「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
               嶋津 暉之

水道の高度処理についての記事です。
この記事に書かれているように、東京都の利根川・荒川水系の浄水場にはすべて高度処理(オゾン処理+生物活性炭処理)が導入されています。江戸川から取水している金町浄水場が高度処理導入の始まりでした。
かつては江戸川には千葉県松戸市側からどす黒い坂川が流れ込み、それが主たる原因となって、金町浄水場の給水区域の住民はひどくまずい水に悩まれていました。

そこで、約30年前のことですが、葛飾区に住む高橋薫子さん、松本淑江さんたちが「金町浄水場の水をおいしくする会」をつくり、水道水の水質改善を求める運動に取り組みました。

この運動は功を奏し、行政を動かしました。一つは松戸市内での下水道の普及が早まったこと、一つは国交省江戸川河川事務所が坂川の出口に曝気付礫間接触酸化処理施設を設置したこと、もう一つは金町浄水場への高度処理の導入です。

金町浄水場を皮切りにして、利根川・荒川水系の浄水場に順次、高度処理が導入されていきました。

ただし、おいしい水道水の基本は原水がきれいであることであり、高度処理を使うことが必ずしもよいとはいえません。

きれいな原水は基本的には地下水です。地元の人がおいしいと思う水道水のランキングで熊本県が一位になっているのは、熊本市水道が地下水100%であることによるものです。

ほとんどの地域で地盤沈下は沈静化していますので、地下水を水道水源でとして可能な範囲で活用することを考えるべきです。

◆(今さら聞けない+)水道水 高度浄水処理でおいしく
(朝日新聞 2016年2月13日03時30分)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12204887.html?rm=150

蛇口をひねれば出てくる水道水。最近、おいしくなったと感じませんか。
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 約1300万人に水道水を供給する東京都は、2013年10月、水源の8割を占める利根川・荒川水系から取水するすべての水で、高度浄水処理を達成しました。20年以上かけて五つの浄水場で設備を順次切り替えました。

 浄水場はいわば、水の製造工場です。東京都の場合、水源林からの水をダムにため、下流の河川の表流水を取り込んで原水にしています。原水は、砂や泥を沈殿させたあと、砂や無煙炭などを敷き詰めたフィルターを通して濾過(ろか)。最後に雑菌の繁殖を抑えるため、法律で定められた消毒用の塩素を加えて給水されるのが一般的です。

 ただ、1970年代後半、金町浄水場の給水地区で「水が臭い」などと苦情が相次ぎ、78年には、年間1千件近くに上りました。都水道局の高橋和彦・水質担当課長は「原因は生活排水で河川の水が汚れたこと」といいます。

 ダムなどの貯水池が汚れて富栄養化すると植物プランクトンが増えます。プランクトンが作り出すのが臭いの原因物質。2種類が有名で、「ジェオスミン」は、カビや土のような臭い、「2―メチルイソボルネオール」は、墨汁のような臭いと表現されます。

 これらは従来の浄水技術では取り切れませんでした。そこで、一手間加えたのが「高度浄水処理」です。濾過後の水に、オゾンを通して臭い物質を酸化させて分解。その後、表面に微生物のついた活性炭で濾過して、吸着させたり、微生物に食べさせたりして取り除きます。塩素と結びつくと、プールのような「カルキ臭」を作るアンモニアも取り除くことができるそうです。金町浄水場では、この工程を入れた1992年以降、カビ臭の苦情はなくなりました。大阪市は全量高度浄水処理を達成、千葉県でも導入が進んでいます。

 ただすべての地域で高度浄水処理が必要なわけではありません。どういう浄水方法をとるかは、原水の質によります。例えば、昨年のネット調査で「地元の人がおいしいと思う水ランキング」1位になった熊本県。県都熊本市の水道は原水がすべて地下水で、簡単な濾過のあと塩素を加えるだけです。砂利や砂などに水をゆっくり通す「緩速濾過」という方法をとっている島根県は、主な原水に河川の下を流れる伏流水を使っています。高度浄水処理は費用がかかるため都の担当者は「都市部を流れてきていない水を使えるのはうらやましい」と話します。
      □     □
 水道水には人の健康のほか、着色や臭いなどを避けるために51項目の水質基準があります。おいしさの基準はありませんが、旧厚生省が1985年に「おいしい水の要件」を公表しています。

 例えば、水に含まれるミネラルや炭酸の量は味をおいしくする要素、有機物や残留塩素などは多いと水の味を損ないます。また、水は冷たいと生理的においしいと感じる上、冷やすことで臭いも気にならなくなります。要件では最高20度以下とされています。

 東京都は「安全でおいしい水プロジェクト」を立ち上げ、この要件を参考に水質基準より厳しい目標値を掲げています。ただ、先ほどのネット調査のランキングでは47都道府県のうち38位といま一つ。「おいしくないというイメージを払拭(ふっしょく)したい」と、ミネラルウォーターとの飲み比べキャンペーンなどでPRしています。

 水ジャーナリストの橋本淳司さんは「東京では高度な技術、多大なエネルギーと費用で水道水を作っている。全国的に人口減少と設備の更新で水道事業の持続は危ない。おいしさや料金だけでなく、水源やプロセスにも目を向けて欲しい」と話しています。

 ■記者のひとこと

 濾過(ろか)・消毒した水を供給する近代水道が日本にできたのは1887年(明治20年)のこと。コレラやチフスの大流行がきっかけでした。世界的に水道水をそのまま飲める国はそれほど多くありません。2020年の東京五輪・パラリンピックは、おいしい水道水を世界に知ってもらう機会です。(香取啓介)


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 ただ、1970年代後半、金町浄水場の給水地区で「水が臭い」などと苦情が相次ぎ、78年には、年間1千件近くに上りました。都水道局の高橋和彦・水質担当課長は「原因は生活排水で河川の水が汚れたこと」といいます。

 ダムなどの貯水池が汚れて富栄養化すると植物プランクトンが増えます。プランクトンが作り出すのが臭いの原因物質。2種類が有名で、「ジェオスミン」は、カビや土のような臭い、「2―メチルイソボルネオール」は、墨汁のような臭いと表現されます。

 これらは従来の浄水技術では取り切れませんでした。そこで、一手間加えたのが「高度浄水処理」です。濾過後の水に、オゾンを通して臭い物質を酸化させて分解。その後、表面に微生物のついた活性炭で濾過して、吸着させたり、微生物に食べさせたりして取り除きます。塩素と結びつくと、プールのような「カルキ臭」を作るアンモニアも取り除くことができるそうです。金町浄水場では、この工程を入れた1992年以降、カビ臭の苦情はなくなりました。大阪市は全量高度浄水処理を達成、千葉県でも導入が進んでいます。

 ただすべての地域で高度浄水処理が必要なわけではありません。どういう浄水方法をとるかは、原水の質によります。例えば、昨年のネット調査で「地元の人がおいしいと思う水ランキング」1位になった熊本県。県都熊本市の水道は原水がすべて地下水で、簡単な濾過のあと塩素を加えるだけです。砂利や砂などに水をゆっくり通す「緩速濾過」という方法をとっている島根県は、主な原水に河川の下を流れる伏流水を使っています。高度浄水処理は費用がかかるため都の担当者は「都市部を流れてきていない水を使えるのはうらやましい」と話します。
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 水道水には人の健康のほか、着色や臭いなどを避けるために51項目の水質基準があります。おいしさの基準はありませんが、旧厚生省が1985年に「おいしい水の要件」を公表しています。

 例えば、水に含まれるミネラルや炭酸の量は味をおいしくする要素、有機物や残留塩素などは多いと水の味を損ないます。また、水は冷たいと生理的においしいと感じる上、冷やすことで臭いも気にならなくなります。要件では最高20度以下とされています。

 東京都は「安全でおいしい水プロジェクト」を立ち上げ、この要件を参考に水質基準より厳しい目標値を掲げています。ただ、先ほどのネット調査のランキングでは47都道府県のうち38位といま一つ。「おいしくないというイメージを払拭(ふっしょく)したい」と、ミネラルウォーターとの飲み比べキャンペーンなどでPRしています。

 水ジャーナリストの橋本淳司さんは「東京では高度な技術、多大なエネルギーと費用で水道水を作っている。全国的に人口減少と設備の更新で水道事業の持続は危ない。おいしさや料金だけでなく、水源やプロセスにも目を向けて欲しい」と話しています。

 ■記者のひとこと

 濾過(ろか)・消毒した水を供給する近代水道が日本にできたのは1887年(明治20年)のこと。コレラやチフスの大流行がきっかけでした。世界的に水道水をそのまま飲める国はそれほど多くありません。2020年の東京五輪・パラリンピックは、おいしい水道水を世界に知ってもらう機会です。(香取啓介)

【2016/02/14 16:09】 | 新聞記事から
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