「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                   嶋津 暉之

二日にわたり東京新聞茨城版が、鬼怒川水害の被害の全体像を報じています

◆鬼怒川決壊1カ月(上) 今も避難 400人超
(東京新聞茨城版2015年10月11日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201510/CK2015101102000153.html

 関東・東北水害の発生から十日で一カ月。県内では鬼怒川が決壊し、常総市内を中心に大きな爪痕を残した。電気や水などは復旧したが、いまだ四百人以上が避難所生活を続け、医療機関の診療活動は限られる。依然として復旧は道半ばで、日常生活は戻っていない。 (宮本隆康)

〇住宅 被害7000棟超

 住宅被害は十日現在で、常総市を中心に全壊が五十棟、大規模半壊、半壊が計四千十三棟。全半壊に至らない床上浸水、床下浸水も合わせると、計七千棟以上が被災した。常総市内の集合住宅は調査中で、さらに被害は増える見通しだ。

 避難者数はピークの約一万人から大幅に減っているものの、市によると十日現在、四百八人の常総市民が、市内外の避難所十一カ所に身を寄せている。

 県は、民間賃貸住宅の「みなし仮設」と公的住宅の計約五百戸を市内外に用意した。十日現在、二百一世帯が入居を申し込み、四世帯がつくば市の住宅に入居が決まった。

 入居が遅れているのは、申し込み相談会が当初の予定日までに終わらなかったり、罹災(りさい)証明がまだ出ていないことなどが原因。県の担当者は「住宅を割り振り、十日ごろから住民に提示する。入居の本格化は、十七日ごろから」と話す。

 見舞金などの給付基準になる「大規模半壊」と「半壊」の判定をめぐり、住民から苦情も出ている。水害の場合の主な基準は、高さ一メートルの床上浸水の有無。「十センチでも一メートル以上でも、壁を直さなければいけないのは同じ。改修費は変わらないのに」という不満だ。

〇常総の医療機関 機器不足も外来再開

 常総市内では、冠水したきぬ医師会病院と水海道さくら病院が、外来診療を再開した。しかし、ともに水没で失った医療機器は一部しかそろっておらず、建物は復旧工事中。まだ診療活動は限られる。県保健所によると、市内十二カ所の診療所も冠水して再開していない。

 市内最大規模のきぬ医師会病院は、建物の一角で外来診療を再開。テントを張って待合所にしている。検査機器が足りず、患者の症状によっては他病院を紹介するしかない状態だ。

 十一月中に検査機器をそろえ、十二月にも入院患者の受け入れ再開を見込む。救急の再開は、さらに先になるという。

 建物の改修や高額な医療機器の購入など、復旧費用が重くのしかかる。被害額は概算で、きぬ医師会病院は約十三億円、水海道さくら病院は約八億円とみている。災害時に被害の半分を補助する国の制度はあるが、対象は原則、建物のみで医療機器がどこまで含まれるかは不確定。

〇ボランティア 延べ2万8000人に

 これまで県と常総市の災害ボランティアセンターで延べ二万八千人のボランティアを受け付けた。現在も平日は四百人、週末には千人前後が市内で活動している。

 滝本栄センター長は「片付けたごみの整理や家屋の清掃など、まだまだ人手が求められている。十一月末か十二月初旬ごろからは、被災者の生活支援が必要になるだろう」と話している。

〇常総市長「課題は生活復旧」

 常総市では十日、災害対策本部会議が開かれ、いまだ四百人を超す被災者が避難所で暮らす現状を踏まえ、住民の健康管理や精神的ストレスなどへの対応について協議した。

 会議終了後、取材に応じた高杉徹市長は「避難所だけでなく、在宅で困難な生活を送っている人も含め、ケアする体制づくりを進めていく」と強調した。既に医師や看護師がチームを組み、要援護者がいる世帯を一軒ずつ巡回して、体調をチェックしているという。

 高杉市長は「市民生活の復旧が最大の課題。今までの生活に一日でも早く戻れるよう、住宅の確保などを全力で進めていきたい」と話した。また、もう一つの課題として産業の復興を挙げ、「大きな打撃を受けた農商工業を支援する体制づくりを進めたい。国にも財政支援を求めていく」と述べた。特に農業について、来年のコメの作付けに間に合うよう農地や水路の整備を進める考えを示した。

 高杉市長は「市の人口六万人の半数が被害に遭ったのは、歴史的に初めて。市だけでは対応できず、今後も多くのボランティアに支援してもらいながら、県や周辺自治体と連携して困難に立ち向かっていきたい」と力を込めた。 (成田陽子)


◆鬼怒川決壊1カ月(下)被害額莫大 復旧影響も 関鉄・常総線通常ダイヤ未定
(東京新聞茨城版2015年10月12日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201510/CK2015101202000162.html

 関東・東北水害の発生から一カ月がたち、農業、商工業の被害が次第に明らかになってきた。損害額は莫大(ばくだい)で、今後の復旧の道筋に影を落としかねない。関東鉄道常総線は一カ月ぶりに全線で開通したものの、運行本数を大幅に減らすなど、通常の運行ダイヤからは程遠い状況だ。 (宮本隆康)

〇商工業 被害総額100億円超か

 商工業の被害額はまだ分かっていない。県の調査では、県内商工業者の被害額は、常総市を除く十七自治体で計十九億円。常総市では、調査途中でも六十億円を超える。「最終的には百億円を超す」とみられている。常総市商工会は、鬼怒川が決壊した市内東側の約一千社を調査している。回答のあった約五百社で計六十二億円。製品、機械、社有車などが冠水で被害を受けた。製造ラインの機械や建設用の重機などは高額で、被害が数億円に上る企業もあるという。

 調査の担当者は「被災した自宅の片付けに追われ、具体的な事業再建への動きは少ない。二重ローン覚悟で事業を継続する企業が多いが、業種を問わず、高齢で廃業も考える経営者はいる」と指摘する。

 床上浸水の被害を受けた市役所近くの商店主も「高齢化で後継者がいないと、改修費を投資しても回収できない。何人かは閉店を考えているようだ。商店街がなくなってしまう」と悲鳴を上げる。

〇農業 離農、来年の耕作懸念

 農作物や機械、設備など農業被害額は、五日現在で計百十三億円に上る。農作物被害は三十二億円だが、このほかにも、収穫後に倉庫で水浸しになったコメの問題が浮上。常総市内の五百四十戸で計二億三千万円に上る。収穫後は農業共済制度の補償対象外のため、県や県農業共済組合連合会が国に救済を訴えている。

 トラクターやコンバインなど、農業機械約千六百台が失われた影響も大きい。被害額は、四百六戸で計二十八億円。離農が懸念され、来年の耕作が不安視されている。

 コメ農家は小規模兼業が多く、数百万円の機械を買い替えられず、離農が相次ぐ可能性がある。大規模な専業農家も被害が大きければ、離農者の農地を引き受けられない。

 水田が冠水した石下地区の兼業農家の男性は「機械を失った兼業農家の一、二割は、やめるのでは」と語る。約一千万円のトラクターが水没し、高齢のため廃業を考えている専業農家もいるという。大規模農家が廃業すれば、大量の耕作放棄地が出る可能性もある。

 県の担当者からは「農家の支援は、来年の耕作に間に合わせなければいけない」と焦りも聞かれる。


〇交通 いまだ寸断の県道も

 常総市内を南北に走る関東鉄道常総線は、水海道-下妻駅間で運休が続いていたが、応急復旧工事が終わり、十日に全線で運転を再開した。しかし今回、開通した区間などは通常の三割程度の本数で、通常ダイヤに戻る日は未定という。

 また、同市内の鬼怒川決壊場所に近い県道は、地盤ごと流され、寸断されたまま。県道と接する私有地も一体で復旧工事をするため、市が調整中で、まだ着工もされていない。



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 見舞金などの給付基準になる「大規模半壊」と「半壊」の判定をめぐり、住民から苦情も出ている。水害の場合の主な基準は、高さ一メートルの床上浸水の有無。「十センチでも一メートル以上でも、壁を直さなければいけないのは同じ。改修費は変わらないのに」という不満だ。

〇常総の医療機関 機器不足も外来再開

 常総市内では、冠水したきぬ医師会病院と水海道さくら病院が、外来診療を再開した。しかし、ともに水没で失った医療機器は一部しかそろっておらず、建物は復旧工事中。まだ診療活動は限られる。県保健所によると、市内十二カ所の診療所も冠水して再開していない。

 市内最大規模のきぬ医師会病院は、建物の一角で外来診療を再開。テントを張って待合所にしている。検査機器が足りず、患者の症状によっては他病院を紹介するしかない状態だ。

 十一月中に検査機器をそろえ、十二月にも入院患者の受け入れ再開を見込む。救急の再開は、さらに先になるという。

 建物の改修や高額な医療機器の購入など、復旧費用が重くのしかかる。被害額は概算で、きぬ医師会病院は約十三億円、水海道さくら病院は約八億円とみている。災害時に被害の半分を補助する国の制度はあるが、対象は原則、建物のみで医療機器がどこまで含まれるかは不確定。

〇ボランティア 延べ2万8000人に

 これまで県と常総市の災害ボランティアセンターで延べ二万八千人のボランティアを受け付けた。現在も平日は四百人、週末には千人前後が市内で活動している。

 滝本栄センター長は「片付けたごみの整理や家屋の清掃など、まだまだ人手が求められている。十一月末か十二月初旬ごろからは、被災者の生活支援が必要になるだろう」と話している。

〇常総市長「課題は生活復旧」

 常総市では十日、災害対策本部会議が開かれ、いまだ四百人を超す被災者が避難所で暮らす現状を踏まえ、住民の健康管理や精神的ストレスなどへの対応について協議した。

 会議終了後、取材に応じた高杉徹市長は「避難所だけでなく、在宅で困難な生活を送っている人も含め、ケアする体制づくりを進めていく」と強調した。既に医師や看護師がチームを組み、要援護者がいる世帯を一軒ずつ巡回して、体調をチェックしているという。

 高杉市長は「市民生活の復旧が最大の課題。今までの生活に一日でも早く戻れるよう、住宅の確保などを全力で進めていきたい」と話した。また、もう一つの課題として産業の復興を挙げ、「大きな打撃を受けた農商工業を支援する体制づくりを進めたい。国にも財政支援を求めていく」と述べた。特に農業について、来年のコメの作付けに間に合うよう農地や水路の整備を進める考えを示した。

 高杉市長は「市の人口六万人の半数が被害に遭ったのは、歴史的に初めて。市だけでは対応できず、今後も多くのボランティアに支援してもらいながら、県や周辺自治体と連携して困難に立ち向かっていきたい」と力を込めた。 (成田陽子)


◆鬼怒川決壊1カ月(下)被害額莫大 復旧影響も 関鉄・常総線通常ダイヤ未定
(東京新聞茨城版2015年10月12日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201510/CK2015101202000162.html

 関東・東北水害の発生から一カ月がたち、農業、商工業の被害が次第に明らかになってきた。損害額は莫大(ばくだい)で、今後の復旧の道筋に影を落としかねない。関東鉄道常総線は一カ月ぶりに全線で開通したものの、運行本数を大幅に減らすなど、通常の運行ダイヤからは程遠い状況だ。 (宮本隆康)

〇商工業 被害総額100億円超か

 商工業の被害額はまだ分かっていない。県の調査では、県内商工業者の被害額は、常総市を除く十七自治体で計十九億円。常総市では、調査途中でも六十億円を超える。「最終的には百億円を超す」とみられている。常総市商工会は、鬼怒川が決壊した市内東側の約一千社を調査している。回答のあった約五百社で計六十二億円。製品、機械、社有車などが冠水で被害を受けた。製造ラインの機械や建設用の重機などは高額で、被害が数億円に上る企業もあるという。

 調査の担当者は「被災した自宅の片付けに追われ、具体的な事業再建への動きは少ない。二重ローン覚悟で事業を継続する企業が多いが、業種を問わず、高齢で廃業も考える経営者はいる」と指摘する。

 床上浸水の被害を受けた市役所近くの商店主も「高齢化で後継者がいないと、改修費を投資しても回収できない。何人かは閉店を考えているようだ。商店街がなくなってしまう」と悲鳴を上げる。

〇農業 離農、来年の耕作懸念

 農作物や機械、設備など農業被害額は、五日現在で計百十三億円に上る。農作物被害は三十二億円だが、このほかにも、収穫後に倉庫で水浸しになったコメの問題が浮上。常総市内の五百四十戸で計二億三千万円に上る。収穫後は農業共済制度の補償対象外のため、県や県農業共済組合連合会が国に救済を訴えている。

 トラクターやコンバインなど、農業機械約千六百台が失われた影響も大きい。被害額は、四百六戸で計二十八億円。離農が懸念され、来年の耕作が不安視されている。

 コメ農家は小規模兼業が多く、数百万円の機械を買い替えられず、離農が相次ぐ可能性がある。大規模な専業農家も被害が大きければ、離農者の農地を引き受けられない。

 水田が冠水した石下地区の兼業農家の男性は「機械を失った兼業農家の一、二割は、やめるのでは」と語る。約一千万円のトラクターが水没し、高齢のため廃業を考えている専業農家もいるという。大規模農家が廃業すれば、大量の耕作放棄地が出る可能性もある。

 県の担当者からは「農家の支援は、来年の耕作に間に合わせなければいけない」と焦りも聞かれる。


〇交通 いまだ寸断の県道も

 常総市内を南北に走る関東鉄道常総線は、水海道-下妻駅間で運休が続いていたが、応急復旧工事が終わり、十日に全線で運転を再開した。しかし今回、開通した区間などは通常の三割程度の本数で、通常ダイヤに戻る日は未定という。

 また、同市内の鬼怒川決壊場所に近い県道は、地盤ごと流され、寸断されたまま。県道と接する私有地も一体で復旧工事をするため、市が調整中で、まだ着工もされていない。


【2015/10/13 00:43】 | 新聞記事から
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