「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
             嶋津 暉之

気象の数値予報が随分進歩してきました。
しかし、気象の数値予報は進歩してきたけれども、鬼怒川水害の要因となった線状降水帯の長時間の居座りをどこまで予報できたのでしょうか。
予報の限界はいつまでもあるように思います。

◆(科学の扉)進化する数値予報 観測データから天気を算出
(朝日新聞2015年12月27日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12136340.html?rm=150

気温や気圧などの観測値を使い、スーパーコンピューターを使って天気を予報する「数値予報」。以前は予報官の経験にかなわなかったが、いまや日々の予報に欠かせない存在となった。さらに精度を高める取り組みや、計算結果を活用したきめ細かな気象サービスも広がっている。

日本でコンピューターによる数値予報がスタートしたのは、1959年。米国で世界で初めて実用化された4年後に、米国製の計算機を導入した。

ただ、しばらくは手書きで天気図を作る予報官の経験が勝っていた。計算のもとになるのは気象台や測候所、気球などによる観測データに限られていた。70年代に地域気象観測システム(アメダス)や気象衛星「ひまわり」の運用が始まったが、「80年代前半でも、数値予報は当たらない、と先輩から言われていた」と気象庁天気相談所の松本積(つもる)所長は振り返る。
その後、計算性能の向上と観測データの増加などで次第に進歩し、80年代後半からは数値予報が主流に。東京で翌日に雨が降るかどうかの予報の的中率は90年代初めは80%台前半だったが、最近は85%を超えている。

使われているのは「数値予報モデル」と呼ばれるプログラム。気温や気圧、風速、降水量などの観測データを入れ、物理法則や陸地や海などの地形の情報に基づいて、未来の大気の状態を算出。数時間から数日、数カ月先の変化を予測する。

計算に取り込む観測値は、気象レーダーや気象衛星などだけではなく、GPS衛星などが送受信する電波も活用されている。電波の速度が空気中の水蒸気で遅くなるなどの特性から、雨や雪の予測に重要な大気中の水蒸気量が推定できる。

一方、精度には限界がある。データを増やすほど計算に時間がかかり、計算結果には誤差もある。松本さんは「実際の予報を作る際は、数値予報をそのまま信用せず、知識や経験に基づいて人の手で補正している」と話す。

■精度の高さ追求

数値予報に使う気象庁のスーパーコンピューターは約5年ごとに更新されている。現在は9代目で、初代より計算速度が1千億倍速い。さらに2018年からの運用を計画する10代目では、9代目の6倍を目指す。

11月からメーカーとの検討が始まった。速度が上がれば、扱うデータ量も増やせる。今夏から本格運用が始まったひまわり8号はデータ量が7号の50倍に増えており、これを生かせるようにする。昨春打ち上げられた全球降水観測衛星(GPM衛星)などのデータも取り込む考えだ。

台風の強さの予測を出すのを現在の3日前から5日前に前倒しし、鬼怒川の決壊をもたらしたような豪雨も早く予測できるようにする。「最大でこれだけの雨が降る恐れがあると伝え、自治体や住民が早めに準備出来るようにしたい」と気象庁の永戸久喜・数値予報班長は話す。

モデルの改良も見すえる。現在は2キロ四方の細かさで予報しているが、局地的な豪雨をもたらす積乱雲などの予測には不十分という。気象研究所の斉藤和雄予報研究部長は「遠くない将来、1キロほどのモデルが使われるようになるだろう」と話す。

計算性能が向上した将来に向け、理化学研究所計算科学研究機構の三好建正(たけまさ)チームリーダーらは、スパコン「京(けい)」(神戸市)を使って研究している。大阪大などが実証実験中で、雲の変化を素早くとらえられる「フェーズドアレイ気象レーダー」のデータを活用。ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲の発生予測に向け「見通しが立ってきた」という。

■独自サービスも

気象庁の数値予報の結果は公開され、独自の気象サービスにも活用されている。

日本気象協会は、気象庁の結果を独自に計算、顧客が指定する場所の天気予報を提供している。東京スカイツリーを運営する「東武タワースカイツリー」も提供先の一つ。ツリーの高さごとの気温や風速、降水量などの予想を受け取る。同社の担当者は「エレベーターの運行や、着雪への備えに活用している」。

気象情報会社のハレックスも気象庁の結果を補正し、JR東日本や京浜急行に線路沿いの細かい予報などを提供している。ウェザーニューズは、ラグビーのワールドカップで活躍した日本代表に、英国の試合会場や練習場の天気や風の情報などを提供した。チームは、試合当日が雨の予報のときはボールをぬらして練習し、会場でよく吹く風向きから作戦を考えたという。

同社は米海洋大気局(NOAA)の数値予報のデータを使用。気象庁の予報も参考にしながら、予想を調整している。(福島慎吾)

<数値予報モデル> 仮想の空間を格子状に区切り、マス目ごとの気温、気圧、風などを計算するプログラムのこと。マス目は気象庁の初代計算機では381キロ四方だった。現在は地球全体のモデルで約20キロ四方、日本近辺のモデルで5キロ四方、2キロ四方が使われている。マス目が小さいほど細かく気象現象を表現できるが、膨大な計算量を素早く処理する必要がある。

<「リチャードソンの夢」> 英国の数学・気象学者リチャードソンが1922年、「劇場に6万4千人を集め、指揮者のもとで整然と手計算させれば予報ができる」と著書に記した。コンピューターがない時代に数値予報の構想を予言したこの言葉は「リチャードソンの夢」と呼ばれる。

<気象庁のスパコン> 気象庁のスパコンは以前は東京・大手町に置かれていた。現在運用中の9代目は東京都清瀬市の気象衛星センターにある。初代の計算機は現存していないが、開発したIBM社が引き渡しの際に気象庁に贈った「金色の鍵」が保管されている。


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その後、計算性能の向上と観測データの増加などで次第に進歩し、80年代後半からは数値予報が主流に。東京で翌日に雨が降るかどうかの予報の的中率は90年代初めは80%台前半だったが、最近は85%を超えている。

使われているのは「数値予報モデル」と呼ばれるプログラム。気温や気圧、風速、降水量などの観測データを入れ、物理法則や陸地や海などの地形の情報に基づいて、未来の大気の状態を算出。数時間から数日、数カ月先の変化を予測する。

計算に取り込む観測値は、気象レーダーや気象衛星などだけではなく、GPS衛星などが送受信する電波も活用されている。電波の速度が空気中の水蒸気で遅くなるなどの特性から、雨や雪の予測に重要な大気中の水蒸気量が推定できる。

一方、精度には限界がある。データを増やすほど計算に時間がかかり、計算結果には誤差もある。松本さんは「実際の予報を作る際は、数値予報をそのまま信用せず、知識や経験に基づいて人の手で補正している」と話す。

■精度の高さ追求

数値予報に使う気象庁のスーパーコンピューターは約5年ごとに更新されている。現在は9代目で、初代より計算速度が1千億倍速い。さらに2018年からの運用を計画する10代目では、9代目の6倍を目指す。

11月からメーカーとの検討が始まった。速度が上がれば、扱うデータ量も増やせる。今夏から本格運用が始まったひまわり8号はデータ量が7号の50倍に増えており、これを生かせるようにする。昨春打ち上げられた全球降水観測衛星(GPM衛星)などのデータも取り込む考えだ。

台風の強さの予測を出すのを現在の3日前から5日前に前倒しし、鬼怒川の決壊をもたらしたような豪雨も早く予測できるようにする。「最大でこれだけの雨が降る恐れがあると伝え、自治体や住民が早めに準備出来るようにしたい」と気象庁の永戸久喜・数値予報班長は話す。

モデルの改良も見すえる。現在は2キロ四方の細かさで予報しているが、局地的な豪雨をもたらす積乱雲などの予測には不十分という。気象研究所の斉藤和雄予報研究部長は「遠くない将来、1キロほどのモデルが使われるようになるだろう」と話す。

計算性能が向上した将来に向け、理化学研究所計算科学研究機構の三好建正(たけまさ)チームリーダーらは、スパコン「京(けい)」(神戸市)を使って研究している。大阪大などが実証実験中で、雲の変化を素早くとらえられる「フェーズドアレイ気象レーダー」のデータを活用。ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲の発生予測に向け「見通しが立ってきた」という。

■独自サービスも

気象庁の数値予報の結果は公開され、独自の気象サービスにも活用されている。

日本気象協会は、気象庁の結果を独自に計算、顧客が指定する場所の天気予報を提供している。東京スカイツリーを運営する「東武タワースカイツリー」も提供先の一つ。ツリーの高さごとの気温や風速、降水量などの予想を受け取る。同社の担当者は「エレベーターの運行や、着雪への備えに活用している」。

気象情報会社のハレックスも気象庁の結果を補正し、JR東日本や京浜急行に線路沿いの細かい予報などを提供している。ウェザーニューズは、ラグビーのワールドカップで活躍した日本代表に、英国の試合会場や練習場の天気や風の情報などを提供した。チームは、試合当日が雨の予報のときはボールをぬらして練習し、会場でよく吹く風向きから作戦を考えたという。

同社は米海洋大気局(NOAA)の数値予報のデータを使用。気象庁の予報も参考にしながら、予想を調整している。(福島慎吾)

<数値予報モデル> 仮想の空間を格子状に区切り、マス目ごとの気温、気圧、風などを計算するプログラムのこと。マス目は気象庁の初代計算機では381キロ四方だった。現在は地球全体のモデルで約20キロ四方、日本近辺のモデルで5キロ四方、2キロ四方が使われている。マス目が小さいほど細かく気象現象を表現できるが、膨大な計算量を素早く処理する必要がある。

<「リチャードソンの夢」> 英国の数学・気象学者リチャードソンが1922年、「劇場に6万4千人を集め、指揮者のもとで整然と手計算させれば予報ができる」と著書に記した。コンピューターがない時代に数値予報の構想を予言したこの言葉は「リチャードソンの夢」と呼ばれる。

<気象庁のスパコン> 気象庁のスパコンは以前は東京・大手町に置かれていた。現在運用中の9代目は東京都清瀬市の気象衛星センターにある。初代の計算機は現存していないが、開発したIBM社が引き渡しの際に気象庁に贈った「金色の鍵」が保管されている。

【2016/01/08 00:58】 | 新聞記事から
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