「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
             嶋津 暉之

上水道事業は、設備の老朽化に加え、人口減少による収益の悪化、料金値上げという悪循環に直面しているという問題を取り上げた記事です。
この記事の最後の<考論>は首を傾げます。
この問題は構造的な問題であって、水道を民営化すれば解決できるような問題ではありません。

◆(人口減にっぽん)水道代、一気に3割上げ 隣接市と事業統合困難
(朝日新聞2015年9月7日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11951998.html

生活に欠かせない「命のインフラ」である上水道事業は、設備の老朽化に加え、人口減少による収益の悪化、料金値上げという悪循環に直面している。どうすれば次世代に引き継げるのか。住民自らが考える取り組みも始まっている。

北海道美唄(びばい)市は10月、水道料金を33年ぶりに値上げする。上げ幅は30%。月10立方メートル使う家庭だと料金は月2457円で、567円の負担増となる。かつて炭鉱で栄えた市も閉山で過疎化が進み、ピークの1956年に約9万2千人いた人口は約2万4千人に減った。料金収入が細る一方、老朽化した水道管や設備の更新費用などが膨らみ値上げは避けられないと判断した。
市内で飲食店を経営する男性(42)は「食材や電気代も上がり、水道代もでは痛い」と話す。この店の年間の水道料は約50万~60万円で、値上げで十数万円の負担増になる。

人口減や節水技術の普及に伴う水道事業の収益悪化に歯止めをかける取り組みの一つに、広域的な水道の統合による効率化があるが、それも簡単ではない。

美唄市は隣接する岩見沢、三笠両市と水道事業の統合を協議中だが、8月5日の市の説明会では、住民から「岩見沢とは料金の差が大きく、統合は難しいのでは」との声があがった。美唄が値上げすると、岩見沢市より料金が5割も高くなるためだ。

香川県は、3年後をめどに広域水道事業体を設立し、岡山側から受水する直島町を除く全16市町の水道事業を統合し、料金も統一する計画だ。広域化で施設や職員の数を減らし、将来の水道料金の大幅値上げを防ごうというねらいだ。

だが、今春に設立した準備協議会に、善通寺市と坂出市は参加を見送った。独自の水源を持っている坂出市は、老朽管の更新などを抑えることで「単独経営を続けた方が料金を低くできる。市民に高い水を買わせるわけにはいかない」(水道局)と説明する。

過疎地に多い簡易水道(給水人口5千人以下)は、国の後押しで統合が進んでおり、多いときに約8千あった簡易水道事業は16年度中に10分の1の約800に減る見通しだ。

「平成の大合併」で旧7町村と一緒になった松江市は1月、31年ぶりに平均5・5%値上げした。老朽化したダムや浄水場、水道管の改修などに今後10年で約200億円かかるためだ。

だが、旧町村などから引き継いだ簡易水道の年間の支出約21億円のうち、料金でまかなわれるのは3割ほど。4割は地方交付税や補助金頼みだ。国の財政支援が続かないと再び値上げが必要になりかねず、支援の継続を国に求めている。


■「ツケ残さぬ」住民の声反映

人口減時代に対応するため、水道統合以外の試行錯誤も始まっている。

ひび割れた屋根から、さびた鉄筋が飛び出す。長野県小諸市の西部の御牧ケ原浄水場。約半世紀前に建てられ、運営してきた周辺3市でつくる簡易水道事業の組合は今年4月、小諸市の水道事業に統合された。

旧簡易水道は給水人口は約2300人と小諸の約5%だが、管内の水道管は小諸の約450キロに対し、広い地域をカバーするため約130キロある。新たな負担を抱えた小諸市は、浄水場を来年度中に廃止するなど効率化を進める。それでも長くなった水道管の維持費はかさむ。料金値上げを抑えようと、水道管の改修にも優先順位をつける方針だ。病院や学校などの公共施設から水道管を更新し、給水先が100世帯ほどの水道管は「壊れたら直す」(上水道課)という。

水道事業に住民の声を反映させる取り組みもある。「百年後の子孫にツケを残さないようにしなければ」。岩手県矢巾(やはば)町は7年前から、町民から「水道サポーター」約50人を公募し、2カ月に一度、ワークショップを開催する。

7月16日の会合では、10億円以上かけて建設される新配水場の建材選びを検討した。「人口が減る以上は安い方がいい」。会合は約2時間に及び、住民の声が白板に書き込まれていった。町はこうした意見を水道事業に生かしている。

太田正・作新学院大教授は「住民が選択することが大事で、選択肢を示すのは行政の役割。水道は自分たちで守る意識をつくることが大切だ」と指摘する。

(花野雄太、編集委員・堀篭俊材)


■<考論>民間のノウハウ活用を

田中秀明・明治大教授(財政学) 水道事業を営む事業体の数は非常に多いが、地域独占で競争がない。自治体ごとに料金格差があるのも、経営努力をしなくても、かかった費用を料金に転嫁できるためだ。1960年代の英国は約1600の水道事業者がいたが、70年代に10カ所の流域管理庁に再編された後で民営化され、サービスの向上が進んだ。日本でも民間の資金やノウハウの活用などを進めていくべきだ。


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市内で飲食店を経営する男性(42)は「食材や電気代も上がり、水道代もでは痛い」と話す。この店の年間の水道料は約50万~60万円で、値上げで十数万円の負担増になる。

人口減や節水技術の普及に伴う水道事業の収益悪化に歯止めをかける取り組みの一つに、広域的な水道の統合による効率化があるが、それも簡単ではない。

美唄市は隣接する岩見沢、三笠両市と水道事業の統合を協議中だが、8月5日の市の説明会では、住民から「岩見沢とは料金の差が大きく、統合は難しいのでは」との声があがった。美唄が値上げすると、岩見沢市より料金が5割も高くなるためだ。

香川県は、3年後をめどに広域水道事業体を設立し、岡山側から受水する直島町を除く全16市町の水道事業を統合し、料金も統一する計画だ。広域化で施設や職員の数を減らし、将来の水道料金の大幅値上げを防ごうというねらいだ。

だが、今春に設立した準備協議会に、善通寺市と坂出市は参加を見送った。独自の水源を持っている坂出市は、老朽管の更新などを抑えることで「単独経営を続けた方が料金を低くできる。市民に高い水を買わせるわけにはいかない」(水道局)と説明する。

過疎地に多い簡易水道(給水人口5千人以下)は、国の後押しで統合が進んでおり、多いときに約8千あった簡易水道事業は16年度中に10分の1の約800に減る見通しだ。

「平成の大合併」で旧7町村と一緒になった松江市は1月、31年ぶりに平均5・5%値上げした。老朽化したダムや浄水場、水道管の改修などに今後10年で約200億円かかるためだ。

だが、旧町村などから引き継いだ簡易水道の年間の支出約21億円のうち、料金でまかなわれるのは3割ほど。4割は地方交付税や補助金頼みだ。国の財政支援が続かないと再び値上げが必要になりかねず、支援の継続を国に求めている。


■「ツケ残さぬ」住民の声反映

人口減時代に対応するため、水道統合以外の試行錯誤も始まっている。

ひび割れた屋根から、さびた鉄筋が飛び出す。長野県小諸市の西部の御牧ケ原浄水場。約半世紀前に建てられ、運営してきた周辺3市でつくる簡易水道事業の組合は今年4月、小諸市の水道事業に統合された。

旧簡易水道は給水人口は約2300人と小諸の約5%だが、管内の水道管は小諸の約450キロに対し、広い地域をカバーするため約130キロある。新たな負担を抱えた小諸市は、浄水場を来年度中に廃止するなど効率化を進める。それでも長くなった水道管の維持費はかさむ。料金値上げを抑えようと、水道管の改修にも優先順位をつける方針だ。病院や学校などの公共施設から水道管を更新し、給水先が100世帯ほどの水道管は「壊れたら直す」(上水道課)という。

水道事業に住民の声を反映させる取り組みもある。「百年後の子孫にツケを残さないようにしなければ」。岩手県矢巾(やはば)町は7年前から、町民から「水道サポーター」約50人を公募し、2カ月に一度、ワークショップを開催する。

7月16日の会合では、10億円以上かけて建設される新配水場の建材選びを検討した。「人口が減る以上は安い方がいい」。会合は約2時間に及び、住民の声が白板に書き込まれていった。町はこうした意見を水道事業に生かしている。

太田正・作新学院大教授は「住民が選択することが大事で、選択肢を示すのは行政の役割。水道は自分たちで守る意識をつくることが大切だ」と指摘する。

(花野雄太、編集委員・堀篭俊材)


■<考論>民間のノウハウ活用を

田中秀明・明治大教授(財政学) 水道事業を営む事業体の数は非常に多いが、地域独占で競争がない。自治体ごとに料金格差があるのも、経営努力をしなくても、かかった費用を料金に転嫁できるためだ。1960年代の英国は約1600の水道事業者がいたが、70年代に10カ所の流域管理庁に再編された後で民営化され、サービスの向上が進んだ。日本でも民間の資金やノウハウの活用などを進めていくべきだ。

【2015/09/08 13:51】 | 新聞記事から
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