「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
ジャーナリストの保屋野初子さんが書かれた「流域管理の環境社会学」

流域管理の環境社会学――下諏訪ダム計画と住民合意形成流域管理の環境社会学――下諏訪ダム計画と住民合意形成
(2014/03/27)
保屋野 初子

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◆長野)「流域」に新たな定義付け 下諏訪ダムで学術書
(朝日新聞2014年7月10日)
http://digital.asahi.com/articles/ASG774Q69G77UOOB00Q.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG774Q69G77UOOB00Q

 「脱ダム」の原点とされる下諏訪ダムをめぐり、地域住民の合意形成の道すじを追った学術書「流域管理の環境社会学~下諏訪ダム計画と住民合意形成」(岩波書店刊)がこのほど、出版された。著者は、上田市出身のジャーナリストで大学講師、保屋野初子さん。「流域協議会」の議論を追い「住民にとって『流域』とは何か」を新たな定義付けで解き明かした。
 保屋野さんは、週刊誌記者などを経てフリーとなり、大都市から遠く離れて建設される巨大ダムが、新たな水利権を得るために造られていることに着目。水余りとなってもなお、水道料金値上げによって、ダム建設が進められることに疑問を持った。

 環境破壊と無駄な公共事業への批判が高まり、田中康夫知事が「脱ダム宣言」を出すなか、2001年から、建設の賛否をめぐる紛争が起きていた下諏訪町に通い始めた。

 当初は「脱ダム派」としての取材だったが、「違う迫り方でないと見えない本質があるのではないか」と考えるようになった。大学院に入り、研究の対象として、砥川の集水域の利害関係者らで03年から開く「砥川流域協議会」に注目。10年以上、計24回も続いた協議会の議事録と、発言者への聞き取りや資料から、合意に至る議論の流れを明らかにした。

 保屋野さんが「合意形成のエッセンスがここにあった」と見るのは、ダム反対派で、座長に選ばれた宮坂正彦さんが、賛否に凝り固まった不毛な議論を避け、解決を探ろうとした姿勢だった。聞き取りで宮坂さんは「何を言われても悪者になってやろう」との覚悟を述べていた。他の住民たちも、「同じ意見を主張し続けていては、結論は出ない」と自らの立場や態度を少しずつ変えていった。

 住民への聞き取りで、御柱祭の聖地を守ろうとする気持ちが強いことも分かった。議論は、森林整備による「緑のダムづくり」「遊水池」などへと発展していく。

 異なる意見を持つ住民が折り合いをつけようとする姿勢に、保屋野さんは「こうした過程を経て出た結論ならば、最終的に『ダムOK』になったとしても、それでいい、と思った」。

 保屋野さんが解き明かした「流域」は、単に地理的な集水域ではなく、「住民が幸せに暮らすための重要な単位」だったという。これまでの公共事業論や、自然科学的な防災論からこぼれ落ちていた「住民の知」が、今後の公共工事を考えるキーワードであることを示している。

 「流域管理の環境社会学」はA5判、203ページ。税別6400円。(三浦亘)


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 保屋野さんは、週刊誌記者などを経てフリーとなり、大都市から遠く離れて建設される巨大ダムが、新たな水利権を得るために造られていることに着目。水余りとなってもなお、水道料金値上げによって、ダム建設が進められることに疑問を持った。

 環境破壊と無駄な公共事業への批判が高まり、田中康夫知事が「脱ダム宣言」を出すなか、2001年から、建設の賛否をめぐる紛争が起きていた下諏訪町に通い始めた。

 当初は「脱ダム派」としての取材だったが、「違う迫り方でないと見えない本質があるのではないか」と考えるようになった。大学院に入り、研究の対象として、砥川の集水域の利害関係者らで03年から開く「砥川流域協議会」に注目。10年以上、計24回も続いた協議会の議事録と、発言者への聞き取りや資料から、合意に至る議論の流れを明らかにした。

 保屋野さんが「合意形成のエッセンスがここにあった」と見るのは、ダム反対派で、座長に選ばれた宮坂正彦さんが、賛否に凝り固まった不毛な議論を避け、解決を探ろうとした姿勢だった。聞き取りで宮坂さんは「何を言われても悪者になってやろう」との覚悟を述べていた。他の住民たちも、「同じ意見を主張し続けていては、結論は出ない」と自らの立場や態度を少しずつ変えていった。

 住民への聞き取りで、御柱祭の聖地を守ろうとする気持ちが強いことも分かった。議論は、森林整備による「緑のダムづくり」「遊水池」などへと発展していく。

 異なる意見を持つ住民が折り合いをつけようとする姿勢に、保屋野さんは「こうした過程を経て出た結論ならば、最終的に『ダムOK』になったとしても、それでいい、と思った」。

 保屋野さんが解き明かした「流域」は、単に地理的な集水域ではなく、「住民が幸せに暮らすための重要な単位」だったという。これまでの公共事業論や、自然科学的な防災論からこぼれ落ちていた「住民の知」が、今後の公共工事を考えるキーワードであることを示している。

 「流域管理の環境社会学」はA5判、203ページ。税別6400円。(三浦亘)

【2014/07/11 00:09】 | お知らせ
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