「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
               嶋津 暉之

「世界遺産」熊野川は関西電力や電源開発などのダムが11基もあります。
これらのダムがあるために豪雨災害の深刻な“後遺症”「濁水の長期化」が問題になっています。

◆豪雨災害の深刻な“後遺症”…「世界遺産」熊野川に清流は戻るのか
(産経新聞2014年 11月10日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141109-00000569-san-soci

今年で登録10周年を迎えた世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる熊野川が、長期化する濁水問題にさらされている。平成23年9月に発生した台風12号による紀伊半島豪雨の影響で、上流の山肌が多数崩落して大量の土砂が堆積。

現在では少量の雨でも川の水が濁るように。下流の「熊野川川舟下り」では、観光客から「こんなに汚いとは…」などと苦情の声が上がるほどだ。和歌山、奈良、三重の流域3県は対策に乗り出しているが、復旧工事が難航しており、元の清流を取り戻すまでにはまだまだ時間がかかる見通しだ。(益田暢子)

■清流をイメージした観光客ガックリ…

「お客さんはきれいな川を想像して来るのに、この川を見たら『もう一度来たい』とは思わなくなる」

川舟センター職員、大髭孝之さんは頭を抱える。

熊野川川舟下りは、和歌山県新宮市熊野川町田長から同市内の熊野速玉大社までの約16キロを約1時間半かけてゆっくりと下る。世界遺産の中でも唯一ともいわれる“川の参詣道”として親しまれ、熊野三山のなかでも人気の観光スポットだ。

本来なら水に石灰が混じった独特の美しい水色の清流が魅力だが、今年は8~10月にかけて台風が何度も襲来。熊野川は台風の影響で水量が増し、上流から流れ込む土砂で茶色く濁ってしまった。8月中旬に台風11号が接近した直後に訪れた観光客の間からは「台風が来たことは知っていたけど、こんなに汚いとは思わなかった」「清流をイメージしてきたのに残念」などの声が上がっていたという。
3年前の豪雨では船頭1人が犠牲となり、営業所が流されるなどの被害にあった川舟下り。24年4月に運航を再開し、今年7月に世界遺産登録10周年を迎えたこともあり、多くの観光客でにぎわっている。

大髭さんは「豪雨災害以降、濁りの長期化は余計にひどくなった」と指摘する。同センターにとっては、7~8月の夏休み期間はゴールデンウイークと並ぶかきいれ時だけに、「この時期は台風が来たら舟は出せないし、台風が去っても川の水が汚いし、心苦しいです」と大�髭さんは声を落とした。

■進まない復旧工事、ダム対策も効果薄く

熊野川は、奈良、和歌山、三重の3県をまたぐ一級河川。奈良県天川村から十津川渓谷を南に流れ、和歌山と三重の県境にある大台ケ原を水源とする北山川と合流して熊野灘に注ぐ。

和歌山県などによると、3年前の豪雨により熊野川上流部で大規模な法面崩落などが発生。いまだに対策工事が完了していないため、少量の雨でも山肌から土砂が川に流れ込むようになったという。上流に位置する奈良県では対策に追われているが、「人家や公共施設近くの場所が危険性も高く、こちらの方が工事の最優先。濁水の発生源対策も兼ねて山腹工事も進めているが、現場によっては工事の進み具合も違い、完全復旧には複数年かかる」としている。

実は、熊野川の濁水は上流に利水ダムができた昭和30年代から問題視されてきた。

熊野川流域には、国や電源開発(Jパワー)、関西電力が管理する利水ダムが11基ある。Jパワーが管理する風屋ダム、二津野ダム(いずれも奈良県十津川村)では、平成2年から濁水軽減対策を実施。大雨時には水をためず、濁水を早期排出するようにした。排出期間中は発電を止め、ダムの水深16・7メートルまで濁水を出し切ったら発電を再開している。

しかし、濁水長期化の改善にはなかなかつながらず、そこに紀伊半島豪雨が発生したことでさらに濁りがひどくなったという。Jパワーはダム湖内に清水と濁水を分ける「濁水対策フェンス」の設置を検討しているが、川舟下りを観光の目玉にしている新宮市では「抜本的な濁水対策が必要だ」との声が上がっている。

■豪雨で景観が変わった…清流は戻るのか

そんななか、とんでもないトラブルが明らかになった。

9月下旬、風屋ダムで取水する高さを調整するゲートに張られたゴムシートが破損。それに気づかないまま発電を続けたことで、熊野川の濁水が続いた状態になった。10月上旬にJパワー担当者と新宮市が対策などの協議を行ったが、田岡実千年市長は「濁水を使って発電が行われていたことは残念だ」と厳しい表情を見せた。

また、今年6月には国土交通省近畿地方整備局などが「熊野川濁水対策技術検討会」を立ち上げた。大学教授ら有識者らによって構成され、濁水長期化の原因分析や今後の対策などを今年度中にも示すことにしている。和歌山、奈良、三重の3県も、河川環境や景観保全を求めて国の主導による濁水軽減対策の推進を要望している。

新宮市担当者は「紀伊半島豪雨で濁水を含め、景観自体が変わってしまった。山肌はもろくなり、長い目で森林整備を考えていかないと、将来的にまた崩れることになる。なるべく早く元の熊野川に戻すのが悲願です」と力を込めた。

ユネスコは、世界遺産の保全状況を随時チェックしており、「顕著な普遍的価値」が失われたと判断されれば登録を抹消されることもある。世界遺産登録10周年の節目に浮上した深刻な問題。果たして、清流は戻るのか-。


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3年前の豪雨では船頭1人が犠牲となり、営業所が流されるなどの被害にあった川舟下り。24年4月に運航を再開し、今年7月に世界遺産登録10周年を迎えたこともあり、多くの観光客でにぎわっている。

大髭さんは「豪雨災害以降、濁りの長期化は余計にひどくなった」と指摘する。同センターにとっては、7~8月の夏休み期間はゴールデンウイークと並ぶかきいれ時だけに、「この時期は台風が来たら舟は出せないし、台風が去っても川の水が汚いし、心苦しいです」と大�髭さんは声を落とした。

■進まない復旧工事、ダム対策も効果薄く

熊野川は、奈良、和歌山、三重の3県をまたぐ一級河川。奈良県天川村から十津川渓谷を南に流れ、和歌山と三重の県境にある大台ケ原を水源とする北山川と合流して熊野灘に注ぐ。

和歌山県などによると、3年前の豪雨により熊野川上流部で大規模な法面崩落などが発生。いまだに対策工事が完了していないため、少量の雨でも山肌から土砂が川に流れ込むようになったという。上流に位置する奈良県では対策に追われているが、「人家や公共施設近くの場所が危険性も高く、こちらの方が工事の最優先。濁水の発生源対策も兼ねて山腹工事も進めているが、現場によっては工事の進み具合も違い、完全復旧には複数年かかる」としている。

実は、熊野川の濁水は上流に利水ダムができた昭和30年代から問題視されてきた。

熊野川流域には、国や電源開発(Jパワー)、関西電力が管理する利水ダムが11基ある。Jパワーが管理する風屋ダム、二津野ダム(いずれも奈良県十津川村)では、平成2年から濁水軽減対策を実施。大雨時には水をためず、濁水を早期排出するようにした。排出期間中は発電を止め、ダムの水深16・7メートルまで濁水を出し切ったら発電を再開している。

しかし、濁水長期化の改善にはなかなかつながらず、そこに紀伊半島豪雨が発生したことでさらに濁りがひどくなったという。Jパワーはダム湖内に清水と濁水を分ける「濁水対策フェンス」の設置を検討しているが、川舟下りを観光の目玉にしている新宮市では「抜本的な濁水対策が必要だ」との声が上がっている。

■豪雨で景観が変わった…清流は戻るのか

そんななか、とんでもないトラブルが明らかになった。

9月下旬、風屋ダムで取水する高さを調整するゲートに張られたゴムシートが破損。それに気づかないまま発電を続けたことで、熊野川の濁水が続いた状態になった。10月上旬にJパワー担当者と新宮市が対策などの協議を行ったが、田岡実千年市長は「濁水を使って発電が行われていたことは残念だ」と厳しい表情を見せた。

また、今年6月には国土交通省近畿地方整備局などが「熊野川濁水対策技術検討会」を立ち上げた。大学教授ら有識者らによって構成され、濁水長期化の原因分析や今後の対策などを今年度中にも示すことにしている。和歌山、奈良、三重の3県も、河川環境や景観保全を求めて国の主導による濁水軽減対策の推進を要望している。

新宮市担当者は「紀伊半島豪雨で濁水を含め、景観自体が変わってしまった。山肌はもろくなり、長い目で森林整備を考えていかないと、将来的にまた崩れることになる。なるべく早く元の熊野川に戻すのが悲願です」と力を込めた。

ユネスコは、世界遺産の保全状況を随時チェックしており、「顕著な普遍的価値」が失われたと判断されれば登録を抹消されることもある。世界遺産登録10周年の節目に浮上した深刻な問題。果たして、清流は戻るのか-。


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【2014/11/10 14:53】 | 新聞記事から
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