしわ寄せがきた。
現地の人たちは「被災者の会」でなく「被害者の会」なんです。
湯西川ダムの予算は全部で1800億円で、ある年は年間350億円使っているのに、鬼怒川の河川改修は毎年10億円なんです。
※クリックで拡大します
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これ言ったら、国交省は十分予算がないからと言っていた。ダムに使いすぎじゃないか、住民の安全を守るためにきちんと河川行政をやってくれと、この問題について今は攻め時だと思う。

*野本夏生弁護士
momoto-mini.jpg

(裁判を振り返って)
舞台が高裁に移されてからは法廷も開かれず、裁判所で進行協議が繰り返されて、なかなか前に進まなかった。
一審では証人尋問も行われて嶋津さんがパワーポイントを使って国が行っている施策の無意味を指摘したり、そういう訴訟活動ができたが、それ以降、裁判が八ッ場ダムを止める武器になりきれなかったことが、弁護団としても忸怩たる思いがあるところです。
十数年やってきましたが、政治の思惑に翻弄されたのが後半です。
弁護団もそうでしたが、裁判所もそうだったと思います。
民主党政権となって、特に象徴となっていた八ッ場ダムについては、まさか民主党が旗をおろしてしまうなんてないだろうという期待を私たちも持ってしまっていましたし、司法の方もそれを持っていたというところもありましたし、ちょっと追及の鉾が緩んでしまったということもあったかもしれないと思っています。

(裁判を通じて得たもの)
ただ、高橋利明弁護団長をはじめとして弁護団は奮闘しました。
埼玉の方は利水問題以外の方はなかなか結集できなくて、利水以外の分野に力を注ぐことができなかったんですが、嶋津さんが一番感じていただいていると思うんですが、高橋団長はじめ皆さんが本当に奮闘してですね、一線の利水治水の議論を裁判の場でしたんじゃないかと思います。
その財産というのがきちんとあります。
この後も国交省が同じ施策を続けていくなら同じようなことになります。
そのとき必ず役に立つものが、この裁判でできたと思っています。
今この裁判の総括の資料作りのことと、あと裁判で得た資料の保存のことと、それを使いやすくするにはどうしたらいいかとか、引き続き弁護団でやっているところです。

本当に止められなかったことは申し訳ないなと思っています。
この12年本当にお世話になりました。

Q.裁判はこれで終わりでしょうか?

(八ッ場ダム裁判の戦い方と今後について)
A.裁判は行動を起こす人がいておこるもの。
従来だと公共事業をとめるためには周辺の住民の方が施設の危険性など、そういったものを指摘して裁判を起こすというのが一般的だったものを、八ッ場ダム裁判は監査請求、住民訴訟というツールを使って、一都五県の住民が一斉に監査請求という手続きをおこして、お金の使い道、無駄なものにお金を使うのは問題だという形で住民訴訟をしました。
お金を止めると事業は進まなくなりますから。
ただ戦った結果として出てきたのは、差し止めなんかで求められる司法のハードルと、住民訴訟のハードル、僕らの方では住民訴訟の方はまた別の角度から、むしろハードルを下げられるんじゃないかと思っていたんですが、原発と同じような問題がダムにもあると思います。
もちろん、貯水池に大きな地滑りが起きて、大きな問題になれば、あらためて住民監査請求などできるんですが、その時にどれだけ怒りをあげる人が結集できるか、弁護士も呼応できるのかにかかるので。
でも八ッ場ダムに注視してゆくのは大切なことだし、僕らも関心持ち続けてゆきたいと思います。

Q.「違法ではないけれど著しく不当である」という観点をどうやってつくりあげればいいのか

(司法に逃げられた)
A.むしろ「著しく不当」というレベルで止められるということが今回否定されたんだと思います。
個別に河川法とか、個別の法律の中で規定されている要件とからめて主張してきたわけだけれども、裁判所はいやがって全部一般論の方にもっていってしまった。
司法の守勢というのを感じました。大法廷を開いてもらえなかったことでも感じますが。
高橋先生なんかは、新しい今まで出てない分野の判断だと期待されたんですが、逃げたんですね。


■総会

事務局長より
11年間の総括。2015年の活動報告。会計報告。
2016年度の活動方針と予算はすべて拍手で承認されました。

活動計画
1.河川行政の変革を求める活動
2.八ッ場ダム事業の実態を把握し、問題の解決を探るとともに情報の共有を図ります
3.イベント活動
4.県政への働きかけ

今年はイベントで荒川の問題にも取り組んでゆくことになりました。

【2016/03/22 13:23】 | 総会
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