「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                 嶋津 暉之

数多くの発電ダムにより、ダムの段々畑になっている福島県・只見川の流域住民は、慢性的な洪水被害に悩まされています。2011年7月の新潟・福島豪雨では特に多大な被害を受けました。

そこで、金山町の住民はJパワーと東北電力を相手取って損害賠償請求訴訟を福島地裁会津若松支部に起こします。

◆(時時刻刻)発電ダム、水害リスク 福島、住民が電力会社提訴へ
(朝日新聞2014年7月16日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11245378.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11245378

電力会社などが管理する水力発電ダムに土砂がたまり、洪水など水害の原因になる懸念が全国で高まっている。実際に被害も出ており、福島県では住民が損害賠償を求めて、電力会社を18日に提訴する。国土交通省も電力会社に対策を求めているが、追いついていないのが現状だ。

〇積もる土砂、上流で浸水

2011年7月の新潟・福島豪雨で、福島県を流れる只見川が増水。東北電力の発電ダム「宮下ダム」の上流に住む福島県金山町の星邦助さん(78)の自宅は浸水し、大規模半壊と認定された。移動販売車に生鮮食品を積んで高齢者宅を回るのが生きがいだったが、自宅に止めてあった車も浸水し、生活の糧を失った。

今も夜に雨が降ると、川の水があふれないか眠れないほど不安になる。「ダムは安心とずっと信じてきた。電力会社は、この裏切られた気持ちを受け止めてほしい」と訴える。

金山町では、この豪雨で約150棟が全壊や半壊するなどの被害が出た。今年3月に町がまとめた水害の調査報告書では、只見川にあるJパワー(電源開発)と東北電力のダムで堆砂(たいさ)が進んでおり、「洪水の一因になった可能性がある」と結論づけた。

ダムは、上流域から流れ込んだ水だけでなく、土砂もせき止めている。土砂がたまる「堆砂」が進むと、ダムの上流の河床に土砂がたまって川の水位が上昇。上流域に人家があると、大雨で浸水するリスクが高まる。定期的にダムの土砂を取り除く必要があるが、たまる速さは予想以上で、対策が簡単にはいかない。

金山町の依頼で調査した芝浦工大の守田優教授(都市工学)は「電力会社が砂の除去をやっていたとは言い難い状況だ」と話す。
Jパワーは、金山町と隣接する只見町の一部地区の住民には、豪雨での被害に対する補償金を払った。同社のシミュレーションで、この地区に限っては「ダムの堆砂が原因で浸水した」という結論が出たからだ。ダムの堆砂をめぐる補償は「過去に例がない」(担当者)という。

被害を受けた金山町の住民約40人は18日にJパワー、東北電力を相手取り約3億円の損害賠償請求訴訟を福島地裁会津若松支部に起こす。訴訟に加わる斎藤勇一・元町長(74)は「将来の世代に安全な場所を残すためにも、電力会社はきちんと土砂を取り除いてほしい」と訴える。

Jパワーは「対策に乗り出す矢先だった。今回は、基本的には自然災害だ」、東北電力は「ダム管理は適切にやってきた。(訴訟については)現時点でコメントできない」としている。

(神山純一、高橋尚之)


〇巨額コスト、対策進まず

全国に993ある中規模以上のダムを国交省は定期的に調べている。その資料を元に、総貯水量に占める土砂の割合である「堆砂率」を朝日新聞が分析したところ、05年度で全体で平均8%だったのが10年度は13%に上昇。特に発電ダムは平均12%から、28%と大幅に悪化していた。

発電ダムの場合、土砂がたまっても発電への影響が少ないため、堆砂対策が遅れがちだ。国交省は問題があるダムには改善を求めているが、対策には多額の費用がかかり、なかなか進んでいない。

熊本県の球磨川にあるJパワーの瀬戸石ダム(熊本県芦北町)は、国交省が2年ごとに実施している定期検査で「ダムおよび河川の安全管理上重要な問題があり、早急な対応が必要」と02年から6回連続で指摘されている。

Jパワーの担当者は「土砂のたまるスピードが予想以上で簡単にはいかない」と頭を抱える。同社は冬にダムの水を抜いて土砂を取り除いているが、15年の国交省の次回検査までに改善できそうもない。

宮崎県を流れる耳川にある九州電力の山須原(やますばる)ダム(諸塚村)では05年の台風14号で、ダム上流で70戸が浸水した。県は「ダムにたまった土砂が原因」と認定。九州電力は「総合的な要因」と直接的な責任は認めていないが、11年から洪水被害を軽減するため、ダムの高さを下げ、土砂を下流に流す排砂ゲートを建設している。総事業費は180億円と巨額だ。

ダムの土砂は上流だけの問題ではない。11年の台風12号でJパワーの二津野ダム(奈良県十津川村)への土砂流入が急増。熊野川下流の和歌山県新宮市議会は、濁流の原因になっているとして、土砂の撤去を求めている。

国内の発電ダム建設は1960年から本格化したが、80年代に原子力や天然ガスによる発電量が上回った。多くの発電ダムは建設後40年以上で土砂問題を抱えるが、電力会社はコストをかけることに及び腰だ。

ある業界関係者は「ダムは山奥にあり、土砂を運ぶにも作業が困難。土砂が川に流れ込むのは自治体の山の管理などの問題もある。単純に電力会社の責任にされても困る」と話す。

(座小田英史)



■発電ダムにたまる土砂をめぐる各地の動き

◇ダム名/県/電力会社/堆砂率



◇本名(ほんな)/福島/東北/19%

浸水被害を拡大させたとして住民が損害賠償を求め提訴



◇滝/福島/Jパワー/38%

浸水被害が出たとしてJパワーが一部住民に補償



◇泰阜(やすおか)/長野/中部/74%

水害の原因になっているとして住民が水利権の取り消しを求め提訴。最高裁で敗訴



◇出し平(だしだいら)/富山/関西/50%

排砂ゲートを設置。下流のダムと連携して排砂する取り組みも



◇二津野(ふたつの)/奈良/Jパワー/33%

台風で土砂流入が増加。下流で濁流被害が出て、和歌山県新宮市議会が対策を求める決議を採択



◇瀬戸石/熊本/Jパワー/9%

国土交通省が洪水拡大のおそれを指摘



◇山須原(やますばる)/宮崎/九州/59%

台風で浸水被害。土砂の排砂ゲートを設置中

〈堆砂率は総貯水量に占める土砂の割合。国土交通省2010年調べ、二津野ダムは昨年調べ〉


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Jパワーは、金山町と隣接する只見町の一部地区の住民には、豪雨での被害に対する補償金を払った。同社のシミュレーションで、この地区に限っては「ダムの堆砂が原因で浸水した」という結論が出たからだ。ダムの堆砂をめぐる補償は「過去に例がない」(担当者)という。

被害を受けた金山町の住民約40人は18日にJパワー、東北電力を相手取り約3億円の損害賠償請求訴訟を福島地裁会津若松支部に起こす。訴訟に加わる斎藤勇一・元町長(74)は「将来の世代に安全な場所を残すためにも、電力会社はきちんと土砂を取り除いてほしい」と訴える。

Jパワーは「対策に乗り出す矢先だった。今回は、基本的には自然災害だ」、東北電力は「ダム管理は適切にやってきた。(訴訟については)現時点でコメントできない」としている。

(神山純一、高橋尚之)


〇巨額コスト、対策進まず

全国に993ある中規模以上のダムを国交省は定期的に調べている。その資料を元に、総貯水量に占める土砂の割合である「堆砂率」を朝日新聞が分析したところ、05年度で全体で平均8%だったのが10年度は13%に上昇。特に発電ダムは平均12%から、28%と大幅に悪化していた。

発電ダムの場合、土砂がたまっても発電への影響が少ないため、堆砂対策が遅れがちだ。国交省は問題があるダムには改善を求めているが、対策には多額の費用がかかり、なかなか進んでいない。

熊本県の球磨川にあるJパワーの瀬戸石ダム(熊本県芦北町)は、国交省が2年ごとに実施している定期検査で「ダムおよび河川の安全管理上重要な問題があり、早急な対応が必要」と02年から6回連続で指摘されている。

Jパワーの担当者は「土砂のたまるスピードが予想以上で簡単にはいかない」と頭を抱える。同社は冬にダムの水を抜いて土砂を取り除いているが、15年の国交省の次回検査までに改善できそうもない。

宮崎県を流れる耳川にある九州電力の山須原(やますばる)ダム(諸塚村)では05年の台風14号で、ダム上流で70戸が浸水した。県は「ダムにたまった土砂が原因」と認定。九州電力は「総合的な要因」と直接的な責任は認めていないが、11年から洪水被害を軽減するため、ダムの高さを下げ、土砂を下流に流す排砂ゲートを建設している。総事業費は180億円と巨額だ。

ダムの土砂は上流だけの問題ではない。11年の台風12号でJパワーの二津野ダム(奈良県十津川村)への土砂流入が急増。熊野川下流の和歌山県新宮市議会は、濁流の原因になっているとして、土砂の撤去を求めている。

国内の発電ダム建設は1960年から本格化したが、80年代に原子力や天然ガスによる発電量が上回った。多くの発電ダムは建設後40年以上で土砂問題を抱えるが、電力会社はコストをかけることに及び腰だ。

ある業界関係者は「ダムは山奥にあり、土砂を運ぶにも作業が困難。土砂が川に流れ込むのは自治体の山の管理などの問題もある。単純に電力会社の責任にされても困る」と話す。

(座小田英史)



■発電ダムにたまる土砂をめぐる各地の動き

◇ダム名/県/電力会社/堆砂率



◇本名(ほんな)/福島/東北/19%

浸水被害を拡大させたとして住民が損害賠償を求め提訴



◇滝/福島/Jパワー/38%

浸水被害が出たとしてJパワーが一部住民に補償



◇泰阜(やすおか)/長野/中部/74%

水害の原因になっているとして住民が水利権の取り消しを求め提訴。最高裁で敗訴



◇出し平(だしだいら)/富山/関西/50%

排砂ゲートを設置。下流のダムと連携して排砂する取り組みも



◇二津野(ふたつの)/奈良/Jパワー/33%

台風で土砂流入が増加。下流で濁流被害が出て、和歌山県新宮市議会が対策を求める決議を採択



◇瀬戸石/熊本/Jパワー/9%

国土交通省が洪水拡大のおそれを指摘



◇山須原(やますばる)/宮崎/九州/59%

台風で浸水被害。土砂の排砂ゲートを設置中

〈堆砂率は総貯水量に占める土砂の割合。国土交通省2010年調べ、二津野ダムは昨年調べ〉

【2014/07/17 00:56】 | 新聞記事から
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