「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                 嶋津 暉之

佐賀県の直轄ダム「城原川ダム」の検証報告素案への意見募集と公聴会公述人の受付けが25日から始まりました。

◇九州地方整備局のHP
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kisyahappyou/h28/160125/index1.pdf 

意見募集や公聴会は通過儀礼として行われ、虚しいところがありますが、意見をきちんと出しておくことは必要です。
城原川ダムの問題点と伝統的な治水工法「野越し」については水源連のHPを参考にしてください。
http://suigenren.jp/news/2015/06/15/7423/    
http://suigenren.jp/news/2015/10/11/7969/
今回示された検証報告素案の問題点は後日、整理してお伝えします。

意見募集 と公聴会について佐賀新聞の記事によると、いかに通過儀礼の公聴会とはいえ、一人5分程度の公述で終わらせるというのですから、本当に形だけの手抜きの公聴会です。
住民軽視の姿勢がますますひどくなっています。

一週間前の記事ですが、佐賀県の直轄ダム「城原川ダム」の検証の進め方に疑問を呈する佐賀新聞の論説記事では、伝統的な治水工法「野越し」をきちんと評価せず、一方で、流水型ダム(穴あきダム)の問題を取り上げない検証のやり方を見直すことを求めています。まっとうな意見であると思います。

◆城原川ダム意見募集 九地整 来月には公聴会
(読売新聞滋賀版 2016年01月26日)
http://www.yomiuri.co.jp/local/saga/news/20160125-OYTNT50069.html

 国土交通省が建設の是非を再検証している城原川ダム(神埼市)について、国交省九州地方整備局は25日、洪水時のみに水をためる「流水型ダム」(穴あきダム)の建設が最も有利とする治水案を盛り込んだ検討報告書の素案について、意見募集を始めた。
(一部引用)

◆九州地方整備局「城原川ダム検証」意見募集 2月21、22日神埼、佐賀市で公聴会
(佐賀新聞2016年01月26日 10時01分)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/272285

意見発表は1人当たり5分程度で、応募用紙に必要事項を記入し、郵送やファクス、メールなどで18日までに申し込む。当日会場でも受け付けるが、発表は事前申し込みを優先する。
(一部引用)

◆佐賀県の城原川の治水対策 「ダム有利」の根拠 丁寧に説明を
(佐賀新聞2016年01月21日)
http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/270575

国の事業見直しの対象になっている城原川ダムをめぐり、流域自治体などでつくる「検討の場」の第3回会合が14日に開かれた。

国土交通省九州地方整備局(九地整)はコストや実現性の面から流水型ダム(穴あきダム)案を「最も有利」と評価し、ダム建設事業を継続する案を事実上支持した。事業主体がそのまま検証主体になって示した治水案で、市民団体からは「客観性を保証できるのか」という声も漏れる。

積算の根拠や流水型ダム自体の課題など、詳細で丁寧な説明が求められる。
河道改修と組み合わせた流水型ダム案は、2016年度以降の概算事業費が約510億円に上る。610億~700億円と試算している代替6案に比べて100億円以上少なく、維持管理費を勘案してもコストが最少と説明した。

この際、算定の根拠は明示しなかった。江戸初期の洪水対策の名残とされる越流堤「野越し」を組み合わせた代替案の費用の内訳も示さなかった。ダムに頼らず、野越しなどを生かす治水を探る市民団体「城原川を考える会」は「野越しの機能をきちんと評価していない。周囲に新設しようとしている『受け堤』を過大に見積もっているのでは」と疑問視していた。

検討の場を構成する佐賀県は代替案に関し、受け堤の長さや費用などを個別に確認しているという。こうした情報は市民向けにも細かに開示していくべきだろう。

「有利」とされた流水型ダムに関する情報も十分とは言えない。放流量を制御せず自然に流すため、貯水型に比べて下流や海の水質変化を抑える点が利点とされるが、流木や転石が放流口をふさぐ懸念は残る。一部でもふさげば上からあふれ、下流の水位や流量を急上昇させる可能性を指摘する学識者もいる。洪水への効果が実証されているか、益田川ダム(島根県)や辰巳ダム(石川県)など先行事例を踏まえた説明が欲しい。

日本は明治時代の河川法制定以降、洪水を河川やダムに封じ込める手法を軸に治水の安全度を高めてきたといわれる。その一方で、水害危険地域での開発を招き、ひとたび河川が氾濫すれば大きな被害をもたらすことになった。

欧米ではこうした教訓から、土地利用の規制や洪水時の受け皿になる氾濫(はんらん)原を復活させる取り組みが出てきているという。

日本では東日本大震災後、自民党政権下で「国土強靱(きょうじん)化」が唱えられ、大型公共事業を見直す論議は低調になった。豪雨の頻度が増えるなど近年の降雨特性の変化もあり、水害の制圧を目指す考え方はさらに強まってきている。

民主党政権時代の2010年にダム検証の対象になった83事業のうち昨年9月8日現在で47事業が継続、24事業が中止になり、12事業で検証が続く。城原川では、ダム計画の曲折に40年以上にわたって翻弄(ほんろう)され、早期の方針決定を求める水没予定地の住民の思いが絡み、治水の方法論だけを追究しづらい側面もある。どう折り合いをつけるかも、今後の焦点になる。

九地整は2月までに学識者への意見聴取や県民を対象にした公聴会を実施する。県内外を問わず、約1カ月にわたる書面での意見公募も予定している。特定の地域の問題と矮小(わいしょう)化せず、公共工事の在り方や身の回りの河川を見つめ直す機会にもしたい。(井上武)



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河道改修と組み合わせた流水型ダム案は、2016年度以降の概算事業費が約510億円に上る。610億~700億円と試算している代替6案に比べて100億円以上少なく、維持管理費を勘案してもコストが最少と説明した。

この際、算定の根拠は明示しなかった。江戸初期の洪水対策の名残とされる越流堤「野越し」を組み合わせた代替案の費用の内訳も示さなかった。ダムに頼らず、野越しなどを生かす治水を探る市民団体「城原川を考える会」は「野越しの機能をきちんと評価していない。周囲に新設しようとしている『受け堤』を過大に見積もっているのでは」と疑問視していた。

検討の場を構成する佐賀県は代替案に関し、受け堤の長さや費用などを個別に確認しているという。こうした情報は市民向けにも細かに開示していくべきだろう。

「有利」とされた流水型ダムに関する情報も十分とは言えない。放流量を制御せず自然に流すため、貯水型に比べて下流や海の水質変化を抑える点が利点とされるが、流木や転石が放流口をふさぐ懸念は残る。一部でもふさげば上からあふれ、下流の水位や流量を急上昇させる可能性を指摘する学識者もいる。洪水への効果が実証されているか、益田川ダム(島根県)や辰巳ダム(石川県)など先行事例を踏まえた説明が欲しい。

日本は明治時代の河川法制定以降、洪水を河川やダムに封じ込める手法を軸に治水の安全度を高めてきたといわれる。その一方で、水害危険地域での開発を招き、ひとたび河川が氾濫すれば大きな被害をもたらすことになった。

欧米ではこうした教訓から、土地利用の規制や洪水時の受け皿になる氾濫(はんらん)原を復活させる取り組みが出てきているという。

日本では東日本大震災後、自民党政権下で「国土強靱(きょうじん)化」が唱えられ、大型公共事業を見直す論議は低調になった。豪雨の頻度が増えるなど近年の降雨特性の変化もあり、水害の制圧を目指す考え方はさらに強まってきている。

民主党政権時代の2010年にダム検証の対象になった83事業のうち昨年9月8日現在で47事業が継続、24事業が中止になり、12事業で検証が続く。城原川では、ダム計画の曲折に40年以上にわたって翻弄(ほんろう)され、早期の方針決定を求める水没予定地の住民の思いが絡み、治水の方法論だけを追究しづらい側面もある。どう折り合いをつけるかも、今後の焦点になる。

九地整は2月までに学識者への意見聴取や県民を対象にした公聴会を実施する。県内外を問わず、約1カ月にわたる書面での意見公募も予定している。特定の地域の問題と矮小(わいしょう)化せず、公共工事の在り方や身の回りの河川を見つめ直す機会にもしたい。(井上武)


【2016/01/27 03:06】 | パブリックコメント
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