「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
            嶋津 暉之

川辺川ダム問題の現状について熊本日日新聞が詳しく報じています。

蒲島郁夫熊本県知事のインタビュー記事が中心です。
なお、蒲島氏は脱ダム派の知事ではありません。
現在、全く無意味で、豊かな自然を壊す県営路木(ろぎ)ダムの建設をゴリ押しています。

荒瀬ダムの撤去を進めていますが、これも潮谷義子前知事が決めた撤去計画を一度は白紙にしようとしました。しかし、同ダムの県営発電の水利権更新に必要な漁協の同意を得ることが困難となり、撤去する方針に変えざるをえなくなりました。

川辺川ダムについても、県知事の方針発表の直前に、地元の相良村長や人吉市長がダム計画の白紙撤回を強く求めたことにより、白紙撤回の方針になったように思われます。

◆ダム建設、白紙撤回表明から5年
(熊本日日新聞2013年9月11日)
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20130911001.xhtml

 国土交通省による川辺川ダム建設計画について、蒲島郁夫知事が2008年9月11日の県議会で白紙撤回を求めて5年がたった。「全国一律の価値基準でなく、地域独自の価値観」で公共事業の在り方に一石を投じたが、今なお課題は残る。知事に白紙撤回表明の意義や今後の見通しなどを聞き、水没予定地・五木村の再生や球磨川流域の治水、農業用水の確保をめぐる現状をまとめた。

●「球磨川は宝」決断揺らがず 蒲島知事に聞く

 -5年前の表明を、現時点でどう自己評価しますか。

川辺川ダム建設の白紙撤回を求める表明から5年が経過し、現状や今後について話す蒲島郁夫知事=県庁(宮崎あずさ)
 「球磨川を宝とするローカルな価値観を踏まえた決断だった。公開した議論を踏まえた判断は県民の支持も得た。正当性は十分で、何ら揺らぎはない」
 -五木村はダムを前提としない地域づくりへの方向転換を迫られました。

 「重視したのは、五木村の人々の思いにどう応えるか。表明後、村づくり計画を策定し、県単独で10億円の基金を創設した。11年には基盤整備のため、さらに50億円の拠出も決めた。これで九折[つづら]瀬[せ]地区の国道整備などが具体化した」

 -しかしダム事業廃止特定地域振興特別措置法案は廃案となり、村再生の裏付けはないままです。

 「法整備をしない国の怠慢は許されず、今後も当然求める。ただ、法律による“フルセット”の対策がなければ何もしないのではなく、できることをやってきた」

 -ダムに否定的だった民主党政権から自公政権に再び代わったことの影響は?


 「正当性のある結論をひっくり返すことは不可能に近い。そもそも、ダムによらない治水の議論が始まったのは、以前の自公政権時代。現政権が転換するとは思えない。少なくとも私が知事でいる限りは体を張って抵抗する。知事が代わるとしても、知事選で『ダムが必要』と候補者が言えるだろうか」

 -肝心の治水の議論は滞っています。

 「80年に一度の割合で起こり得る洪水に対する安全策が議論の対象だが、すべての対策がまとまらなくても、できる対策から具体化すべきだ。ダムはない以上、対策を積み上げるしかない。市町村長との意見調整がまとまり次第、国交省に河川整備計画の策定を求める。この間も球磨川中流域の宅地のかさ上げや、八代市の萩原堤防の補強は進んでいる」

 -当初はダムの水を前提としていた国営の農業利水事業も休止状態のままです。

 「現在、地元6市町村が農地造成の計画変更などを国の来年度予算に反映させるよう求めている。国の責任で事業を完了させるには地元の合意形成が重要。県としても役割を果たしていく」

 -公共事業をどう捉え直していますか。

 「いったん動きだしたらやり続ける公共事業のパラダイムシフト(制度、概念の枠組み転換)が求められてる。川辺川ダムが象徴するように、社会経済的な状況の変化で必要性は変わる。ただ、善悪でとらえるイデオロギー的な発想ではなく、必要な公共事業はしっかり遂行する。重要なのは県民の幸福量が上がるかどうかだ」(聞き手 小多崇)

●五木村再生 基本計画具体化これから

 川辺川ダムの水没予定地を抱えた五木村にとって、疲弊した地域再生は待ったなしだ。

 知事の白紙撤回表明後、県と村は村づくり計画を策定。県による10億円の振興基金を活用したソフト事業を並べた。期間は2018年度まで。焼き畑やこんにゃくづくりの体験型観光や、八代市五家荘と連携した特産品づくりなどに着手した。

 一方、ダム事業に絡む道路整備などを滞りなく進める村再建計画は12~18年度、県拠出の50億円や国交付金を財源に実施。今年3月に頭地、高野の両代替地を結ぶ頭地大橋が供用を始め、村は「観光や産業に貢献する」と期待を寄せる。

 再建計画には、村中心部だった水没予定地約20ヘクタールの暫定的な利活用も含まれる。水没予定地という現状に変わりはなく、川の流れを妨げる構造物建設は法的に認められない。村の委員会は今年3月、多目的グラウンドなどを整備する基本計画をまとめたが、具体化は見通せていない。

 「ダム後」の生活再建支援の法整備も実現していない。国が買収した土地の自治体への無償譲渡などを盛り込む法案を民主党政権が提出したが、昨年の衆院解散で廃案。現政権に再提出の動きはない。

 和田拓也村長は「観光客の増加など成果も出ている」と評価するが、「高齢化が進んだ村の財政力は弱まるばかり。国と県は村の振興を図る責任がある」と話す。(後藤仁孝)

●ダムによらない治水 地元調整急ぐ

 川辺川ダムの目的の一つは、球磨川流域の洪水を防ぐ治水だった。2009年1月、国交省と県、流域12市町村による「ダムによらない治水を検討する場」がスタート。議論を重ねたが、昨年11月以降は会議が開かれず足踏み状態が続く。

 これまでに国と県は「直ちに実施する」宅地のかさ上げや、「追加して実施する」遊水地の整備などを提案。かさ上げなど一部は実行に移した。ただ全ての対策を取っても「人吉市では床上浸水を想定」とのシミュレーションも。同市の田中信孝市長は8月、国に新たな遊水地などを求める要望書を出した。

 水害常襲地を抱える球磨村の柳詰正治村長も「示された治水安全度では了解できない」との姿勢。検討再開を目指す県は、市町村との意見調整を急いでいる。(箕島竜己)

●利水事業 組合解散で休止状態

 川辺川ダムから農業用水を得る利水事業を計画した国営川辺川総合土地改良事業は、休止状態が続く。

 受益6市町村は、ダムに代えて既設の導水路を使う「農水省新案」を推進したが、一部農家の同意が得られず断念。6市町村による事業組合は今年3月末で40年余りの歴史に幕を閉じ、連絡協議会へ移行した。

 協議会は8月、来年度政府予算に国営造成農地の代替水源調査費などを盛り込むよう国に要望した。協議会長の松本照彦多良木町長は「利水はダムと切り離されたが、農家に水を届ける必要性は変わらない」と話す。(岩崎健示)



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 -五木村はダムを前提としない地域づくりへの方向転換を迫られました。

 「重視したのは、五木村の人々の思いにどう応えるか。表明後、村づくり計画を策定し、県単独で10億円の基金を創設した。11年には基盤整備のため、さらに50億円の拠出も決めた。これで九折[つづら]瀬[せ]地区の国道整備などが具体化した」

 -しかしダム事業廃止特定地域振興特別措置法案は廃案となり、村再生の裏付けはないままです。

 「法整備をしない国の怠慢は許されず、今後も当然求める。ただ、法律による“フルセット”の対策がなければ何もしないのではなく、できることをやってきた」

 -ダムに否定的だった民主党政権から自公政権に再び代わったことの影響は?


 「正当性のある結論をひっくり返すことは不可能に近い。そもそも、ダムによらない治水の議論が始まったのは、以前の自公政権時代。現政権が転換するとは思えない。少なくとも私が知事でいる限りは体を張って抵抗する。知事が代わるとしても、知事選で『ダムが必要』と候補者が言えるだろうか」

 -肝心の治水の議論は滞っています。

 「80年に一度の割合で起こり得る洪水に対する安全策が議論の対象だが、すべての対策がまとまらなくても、できる対策から具体化すべきだ。ダムはない以上、対策を積み上げるしかない。市町村長との意見調整がまとまり次第、国交省に河川整備計画の策定を求める。この間も球磨川中流域の宅地のかさ上げや、八代市の萩原堤防の補強は進んでいる」

 -当初はダムの水を前提としていた国営の農業利水事業も休止状態のままです。

 「現在、地元6市町村が農地造成の計画変更などを国の来年度予算に反映させるよう求めている。国の責任で事業を完了させるには地元の合意形成が重要。県としても役割を果たしていく」

 -公共事業をどう捉え直していますか。

 「いったん動きだしたらやり続ける公共事業のパラダイムシフト(制度、概念の枠組み転換)が求められてる。川辺川ダムが象徴するように、社会経済的な状況の変化で必要性は変わる。ただ、善悪でとらえるイデオロギー的な発想ではなく、必要な公共事業はしっかり遂行する。重要なのは県民の幸福量が上がるかどうかだ」(聞き手 小多崇)

●五木村再生 基本計画具体化これから

 川辺川ダムの水没予定地を抱えた五木村にとって、疲弊した地域再生は待ったなしだ。

 知事の白紙撤回表明後、県と村は村づくり計画を策定。県による10億円の振興基金を活用したソフト事業を並べた。期間は2018年度まで。焼き畑やこんにゃくづくりの体験型観光や、八代市五家荘と連携した特産品づくりなどに着手した。

 一方、ダム事業に絡む道路整備などを滞りなく進める村再建計画は12~18年度、県拠出の50億円や国交付金を財源に実施。今年3月に頭地、高野の両代替地を結ぶ頭地大橋が供用を始め、村は「観光や産業に貢献する」と期待を寄せる。

 再建計画には、村中心部だった水没予定地約20ヘクタールの暫定的な利活用も含まれる。水没予定地という現状に変わりはなく、川の流れを妨げる構造物建設は法的に認められない。村の委員会は今年3月、多目的グラウンドなどを整備する基本計画をまとめたが、具体化は見通せていない。

 「ダム後」の生活再建支援の法整備も実現していない。国が買収した土地の自治体への無償譲渡などを盛り込む法案を民主党政権が提出したが、昨年の衆院解散で廃案。現政権に再提出の動きはない。

 和田拓也村長は「観光客の増加など成果も出ている」と評価するが、「高齢化が進んだ村の財政力は弱まるばかり。国と県は村の振興を図る責任がある」と話す。(後藤仁孝)

●ダムによらない治水 地元調整急ぐ

 川辺川ダムの目的の一つは、球磨川流域の洪水を防ぐ治水だった。2009年1月、国交省と県、流域12市町村による「ダムによらない治水を検討する場」がスタート。議論を重ねたが、昨年11月以降は会議が開かれず足踏み状態が続く。

 これまでに国と県は「直ちに実施する」宅地のかさ上げや、「追加して実施する」遊水地の整備などを提案。かさ上げなど一部は実行に移した。ただ全ての対策を取っても「人吉市では床上浸水を想定」とのシミュレーションも。同市の田中信孝市長は8月、国に新たな遊水地などを求める要望書を出した。

 水害常襲地を抱える球磨村の柳詰正治村長も「示された治水安全度では了解できない」との姿勢。検討再開を目指す県は、市町村との意見調整を急いでいる。(箕島竜己)

●利水事業 組合解散で休止状態

 川辺川ダムから農業用水を得る利水事業を計画した国営川辺川総合土地改良事業は、休止状態が続く。

 受益6市町村は、ダムに代えて既設の導水路を使う「農水省新案」を推進したが、一部農家の同意が得られず断念。6市町村による事業組合は今年3月末で40年余りの歴史に幕を閉じ、連絡協議会へ移行した。

 協議会は8月、来年度政府予算に国営造成農地の代替水源調査費などを盛り込むよう国に要望した。協議会長の松本照彦多良木町長は「利水はダムと切り離されたが、農家に水を届ける必要性は変わらない」と話す。(岩崎健示)



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【2013/09/15 20:44】 | 新聞記事から
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