「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
  嶋津 暉之

今本博健・京都大学名誉教授が今日の朝日新聞「私の視点」で、鬼怒川水害問題の核心を突く意見を書かれています。

◆(私の視点)洪水被害 可能な対策の積み上げを 今本博健
(朝日新聞 2015年10月24日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12031673.html

9月に起きた鬼怒川の越水や堤防決壊で感じたのは、ダムによる治水には限界があること、堤防整備の遅れが被害を招き、浸水危険地の乱開発と災害時の対応の混乱が被害を拡大した、ということだ。

鬼怒川の上流には四つのダムがある。今回、そこで水をためることでダムより約15キロ下流では、水位を2・7メートル低下させた。だが、さらに約100キロ下流の破堤地点では0・3メートルしか下げられず、越水や破堤を防ぐことはできなかった。

今回は茨城県常総市の三坂町地先で破堤し、同市内や筑西市内で越水した。河川管理施設等構造令は堤防の高さを、安全に流せる「計画高水位」に余裕高1・5メートルを加えたものにする、と定めている。

ところが国土交通省の公表によれば、今回の付近の最高水位は計画高水位を最大1・17メートル超えただけだ。構造令通りの高さに整備されていれば、越水や破堤は起きなかったかもしれない。

また、決壊地点の堤防の最上部(天端)の幅は4メートルだったが、構造令に従えば、6メートルでなければならない。高さと幅の不足が原因で、破堤を防げなかった可能性もある。

日本を代表する利根川水系の中でも大支川の鬼怒川で、なぜ不完全な堤防が放置されていたのか。利根川水系では全体の基本方針こそ2006年に策定されたが、川ごとの具体的な整備計画は13年に利根川・江戸川分を決め、八ツ場ダムや江戸川スーパー堤防などを位置づけただけ。鬼怒川などの支川は未策定だ。

維持管理でしのごうとしたが、それだけで不完全堤防が解消されるはずがない。同様の不完全堤防は全国で1600キロもある。早急に整備計画を策定して堤防整備を進めなければ、越水や破堤が繰り返されるだろう。

もちろん、堤防が構造令通りに整備されたからといって、安心はできない。土砂を盛り上げただけの堤防は、計画高水位以下でも容易に破堤する。住民の命を守るには越水にも耐える補強が必要だ。

鋼矢板を堤防の天端の両側から打ち込めば越水に耐えることは、東日本大震災で証明されている。国交省は土の堤防が原則というが、原則にこだわらず、補強を積極的に推進すべきだ。

今回の被害の拡大は、浸水危険地の宅地化とも関係している。避難指示の伝達などソフト面の改善とともに、滋賀県が進めるような土地利用の規制を盛り込んだ流域治水を普及させるべきだ。洪水は自然現象であり、一定の洪水規模を想定して対策を立てても、計画を超える洪水は今後も発生し続ける。

対象洪水にとらわれず、実現可能な対策を積み上げる「非定量治水」に転換しなければ同じことが繰り返されるだけだ。

(いまもとひろたけ 京都大学名誉教授〈河川工学〉)


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もちろん、堤防が構造令通りに整備されたからといって、安心はできない。土砂を盛り上げただけの堤防は、計画高水位以下でも容易に破堤する。住民の命を守るには越水にも耐える補強が必要だ。

鋼矢板を堤防の天端の両側から打ち込めば越水に耐えることは、東日本大震災で証明されている。国交省は土の堤防が原則というが、原則にこだわらず、補強を積極的に推進すべきだ。

今回の被害の拡大は、浸水危険地の宅地化とも関係している。避難指示の伝達などソフト面の改善とともに、滋賀県が進めるような土地利用の規制を盛り込んだ流域治水を普及させるべきだ。洪水は自然現象であり、一定の洪水規模を想定して対策を立てても、計画を超える洪水は今後も発生し続ける。

対象洪水にとらわれず、実現可能な対策を積み上げる「非定量治水」に転換しなければ同じことが繰り返されるだけだ。

(いまもとひろたけ 京都大学名誉教授〈河川工学〉)

【2015/10/25 00:35】 | 新聞記事から
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