「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                   嶋津 暉之

国交省が『水災害分野における気候変動適応策のあり方』に関する意見募集を行っていました。

http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000886.html

こちらでもお知らせしておきながら、私自身が失念していて、慌てて提出しました。
パブリックコメントは所詮は儀式であってむなしいものですが、意見は出しておかなければならないと思っています。
参考までに、送付した意見書を記しておきます。
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25頁 9~17行 該当箇所
「5 水災害分野における気候変動適応策の具体的な内容
5.1 災害リスクの評価
5.2 水害(洪水、内水、高潮)に対する適応策
5.2.2 施設の能力を上回る外力に対する減災対策
1)施設の運用、構造、整備手順等の工夫
【取組内容を今後新たに検討するもの】
(様々な外力に対する災害リスクに基づく河川整備計画の点検・見直し)」


意見

要旨「現実性を失った河川整備基本方針を廃止し、現実性のある目標流量を前提にして、想定最大外力の対応策を考えるべきである。」

 現在、各水系の河川整備に関する計画は、河川整備基本方針と河川整備計画の二つがあり、前者は長期的な河川整備の目標、後者は今後20~30年間に実施する河川整備の内容を定めることになっているが、今回の「中間とりまとめ」は想定最大外力と、河川整備基本方針の目標との関係が何も整理されていない。
河川整備基本方針の目標洪水流量は現実離れしたきわめて大きい値が設定されているため、基本方針は達成困難な机上の計画になっている。利根川を例にとれば、基本方針の基本高水流量は八斗島地点で22000㎥/秒、一方、整備計画の目標流量は17000㎥/秒であり、その差50000㎥/秒を埋めるためには、八ッ場ダムのあと、新たなダムを数多く造り、河道の流下能力を大幅に高めなければならず、その現実的可能性はゼロに近い。
 他の水系も同様であって、多摩川では石原地点の基本高水流量8700㎥/秒に対して、整備計画の目標流量は4500㎥/秒であり、その差4200㎥/秒を埋めるためにはやはり多くのダム建設と流下能力の大幅増強が必要であるが、これも現実的な見通しがまったくないものである。
 今回の「中間とりまとめ」は「想定最大外力までの様々な規模の外力に対して、計画を見直すべきである。」としているが、その中で、河川整備基本方針の基本高水流量がどのように位置づけられているのであろうか。基本高水流量と想定最大外力との関係はどうなるのであろうか。それらのことについて何も触れておらず、河川法の規定を踏まえない無責任な記述となっている。
 上述のように、各水系の河川整備計画は現実性が欠如し、机上のプランになっているのであるから、河川整備基本方針は廃止し、河川整備計画のみとして、その上で、その目標流量を超える洪水については想定最大外力として対応策を考えるべきである。
 ただし、河川整備計画の目標流量が既往最大洪水流量より過大に設定されて、不要な河川施設をつくることになっているケースが多々あるので、その値の妥当性を科学的に見直すことも必要であり、その上で、想定最大外力への対応を考えるべきである。


25頁 18~23行 該当箇所
「(決壊に至る時間を引き延ばす堤防の構造)」

意見
要旨「想定最大外力への対応策として最も有効な堤防強化技術(ソイルセメント法、鋼矢板法など)の導入を前面に打ち出すべきである。」

想定最大外力への対応策として中心となるのは、堤防の決壊を防ぐ方策の導入である。洪水被害で人命が失われ、多くの財産が失われることがあるのは、堤防が一挙に決壊して、逃げる間もなく、洪水が人家を襲う場合である。
そのためには、洪水位が堤防天端付近まで上昇しても、堤防が短時間では壊れないように堤防の構造を強化することが肝要である。
その技術はすでに確立されている。堤防の中心にソイルセメントを注入する方法、鋼矢板を打つ方法などである。これらの堤防強化策は大河川でも1メートルあたり100万円程度で実施することができるとされており、現実に導入可能な技術である。
 ところが、国交省は、堤防は土で構成されていなければならないという「土堤原則」を持ち出して、これらの堤防強化技術の導入を拒否している。
 実際にはこれらの堤防強化技術は災害復旧策として採用されている実例があるにもかかわらず、国交省はスーパー堤防を推進する理由がなくなることが恐れてか、その導入を拒んでいる。
 しかし、スーパー堤防は1メートルあたり4000~5000万円の費用がかかり、且つ、対象用地の住民の生活に多大な影響を与えるため、遅々として進まない。首都圏、近畿圏の一級水系河川の下流部で延べ120kmのスーパー堤防をつくることになっているが、その整備は1000年を超える年月を要するであろう。
「中間とりまとめ」は、想定最大外力への対応策として最も有効な堤防強化技術の導入を前面に打ち出すべきである。

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25頁 9~17行 該当箇所
「5 水災害分野における気候変動適応策の具体的な内容
5.1 災害リスクの評価
5.2 水害(洪水、内水、高潮)に対する適応策
5.2.2 施設の能力を上回る外力に対する減災対策
1)施設の運用、構造、整備手順等の工夫
【取組内容を今後新たに検討するもの】
(様々な外力に対する災害リスクに基づく河川整備計画の点検・見直し)」


意見

要旨「現実性を失った河川整備基本方針を廃止し、現実性のある目標流量を前提にして、想定最大外力の対応策を考えるべきである。」

 現在、各水系の河川整備に関する計画は、河川整備基本方針と河川整備計画の二つがあり、前者は長期的な河川整備の目標、後者は今後20~30年間に実施する河川整備の内容を定めることになっているが、今回の「中間とりまとめ」は想定最大外力と、河川整備基本方針の目標との関係が何も整理されていない。
河川整備基本方針の目標洪水流量は現実離れしたきわめて大きい値が設定されているため、基本方針は達成困難な机上の計画になっている。利根川を例にとれば、基本方針の基本高水流量は八斗島地点で22000㎥/秒、一方、整備計画の目標流量は17000㎥/秒であり、その差50000㎥/秒を埋めるためには、八ッ場ダムのあと、新たなダムを数多く造り、河道の流下能力を大幅に高めなければならず、その現実的可能性はゼロに近い。
 他の水系も同様であって、多摩川では石原地点の基本高水流量8700㎥/秒に対して、整備計画の目標流量は4500㎥/秒であり、その差4200㎥/秒を埋めるためにはやはり多くのダム建設と流下能力の大幅増強が必要であるが、これも現実的な見通しがまったくないものである。
 今回の「中間とりまとめ」は「想定最大外力までの様々な規模の外力に対して、計画を見直すべきである。」としているが、その中で、河川整備基本方針の基本高水流量がどのように位置づけられているのであろうか。基本高水流量と想定最大外力との関係はどうなるのであろうか。それらのことについて何も触れておらず、河川法の規定を踏まえない無責任な記述となっている。
 上述のように、各水系の河川整備計画は現実性が欠如し、机上のプランになっているのであるから、河川整備基本方針は廃止し、河川整備計画のみとして、その上で、その目標流量を超える洪水については想定最大外力として対応策を考えるべきである。
 ただし、河川整備計画の目標流量が既往最大洪水流量より過大に設定されて、不要な河川施設をつくることになっているケースが多々あるので、その値の妥当性を科学的に見直すことも必要であり、その上で、想定最大外力への対応を考えるべきである。


25頁 18~23行 該当箇所
「(決壊に至る時間を引き延ばす堤防の構造)」

意見
要旨「想定最大外力への対応策として最も有効な堤防強化技術(ソイルセメント法、鋼矢板法など)の導入を前面に打ち出すべきである。」

想定最大外力への対応策として中心となるのは、堤防の決壊を防ぐ方策の導入である。洪水被害で人命が失われ、多くの財産が失われることがあるのは、堤防が一挙に決壊して、逃げる間もなく、洪水が人家を襲う場合である。
そのためには、洪水位が堤防天端付近まで上昇しても、堤防が短時間では壊れないように堤防の構造を強化することが肝要である。
その技術はすでに確立されている。堤防の中心にソイルセメントを注入する方法、鋼矢板を打つ方法などである。これらの堤防強化策は大河川でも1メートルあたり100万円程度で実施することができるとされており、現実に導入可能な技術である。
 ところが、国交省は、堤防は土で構成されていなければならないという「土堤原則」を持ち出して、これらの堤防強化技術の導入を拒否している。
 実際にはこれらの堤防強化技術は災害復旧策として採用されている実例があるにもかかわらず、国交省はスーパー堤防を推進する理由がなくなることが恐れてか、その導入を拒んでいる。
 しかし、スーパー堤防は1メートルあたり4000~5000万円の費用がかかり、且つ、対象用地の住民の生活に多大な影響を与えるため、遅々として進まない。首都圏、近畿圏の一級水系河川の下流部で延べ120kmのスーパー堤防をつくることになっているが、その整備は1000年を超える年月を要するであろう。
「中間とりまとめ」は、想定最大外力への対応策として最も有効な堤防強化技術の導入を前面に打ち出すべきである。

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【2015/07/03 22:41】 | パブリックコメント
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