「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
             嶋津 暉之

5月5日の東京新聞に、昨年お亡くなりになった宇沢弘文氏と、拓殖大の関良基准教授の共同編著による「社会的共通資本としての森」(東京大学出版会)の紹介記事が掲載されました。

本のHPに書かれているように、この本は、
「森林環境と人間社会による森の利用は,濃密な相互作用を経て,各地域固有の文化とコモンズを形成してきた.森林資源の略奪を批判し,森林は自然環境を持続させ,社会と文化に安定をもたらし,社会的共通資本のネットワークの重要な一環であることを多面的に考察」したものです。

宇沢氏が病床のところ、序章を書かれ、各分野の専門家がそれぞれ執筆されています。

河川の関係では、第I部「森は緑のダム」の第1章「森林の保水力と緑のダム機能を蔵治光一郎氏・五名美江氏、第2章「森林回復による治水機能の向上はダムに優る」を関 良基氏が、第3章「横川山の入会の変遷と「流域コモンズ」の可能性」を保屋野初子氏が書かれています。

この記事の終わりに書かれているように、この本は「森の保水力を無視してダム建設を強行しようとする国土交通省の姿勢に対する憤りが、編集の直接のきっかけだった。森や川は国有、私有を問わず、自然の機能を損なってまで金もうけのために開発してはならない。」

という宇沢氏の思いを込めた本です。是非、お読みください。

※画像をクリックするとamazonのページが開きます
uzawaseki.jpg

◆経済学者・故宇沢弘文氏 晩年の思い込め 編集本
(東京新聞 2015年5月5日)

共通資本の森守って 金もうけ開発ダメ

昨年9月に亡くなった経済学者の宇沢弘文氏が、最晩年に編集した「社会的共通資本としての森」(東京大学出版会)が先月出版された。ノーベル経済学賞候補として名前が挙がり、環境問題でも積極的に発言した宇沢氏。森が育むさまざまな価値が、公正に配分される社会の実現を目指して同書を編んだ。
二〇一〇年十二月に編集作業が始まった。宇沢氏は会議に先立ち、共同編者の拓殖大の関良基准教授(森林政策)に向かい、「いよいよ人生の最後の局面に入ったとの感が否めない。森の中にあるさまざまな資源や、森の果たす宗教的、歴史的な役割まで、できるだけ広範に盛り込みたい」と編集の意図を伝えている。

その言葉通り、同書では、森の保水・治水機能や地域住民の森利用の可能性、森が育んできた思想や文化といった多様な側面について、各分野の専門家による分析が行われている。

宇沢氏は論文で、森や大気、河川の自然環境と、教育や医療サービスなどを、社会の共通資本と位置付けている。その上で、森の長期安定化のための国際的な枠組みを提案する。

木の伐採や二酸化炭素排出に「炭素税」をかけ、各国は一定比率を「大気安定化国際基金」に拠出する。基金を国民所得などに応じて各国に分配し、それぞれが森育成や再生可能エネルギー開発を進める構想だ。

宇沢氏は一一年の東日本大震災直後に脳梗塞で倒れた。そのため論文は、書きかけの原稿に、発表済みの論文の主要部分を盛り込む形でまとめていった。

関氏は、宇沢氏の思いをこう語る。「森の保水力を無視してダム建設を強行しようとする国土交通省の姿勢に対する憤りが、編集の直接のきっかけだった。森や川は国有、私有を問わず、自然の機能を損なってまで金もうけのために開発してはならない。これがこの本に込めたメッセージだ」

〇東京大学出版会のHP http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-030252-4.html
Social Common Capital  社会的共通資本としての森 

宇沢 弘文 編, 関 良基 編
発売日:2015年04月上旬, 判型:A5, 344頁,税込5832円/本体5400円

内容紹介
森林環境と人間社会による森の利用は,濃密な相互作用を経て,各地域固有の文化とコモンズを形成してきた.森林資源の略奪を批判し,森林は自然環境を持続させ,社会と文化に安定をもたらし,社会的共通資本のネットワークの重要な一環であることを多面的に考察する.




主要目次

はしがき
プレビュー(宇沢弘文・関 良基)

序 章 社会的共通資本と森林コモンズの経済理論(宇沢弘文)

第I部 森は緑のダム

第1章 森林の保水力と緑のダム機能(蔵治光一郎・五名美江)

第2章 森林回復による治水機能の向上はダムに優る(関 良基)

第3章 横川山の入会の変遷と「流域コモンズ」の可能性(保屋野初子)
 
第II部 森を育む思想と文化

第4章 コモンズとしての森林
     ―学校林の歴史に宿るエコロジー思想(三俣学)

第5章 地域と森林の時間軸・空間軸
     ―流域圏と農山村の遺産(山本美穂)

第6章 平和の森
     ―先住民族プナンのイニシアティブ(金沢謙太郎)

第7章 イノシシと日本人の関係史
     ―自然領域と人間領域の適正な配分(小寺祐二)

第III部 森を支える制度

第8章 制度資本としてのコモンズ
     ―政令指定都市の中の森林・林業を事例として(池田寛二)

第9章 自然災害リスク管理と保安林制度のあり方
     ―オーストリア・チロル州の保安林改良事業と野渓監護事業を中心に
     (古井戸宏通)

第10章 林業労働者のキャリア形成支援と「緑の雇用」制度(興梠克久)

終 章 森林を社会的共通資本とするために(関良基)

あとがき(関 良基)



追記を閉じる▲
二〇一〇年十二月に編集作業が始まった。宇沢氏は会議に先立ち、共同編者の拓殖大の関良基准教授(森林政策)に向かい、「いよいよ人生の最後の局面に入ったとの感が否めない。森の中にあるさまざまな資源や、森の果たす宗教的、歴史的な役割まで、できるだけ広範に盛り込みたい」と編集の意図を伝えている。

その言葉通り、同書では、森の保水・治水機能や地域住民の森利用の可能性、森が育んできた思想や文化といった多様な側面について、各分野の専門家による分析が行われている。

宇沢氏は論文で、森や大気、河川の自然環境と、教育や医療サービスなどを、社会の共通資本と位置付けている。その上で、森の長期安定化のための国際的な枠組みを提案する。

木の伐採や二酸化炭素排出に「炭素税」をかけ、各国は一定比率を「大気安定化国際基金」に拠出する。基金を国民所得などに応じて各国に分配し、それぞれが森育成や再生可能エネルギー開発を進める構想だ。

宇沢氏は一一年の東日本大震災直後に脳梗塞で倒れた。そのため論文は、書きかけの原稿に、発表済みの論文の主要部分を盛り込む形でまとめていった。

関氏は、宇沢氏の思いをこう語る。「森の保水力を無視してダム建設を強行しようとする国土交通省の姿勢に対する憤りが、編集の直接のきっかけだった。森や川は国有、私有を問わず、自然の機能を損なってまで金もうけのために開発してはならない。これがこの本に込めたメッセージだ」

〇東京大学出版会のHP http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-030252-4.html
Social Common Capital  社会的共通資本としての森 

宇沢 弘文 編, 関 良基 編
発売日:2015年04月上旬, 判型:A5, 344頁,税込5832円/本体5400円

内容紹介
森林環境と人間社会による森の利用は,濃密な相互作用を経て,各地域固有の文化とコモンズを形成してきた.森林資源の略奪を批判し,森林は自然環境を持続させ,社会と文化に安定をもたらし,社会的共通資本のネットワークの重要な一環であることを多面的に考察する.




主要目次

はしがき
プレビュー(宇沢弘文・関 良基)

序 章 社会的共通資本と森林コモンズの経済理論(宇沢弘文)

第I部 森は緑のダム

第1章 森林の保水力と緑のダム機能(蔵治光一郎・五名美江)

第2章 森林回復による治水機能の向上はダムに優る(関 良基)

第3章 横川山の入会の変遷と「流域コモンズ」の可能性(保屋野初子)
 
第II部 森を育む思想と文化

第4章 コモンズとしての森林
     ―学校林の歴史に宿るエコロジー思想(三俣学)

第5章 地域と森林の時間軸・空間軸
     ―流域圏と農山村の遺産(山本美穂)

第6章 平和の森
     ―先住民族プナンのイニシアティブ(金沢謙太郎)

第7章 イノシシと日本人の関係史
     ―自然領域と人間領域の適正な配分(小寺祐二)

第III部 森を支える制度

第8章 制度資本としてのコモンズ
     ―政令指定都市の中の森林・林業を事例として(池田寛二)

第9章 自然災害リスク管理と保安林制度のあり方
     ―オーストリア・チロル州の保安林改良事業と野渓監護事業を中心に
     (古井戸宏通)

第10章 林業労働者のキャリア形成支援と「緑の雇用」制度(興梠克久)

終 章 森林を社会的共通資本とするために(関良基)

あとがき(関 良基)


【2015/05/06 01:33】 | お知らせ
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック