「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
          嶋津 暉之

老朽化した水道管からの水漏れに悩む水道事業体が予算不足で管の更新がなかなか進まない全国の実態を取り上げた朝日新聞の記事です。
このような状態になることを見通すことなく、水道事業の拡張をひたすら続けてきた結果という面もあります。水道事業拡張のため、井戸という自己水源の切り捨ても行われてきました。

この記事で談話が紹介されている滝沢智東京大学教授は厚労省の新水道ビジョン策定検討会の座長であった人です。余談ですが、新水道ビジョンの本質は水需要減少の時代に「危機管理」などを理由にして、水道業界のために水道事業への投資をいかに維持するかを企図したことにあります。
また、滝沢智氏は石木ダムの事業認定において佐世保市の架空水需要予測にお墨付きを与えた人物です。

この問題に関しては、石木ダム事業認定に関する「科学者の会」の公開質問書(滝沢智東大教授と小泉明首都大学東京教授に対して)をご覧ください。
 ↓
http://suigenren.jp/news/2014/06/03/5410/ 

なお、この記事で、八ッ場ダム予定地の群馬県長野原町の上水道の無効率が58.76%もあることに驚かされます。ただし、長野原町の人口6026人に対して給水人口は1614人ですから(平成25年度)、上水道でカバーしている割合は27%です。


◆水道管、更新予算ない 調査を先送り・修繕に追われ
(朝日新聞2016年1月4日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12143045.html?rm=150

老朽化した水道管からの水漏れに悩む自治体などの事業体。管の更新が有効な水漏れ対策だとわかっていても、予算不足でなかなか進まない。

鳥取県大山(だいせん)町。2013年春から続いた漏水場所を特定するまで約1年7カ月間、水道水が農業用水路に漏れ続けた。1時間あたりの送水量が、水の使用が減る深夜でも通常の2倍に増え、漏水を疑っていた。だが、断水を伴う調査を先送りし、断水をしなくても済む漏水調査も予算不足で着手できなかったという。

14年11月に本格的な調査に乗りだし、職員数人が探知機を路面に当てて歩き回って漏水場所を突き止めた。この地区の13年度の給水原価から計算すると、漏れた水は1年間で約4200万円分に相当する。
宇都宮市から北東へ約30キロ。農地や工業団地が点在する栃木県那須烏山市では、13年度の無効率が31%だった。それでも、14年度から使用量が少ない世帯の基本料金を半額近くに値下げした。老朽管の更新より住民の負担軽減を優先したからだ。入院中の高齢者ら水を使わない人も増え、値下げを求める声が出ていたという。

水道事業にはここ数年、一般会計から5千万~8千万円ずつを繰り入れてしのいできた。だが、修繕に追われて計画的な更新は進まない。大谷(おおや)範雄市長は「住民にこれ以上負担をかけられず、先に値下げを決めた。来年度こそ計画を具体化したい」と話す。


■自治体、事業統合も

一方、人口減の影響を見据えて長期的な対策を打つ事業体も出てきた。岩手県北上市と花巻市、紫波町は14年4月、水道事業を統合し、「岩手中部水道企業団」をつくった。浄水場を34から22にするなど施設を減らしながら更新を進める。38年までに給水にかかるコストを最大で3割抑え、60年間で更新を終える青写真を描く。

3市町では、老朽化した水道管の漏水が頻発。一方で、人口減から水道料金収入は減少し、紫波町では、水道管の更新の完了に333年かかる計算だった。「どれだけ施設を縮小できるかを考えないと、経営がもたない」。同企業団の菊池明敏局長は自治体連携の意義を強調する。

東京大大学院の滝沢智教授(環境工学)は「長期的な更新計画をつくった上で、水道施設の規模の適正化や水道事業の自治体間の連携を考える必要がある」と指摘する。厚生労働省は1月、水道事業の経営強化策を話し合う会議で、効率的な投資を促す中間報告をまとめる。


■水道管の耐震、14年度は36%

厚生労働省は、全国の水道管で震度6強程度の揺れに耐えられるのは、2014年度末で36・0%だったとの調査結果を発表した。前年度より1・2ポイント増えたが、22年度末までに50%以上にする国の目標に対し、低い水準が続いている。

浄水施設や配水池を結ぶ主要な配管について、地盤条件なども踏まえて耐震性を評価する「耐震適合率」を調べた。総延長約9万7千キロのうち、基準を満たしていたのは約3万5千キロ。都道府県別で高かったのは神奈川64・5%、愛知55・4%、千葉53・7%など、低かったのは和歌山22・9%、愛媛と鹿児島23・2%など。


■10年後、各地で噴水も

関西学院大の石原俊彦教授(公共経営論)の話 一般的に水道管の耐用年数は40年と言われているが、更新できずに50~60年使われることもあり、こうした水道管がいま本当の限界を迎えている。10年後には、いたるところで噴水状態になりかねない。更新費用を積み立てていないと10年後に手遅れになる。将来世代にツケを回すのか否か、選択が迫られている。


■無効率30%超の56事業体(2013年度。水道統計から)

事業体 割合(%)

<北海道>

羽幌町 35.49

足寄町 30.21

赤平市 30.91

厚岸町 30.68

北見市(留辺蘂) 33.28

鹿部町 33.93

津別町 43.74

羅臼町 48.67

当麻町 36.28

<青森県>

鰺ケ沢町 33.92

久吉ダム水道企業団 32.52

<宮城県>

色麻町 33.54

<秋田県>

羽後町 31.78

<茨城県>

桜川市 31.24

<栃木県>

那須烏山市 31.18

那須町 30.66

栃木市(都賀) 38.96

<群馬県>

下仁田町 39.57

明和町 30.06

長野原町 58.76

嬬恋村 47.82

<新潟県>

佐渡市(両津) 30.76

<石川県>

能登町 39.19

<福井県>

大野市 34.76

<山梨県>

都留市 33.16

韮崎市 35.56

<長野県>

安曇野市(穂高) 30.51

上田市(丸子) 30.17

安曇野市(明科) 46.17

原村 38.99

茅野市(白樺湖) 31.25

上田市(菅平) 59.65

(株)蓼科ビレッジ 33.75

東急不動産(株) 44.75

鹿島リゾート(株) 54.80

<岐阜県>

揖斐川町 54.25

大野町 33.84

北方町 31.63

<静岡県>

(株)ICP 38.63

伊豆市 33.65

<三重県>

紀北町 44.16

紀宝町 31.35

<滋賀県>

長浜水道企業団(浅井) 30.77

<兵庫県>

神戸市(六甲山) 43.13

新温泉町 31.65

<和歌山県>

高野町 35.61

那智勝浦町 30.84

上富田町 34.72

<鳥取県>

智頭町 36.61

大山町(中山) 40.00

<山口県>

長門市(油谷) 31.84

<徳島県>

阿波市 32.99

<長崎県>

西海市(大瀬戸) 30.42

<熊本県>

山都町 38.45

<大分県>

竹田市 31.33

<宮崎県>

都農町 30.65


追記を閉じる▲
宇都宮市から北東へ約30キロ。農地や工業団地が点在する栃木県那須烏山市では、13年度の無効率が31%だった。それでも、14年度から使用量が少ない世帯の基本料金を半額近くに値下げした。老朽管の更新より住民の負担軽減を優先したからだ。入院中の高齢者ら水を使わない人も増え、値下げを求める声が出ていたという。

水道事業にはここ数年、一般会計から5千万~8千万円ずつを繰り入れてしのいできた。だが、修繕に追われて計画的な更新は進まない。大谷(おおや)範雄市長は「住民にこれ以上負担をかけられず、先に値下げを決めた。来年度こそ計画を具体化したい」と話す。


■自治体、事業統合も

一方、人口減の影響を見据えて長期的な対策を打つ事業体も出てきた。岩手県北上市と花巻市、紫波町は14年4月、水道事業を統合し、「岩手中部水道企業団」をつくった。浄水場を34から22にするなど施設を減らしながら更新を進める。38年までに給水にかかるコストを最大で3割抑え、60年間で更新を終える青写真を描く。

3市町では、老朽化した水道管の漏水が頻発。一方で、人口減から水道料金収入は減少し、紫波町では、水道管の更新の完了に333年かかる計算だった。「どれだけ施設を縮小できるかを考えないと、経営がもたない」。同企業団の菊池明敏局長は自治体連携の意義を強調する。

東京大大学院の滝沢智教授(環境工学)は「長期的な更新計画をつくった上で、水道施設の規模の適正化や水道事業の自治体間の連携を考える必要がある」と指摘する。厚生労働省は1月、水道事業の経営強化策を話し合う会議で、効率的な投資を促す中間報告をまとめる。


■水道管の耐震、14年度は36%

厚生労働省は、全国の水道管で震度6強程度の揺れに耐えられるのは、2014年度末で36・0%だったとの調査結果を発表した。前年度より1・2ポイント増えたが、22年度末までに50%以上にする国の目標に対し、低い水準が続いている。

浄水施設や配水池を結ぶ主要な配管について、地盤条件なども踏まえて耐震性を評価する「耐震適合率」を調べた。総延長約9万7千キロのうち、基準を満たしていたのは約3万5千キロ。都道府県別で高かったのは神奈川64・5%、愛知55・4%、千葉53・7%など、低かったのは和歌山22・9%、愛媛と鹿児島23・2%など。


■10年後、各地で噴水も

関西学院大の石原俊彦教授(公共経営論)の話 一般的に水道管の耐用年数は40年と言われているが、更新できずに50~60年使われることもあり、こうした水道管がいま本当の限界を迎えている。10年後には、いたるところで噴水状態になりかねない。更新費用を積み立てていないと10年後に手遅れになる。将来世代にツケを回すのか否か、選択が迫られている。


■無効率30%超の56事業体(2013年度。水道統計から)

事業体 割合(%)

<北海道>

羽幌町 35.49

足寄町 30.21

赤平市 30.91

厚岸町 30.68

北見市(留辺蘂) 33.28

鹿部町 33.93

津別町 43.74

羅臼町 48.67

当麻町 36.28

<青森県>

鰺ケ沢町 33.92

久吉ダム水道企業団 32.52

<宮城県>

色麻町 33.54

<秋田県>

羽後町 31.78

<茨城県>

桜川市 31.24

<栃木県>

那須烏山市 31.18

那須町 30.66

栃木市(都賀) 38.96

<群馬県>

下仁田町 39.57

明和町 30.06

長野原町 58.76

嬬恋村 47.82

<新潟県>

佐渡市(両津) 30.76

<石川県>

能登町 39.19

<福井県>

大野市 34.76

<山梨県>

都留市 33.16

韮崎市 35.56

<長野県>

安曇野市(穂高) 30.51

上田市(丸子) 30.17

安曇野市(明科) 46.17

原村 38.99

茅野市(白樺湖) 31.25

上田市(菅平) 59.65

(株)蓼科ビレッジ 33.75

東急不動産(株) 44.75

鹿島リゾート(株) 54.80

<岐阜県>

揖斐川町 54.25

大野町 33.84

北方町 31.63

<静岡県>

(株)ICP 38.63

伊豆市 33.65

<三重県>

紀北町 44.16

紀宝町 31.35

<滋賀県>

長浜水道企業団(浅井) 30.77

<兵庫県>

神戸市(六甲山) 43.13

新温泉町 31.65

<和歌山県>

高野町 35.61

那智勝浦町 30.84

上富田町 34.72

<鳥取県>

智頭町 36.61

大山町(中山) 40.00

<山口県>

長門市(油谷) 31.84

<徳島県>

阿波市 32.99

<長崎県>

西海市(大瀬戸) 30.42

<熊本県>

山都町 38.45

<大分県>

竹田市 31.33

<宮崎県>

都農町 30.65

【2016/01/05 01:45】 | 新聞記事から
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック