「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
              嶋津 暉之

石木ダム問題についての毎日新聞の連載記事(下)です。
この記事は反対住民の気持ち、不屈の闘志が心に伝わってくる素晴らしい記事だと思います。
是非、お読みください。

◆川原のいま:石木ダム建設/下 日本の原風景、守る13世帯 「古里に住み続けたい」
代執行に警鐘「人心は離れる」 /長崎

(毎日新聞長崎版 2015年09月01日)
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20150901ddlk42010329000c.html

青々とした棚田をトンボの群れが横切っていく。「九州のマッターホルン」とたたえられる虚空蔵山(608メートル)のふもと、石木川が渓谷をつくる川棚町川原地区。下山してきた登山客が「まさしく日本の原風景」と深く息を吸い込んでいた。そう感嘆される里山が石木ダムの底に沈む危機にある。

「先祖代々受け継いだ土地で、うまい米を育ててきた。一方的に奪い取るのは許せない。てこでも動くつもりはない」と石丸勇さん(66)は憤る。県が8月25日、約900平方メートルの田んぼの所有権をダム用地として国に移したからだ。

棚田を下った集落にはトタン屋根の監視小屋や「ほたるの里を子々孫々に残そう」などと書かれた看板が並ぶ。1962年に県が現地調査を始めて半世紀。住民は石木ダムに翻弄(ほんろう)されてきた。かつて67世帯が暮らしていたが、54世帯が用地買収に応じて離れた。残る13世帯約60人が一つの大家族のように集落を守っている。
集落を出る際は墓も移す。墓地には点々と10世帯ほどの墓が残るだけに。盆入りの1週間前、墓地へ続く山道の雑草をみんなで刈って清めた。地権者の中川賢助さん(67)は「昔はもっと大勢で作業したものだ。今は集落を出て行った人と出会っても、話もしない」とやりきれない思いを語る。

付け替え県道を含むダムの買収用地は約80万平方メートル。約20%の15万平方メートルが未買収で、県は2022年度完成を目指して強制収用に乗り出した。県収用委員会の裁決に基づき、実りを迎える10月30日に、石丸さんら3世帯の田んぼ計約5200平方メートルの明け渡し期限がくる。

「権力を利用した圧政そのもの。当初から県は立ち退きをお願いする側なのに、話も聞かずに理不尽な仕打ちだ」。川棚町の古刹(こさつ)、福浄寺の深草昭壽(しょうじゅ)住職(63)は檀家(だんか)の地権者に寄り添ってきた。「移転や残留を巡り、集落の人間関係はダムのせいで破壊された。地権者の怒りの奥底には、悲しみがある」と嘆息する。

1982年5月の強制測量には県警機動隊が投入され「念仏を唱えて座り込んでいるおばあちゃんたちがゴボウ抜きにされた」。地権者は子供に学校を休ませ、家族総出で阻止行動に臨んだ。深草住職も力ずくで排除されたと振り返り「今あんなことをすれば、ますます政治から人心は離れる」と、実力行使の行政代執行を危惧する。

県はダム本体の着工に向け、県道の付け替え工事を進めている。反対派は大型重機の搬入阻止を「天王山」と位置づけ、工事現場入り口そばにテントを設営。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」「ダム建設を白紙撤回せよ」などと大書した横断幕を張り「私たちは古里に住み続けたいだけだ。ゲートに横たわってでも搬入を食い止める」と覚悟を固めている。

世論喚起に向けて4月6日、地権者らは東京の日本外国特派員協会で「人権無視のダム事業だ」と訴えた。6月にはドイツとスイスの記者2人が取材に来訪した。石木ダム問題への関心は国内外に広がりをみせている。
(この連載は梅田啓祐が担当しました)

〔長崎版〕


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集落を出る際は墓も移す。墓地には点々と10世帯ほどの墓が残るだけに。盆入りの1週間前、墓地へ続く山道の雑草をみんなで刈って清めた。地権者の中川賢助さん(67)は「昔はもっと大勢で作業したものだ。今は集落を出て行った人と出会っても、話もしない」とやりきれない思いを語る。

付け替え県道を含むダムの買収用地は約80万平方メートル。約20%の15万平方メートルが未買収で、県は2022年度完成を目指して強制収用に乗り出した。県収用委員会の裁決に基づき、実りを迎える10月30日に、石丸さんら3世帯の田んぼ計約5200平方メートルの明け渡し期限がくる。

「権力を利用した圧政そのもの。当初から県は立ち退きをお願いする側なのに、話も聞かずに理不尽な仕打ちだ」。川棚町の古刹(こさつ)、福浄寺の深草昭壽(しょうじゅ)住職(63)は檀家(だんか)の地権者に寄り添ってきた。「移転や残留を巡り、集落の人間関係はダムのせいで破壊された。地権者の怒りの奥底には、悲しみがある」と嘆息する。

1982年5月の強制測量には県警機動隊が投入され「念仏を唱えて座り込んでいるおばあちゃんたちがゴボウ抜きにされた」。地権者は子供に学校を休ませ、家族総出で阻止行動に臨んだ。深草住職も力ずくで排除されたと振り返り「今あんなことをすれば、ますます政治から人心は離れる」と、実力行使の行政代執行を危惧する。

県はダム本体の着工に向け、県道の付け替え工事を進めている。反対派は大型重機の搬入阻止を「天王山」と位置づけ、工事現場入り口そばにテントを設営。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」「ダム建設を白紙撤回せよ」などと大書した横断幕を張り「私たちは古里に住み続けたいだけだ。ゲートに横たわってでも搬入を食い止める」と覚悟を固めている。

世論喚起に向けて4月6日、地権者らは東京の日本外国特派員協会で「人権無視のダム事業だ」と訴えた。6月にはドイツとスイスの記者2人が取材に来訪した。石木ダム問題への関心は国内外に広がりをみせている。
(この連載は梅田啓祐が担当しました)

〔長崎版〕

【2015/09/02 00:39】 | 石木ダム
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