「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
              嶋津 暉之

昨日開かれた淀川水系・大戸川ダムの検証に関する関係自治体の検討会議について毎日新聞と建設通信新聞の詳しい記事です。

◆大津・大戸川ダム 凍結解除も 近畿地整「治水、建設が有利」
(毎日新聞2016年2月8日 大阪夕刊)
http://mainichi.jp/articles/20160208/ddf/041/010/008000c

建設が凍結されている大戸(だいど)川ダム(大津市)計画の検証を進めている国土交通省近畿地方整備局は8日、コストや環境影響などを検討した結果、ダム建設がそれ以外の治水対策よりも有利とする評価案を大阪市内であった会合で明らかにした。

今後、関係自治体などに意見を聞き、内容次第では建設凍結解除に結びつく可能性がある。建設着手時期は淀川上流にある木津川、桂川の堤防整備状況などを見て決める方針。【衛藤達生】


大戸川ダムは国が1968年に予備計画調査に着手したが、2008年に整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」が「効果が限定的」として建設見直しを求めた。嘉田由紀子・滋賀県知事や橋下徹・大阪府知事(いずれも当時)らも建設凍結を求める共同見解を発表し、国交省が09年に事業の凍結を決めた。

一方、国は全国のダム事業の検証作業をスタート。大戸川ダムでは、ダムを建設する現行計画や、ダムを建設せずに河道の掘削や雨水貯留施設を設置するなどの手法を組み合わせた計9案を、コストや環境への影響など七つの評価項目で比較してきた。

会合で整備局側は、代替案のコストがダム建設の現行計画より少なくとも310億?2630億円上回ったと発表。他の評価項目も含めて総合的に検討した結果、ダム案が有利と結論付けた。事業継続の最終的な結論は、関係自治体や住民、学識者などに意見を聞き、国交省の有識者会議の議論を踏まえて判断する。

ダムの検証作業は全国の83事業を対象に行われ、既に71事業が終了。事業継続は八ッ場(やんば)ダム(群馬県)など47事業で、中止は北川ダム(滋賀県)など24事業、検証中は大戸川ダムを含めて12事業となっている。

「茶番だ」「歓迎」
ダム建設が有利とする案に、関係者からは賛否の声が上がった。
2001~07年に淀川水系流域委員会の委員を務めた水工技術研究所代表、今本博健・京都大名誉教授はこの日、会合を傍聴。
終了後の取材に「茶番劇だ。『大戸川ダムは必要だ』との前提で議論している」と憤り、「これまでは治水専用ダムだと経済的に不利としていた。条件は何も変わっていないのになぜ有利になるのか。ダムの方が安いという積算根拠も示されていない」と指摘した。
ダム建設計画に伴って集団移転した大津市大鳥居地区の青木洋治さん(62)は「ダム案が有利というのは素直に歓迎したいが、計画が二転三転してきた経緯を考えると、凍結が解除されるまで安心できない」といい、「住民の高齢化が進んでいる。国や自治体は今回の評価を重く受け止め、一刻も早く建設を進めてほしい」と話した。【山下貴史、田中将隆】


〇容認「別の議論」 三日月・滋賀知事

三日月大造・滋賀県知事は「国が予断なく検証した一つの結果と受けとめている」としたうえで、ダム建設を認めるかどうかについては「今後、また別の議論だ」と述べた。


〇大戸川ダム建設を巡る経緯〇

1968年 国が予備計画調査を開始

78年 国が実施計画調査を開始

89年 5月 建設事業着手

98年 3月 地元の大鳥居地区で住民移転完了

2003年 1月 国土交通省の諮問機関「淀川水系流域委員会」が「原則建設すべきでない」と提言

12月 流域委が「中止も選択肢の一つ」との意見書提出

05年 7月 国が建設凍結の方針示す

07年 8月 国が凍結方針を撤回、治水専用ダムを計画

08年 4月 流域委が「ダム建設は不適切」との中間意見書を提出

11月 滋賀、京都、大阪、三重の4府県知事が凍結を求める共同見解を公表

09年 3月 国交省が凍結を発表

16年 2月 国交省がダム建設有利との検討結果を公表

 =ことば=

大戸川ダム
 大津市南東部に国が計画している治水専用ダム。総貯水容量は約2200万立方メートルで、総事業費約3500億円のうち3分の1は滋賀、京都、大阪の3府県が負担する。用地取得は84%終了しているが、国土交通省近畿地方整備局が2011年から建設について検証していた。


◆大戸川治水対策ダム案が有利/洪水調節、コスト評価/近畿整備局
[建設通信新聞 2016-02-09 13面]
http://www.kensetsunews.com/?p=60916

 近畿地方整備局は8日、大阪市中央区の大阪合同庁舎で、淀川水系大戸川建設事業の「関係地方公共団体からなる検討の場」の初会合および第3回幹事会を開き=写真、大戸川ダム案を「最も有利な案」とする治水対策案の総合評価結果を報告した。今後は学識者や関係自治体、住民などへの意見聴取を経て、対応方針の原案を作成し、事業評価監視委員会の意見を聴きながら、対応方針案をまとめる。

 治水対策案の評価は、昨年11月に募集したパブリックコメントの意見も踏まえ、▽大戸川ダム(現行河川整備計画)▽河道掘削▽放水路▽遊水地▽瀬田川新堰▽既設ダムかさ上げ▽利水容量買い上げ▽流域を中心とした対策(水田の保全あり)▽同(同保全なし)の計9案で実施した。

 総合評価では、安全度(被害軽減効果)やコスト、実現性、持続性、柔軟性、地域社会への影響、環境への影響の各評価軸に沿って判断した。安全度を確保することを基本にした場合に、コスト面で最も有利な案が大戸川ダム案となったことが評価のポイントとなった。時間的な観点では、10年後に完全に効果を発現できる案はなかったものの、20年後に効果発現が見込める案として、「大戸川ダム」「瀬田川新堰」「既設ダムかさ上げ」「利水容量買い上げ」「流域対策の2案」を示した。

 そのほかの評価軸については、安全度およびコストの評価を覆す要素がないとして、事業が洪水調節を目的とする前提条件から、最も有利な案をダム案とすることを説明した。

 大戸川ダム事業は、1968年に予備計画調査を開始。73年に工事事務所を設置し実施計画調査に着手、99年に付帯県道大津信楽線の工事に着工した。今回の点検で総事業費は1163億円を試算、残事業費(16年度以降)は約478億円を見込む。

 2008年度に策定した淀川水系河川整備計画では、中・上流部の河川改修の進捗状況と、その影響を検証しながら、実施時期を検討する方針を打ち出していた。このため、ダム本体着工には同計画の変更が必要となる。

 ダム事業では、堤高67.5m、総貯水容量2190万m3、堤頂長200m、総貯水容量2210万m3の重力式コンクリートダムとして計画している。事業場所は大津市上田上牧町(左岸)および上田上桐生町(右岸)。

 15年3月末時点の事業の進捗率は、用地取得(163ha)が84%、移転補償(55戸)が100%、付替県道(9.5㎞)整備が60%となっている。 会合では、三日月大造滋賀県知事が「大戸川沿川への治水効果もあり、長年にわたり水害に苦しんできた地域の安全に貢献できる事業だ」と評価したほか、自然環境への影響についての検討なども同局に求めた。

 閉会に当たり、近畿整備局の山田邦博局長は「できるだけ早く検討を進め、対応方針案をまとめていきたい」とあいさつした。


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ダム建設計画に伴って集団移転した大津市大鳥居地区の青木洋治さん(62)は「ダム案が有利というのは素直に歓迎したいが、計画が二転三転してきた経緯を考えると、凍結が解除されるまで安心できない」といい、「住民の高齢化が進んでいる。国や自治体は今回の評価を重く受け止め、一刻も早く建設を進めてほしい」と話した。【山下貴史、田中将隆】


〇容認「別の議論」 三日月・滋賀知事

三日月大造・滋賀県知事は「国が予断なく検証した一つの結果と受けとめている」としたうえで、ダム建設を認めるかどうかについては「今後、また別の議論だ」と述べた。


〇大戸川ダム建設を巡る経緯〇

1968年 国が予備計画調査を開始

78年 国が実施計画調査を開始

89年 5月 建設事業着手

98年 3月 地元の大鳥居地区で住民移転完了

2003年 1月 国土交通省の諮問機関「淀川水系流域委員会」が「原則建設すべきでない」と提言

12月 流域委が「中止も選択肢の一つ」との意見書提出

05年 7月 国が建設凍結の方針示す

07年 8月 国が凍結方針を撤回、治水専用ダムを計画

08年 4月 流域委が「ダム建設は不適切」との中間意見書を提出

11月 滋賀、京都、大阪、三重の4府県知事が凍結を求める共同見解を公表

09年 3月 国交省が凍結を発表

16年 2月 国交省がダム建設有利との検討結果を公表

 =ことば=

大戸川ダム
 大津市南東部に国が計画している治水専用ダム。総貯水容量は約2200万立方メートルで、総事業費約3500億円のうち3分の1は滋賀、京都、大阪の3府県が負担する。用地取得は84%終了しているが、国土交通省近畿地方整備局が2011年から建設について検証していた。


◆大戸川治水対策ダム案が有利/洪水調節、コスト評価/近畿整備局
[建設通信新聞 2016-02-09 13面]
http://www.kensetsunews.com/?p=60916

 近畿地方整備局は8日、大阪市中央区の大阪合同庁舎で、淀川水系大戸川建設事業の「関係地方公共団体からなる検討の場」の初会合および第3回幹事会を開き=写真、大戸川ダム案を「最も有利な案」とする治水対策案の総合評価結果を報告した。今後は学識者や関係自治体、住民などへの意見聴取を経て、対応方針の原案を作成し、事業評価監視委員会の意見を聴きながら、対応方針案をまとめる。

 治水対策案の評価は、昨年11月に募集したパブリックコメントの意見も踏まえ、▽大戸川ダム(現行河川整備計画)▽河道掘削▽放水路▽遊水地▽瀬田川新堰▽既設ダムかさ上げ▽利水容量買い上げ▽流域を中心とした対策(水田の保全あり)▽同(同保全なし)の計9案で実施した。

 総合評価では、安全度(被害軽減効果)やコスト、実現性、持続性、柔軟性、地域社会への影響、環境への影響の各評価軸に沿って判断した。安全度を確保することを基本にした場合に、コスト面で最も有利な案が大戸川ダム案となったことが評価のポイントとなった。時間的な観点では、10年後に完全に効果を発現できる案はなかったものの、20年後に効果発現が見込める案として、「大戸川ダム」「瀬田川新堰」「既設ダムかさ上げ」「利水容量買い上げ」「流域対策の2案」を示した。

 そのほかの評価軸については、安全度およびコストの評価を覆す要素がないとして、事業が洪水調節を目的とする前提条件から、最も有利な案をダム案とすることを説明した。

 大戸川ダム事業は、1968年に予備計画調査を開始。73年に工事事務所を設置し実施計画調査に着手、99年に付帯県道大津信楽線の工事に着工した。今回の点検で総事業費は1163億円を試算、残事業費(16年度以降)は約478億円を見込む。

 2008年度に策定した淀川水系河川整備計画では、中・上流部の河川改修の進捗状況と、その影響を検証しながら、実施時期を検討する方針を打ち出していた。このため、ダム本体着工には同計画の変更が必要となる。

 ダム事業では、堤高67.5m、総貯水容量2190万m3、堤頂長200m、総貯水容量2210万m3の重力式コンクリートダムとして計画している。事業場所は大津市上田上牧町(左岸)および上田上桐生町(右岸)。

 15年3月末時点の事業の進捗率は、用地取得(163ha)が84%、移転補償(55戸)が100%、付替県道(9.5㎞)整備が60%となっている。 会合では、三日月大造滋賀県知事が「大戸川沿川への治水効果もあり、長年にわたり水害に苦しんできた地域の安全に貢献できる事業だ」と評価したほか、自然環境への影響についての検討なども同局に求めた。

 閉会に当たり、近畿整備局の山田邦博局長は「できるだけ早く検討を進め、対応方針案をまとめていきたい」とあいさつした。

【2016/02/09 09:41】 | 各地のダム情報
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