「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
            嶋津 暉之

社会資本の老朽化の問題についての論考で、傾注すべき話であると思います。

◆毎年8.1兆円の更新投資が50年必要
公共事業拡大では解決しない“朽ちるインフラ”問題

(DIAMOND on line 2013年2月15日 )
http://diamond.jp/articles/-/31998

――東洋大学教授 根本祐二

安倍政権は国土強靭化を掲げ、公共事業の拡大に動きだした。だが、日本の“朽ちるインフラ”問題は、短期の景気対策では解決しない。問題解決の処方箋を提示する。

笹子トンネル事故以来、社会資本、つまり公共施設やインフラの安全に対する注目が高まっている。

日本の社会資本は短期間に集中して整備された。国土交通省社会資本整備審議会の資料によると、道路が最も多く建設されたのは1960年代後半、橋梁が70年代前半、河川(水門、ダム)が80年前後、港湾が80年代前半、公営住宅が70年代前半、公園が70年代後半、学校施設が70年代後半から80年代前半である。これらは現在30~40年経過していることになる。

一斉に老朽化が進む 日本の社会資本

今後これらがいっせいに老朽化し崩壊の危険は加速度的に高まる。これが“朽ちるインフラ”問題だ。老朽化の症状が唯一笹子トンネルの天井板だけに表れ、他は安全だという理屈はあり得ない。同じような事故は全国どこで起きても不思議はない。この危機感をまず共有すべきだ。
実は、笹子トンネル事故以前にも予兆はあった。東日本大震災の時に津波被害を受けず、震度5以下だった地域でも事故が多発した。東京九段会館では天井が崩落して、2名の方が亡くなった。震災はきっかけに過ぎず築77年という老朽化が真の原因だ。この事故では、遺族が管理者を業務上過失致死傷で訴えている。老朽化の危険を知りうる立場にありながら供用を継続し人命を失った、その罪は重いとする。今や、老朽化を見過ごすことは、罪に問われる可能性があるのだ。

首都高速道路は第1期開業が1962年であり今年は51年目となる。先月、首都高速道路会社の第三者委員会は、特に劣化著しい箇所の架け替えや大規模改修に最大9100億円の投資が必要と発表した。全体を架け替えるには何兆円かかるかわからない。もちろん簡単に調達できる金額ではない。首都高速道路の改修のために、北海道や九州の人が支払う税金を多額につぎ込むことは許されるはずもない。今後は、利用料金の大幅な引き上げや高架方式の廃止など、抜本的な見直しが不可避である。

景気対策だけでは 構造問題は解決しない

こうした中、安倍政権では公共投資拡大に舵を切っている。今年度の緊急経済対策を来年度予算と合体して15ヵ月予算とし、10兆円を超える公共事業予算を確保している。このこと自体は正しい。国民の生命に危険が及んでいる状況に対応するには当然の措置である。

しかし、誤解してはならない。“朽ちるインフラ”問題は、1、2年景気対策として公共事業を拡大する程度では、まったく追いつかない構造的な問題だ。筆者の試算では、今ある社会資本を単純に更新するだけでも、年間8.1兆円の投資を50年間続けなければならない。更新した社会資本も50年しか持たないとすれば、51年目には再度同額を投資しなければならない、つまり、8.1兆円の投資が未来永劫続くのだ。

残念ながら、新政権の政策からは構造的問題の解決を図るための処方箋は明確に見えてこない。まずは、全国自治体の社会資本の全量点検とデータ整備、将来の維持更新費用の推計と、財政的に持続可能な社会資本更新投資計画の策定を支援すべきだ。各自治体1億円支援しても1800億円で足りる。計画を策定し国の承認を得た自治体に対して、計画の実行を支援するようにすれば、不必要な公共投資を避けて必要な公共投資に注力することができる。景気対策だけでなく構造問題にも“次元の違う政策”を展開していただきたい。

新規投資を後回しにするという 明確な構造転換が必要

自らを窮地に追い込んだ日本人であるが、処方箋はないわけではない。

まず、老朽化したインフラの維持管理・更新投資を優先し、新規投資を後回しにするという明確な構造転換が必要である。今までも、維持補修の重要性は指摘されてきた。しかし、実際に有効に支出されてこなかったのは、同時に「新規も重要」と言ってきたからだ。

維持補修も新規も重要だと言われれば、政治家は見栄えの良い新規投資にお金を使いたくなる。これを明確に切り替える。インフラの9割は国ではなく地方自治体が所有しており、国の補助金、交付金の条件として「維持補修・更新優先原則」を連動させれば実効性があがるはずだ。

公共施設に有効な 3階層マネジメント

次に、新規投資を抑制するだけでは足りないので、現在の社会資本の選択と集中が必要である。筆者は多くの自治体の現場で、将来の更新投資所要金額を算出している。今まで40以上の自治体で実施したが、今ある社会資本ですら維持できないことが明らかになっている。身の丈を超えて社会資本を増やした「つけ」が今表れているのだ。これには、公共施設と道路、橋りょうなどのインフラなどに分けて考える必要がある。

まず、公共施設には3階層マネジメントが有効だ。公共施設を受益者の範囲の大小によって3種類に分ける。

第1層:全域は広域化

第1層の【全域】とは自治体の全域に受益者がいる施設であり、公立病院、中央図書館、文化ホール、総合運動施設などが該当する。これらは、市の全域だけでなく近隣都市にも便益をもたらすので、自分の町だけでなく隣町と共用する【広域化】を進める。以前は、隣町にあれば自分の町にもほしいというワンセット主義があったかもしれない。これを、隣町にあれば一緒に使うという発想に変える。意識を切り替えさえすればすむことであり、もっとも簡単な方法である。

第2層:校区は多機能化

第2層の【校区】とは小中学校区単位の施設である。学校、児童館、学童クラブ、保育所、幼稚園、デイケアセンター、地区図書館、公民館などが該当する。これらの中でもっとも規模が大きく老朽化しているのが学校である。少子化が進めば、学校自体の数の見直しが不可避であるが、残すべき学校は逆に防災面も考えて、しっかりと作り直すことが必要だ。

その際、学校単独ではなく、校区内の他の施設が持っていた機能も果たせるように【多機能化】する。今までは個々の施設を別々に建設するのが原則だったが、多機能化することによって、会議室、音楽室、調理室など同じ機能を持つスペース、玄関、事務室、階段、廊下などのサブスペースは共用できる。必要なスペースは維持しても、少なくとも2~3割の負担削減はできる。

建て替えの際は、仕様を決めずに、将来の地域の人口構造やニーズの変化に応じてどのような用途にも変えられるようにしておくのが重要である。建築技術的にはすでに確立されているスケルトン・インフィル方式(注)が有効である。

第3層:住区はソフト化

第3層の【住区】には公営住宅や集会所がある。この階層の施設は、自治体が財産を持たない【ソフト化】を進める。民間アパートがある都市部では公営住宅を建て替えることをやめて、民間アパートに入居してもらい家賃補助に切り替える。集会所は、民間の学習塾などの空き時間を時間借りする。補助金を負担しても、自治体が自ら施設を保有するよりははるかに低いコストで済む。

以上を進めることで発生する土地や建物の余剰スペースは、民間に売却や賃貸して収入を得る。残すべき施設の建設、維持管理、運営には積極的に民間活力を導入する。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)や指定管理者などのPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)手法は有効に機能するだろう。3階層マネジメントの利点はすべての機能が維持されている点である。隣町に行く、民間施設を借りるなど不便にはなるかもしれない。しかし、今まで通りの機能と市民の安全と健全な財政が達成できるのである。多少の不便は甘受すべきである。

(注)この方式を活用すれば、建物の躯体をしっかりと作り、間仕切りや内装は用途に応じて機動的に変更することができる。

道路、橋などのインフラには 予防保全マネジメントが有効

多機能化やソフト化が使えない道路、橋りょう、トンネル、水道、下水道等のインフラに関しては「予防保全マネジメント」が有効である。
現在、自治体、特に市区町村が保有するインフラは、道路に穴があくなどの具体的な障害が発生してから対処する事後保全が主流だ。これを、穴があかないように道路を管理する予防保全に変える。

今まで使ってこなかった予防保全費用は必要になるが、事後保全費用が大幅に削減されるので、合計したライフサイクルコストは有利になる。予防保全マネジメントは、建設会社など民間企業にアウトソースするのが妥当である。日々の確認が必要なので圧倒的に地元企業に有利となる。その際、スケールメリットを出すために、地域全体のインフラを包括的にマネジメントすることが望ましい。すでに先行的に行われているいくつかの事例では、費用が2分の1になるという結果も出ている。

この分野では、将来の陥没につながる地中の空洞を、容易に検知する技術も実用化されている。道路の舗装部分の穴だけでなく、地中数メートルの水道や下水道管に亀裂が生じた際に生じる空洞も感知できるために、水道管、下水道管の障害も検知できることが特徴だ。車に搭載して通常速度で走行しながら計測できるため、交通渋滞などを気にすることなく手軽に導入できる。

豊かさの概念を「量」から「質」に転換する

3階層マネジメントや予防保全マネジメントが確実に実施されれば、公共サービスの品質を維持しつつ3~4割の財政負担を引き下げることができる。

これらのマネジメント技術やノウハウは日々進化し普及しており、実際に役に立つはずだ。だが、問題の本質は、今の日本人のライフスタイルそのものにある。ここまで問題が深刻化したのは、社会資本を要求し続けた、少なくとも、ばらまきをする政治家を選んだ国民にも責任がある。

今の日本に必要なのは、「財政負担により社会資本を大量に保有していることが豊かである」という理解を改め、「財政負担が少なくても、質の高いスマートな社会資本を持つ」知恵である。それは、第2次大戦まで日本人が長きにわたって持ち続けた謙譲の美徳に相通じる。大半の国民は、今ある社会資本すら維持できない状況を知れば、新規に投資しないことはもちろん、現在ある社会資本の削減の必要性も理解できると思う。

最近各地で実施されている住民意向調査では、老朽化や財政の厳しさをきちんと説明することにより、今まで実施した自治体すべてで8割以上の市民が削減の方針を支持することが明らかになっている。新しい図書館の建設を行政に陳情していたある市民団体は、筆者の講演を聞いて考えを切り替え、ハコに依存しない図書館とは何かを考え始めた。政治家がしばしば主張する「国民が多くの公共施設やインフラを望んでいる」という認識は間違いではないが、それは事実を正確に伝えていないことの裏返しに過ぎない。


ねもと・ゆうじ
1954年鹿児島生。東京大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。2006年東洋大学に日本初の公民連携(PPP)専門の大学院開設を機に、同大経済学部教授に就任。現在同大学PPP研究センター長を兼務。専門は公民連携・地域再生。主要著書として『朽ちるインフラ』(日本経済新聞出版社)、『地域再生に金融を活かす』(学芸出版社)など。内閣府PFI推進委員会委員、国土審議会委員、自治体公共施設マネージメント委員会委員他兼職多数



☆★こちらもどうぞご覧下さい★☆

 ・「八ツ場あしたの会」ニュース
 ・「八ツ場ダムをストップさせる千葉の会」
 ・まさのあつこさんの政策エッセイ
 ・利根川流域市民委員会


追記を閉じる▲
実は、笹子トンネル事故以前にも予兆はあった。東日本大震災の時に津波被害を受けず、震度5以下だった地域でも事故が多発した。東京九段会館では天井が崩落して、2名の方が亡くなった。震災はきっかけに過ぎず築77年という老朽化が真の原因だ。この事故では、遺族が管理者を業務上過失致死傷で訴えている。老朽化の危険を知りうる立場にありながら供用を継続し人命を失った、その罪は重いとする。今や、老朽化を見過ごすことは、罪に問われる可能性があるのだ。

首都高速道路は第1期開業が1962年であり今年は51年目となる。先月、首都高速道路会社の第三者委員会は、特に劣化著しい箇所の架け替えや大規模改修に最大9100億円の投資が必要と発表した。全体を架け替えるには何兆円かかるかわからない。もちろん簡単に調達できる金額ではない。首都高速道路の改修のために、北海道や九州の人が支払う税金を多額につぎ込むことは許されるはずもない。今後は、利用料金の大幅な引き上げや高架方式の廃止など、抜本的な見直しが不可避である。

景気対策だけでは 構造問題は解決しない

こうした中、安倍政権では公共投資拡大に舵を切っている。今年度の緊急経済対策を来年度予算と合体して15ヵ月予算とし、10兆円を超える公共事業予算を確保している。このこと自体は正しい。国民の生命に危険が及んでいる状況に対応するには当然の措置である。

しかし、誤解してはならない。“朽ちるインフラ”問題は、1、2年景気対策として公共事業を拡大する程度では、まったく追いつかない構造的な問題だ。筆者の試算では、今ある社会資本を単純に更新するだけでも、年間8.1兆円の投資を50年間続けなければならない。更新した社会資本も50年しか持たないとすれば、51年目には再度同額を投資しなければならない、つまり、8.1兆円の投資が未来永劫続くのだ。

残念ながら、新政権の政策からは構造的問題の解決を図るための処方箋は明確に見えてこない。まずは、全国自治体の社会資本の全量点検とデータ整備、将来の維持更新費用の推計と、財政的に持続可能な社会資本更新投資計画の策定を支援すべきだ。各自治体1億円支援しても1800億円で足りる。計画を策定し国の承認を得た自治体に対して、計画の実行を支援するようにすれば、不必要な公共投資を避けて必要な公共投資に注力することができる。景気対策だけでなく構造問題にも“次元の違う政策”を展開していただきたい。

新規投資を後回しにするという 明確な構造転換が必要

自らを窮地に追い込んだ日本人であるが、処方箋はないわけではない。

まず、老朽化したインフラの維持管理・更新投資を優先し、新規投資を後回しにするという明確な構造転換が必要である。今までも、維持補修の重要性は指摘されてきた。しかし、実際に有効に支出されてこなかったのは、同時に「新規も重要」と言ってきたからだ。

維持補修も新規も重要だと言われれば、政治家は見栄えの良い新規投資にお金を使いたくなる。これを明確に切り替える。インフラの9割は国ではなく地方自治体が所有しており、国の補助金、交付金の条件として「維持補修・更新優先原則」を連動させれば実効性があがるはずだ。

公共施設に有効な 3階層マネジメント

次に、新規投資を抑制するだけでは足りないので、現在の社会資本の選択と集中が必要である。筆者は多くの自治体の現場で、将来の更新投資所要金額を算出している。今まで40以上の自治体で実施したが、今ある社会資本ですら維持できないことが明らかになっている。身の丈を超えて社会資本を増やした「つけ」が今表れているのだ。これには、公共施設と道路、橋りょうなどのインフラなどに分けて考える必要がある。

まず、公共施設には3階層マネジメントが有効だ。公共施設を受益者の範囲の大小によって3種類に分ける。

第1層:全域は広域化

第1層の【全域】とは自治体の全域に受益者がいる施設であり、公立病院、中央図書館、文化ホール、総合運動施設などが該当する。これらは、市の全域だけでなく近隣都市にも便益をもたらすので、自分の町だけでなく隣町と共用する【広域化】を進める。以前は、隣町にあれば自分の町にもほしいというワンセット主義があったかもしれない。これを、隣町にあれば一緒に使うという発想に変える。意識を切り替えさえすればすむことであり、もっとも簡単な方法である。

第2層:校区は多機能化

第2層の【校区】とは小中学校区単位の施設である。学校、児童館、学童クラブ、保育所、幼稚園、デイケアセンター、地区図書館、公民館などが該当する。これらの中でもっとも規模が大きく老朽化しているのが学校である。少子化が進めば、学校自体の数の見直しが不可避であるが、残すべき学校は逆に防災面も考えて、しっかりと作り直すことが必要だ。

その際、学校単独ではなく、校区内の他の施設が持っていた機能も果たせるように【多機能化】する。今までは個々の施設を別々に建設するのが原則だったが、多機能化することによって、会議室、音楽室、調理室など同じ機能を持つスペース、玄関、事務室、階段、廊下などのサブスペースは共用できる。必要なスペースは維持しても、少なくとも2~3割の負担削減はできる。

建て替えの際は、仕様を決めずに、将来の地域の人口構造やニーズの変化に応じてどのような用途にも変えられるようにしておくのが重要である。建築技術的にはすでに確立されているスケルトン・インフィル方式(注)が有効である。

第3層:住区はソフト化

第3層の【住区】には公営住宅や集会所がある。この階層の施設は、自治体が財産を持たない【ソフト化】を進める。民間アパートがある都市部では公営住宅を建て替えることをやめて、民間アパートに入居してもらい家賃補助に切り替える。集会所は、民間の学習塾などの空き時間を時間借りする。補助金を負担しても、自治体が自ら施設を保有するよりははるかに低いコストで済む。

以上を進めることで発生する土地や建物の余剰スペースは、民間に売却や賃貸して収入を得る。残すべき施設の建設、維持管理、運営には積極的に民間活力を導入する。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)や指定管理者などのPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)手法は有効に機能するだろう。3階層マネジメントの利点はすべての機能が維持されている点である。隣町に行く、民間施設を借りるなど不便にはなるかもしれない。しかし、今まで通りの機能と市民の安全と健全な財政が達成できるのである。多少の不便は甘受すべきである。

(注)この方式を活用すれば、建物の躯体をしっかりと作り、間仕切りや内装は用途に応じて機動的に変更することができる。

道路、橋などのインフラには 予防保全マネジメントが有効

多機能化やソフト化が使えない道路、橋りょう、トンネル、水道、下水道等のインフラに関しては「予防保全マネジメント」が有効である。
現在、自治体、特に市区町村が保有するインフラは、道路に穴があくなどの具体的な障害が発生してから対処する事後保全が主流だ。これを、穴があかないように道路を管理する予防保全に変える。

今まで使ってこなかった予防保全費用は必要になるが、事後保全費用が大幅に削減されるので、合計したライフサイクルコストは有利になる。予防保全マネジメントは、建設会社など民間企業にアウトソースするのが妥当である。日々の確認が必要なので圧倒的に地元企業に有利となる。その際、スケールメリットを出すために、地域全体のインフラを包括的にマネジメントすることが望ましい。すでに先行的に行われているいくつかの事例では、費用が2分の1になるという結果も出ている。

この分野では、将来の陥没につながる地中の空洞を、容易に検知する技術も実用化されている。道路の舗装部分の穴だけでなく、地中数メートルの水道や下水道管に亀裂が生じた際に生じる空洞も感知できるために、水道管、下水道管の障害も検知できることが特徴だ。車に搭載して通常速度で走行しながら計測できるため、交通渋滞などを気にすることなく手軽に導入できる。

豊かさの概念を「量」から「質」に転換する

3階層マネジメントや予防保全マネジメントが確実に実施されれば、公共サービスの品質を維持しつつ3~4割の財政負担を引き下げることができる。

これらのマネジメント技術やノウハウは日々進化し普及しており、実際に役に立つはずだ。だが、問題の本質は、今の日本人のライフスタイルそのものにある。ここまで問題が深刻化したのは、社会資本を要求し続けた、少なくとも、ばらまきをする政治家を選んだ国民にも責任がある。

今の日本に必要なのは、「財政負担により社会資本を大量に保有していることが豊かである」という理解を改め、「財政負担が少なくても、質の高いスマートな社会資本を持つ」知恵である。それは、第2次大戦まで日本人が長きにわたって持ち続けた謙譲の美徳に相通じる。大半の国民は、今ある社会資本すら維持できない状況を知れば、新規に投資しないことはもちろん、現在ある社会資本の削減の必要性も理解できると思う。

最近各地で実施されている住民意向調査では、老朽化や財政の厳しさをきちんと説明することにより、今まで実施した自治体すべてで8割以上の市民が削減の方針を支持することが明らかになっている。新しい図書館の建設を行政に陳情していたある市民団体は、筆者の講演を聞いて考えを切り替え、ハコに依存しない図書館とは何かを考え始めた。政治家がしばしば主張する「国民が多くの公共施設やインフラを望んでいる」という認識は間違いではないが、それは事実を正確に伝えていないことの裏返しに過ぎない。


ねもと・ゆうじ
1954年鹿児島生。東京大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。2006年東洋大学に日本初の公民連携(PPP)専門の大学院開設を機に、同大経済学部教授に就任。現在同大学PPP研究センター長を兼務。専門は公民連携・地域再生。主要著書として『朽ちるインフラ』(日本経済新聞出版社)、『地域再生に金融を活かす』(学芸出版社)など。内閣府PFI推進委員会委員、国土審議会委員、自治体公共施設マネージメント委員会委員他兼職多数



☆★こちらもどうぞご覧下さい★☆

 ・「八ツ場あしたの会」ニュース
 ・「八ツ場ダムをストップさせる千葉の会」
 ・まさのあつこさんの政策エッセイ
 ・利根川流域市民委員会

【2013/02/17 00:54】 | Webの記事
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック