「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                 嶋津 暉之

北海道の当別ダムは市民の反対を押し切って2012年に完成しましたが、必要性のないダムであることには変わりはありません。
同ダムの建設に反対した「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」と「北海道自然保護協会」は当別ダムからの札幌市の撤退を視野に入れて活動を続けています。

去る2月25日には両市民団体は札幌市に対して「豊平川水道水源水質保全事業の再評価に関する公開質問書」を提出し、同時に厚生労働省に対して同事業への補助金交付中止を求める要望書を送付しました。

札幌市への公開質問書は
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2016/02/9757d72a2bb15645478a9fa758ae3b7d1.pdf 、

厚労省への要望書は
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2016/02/69dbba5f759d5af9d8d6ccb8092794d11.pdf

をご覧ください。

豊平川水道水源水質保全事業とは、札幌市水道水のヒ素濃度を下げることを理由にして、札幌市水道の主要水源である豊平川の上流から浄水場の下流までバイパス管を設置する事業です。

ヒ素を含む温泉水が混入する豊平川上流の水が、浄水場の原水にできるだけ入らないようにするという事業で、市民に安全な水を供給することをお題目にしていますが、しかし、この事業には裏の顔があります。

この事業は札幌市が当別ダム事業に参画するために、保有水源を減らす方策として考えられたものなのです。

下図に示すように、札幌市は水需要の過大予測を行うとともに、この事業によって豊平川の流量が減って保有水源が8.6万㎥/日少なくなるとして、将来は当別ダムの水源が必要になるという水需給図をつくりました(過大予測は2012年の当別ダム完成後に下方修正しました。)
sapporo_20160301011617fdc.jpg
そして、この事業は187億円という巨額の公費を使い、市民に対して重い経済負担を強いる事業でもあります。

なお、札幌市水道水のヒ素濃度は現状のままで水道水質基準を超えることはなく、十分に安全な水です。市の水質目標値(基準の1/2)を超えることがまれにあるだけで、半世紀以上も支障なく供給されてきた安全な水道水です。

このように、札幌市は当別ダムに参画するため、市民に安全な水を供給することを名目にして、本来は必要性がない巨額公費の事業を無理矢理つくり出しました。

この事業は計画後10年経過したことから、今回、事業継続が妥当か否かの再評価が行われました。札幌市による再評価の結果は費用便益比が2.95で、1を大きく超えているから、継続が妥当というものでした。

しかし、この再評価の内容を検討すると、それは虚構の計算であり、手順に沿って計算すれば、費用便益比が1を大きく下回って中止すべき事業であること、そして、札幌市水道水のヒ素濃度は最近は市の水質目標値を超えることはなくなってきており、この事業の目的が失われてきていることも明らかになりました。

そこで、これらの問題を問いただすため、「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」の安藤 加代子さん、山田明美さん、「北海道自然保護協会」の在田一則さん、佐々木克之さんたちが札幌市水道局に公開質問書を提出しました。3月10日までに市から回答がある予定です。

下記の記事はこの公開質問書の提出を伝える記事です。

◆豊平川ヒ素対策「不要」自然保護団体 市に中止要望
(北海道新聞 2016年2月27日)

北海道自然保護協会と市民団体「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」は26曰、札幌市役所で記者会見し、豊平川を水源とする水道水のヒ素濃度を下げる事業を中止するよう市に求めたことを明らかにした。
「近年は濃度が市の目標値を上回ることはほとんどなく、不要だ」と主張した。

 この事業は、ヒ素を含む豊平川の湧き水が浄水場に流れ込むのを防ぐため、バイパス水道管を整備するもの。工期は2005~20年度で、総事業費187億円。

 両団体は「05年度以降、浄水場で処理を終えた水のヒ素濃度は市の管理目標値である1㍑当たりO・O05ミリグラムをほとんど超えていない」と指摘、25日付で秋元克広市長宛てに事業の中止を求める要望書を提出した。

 一方、市水道局事業推進担当課は取材に対し「処理前の原水のヒ素濃度は基準を超える状況が続いており、事業は妥当だ」と話している。  (水野富仁)



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「近年は濃度が市の目標値を上回ることはほとんどなく、不要だ」と主張した。

 この事業は、ヒ素を含む豊平川の湧き水が浄水場に流れ込むのを防ぐため、バイパス水道管を整備するもの。工期は2005~20年度で、総事業費187億円。

 両団体は「05年度以降、浄水場で処理を終えた水のヒ素濃度は市の管理目標値である1㍑当たりO・O05ミリグラムをほとんど超えていない」と指摘、25日付で秋元克広市長宛てに事業の中止を求める要望書を提出した。

 一方、市水道局事業推進担当課は取材に対し「処理前の原水のヒ素濃度は基準を超える状況が続いており、事業は妥当だ」と話している。  (水野富仁)


【2016/03/01 00:38】 | 各地のダム情報
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