「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                      嶋津 暉之

石木ダムをめぐって住民側と事業者側の主張を比較した朝日の記事でも、佐世保市の水需要予測が実績無視であることは明らかですが、書き足りない点がいくつかあります。

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この記事では使用水量の比較にとどまっていますが、佐世保市の水需要予測は、「年間の給水量の変動を過大(負荷率を過小)に見込んでいる」、「浄水場のロス率を過大に見込んでいる」、「将来の有収率を過小(漏水率を過大)に見込んでいる(漏水防止対策が不十分)」という問題があります。

さらに、佐世保市の水需要がほぼ減少の一途を辿っていて、今後は人口の減少も相まって減少傾向が続くことが必至であること、また、市は現在の安定水源を77000㎥/日としているが、実際には渇水時も使える水源が98000㎥/日以上あることも重要な事実です。

これらの事実を踏まえてグラフを描くと、下記の図のようになります。どこから見ても、佐世保市にとって石木ダムが必要であるはずがありません。
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治水に関しても、机上の計算で石木ダムが川棚川の洪水対策として必要とされているにすぎず、河川改修さえきちんと進めれば、石木ダムは意味がありません。

このように必要性が皆無の石木ダムのために、13戸の家と土地が奪われてはなりません。


◆長崎)佐世保の水は足りない? 石木ダムの是非で対立
(朝日新聞長崎版 2015年1月13日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH1901CCH18TOLB00P.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1901CCH18TOLB00P

 県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムをめぐっては、反対する地権者が移転を拒み、県は強制収用も辞さない構えで手続きを進める。将来の水需要や治水効果など、ダムの必要性について、両者の主張は真っ向から対立している。

〇地権者「市の水需要予測は過大」

 佐世保市の水は足りないのか。両者の主張は、大きく異なる。

 佐世保市は石木ダムの建設が決まった1975年以降、断水2回を含む4回の給水制限をした。94年には「大渇水」が発生し、264日の給水制限と、2日間で43時間の断水を実施。それ以外の年も給水制限を検討することは珍しくなく、市は「2年に1度は渇水の危機に直面している」と主張する。

 市は、2024年度に必要な1日の生活用水を、11年度とほぼ変わらない4万3千トンと予測する。人口は1万8千人の減少を見込むが、1人あたりの使用量が増えるとみているからだ。

 市によると、11年度に市民1人が1日に使った水の量は189リットル。人口規模が近い山口県下関市(217リットル)、三重県四日市市(290リットル)などと比べて少ない。市は「市民が渇水を恐れ、水の利用を控えている。豊富な水があれば使用量はもっと増える」と主張。24年度には18リットル増えて207リットルになる、と説明している。

 飲食店や観光施設などが利用する業務・営業用水については、11年度の1万7千トンから24年度には2万3千トンと、6千トンの上昇を見込む。観光客の増加に加え、米軍や自衛隊が使う水の量が増えるとみている。「国防上、佐世保の役割は今後ますます重く、高度な運用がなされる。災害時などに適切な活動を行うためにも十分な水の確保が必要」と市は強調する。

 また、現在は地下水などの水源を利用している施設が、石木ダムの完成後は水道の利用に切り替えることも見込んでいる。

 工場用水については、2千トンから9千トンへと急増すると予測する。佐世保重工業(SSK)が、船の洗浄などに大量の水を使う修繕事業に力を入れる方針であることや、市内に整備する工業団地で新たに水が必要になることが理由だ。

 これらを積み上げた1日に必要な水量は、11年度の6万2千トンから24年度には7万6千トンに増加すると予測。市は水道法に基づき、「常時、安定的に水道水を供給する義務を負っている」として、漏水などのリスクを加味すると、市が備えるべき1日の給水量は11万7千トンになるとしている。

 現在の水源で安定的に供給できるのは日量7万7千トン。石木ダムができれば4万トンがまかなえるため、必要な水源が確保できると説明している。

 一方、地権者側は「市の水需要予測は過大」と指摘してきた。

 生活用水については、トイレや洗濯機をはじめとした節水機器が普及したことに加え、人口減少が市の予測以上に進むと指摘する。国の研究機関は10年から25年までに3万1千人減少すると予測しており、地権者らは「必要な水の量は減っていく」と主張する。

 業務・営業用水と工場用水については、1996年度以降は減少傾向にあり、リーマン・ショック(2008年)後の落ち込みも大きいと主張する。過去の使用実績をみると、両者の合計は96年度は2万4千トンだったが、11年度には1万9千トンと約5千トン減っている。SSKが名村造船所の子会社となり、業務内容が変わる可能性も指摘する。

 業務・営業用水と工場用水の需要が大きく増えるとの市の予測について、地権者側は「ダムありきで計算を合わせているだけ」と批判している。

〇治水でも主張対立
 治水をめぐっても、両者の主張は対立している。

 県の河川整備計画は、100年に一度の大雨(3時間で203ミリ、24時間で400ミリ)の場合でも、川の水を安全に流すことをめざしている。この場合、川棚川には毎秒1400トンの水が流れることになる。

 県が現在進める河川改修工事が完了すると、安全に流せる水の量は最大で毎秒1130トン。100年に一度の大雨が降ると、毎秒270トンが川からあふれ、洪水になってしまう。

 そこで、上流にある既存の野々川ダムに加え、石木ダムを整備することで、毎秒270トンを低減させる。石木ダムでは毎秒220トンの水を受け止める計画だ。

 一方、地権者側は過去の実績から、48年に降った雨(3時間で187・6ミリ、24時間で384・2ミリ)が「最も多い雨」と指摘する。当時、川棚川には毎秒1130トン程度の水が流れたと想定され、流域に水があふれて浸水被害が出た。

 だが、河川改修で毎秒1130トンの水を安全に流せるようになれば、川はあふれない。県の担当者も「48年の雨量なら、氾濫(はんらん)は起きない」と認める。地権者側は「ダムがなくても治水は可能だ」と主張している。

 地権者の一人、岩下和雄さん(67)は「地権者だけの問題ではない。ダムができれば佐世保市民が将来払う水道料金も跳ね上がる。もっと多くの人に関心を持ってもらいたい」と話している。(力丸祥子)



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 治水をめぐっても、両者の主張は対立している。

 県の河川整備計画は、100年に一度の大雨(3時間で203ミリ、24時間で400ミリ)の場合でも、川の水を安全に流すことをめざしている。この場合、川棚川には毎秒1400トンの水が流れることになる。

 県が現在進める河川改修工事が完了すると、安全に流せる水の量は最大で毎秒1130トン。100年に一度の大雨が降ると、毎秒270トンが川からあふれ、洪水になってしまう。

 そこで、上流にある既存の野々川ダムに加え、石木ダムを整備することで、毎秒270トンを低減させる。石木ダムでは毎秒220トンの水を受け止める計画だ。

 一方、地権者側は過去の実績から、48年に降った雨(3時間で187・6ミリ、24時間で384・2ミリ)が「最も多い雨」と指摘する。当時、川棚川には毎秒1130トン程度の水が流れたと想定され、流域に水があふれて浸水被害が出た。

 だが、河川改修で毎秒1130トンの水を安全に流せるようになれば、川はあふれない。県の担当者も「48年の雨量なら、氾濫(はんらん)は起きない」と認める。地権者側は「ダムがなくても治水は可能だ」と主張している。

 地権者の一人、岩下和雄さん(67)は「地権者だけの問題ではない。ダムができれば佐世保市民が将来払う水道料金も跳ね上がる。もっと多くの人に関心を持ってもらいたい」と話している。(力丸祥子)


【2015/01/14 01:35】 | 新聞記事から
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