「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                 嶋津 暉之

最上小国川ダム問題についての毎日新聞の「清流の行方1:最上小国川ダム計画(上)」は最上小国川ダムによって失われるものをよく伝えていると思います。「全国に知られたアユ釣りスポット 東北で3指に入る味 川石のコケ、大丈夫か」はよかったです。

しかし「清流の行方2:繰り返される洪水被害 赤倉地区、対策が悲願」の記事にはがっかりしました。
赤倉地区の真の治水対策はダムではなく、河床を掘削して水位を下げ、内水氾濫をなくすことなのですが、なぜ、そのことを伝えようとしないのでしょうか。

◆清流の行方1:最上小国川ダム計画/上
全国に知られたアユ釣りスポット 東北で3指に入る味 川石のコケ、大丈夫か /山形

(毎日新聞山形版 2014年06月06日)
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20140606ddlk06040086000c.html

「アユの時期が来ると、川底の丸石が黄金色に輝くんだよ。アユが石についたコケをはぎ取って食べるから、磨いているようなものだよね」。舟形町長沢でおとりアユ店を営む下山久伍さん(67)は目を細めて語る。
2000年にビール会社を早期退職し、舟形町に移り住んだ。アユを探して、全国各地で釣りを重ねるうちに、小国川の魅力に気づいたからだ。

その魅力がダム建設で失われることを下山さんは心配する。「砂が舞えば、アユのエサになる川石のコケがはがれてしまうし、ダムのコンクリートからアクが出たら、アユの味は一気に落ちる」

下山さんがアユ釣りを始めたのは25歳のころ。友釣りを覚え、楽しさを知った。岐阜、和歌山、熊本??。シーズンが来れば最終の新幹線に乗って東京から釣りに向かった。

「小国川のアユは何と言ってもうまい。秋になれば背中の脂がすごい。大トロみたいだけど、脂がサラッとしてしつこくない。良いコケを食べて、流れの激しい場所で運動しているからね。東北で3本の指には入る味だと思う。あとは岩手の気仙川。もう一つは秘密だけど」

雪が解ける春先から、下山さんは見回りを始める。昨年までと比べて変わった場所はないか。砂を嫌う習性があるアユは「変化」に敏感だからだ。ポイントを一つひとつ点検しなければ、自信を持って釣り客を案内することもできない。

「アユは本当に繊細。おとりアユは川の水で運ぶ。間違っても水温が違う井戸水につけてはいけない」。下山さんは強調する。

おとりアユ店を訪れた釣り人を必ず釣れるポイントに連れて行くことは、下山さんのこだわりだ。「1回釣れる面白さを知ったら、病みつきになるから」

小国川の魅力を知る人々の地道な営みが、全国に知られたアユ釣りスポットとしての小国川の地位を作り上げた。一方、ダム計画を進める県は「これまでの『ダムのない川』以上の清流・最上小国川を目指す」というスローガンを掲げる。

川とアユを知り尽くすからこそ、下山さんの悩みは深い。「一度離れてしまえば二度と戻らない。釣り人は釣れる川だけを探しているものだから。もしそうなったら誰が責任を取るのだろう」【安藤龍朗】

県が進める治水型の穴あきダム「最上小国川ダム」の建設計画について、賛否を問う小国川漁協(舟形町)の総代会が8日開かれる。

建設に反対の立場だった漁協が賛成に転じれば、建設計画が加速することになりそうだ。最上、舟形両町を流れる清流・小国川と共に生活してきた人たちに、考えを聞いた。

==============

□ことば

〇最上小国川ダム計画

最上小国川流域の最上町赤倉地区などの洪水を防ぐことを目的に、県が1991年から予備調査を始めたダム計画。ダム本体は高さ41メートル、堤頂点の幅は143メートル。

河道改修案などと比較した結果、2011年、川底に「常用洪水吐き」と呼ばれる水路(高さ1.6メートル、幅1.7メートル)を置く「流水型ダム(穴あきダム)」案の採用を決めた。小国川漁協(舟形町)は「アユの生息環境を脅かす」として建設計画への反対を続けてきた。


◆繰り返される洪水被害 赤倉地区、対策が悲願
環境整備にも着手を /山形

(毎日新聞山形版 2014年06月07日) 
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20140607ddlk06040047000c.html

「一言で言えば『どっかどした』という感じだな」。県にダム建設の要望を続けてきた赤倉温泉町内会会長の早坂義範さん(68)=最上町富沢=は、新庄・最上地方の方言で「安心した、ほっとした」を意味する言葉で心境を表現した。

県が建設計画を進める「最上小国川ダム」(最上町)を巡っては、県と流域の最上、舟形両町、地元住民、小国川漁協の関係者らが話し合う協議の場が今年1月以降、計3回開かれた。

4月12日の第2回協議で、漁協から「協議の場に、ダムや環境保全に詳しい有識者を入れるべきだ」との意見が出された。

早坂さんはその場で「有識者を入れたらまた議論が振り出しに戻る。赤倉地区では大雨のたびに消防団が出ている。誰か被害に遭ったら誰が責任を負うのか。漁協さんも一つよろしくお願いします」と訴えた。結局、有識者は入らない形で協議することになった。

県によると、最上小国川での洪水被害は1945年以降、15回を数える。74年の集中豪雨では全壊1棟、半壊2棟、床上・床下浸水計339棟の被害が出た。98年には床上・床下浸水が計18棟に上り、赤倉地区では旅館宿泊客や住民が避難した。

小国川の両岸に温泉旅館が建ち並ぶ赤倉地区にとって、洪水対策の実施は悲願だった。早坂さんは「ダムでなくて、赤倉温泉脇の河道改修をしたら良いと言う人もいるけど、湯脈が近くを走っているから怖くてできない。でも、漁協は『ダムによらない治水策を』の一点張りだから、ずっと議論は平行線だった」と振り返る。

「一刻も早くやってほしいというのが本音。県庁、仙台、東京と陳情で何度回っただろう。ダム建設に関する会合に何回出席したか数え切れない」

早坂さんが、ダム建設に向けて前進したと初めて実感できたのは、4月29日の第3回協議だったという。「県の農林水産部長が先頭を切って、魚道整備やふ化場の話を出した。漁協も組合長が変わって、方向づけが出てきた。ようやくだね」

動き始めたようでいて懸念もある。「地元にとっては、ダム建設が決まっても、赤倉温泉の振興策がないと困る。県は観光を含めた振興策案を出しているが、必ず環境整備にも着手してほしい」とくぎを刺した。【安藤龍朗】


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2000年にビール会社を早期退職し、舟形町に移り住んだ。アユを探して、全国各地で釣りを重ねるうちに、小国川の魅力に気づいたからだ。

その魅力がダム建設で失われることを下山さんは心配する。「砂が舞えば、アユのエサになる川石のコケがはがれてしまうし、ダムのコンクリートからアクが出たら、アユの味は一気に落ちる」

下山さんがアユ釣りを始めたのは25歳のころ。友釣りを覚え、楽しさを知った。岐阜、和歌山、熊本??。シーズンが来れば最終の新幹線に乗って東京から釣りに向かった。

「小国川のアユは何と言ってもうまい。秋になれば背中の脂がすごい。大トロみたいだけど、脂がサラッとしてしつこくない。良いコケを食べて、流れの激しい場所で運動しているからね。東北で3本の指には入る味だと思う。あとは岩手の気仙川。もう一つは秘密だけど」

雪が解ける春先から、下山さんは見回りを始める。昨年までと比べて変わった場所はないか。砂を嫌う習性があるアユは「変化」に敏感だからだ。ポイントを一つひとつ点検しなければ、自信を持って釣り客を案内することもできない。

「アユは本当に繊細。おとりアユは川の水で運ぶ。間違っても水温が違う井戸水につけてはいけない」。下山さんは強調する。

おとりアユ店を訪れた釣り人を必ず釣れるポイントに連れて行くことは、下山さんのこだわりだ。「1回釣れる面白さを知ったら、病みつきになるから」

小国川の魅力を知る人々の地道な営みが、全国に知られたアユ釣りスポットとしての小国川の地位を作り上げた。一方、ダム計画を進める県は「これまでの『ダムのない川』以上の清流・最上小国川を目指す」というスローガンを掲げる。

川とアユを知り尽くすからこそ、下山さんの悩みは深い。「一度離れてしまえば二度と戻らない。釣り人は釣れる川だけを探しているものだから。もしそうなったら誰が責任を取るのだろう」【安藤龍朗】

県が進める治水型の穴あきダム「最上小国川ダム」の建設計画について、賛否を問う小国川漁協(舟形町)の総代会が8日開かれる。

建設に反対の立場だった漁協が賛成に転じれば、建設計画が加速することになりそうだ。最上、舟形両町を流れる清流・小国川と共に生活してきた人たちに、考えを聞いた。

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□ことば

〇最上小国川ダム計画

最上小国川流域の最上町赤倉地区などの洪水を防ぐことを目的に、県が1991年から予備調査を始めたダム計画。ダム本体は高さ41メートル、堤頂点の幅は143メートル。

河道改修案などと比較した結果、2011年、川底に「常用洪水吐き」と呼ばれる水路(高さ1.6メートル、幅1.7メートル)を置く「流水型ダム(穴あきダム)」案の採用を決めた。小国川漁協(舟形町)は「アユの生息環境を脅かす」として建設計画への反対を続けてきた。


◆繰り返される洪水被害 赤倉地区、対策が悲願
環境整備にも着手を /山形

(毎日新聞山形版 2014年06月07日) 
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20140607ddlk06040047000c.html

「一言で言えば『どっかどした』という感じだな」。県にダム建設の要望を続けてきた赤倉温泉町内会会長の早坂義範さん(68)=最上町富沢=は、新庄・最上地方の方言で「安心した、ほっとした」を意味する言葉で心境を表現した。

県が建設計画を進める「最上小国川ダム」(最上町)を巡っては、県と流域の最上、舟形両町、地元住民、小国川漁協の関係者らが話し合う協議の場が今年1月以降、計3回開かれた。

4月12日の第2回協議で、漁協から「協議の場に、ダムや環境保全に詳しい有識者を入れるべきだ」との意見が出された。

早坂さんはその場で「有識者を入れたらまた議論が振り出しに戻る。赤倉地区では大雨のたびに消防団が出ている。誰か被害に遭ったら誰が責任を負うのか。漁協さんも一つよろしくお願いします」と訴えた。結局、有識者は入らない形で協議することになった。

県によると、最上小国川での洪水被害は1945年以降、15回を数える。74年の集中豪雨では全壊1棟、半壊2棟、床上・床下浸水計339棟の被害が出た。98年には床上・床下浸水が計18棟に上り、赤倉地区では旅館宿泊客や住民が避難した。

小国川の両岸に温泉旅館が建ち並ぶ赤倉地区にとって、洪水対策の実施は悲願だった。早坂さんは「ダムでなくて、赤倉温泉脇の河道改修をしたら良いと言う人もいるけど、湯脈が近くを走っているから怖くてできない。でも、漁協は『ダムによらない治水策を』の一点張りだから、ずっと議論は平行線だった」と振り返る。

「一刻も早くやってほしいというのが本音。県庁、仙台、東京と陳情で何度回っただろう。ダム建設に関する会合に何回出席したか数え切れない」

早坂さんが、ダム建設に向けて前進したと初めて実感できたのは、4月29日の第3回協議だったという。「県の農林水産部長が先頭を切って、魚道整備やふ化場の話を出した。漁協も組合長が変わって、方向づけが出てきた。ようやくだね」

動き始めたようでいて懸念もある。「地元にとっては、ダム建設が決まっても、赤倉温泉の振興策がないと困る。県は観光を含めた振興策案を出しているが、必ず環境整備にも着手してほしい」とくぎを刺した。【安藤龍朗】

【2014/06/08 01:49】 | 新聞記事から
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