「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
            嶋津 暉之

29日、昨年9月の鬼怒川左岸決壊箇所「三坂地区」の堤防本体工事が完了したということで、住民説明会がありました。
約200メートルの区間です。堤防の断面図は国交省下館河川事務所のHPに示されています。 
http://www.ktr.mlit.go.jp/shimodate/shimodate00172.html 

川表法面は堤防の土に遮水シートを敷いて、そのうえに大型連結ブロックをおき、その上を覆土しています。テレビの動画をみると、約200メートルの両端は連結ブロックがむきだしになっていますが、この部分は暫定部分であって、工事を上下に延長する時にブロックを一度取り外して、堤防工事を行うとのことです。
問題は川裏法面です。植生工(張芝)となっており、越水があったときの洗掘防止策が講じられていません。昨年9月は川裏法面が越流水によって洗掘されて破堤に至りました。破堤を防ぐために最も重要な川裏法面の被覆をなぜ、行わないのか、理解に苦しむ復旧工事です。

◆「関東・東北豪雨」で決壊の堤防 本体工事が完了
(NHK 2016年5月29日 18時56分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160529/k10010539261000.html

茨城県常総市で、去年の「関東・東北豪雨」で決壊した鬼怒川の堤防の本体工事が完了し、29日、地元の住民を対象に見学会が行われました。

茨城県常総市の上三坂地区では、去年9月の「関東・東北豪雨」で鬼怒川の堤防が決壊し、住宅9棟が流されて住民1人が死亡するなど、大きな被害が出ました。29日、堤防の本体工事が27日までに完了したことを受けて、地元の住民を対象に見学会が開かれ、およそ50人が参加しました。

完成した堤防は長さおよそ200メートルで、決壊前に比べて2メートルほど高くなっているほか、水の浸食を防ぐため、のり面にシートを張り、コンクリートブロックを敷き詰めたうえで芝を張っています。
見学会では、国の担当者が「去年と同じような豪雨でも水害の心配がないように設計した」などと説明していました。国は、主に茨城県内の鬼怒川の流域について堤防を増強するなどの事業を平成32年度までに行う予定です。

豪雨で自宅が全壊した70代の男性は「堤防ができて、この地区はよかったが、ほかの地区についても工事を急いでほしい」と話していました。関東地方整備局下館河川事務所の里村真吾事務所長は「今後も鬼怒川流域の事業を進め、住民の心配を取り除いていきたい」と話していました。

◆茨城)鬼怒川の決壊箇所の堤防完成 常総市

(朝日新聞茨城版2016年5月30日03時00分)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ5Y4227J5YUJHB004.html?rm=348

 常総市上三坂地区で昨年9月、関東・東北豪雨で決壊した鬼怒川の堤防復旧工事が終わり、住民説明会が29日にあった。決壊前の堤防より1・9メートル高くなり、遮水シートなどで補強された。夏の出水期を前に、住民らもひとまず安心した様子だった。

 国土交通省下館河川事務所によると、昨年の豪雨では鬼怒川は堤防の安全性を保てる限界の「計画高水位」を超えた。堤防が破れ、周辺の民家を押し流すなどの被害をもたらした。1月から復旧工事を始めていた。

 新堤防は高さ5・4メートルと旧堤防より1・9メートル高い。3~4メートルだった堤防最上部の幅も6メートルに広がった。河川側ののり面には遮水シートを敷いた上に、ワイヤで結んだコンクリートブロックで覆って補強。地中には遮水板を打ち込み、水が堤防を抜けないようにした。

 新堤防のそばには、流失した家屋跡が広がる。自宅が全壊した会社員の女性(55)は「これで安全にはなったのでしょうが、自宅再建のめどがまだ立ちません」。上三坂地区の秋森二郎区長も「ここだけでなく、上流や下流側も整備してほしい」と話した。(三嶋伸一)

◆決壊の堤防再建 茨城・常総で住民見学会
(産経新聞2016.5.29 23:19)
http://www.sankei.com/affairs/news/160529/afr1605290030-n1.html

 昨年9月の関東・東北豪雨で決壊し、再建工事中だった茨城県常総市三坂町の鬼怒川の堤防が完成し、国土交通省関東地方整備局は29日、現地で住民見学会を開いた。

 再建工事では総額約18億円かけ、堤防の高さを決壊前から約1・9メートルかさ上げして約5・4メートルにし、堤防上部の幅を約6メートルとした。

同じ規模の豪雨が降った場合でも耐えられるように、鬼怒川で水があふれるなどした他の箇所でも整備を進めており、5年間での完了を目指している。

 見学会には住民約50人が参加し、担当者から説明を受けながら完成した堤防を歩いた。三坂町の上三坂地区の秋森二郎区長は「立派なものができて良かったとは思うが、他の部分も早く直してほしい。それまでは安心して生活できない」と話した。


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【2016/05/31 13:33】 | 鬼怒川水害
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   嶋津 暉之

熊本地震によるため池の被害調査が行われました。

◆ため池防災 備え万全に
(読売新聞2016年05月28日)
http://www.yomiuri.co.jp/local/kagawa/news/20160527-OYTNT50195.html

◇香川大教授 熊本で調査

 ◇地震で漏水住民避難、農業に被害

 熊本地震の被災地を香川大工学部の山中稔教授(地盤工学)らが訪れ、ため池の被害調査を実施した。熊本県内では、地震でダムのひび割れや漏水が起こり、大規模な避難指示と農業被害につながった。山中教授は「香川は面積当たりのため池数が全国で一番多い。自治体が作る『ため池ハザードマップ』を防災活動に生かし、日頃の備えを万全にして」と注意を呼びかけている。(浅田真理)

 熊本県などによると、同県内で大きな揺れのあった122か所のため池のうち、13か所で堤防のひび割れや地盤沈下などの被害があった。実態を調査するため、山中教授らは4月29日~5月1日、同県西原村の大切畑ダムと下小森ため池を訪れた。

 村中央にある農業用ため池・大切畑ダム(貯水量85万トン)は、4月14日の前震により大量の漏水が確認された。村は「このままでは堤防が決壊する恐れがある」と判断し、周辺の300世帯に避難指示を出し、全ての貯水を放流した。その後の調査で、漏水はダムの堤防からではなく、農地への送水管の破断が原因だと判明したという。

 山中教授らは、ため池沿いを走る舗装道路との境に約1メートルの段差ができたり、満水時に水を出す「洪水吐」の側壁が傾いたりの被害も確認。「地震の大きな振動でゆがんだと考えられる」という。

 村役場近くの下小森ため池(貯水量2万トン)では、16日の本震で堤防が幅1メートル、高さ3メートルにわたって崩れ、大量の貯水が流出した。けが人はなかったが、農地約1ヘクタールが2日間、水浸しになったという。現地調査では、決壊部に大きなV字形のひびのほか、堤防を横断する幾筋ものひびが確認された。

 田植えの時期と重なったこともあり、農業被害は大きなものになった。

 香川県内には、約1万4600のため池が点在する。大地震での決壊を想定したハザードマップは8市5町が作成し、ホームページなどで公開している。「大雨の時に水や土石流をためて氾濫を防ぐなど、ため池は本来、地域の安全を守ってきた」と山中教授は指摘する。一方で、「江戸時代に造られたものも多く、各地で堤防の耐震補強を進めているのが現状。想定を超えた事態に備えて、ハザードマップで浸水範囲や避難方法を確認しておいてほしい」と話している。

 ◇学生の安否確認 最優先

 ◇香川大特命准教授、災害時 大学の役割調査

 香川大の「四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構」の磯打千雅子特命准教授は、熊本市内の三つの大学などで実施した調査結果をまとめた。被災後に教育機関がとるべき行動について「学生、教職員の安否確認を最優先すべきだ。情報の確認・発信の遅れは、社会的信用の失墜につながる」と指摘した。

 磯打特命准教授は4月25~27日、市内の大学や避難所を訪問。大規模災害が起きたとき、大学などがどのような役割を果たすのかを学んだ。その上で、優先すべきこととして▽学生や教職員の安否確認▽震度と被害の一報▽業務継続に必要な人員配置と安否確認後の情報伝達――などを挙げた。

 学生が中心となったボランティア活動では、無料通話アプリ「LINE(ライン)」やツイッターなど、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による情報交換が目立ったといい、「相互にやり取りできるツールが必須」とまとめた。

 また、井戸水を使っていた大学に地域住民が集まってきた事例を挙げ、「避難所に指定されていなくても、災害時に期待される可能性は大きい」とした。


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【2016/05/31 12:18】 | 未分類
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           嶋津 暉之

中国の雲南省に計画されている水力発電ダムについてのレポート記事をまとめて紹介します。

◆「東洋のグランド・キャニオン」、ダム計画を変更へ
中国で唯一ダムのない川、怒江に暮らす人々とダム計画の行方(1)

(ナショナル ジオグラフィック2016.05.20)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/051900174/

中国の大河、怒江はチベットの氷河に端を発し、アンダマン海へと流れ込む。写真は、雲南省丙中洛付近を蛇行する怒江。この川に予定されていた連続ダム建設計画は、現在棚上げ状態になっている。(PHOTOGRAPH BY ADAM DEAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 ミャンマーとの国境に近い中国、怒江(ヌージャン)の川沿いを走る道路脇で、熊向南(シォン・シァンナン)さんは観光客を相手に魚を売る。オールバックにした髪、ジーンズに白のクロックス、肩からは現金の入ったバッグを下げている。たむろしてタバコを吸う友人たちの横で、熊さんは魚を売り込む。

 魚を獲るのは大変なんだ、と熊さんは言う。夜のうちに網を張り、獲物を確認するために朝早く出て行く。バケツの中で一番大きな魚を240元(約4000円)という高値で売るのはそのためだという。

「ダムのことはあまり考えないようにしています」

 熊さんの背後では怒江が悠々と流れ、時に早瀬に当たって渦を巻く。その一部はチベット高地の氷河に源を発し、中国からミャンマー、タイへ2700キロの渓谷を旅してアンダマン海へと流れ出る。

 中国で唯一、いまだにダムがひとつも建設されていない怒江だったが、そこへ2003年、水力発電ダムの建設計画が持ち上がった。そのうちの1基が、怒江の下流、ミャンマーとの国境に近い人口4万5000人の町、雲南省六庫(リウク)に予定されている。(参考記事:「中国雲南省 地上の楽園の現実」)

 計画について聞かれると、熊さんは「その話はもう何年も前に聞きましたよ。でも政府はまだ許可していません。あまり考えないようにしています」と答えた。20歳の熊さんの本職は農業だが、副収入を得るために漁をしている。

 怒江にダムが建設されるとどうなるのだろうか。「水が汚れて魚が死んでしまうでしょうね。僕たちにとって良いことではないですよ」

 過去50年間で盛んにダムが建設された中国で、保全活動家たちは厳しい戦いを強いられてきたが、怒江に関しては珍しく明るいニュースが聞けそうだ。雲南省の党委員会書記が最近になって、怒江の支流での小規模水力発電計画を中止すると発表したのである。さらに、同地域を国立公園に指定する考えがあることも明らかにした。

 多くの人々は、それで怒江ダム計画も棚上げされるのではないかと考えている。もしダム建設が実行に移されれば、数千人の村人が立ち退きを迫られ、渓谷の美しい景観は永久に損なわれてしまう。

 雲南省の省都昆明(クンミン)をベースに活動する環境保護団体「緑色流域」代表の于暁剛(ユー・シァオガン)氏は、ダム計画が提案されて以来、多くの変化があったと話す。まず、地質学者が調査に入り、この地域に地震の危険性があると警告した。また、中国政府の汚職摘発政策により、ダム建設を提案していた中国華電集団公司と親しい雲南省の役人たちが一掃された。そしておそらく何よりも効果的だったのは、新しい法律のおかげで、怒江のような巨大プロジェクトがもたらすあらゆる影響を政府が考慮し始めていることだろう。
「怒江を毎年訪れていますが、2012年以降、建設会社はプロジェクトから少しずつ手を引いています。怒江は、ダムがひとつもない中国最後の川なのです」と、于氏は言う。だからこそ、建設の是非が問われている。
大麦を収穫する農夫。怒江流域にはこのように肥沃な村が多い。(PHOTOGRAPH BY ADAM DEAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

東洋のグランド・キャニオン

 東洋のグランド・キャニオンとも呼ばれる怒江の大渓谷は、中国とミャンマーの国境、雪を頂く高黎貢山に沿って曲がりくねった切り込みを形成する。谷底を流れる川は馬蹄形に蛇行し、急こう配の渓谷の壁を抱きかかえるようにして狭い道が通っている。(参考記事:「写真:グランド・キャニオン」)

 カーブを曲がる度に、ノコギリの歯のようなギザギザの岩石層や、かつて山頂を覆っていた広大な森林の名残が目に入る。森林が姿を消したのは、薪の材料にするために人間が大量に木を伐採したためだ。しかしそれでも、中国に生息する動物のうち約半分の種がここをすみかとしている。中には、ユキヒョウやクロキンシコウなどの希少な野生生物も生息している。

 東を向くと、そこにはもうひとつ別の岩山が連なり、その向こうには瀾滄江(ランツァンジャン:メコン川の中国名)が流れている。怒江とはまるで趣の異なる穏やかな川で、複数カ所にダムが建設されている。怒江は開発の手が入っていないため危険も多く、長距離にわたって流れの急な場所がある。季節によって水量や水の色が変化し、冬の乾燥した時期には、川は青緑色を帯びる。(参考記事:「ダム建設に揺れるメコン川」)
【フォトギャラリー】世界遺産の秘境、怒江に暮らす人々

 中国内の怒江流域にはおよそ500万人が住んでいるが、その多くがリス族やダイ族といった少数民族で、中国の中でも貧困が深刻な地域である。そのため、住民たちの中には雇用をもたらし、道路を整備してくれるダム建設を歓迎するものも多い。(参考記事:「大河の上を飛ぶ! 少数民族が暮らす絶景」)

 ある朝、チベットとの国境に近い怒江沿いの村、丙中洛(ビンジョンルオ)で、子牛の肉を売っていた37歳の李広進(リー・グァンジン)さんもそんなひとりだ。埃っぽい道端で、李さんとその妻は防水シートを拡げ、まだ血の滴る肉を並べて客が来るのを待っていた。

 飼っていた子牛は、その前日に大けがを負ってしまったため、殺すしかなかったと李さんは語った。ダム建設について聞かれると、渓谷の上流に住む人々は農業だけではやっていけないので、雇用や開発をもたらしてくれる建設には賛成だと答えた。

「きっと良くなると思います。電気も通るし、電力会社で働くこともできるでしょう」。李さんは、町から1キロ離れたところに住んでいる。

水力発電で怒江へ幸福を

 中国華電集団公司は10年以上前から、繁栄をもたらすとうたい、ダム建設の売り込みに力を注いできた。怒江観光への玄関口となっている町、六庫へ入ると、「緑の水力発電で怒江へ幸福を」、「100年の開発がここから始まる」と中国語で書かれた華電集団の看板が目に飛び込んでくる。

 建設支持者たちは、計画が停滞している理由のひとつが、中国の電力供給過多にあることを認識している。しかし、水力発電工程学会副秘書長の張博庭(チャン・ブオティン)氏は、それも近い将来必ず変わるだろうと期待する。経済が今後成長を続ければ需要は増し、さらに政府としても、国際的な温暖化ガス排出削減目標を満たし、大気汚染を解消するために、再生可能エネルギーの選択肢を拡げる必要に迫られている。(参考記事:「大型ダム計画で小水力発電の村が危機、マレーシア」)

「ダムはいずれ建設されることになると思います」と張氏は述べ、雇用が生まれて税収入が増えることを歓迎している地元役人も多いと付け加えた。

 しかし、水力発電は本当に農村地域発展の万能薬となりうるのだろうか。過去の実績を見ると、別の現実が浮かび上がってくる。

◆中国の川「怒江」、ダム計画と世界遺産への登録
中国で唯一ダムのない川、怒江に暮らす人々とダム計画の行方(2)

(ナショナル ジオグラフィック(2016.05.24)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052300178/

 中華人民共和国の建国から67年。

 中国は8万基以上のダムを建設し、合計で300ギガワットの水力発電容量をもつ。これは、米国の水力発電量のおよそ3倍だ。その一方で、ダム建設によって数千万人が故郷を追われた。中国最大の水力発電プロジェクトである三峡ダムでは、130万人の村人が立ち退きを余儀なくされた。

 三峡ダム完成から10年近く経つ今でも、数千人の元住人が、約束された住居やその他の補償を受け取っていないとして政府に申し立てを行っている。人々は田畑や仕事を失い、貧困生活を強いられていると主張する。(参考記事:「三峡ダムの建設で変貌した長江ほとりの街」)
福貢県を流れる怒江にかかったつり橋のイルミネーション。怒江渓谷にある町としてはとりわけ大きい福貢県では、国立公園が創設されれば観光客の増加が期待される。(PHOTOGRAPH BY ADAM DEAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

立ち退いた人々の悲惨な現状

 怒江(ヌージャン)ダムの調査が進められていた2002年、環境保護団体「緑色流域」代表の于暁剛(ユー・シァオガン)氏は、一部の村人を連れて瀾滄江(ランツァンジャン:メコン川の中国名)上流にある漫湾ダムの視察に出かけた。そこで一行は、ダム湖建設のため立ち退いた人々の悲惨な現状を目の当たりにした。(参考記事:「ダム建設に揺れるメコン川」)

「ある村では、自分の土地を全て失い、廃品を拾ってダム会社に売ったお金でギリギリの生活を送っている人々がいました」と、于氏は証言する。視察の様子を撮影したビデオには、村人たちの劣悪な環境に動揺する怒江の人々の姿が収められている。

 65歳にしていまだ精力的に活動する于氏は、アジア有数の河川保護活動家である。人生のほとんどを、ダムとダム湖建設による影響を記録することに費やし、特に立ち退きを迫られた住民への社会的影響に焦点を当てている。2006年、その功績が認められ、国際的な環境賞であるゴールドマン環境賞を受賞した。

 しかし、彼ほどの実績とコネをもってしても、怒江ダム計画によってすでに立ち退いてしまった人々を守ることはできなかった。2000年代半ば、雲南省と中国華電集団公司は提案中だったダム建設に向けて土地を一掃するため、小沙?(シャオシャバ)村で140世帯の立ち退きを開始した。ところが、ダムは結局建設されることなく、後には村の廃墟が残され、かつてここに暮らしていた村人が訪れる姿が見られる。
春の到来を祝う祭り。少数民族のヌー族、リス族、チベット人は聖なる洞窟とされている鍾乳洞で水を汲み、丙中洛に築いたチベット仏教の祭壇に供え物を捧げる。(PHOTOGRAPH BY ADAM DEAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 李慧珍(リー・フゥイジェン)さんと数人の友人たちは、小さな鎌を手に、今では住む者のない村で菜園の手入れをしていた。自宅を立ち退いて10年、李さんは夫とともに近くに新しく建設された村の2階建て集合住宅に住んでいるが、そこには菜園を作る土地もなく、家畜を飼育することもできない。

 住環境は良くなったが、不満は残った。「何もすることがなくてただ座っているだけなので、毎日ここへきて野菜を育てているんです」と、李さんは話す。

ダム建設決定と世界遺産登録

 三峡ダムをはじめとする水力発電プロジェクトが国家の威信の象徴となっていた時代に、怒江の開発計画は始まった。2003年、政府は怒江で13基の連続ダム建設を発表、完成すれば、その総発電量は三峡ダムを上回ると言われた。

 しかしその後、中国経済は減速し、電力需要も減少した。政府は、新たなダムを建設する前に既存のダムからより多くの電力を引き出す方が得策であることに気付いた。国内の水力発電所がまだまだ効率的に稼働していないことを示す調査報告も複数ある。(参考記事:「米国に広がるダム撤去の動き」)

 中国の送電網と起伏の激しい地形が、怒江でのダム建設の大きな障害となっている。瀾滄江や長江(揚子江)でも、源流域の険しい山あいに送電線を設置するのは容易ではなく、莫大な費用がかかった。

 2003年、怒江ダム建設計画が正式決定されるわずか数カ月前に、怒江、瀾滄江、長江の3本の川は「雲南三江併流の保護地域群」としてユネスコの世界遺産に登録された。もし怒江にダムが建設されれば、世界遺産の指定区域内か、あるいはそのすぐそばに送電線を通さなければならない。ユネスコによると、ここには7000種の植物と80種の希少種および絶滅危惧種の動物が生息している。なかには、中国国内の他のどの場所にも見られない種も存在しているという。(参考記事:「絶景「三江併流」の玄関口、雲南省シャングリラ県」)

「電気を外へ送ることは簡単ではありません」と、環境保護団体インターナショナルリバーズの中国プログラムディレクターを務めるステファニー・ジェンセン・コーミアー氏は言う。「送電線は建設が大変で、環境への影響は深刻です」

◆そして、ダム計画は立ち消えになった
中国で唯一ダムのない川、怒江に暮らす人々とダム計画の行方(3)

(ナショナル ジオグラフィック2016.05.26) 
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052500181/

 “東洋のグランド・キャニオン”とも呼ばれる中国最奥の川、怒江(ヌージャン)に13基のダム建設計画が立ち上がったのは2003年のこと。しかし、計画はなかなか進まなかった。背景にあるのは、計画立ち上げとほぼ同時期にこの地域が世界遺産に登録されたこと、そして起伏の激しい地形のために送電網の設置が困難なことだ。

 環境保護活動家によると、建設計画が遅れている理由は他にもある。

 2008年、隣接する四川省で大地震が起こり、8万人が死亡した。これをきっかけに、中国南西部で地殻変動が起きた際にインフラが被るリスクに注目が集まった。一方で、四川地震の4年前に、断層近くにダム湖が建設されたことが地震の原因ではないかという議論が持ち上がったのだ。(参考記事:「ダム建設に揺れるメコン川」)

地震の不安、政府の癒着

 3年後、2人の著名な地質学者が当時の首相温家宝氏へ書簡を送り、活断層のある怒江峡谷にダムが建設されれば、大規模な地震が起こった場合に持ちこたえられないだろうと警告した。

「いかなる鉄筋コンクリートのダムでも、怒江の活断層による揺れに耐えることはできないでしょう。また、河岸での大規模な山崩れや地滑り、土石流を防ぐことも不可能です」と地質学者らは指摘する。

 書類上はいまだに、5基の怒江ダム建設計画が残っている。1基は丙中洛(ビンジョンルオ)上流のチベット自治区内で、残りの4基は雲南省内だ。数年かけて調査しているにもかかわらず、雲南省はまだ必要な環境調査報告を公開していない。建設を計画する地元当局と中国華電集団公司へのインタビューを試みたが、どちらも実現していない。

 習近平国家主席は3年前の就任以来、中国が過去に起こした環境破壊行為と絶縁するかのように、「エコ文明」の創設を推進してきた。また政府内の癒着を一掃すべく、怒江ダム建設を支持していた有力者を含む多数の役人を排除した。

 雲南省での水力発電と採掘事業に積極的だった白恩培(バイ・オンペイ)氏もそのうちのひとりだった。白氏は2000年から2011年まで同省共産党委員会書記を務めていたが、採掘業者へ採掘許可を発行する際に賄賂を受け取っていたとして、2014年に逮捕された。

 この事件で、雲南省は怒江ダムへの熱意が冷めてしまったのだと、環境保護団体「緑色流域」代表の于暁剛(ユー・シァオガン)氏は言う。

グランド・キャニオンを超える観光地へ

 2016年3月、同省の現共産党委員会書記の李紀恒(リー・ジーホン)氏は、怒江での新規の小規模水力発電プロジェクトと採掘事業を禁止すると発表した。そして、この地域で芽生えつつある観光業を育成するために、国立公園の創設を検討していることも示唆した。

 中国の国営ラジオ局、中央人民広播電台によると、李氏は「怒江は、この先5年から10年の間に、米国のグランド・キャニオンをも超える世界級の観光地となるでしょう」と、語ったという。

 于氏をはじめとする環境保護活動家は、李氏の発言が政府の重要な政策転換を示していると見ている。雲南省の指導部は密かに、怒江での大小含めた水力発電計画を、国際的な観光名所開発への青写真と置き換えようとしているという。(参考記事:「環境大国をめざす中国」)

 ダム計画の話は、とうの昔に住民たちの話題に上ることもなくなった。たとえ上ったとしても、日々の生活から気を紛らわせる程度の話題でしかない。大規模農業に向かない険しい峡谷の上流では、村人たちはわずかな収入を補うために、登山客相手に道端で果物を売ったり、ゲストハウスを提供している。氾濫原が広い下流の地域では、コーヒー、タバコ、トマト、イチゴ、その他高く売れる農作物が栽培されている。

 ダムが建設されれば、川の水量が増してこれらの農地は失われてしまう。ダムを見に観光客はやってくるかもしれないが、現在のように自然を愛する旅行者を相手にした小規模ビジネスは成り立たなくなるだろう。
楽園のままではいられない

 ダムがあろうとなかろうと、東洋のグランド・キャニオンと呼ばれる怒江は、いつまでも外界から隔絶された楽園のままではいられない。既に、峡谷を貫く狭い道路の拡張工事が始まっており、数年以内にチベット自治区の中心地ラサへ続く自動車道が完成する予定だ。(参考記事:「絶景「三江併流」の玄関口、雲南省シャングリラ県」)

 ある昼下がり、怒江上流にある迪麻洛(ディマルオ)村の広場で、音楽家のフシさんは友人らとともに、ピワンと呼ばれるチベットの弦楽器を演奏し、後日開かれる祭りで披露する踊りの練習をしていた。フシさん(チベット人の多くは姓を持たない)は、数年間北京に住んでいたが、澄んだ空気と雄大な景観、ゆったりと流れる時間が懐かしくなって、故郷へ戻ってきたという。彼の腕にはチベット語で「純粋な心」と書かれた刺青が入っていた。

 フシさんは村に戻ってきてホッとしたと語るが、ここにも少しずつ外の世界が入り込んできているという。「誰もが、このような場所を夢見ているんです」


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【2016/05/26 21:46】 | 各地のダム情報
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             嶋津 暉之

熊本地震と立野ダムの問題を取り上げた朝日新聞の記事です。

◆南阿蘇のダム、計画は続行? 一帯で土砂崩れに不安の声
(朝日新聞2016年5月24日20時52分)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ5M7QWBJ5MPTIL03Z.html?rm=637

 熊本地震で大きな被害が出た熊本県南阿蘇村には、本体着工間近の国土交通省の立野(たての)ダムがある。一帯では土砂崩れが起きており、国交省は土砂を撤去して安全性を確認し、本体工事の着手について再検討する、と説明する。だが、不安を訴える人たちもいる。

 立野ダム建設予定地は、崩落した阿蘇大橋から約2キロ南西にある。阿蘇山のカルデラから有明海へ注ぐ白川沿いの崖は崩れ、川床は土砂で覆われている。遠隔操作できる無人の重機が土砂を取り除いていた。

 国交省によると、本体着工に向け、川床に仮排水路を掘削していた。4月16日の本震で、工事用道路や建設機械が埋まった。工事事務所の担当者は「余震や雨の度に作業を止めざるを得ず、先行きが見えない。梅雨入りまでには終わらせたいが」とため息をつく。

 熊本地震では布田川(ふたがわ)断層帯が活動し、マグニチュード(M)7・3を観測した。断層帯の北端、北向山(きたむきやま)断層はダム建設地の約500メートル南東を走る。国交省はこれまで「断層は建設地へは向かっておらず、考慮すべき活断層はない」としてきた。

■安全性に疑問の声

 地震後、ダムの安全性をめぐって疑問の声が上がる。
 自然破壊などの観点から建設に反対してきた市民ら約300人でつくる「立野ダムによらない自然と生活を守る会」は4月末、国交省に建設中止を要請した。中島康代表は「多くの崩落が起き、完成後であればダムの地盤が崩れていた可能性もある。危険な場所に造るべきではない」と話す。

 阿蘇火山博物館の須藤靖明・学術顧問も「建設地周辺は地質的に弱く、近くに活断層があることを考えれば、建設には非常に危険が伴う」と指摘する。

 地震や活断層を研究する産業技術総合研究所(茨城県)の吉見雅行・主任研究員は現地調査をし、布田川断層帯に並行する地表のずれを益城町などで確認。「北向山断層に並行するずれがダム付近にないか、調査した方が良い」と話す。

 国交省九州地方整備局の調査では、建設地から約500メートル南東の道路上に70センチほどの横ずれを確認したが、坂井佑介・河川計画課長は「設計時に調査済みの北向山断層の一部とみられ、建設に影響はない」。土砂崩れについても「表層の崩落であり、ダム本体を支える岩盤に異常はない」と説明する。

 坂井課長によると、耐震設計上、現場の地質や過去にあった地震記録から地震は想定していたというが、工事用道路の土砂を取り除いた後、空中写真の判読で地形のずれを調べ、岩盤も改めて調べる方針。坂井課長は「今回の地震を調査対象に加えて安全性を確認し、本体着工について再度検討する」としている。(玉置太郎)

     ◇

 〈立野ダム〉 熊本市など下流域で氾濫(はんらん)を繰り返してきた白川の洪水被害を防ぐため、国土交通省が1983年に事業を始めた治水ダム。総事業費約917億円で、2022年完成予定。堤の高さ約90メートル、長さ約200メートル、総貯水量は約1千万立方メートルで、豪雨時に一時的に貯水し、下流へ流す水量を調整。今年度は約42億円を計上し、本体工事に着手する計画だった。


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【2016/05/24 22:11】 | 各地のダム情報
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              嶋津 暉之

リニア中央新幹線の認可取り消しを求める行政訴訟の提訴についての記事をお送りします。

◆リニア取り消し求め提訴 沿線住民ら738人「技術未熟」
(東京新聞2016年5月21日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016052102000142.html?ref=rank

 JR東海が二〇二七年に品川(東京)-名古屋間で開業を目指し建設中のリニア中央新幹線は安全性が確保されておらず、自然環境への悪影響が大きいとして、沿線の一都六県の住民を中心とする七百三十八人が二十日、国に工事実施計画の認可を取り消すよう求める行政訴訟を東京地裁に起こした。

 リニアの工事実施計画は一四年十月、国土交通相が認可した。

 訴状では、リニア技術は未熟で、時速五百キロ走行には問題があると指摘。断層帯である中央構造線が走る山岳地帯を通ることは危険な上、全長の八割以上を占めるトンネル内で地震や火災が起きた場合の避難も難しいなど安全性が確保されていないと主張している。

 また、工事による南アルプスの自然破壊や地下水脈への影響、トンネル掘削で発生する土の処分先の確保といった問題点があるのに、JR東海は環境影響評価(アセスメント)で十分な検討をしていないと批判している。


◆「リニアは人格権否定」 相模原で原告会見 生活環境の保全訴え
(東京新聞神奈川版2016年5月21日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201605/CK2016052102000154.html?ref=daily

 リニア中央新幹線の沿線住民らが国に工事認可取り消しを求めて二十日に東京地裁で起こした訴訟には、県内からも多くの原告が参加している。中間駅が設置される相模原市内では同日、同市内の原告百十三人のうち、市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」メンバーの原告五人が記者会見し、生活環境の保全を訴えた。(寺岡秀樹、小形佳奈)

 中間駅は、同市緑区のJR・京王橋本駅に設置される。原告らはこれまで沿線各地で起こりうる自然破壊や水枯れ、残土問題、同区の山あいにある鳥屋地区に車両基地が建設されることで生じる生活環境破壊などのおそれを指摘してきた。

 元城山町議松本三望さん(75)は「リニアは人格権を否定するような鉄道。裁判を通じて、計画の妥当性を問うとともに、環境や人間と共生できない乗り物であるとの世論が出てくることを期待する」と話した。

 車両基地は盛り土の上に東京ドーム約十個分の広さで建設され、訴状は「景観の破壊は明らか」「(工事車両の通行で)交通事故の危険性増大、排ガスなど受忍限度を超える生活環境の悪化を予想」と指摘。

 鳥屋地区の農業栗原晟さん(70)は「何が大切なのか、何を守っていくべきなのか、自然や環境の大切さを国民全体に問うた訴訟と意義付ける」と語った。原告ら十一人は建設予定地に地上権を登記し、事業の中止や遅延を図るトラスト運動も開始している。

 中間駅設置で、橋本駅近くの県立相原高校は移転が決まっている。同校には緑が広がり、市民に親しまれてきた。主婦桜井真理さん(60)は「相原高校の緑が失われ、市民の安心安全はかき消される。市民の犠牲の下に大きな計画が進められている」と訴えた。

○川崎でも会見 残土問題を指摘

 川崎市役所では二十日、「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」のメンバーが会見し、「JR東海は計画を白紙に戻して再検討を」と訴えた。

 矢沢美也(よしや)共同代表(69)=麻生区=は「工事車両による大気汚染、工事の騒音などが心配」と話し、地下を掘って出る残土の行き先を決めないまま着工したことも問題だとした。会員は川崎市と東京都町田市に住む約六十人で、提訴に加わったのは半数という。

 JR東海の計画では、品川-名古屋間二百八十六キロの中で川崎市内の工事区間は約十六キロ。地権者の権利が及ばない深さ四十メートル以上の大深度地下を通る。中原、宮前、麻生の三区に合わせて五カ所の立て坑が設けられ、開業後は非常口になるという。

◆<リニア>沿線住民738人、認可取り消し求め提訴
(毎日新聞 2016年5月20日(金)19時43分配信 )
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160520-00000071-mai-soci

「事業の問題点を明らかにしたい」と語る川村晃生原告団長(中央)=東京・霞が関の司法記者クラブで2016年5月20日午後2時0分、伊藤直孝撮影

 JR東海が品川-名古屋間で2027年度の開業を目指しているリニア中央新幹線について、沿線の住民ら738人が20日、国を相手に事業認可の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。
 住民側は訴状で、全長286キロのうち86%がトンネルで、非常避難路も最長3.9キロと長いため、非常時の対応が難しい恐れがあるとして「鉄道事業法が事業者に義務付ける輸送の安全性を欠く」と指摘した。トンネル工事で発生する建設残土の大半の処分先が決まっていない点など、環境影響評価も不十分として、事業認可は違法だと主張している。
 JR東海は14年10月に国の認可を受け、同12月に着工している。訴訟で工事差し止めではなく認可取り消しを求めた理由について、記者会見した関島保雄・弁護団共同代表は「事業の構造的な欠陥を明らかにしたい」と説明した。原告団長の川村晃生(てるお)さん(69)=甲府市=は「実験線でもトンネル掘削による地下水の枯渇が起きている。JRは訴訟で疑問点に答えてほしい」と話した。

 国土交通省は「訴状を受け取っていないので、コメントは差し控える」としている。【伊藤直孝】


◆リニア取り消し提訴で沿線住民ら記者会見
(信濃毎日新聞2016年5月21日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160521/KT160520ATI090034000.php

 JR東海のリニア中央新幹線計画に反対し、国が行った工事実施計画の認可取り消しを求め東京地裁に提訴した沿線住民らが20日午後、都内で記者会見した。

 原告団長の川村晃生さん(69)=甲府市=は会見で、認可取り消しを求めた理由について、「(リニアは)財政的にも環境的にも日本の将来の在り方に関わる問題として位置付けている」とし、「法廷で出てきた情報を基に反対の運動を進めていきたい」と話した。

 原告団は計738人で、県内からは飯田市や下伊那郡大鹿村などの沿線住民ら29人が参加した。訴状は、JR東海による環境影響評価は調査内容も情報公開も不十分で、これに基づく認可は環境影響評価法に違反していると主張。従来の新幹線網との相互乗り入れができないリニアは全国的な幹線鉄道網形成に寄与しないとし、全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づく認可は違法とした。

 提訴について石井啓一国土交通相は同日の会見で「係争事案であるため、特にコメントはありません」と述べた。
(5月21日)



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【2016/05/24 21:59】 | 未分類
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熊本地震で貯水施設が決壊し、大学元教員の方が、この水力発電所の耐震対策、決壊対策、安全対策、地盤調査などへの疑問を呈しています。
そして、石木ダム予定地の地盤について昭和58年に構地質学者が、石木ダムの安全性を強く否定しました。
160521長崎新聞

【2016/05/23 01:51】 | 未分類
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             嶋津 暉之

鬼怒川決壊の被災農家の田植えが始まりました。
5月15日(日)に常総市水害被害者の会の方に案内していただき、被災された方々から、水害のダメージが大きく、生活、仕事の再建がままならぬことをお聞きしました。

◆茨城)被災農家の田植え始まる 鬼怒川決壊で被害の常総
(朝日新聞茨城版2016年5月19日03時00分)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ5G022PJ5FUJHB024.html?rm=382

 昨年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊し、深刻な浸水被害を受けた常総市では、田植えが行われた。一時は今年は水田の復旧が間に合わないのではと心配されたが、4月末までに整備された。ただ、良質な土が失われた農地もありそうで、被災農家らは「今年もおいしい米ができてほしい」と願っている。

 鬼怒川の水があふれ出た同市若宮戸の現場近くに住む農家、小林康裕さん(67)は連休明けから田植えを始めた。例年より1週間程度、遅いという。被災当時、一帯はがれきと泥で、どこが田んぼかも分からない状態だったという。

 あふれた濁流は自宅の床上60センチまで達し、耕運機は水没。当時はまだ稲刈りが半分程度しか終わっておらず、多くの稲穂が泥に埋まった。国の激甚災害の指定を受け、重機によるがれきの除去が始まったのは2月。2階住まいを強いられていた自宅の応急修理は4月末に終わったばかりだ。

 常総市によると、市内で復旧が必要になった農地は少なくとも約112ヘクタールで、このうち水田は74ヘクタール。昨年末から始まった水田の復旧作業は終わったが、一部の畑は6月ごろまでかかりそうだという。小林さんは「田植えができたのが夢のよう。これが復興への第一歩です」と話していた。妻の百合子さんは「何十年もかけて育てた土が流失してしまった。またおいしいお米ができるといいのですが」と、心配そうだ。

 市産業労働部の小室孝二部長は「農業は基幹産業なだけに、被害の大きかった地区から優先的に復旧した。何とか間に合ってよかった」と話していた。(三嶋伸一)

【2016/05/23 01:38】 | 鬼怒川水害
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              嶋津 暉之

2011年9月の紀伊半島大水害から5年近く経ちました。
ダムが関係しているのでしょうが、熊野川の濁りがいまだに解消されていないという記事です。

◆熊野川の濁り 大水害前の2倍以上
(紀伊民放2016年5月19日更新)
http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=314768&p=more

 国や和歌山と奈良、三重の3県、熊野川流域の自治体などでつくる「熊野川の総合的な治水対策協議会」が18日、和歌山県田辺市本宮町の本宮行政局で開かれ、現地を視察した。上流のダムや発電所などによって熊野川が濁る日数は減ってきているが、2011年9月の水害前と比べると依然として2倍以上に上る。会議では、新宮市の田岡実千年市長が「一刻も早く解消を望みたい」などと訴えた。

 協議会は3県や流域にある田辺市や新宮市など11市町村、近畿地方整備局、紀南河川国道事務所、関西電力、電源開発(Jパワー)西日本支店などを委員として12年7月に設立。開催は今回で11回目で、実際に対策が進む現場の状況を見て意見を交換しようと初めて現地で開いた。

 濁水対策については、風屋ダム(奈良県十津川村)と二津野ダム(同)を使って発電事業をしている電源開発の担当者が風屋ダムは昨年4月、二津野ダムには今年3月末に濁水防止フェンスを設置して運用を始めたこと、今年秋から風屋ダムの取水設備の改造に取り組むことなどを説明した。
 具体的な濁りの状況については、近畿地方整備局河川部の担当者が説明。協議会が濁っている状態の目安としている「濁度20以上」の日数は、熊野川下流域の南桧杖(新宮市)で12年の132日に対し、13年は98日、14年は60日、15年は55日と少しずつ減少傾向にあることを報告した。ただ、大水害前の09年22日、10年21日と比べると2倍以上となっている。

 この状況に対し、田岡市長が「風屋ダムでは1年前に濁水防止フェンスが設置されたが、今でも依然として見た目にも改善されたと言いがたく、下流域に住む者としては一刻も早い解消を望むところ。最近、外国人観光客が増える中で、世界遺産の川として非常に恥ずかしい思いもしている」と苦言を呈した。

 さらに「この1年間の濁度について見ると、行楽シーズンの7月と9月が前年より悪く、冬場の渇水期も改善が図られていない」として(1)濁水対策の先進事例を調査して参考にすること(2)二津野ダムから約8キロの導水路を伝って新宮市熊野川町にある「十津川第二発電所」の放水口で、大変な濁りがある場合には発電を停止する―など運用見直しを含めた対策を求めた。

 協議会ではこのほか、熊野川に堆積した土砂を除去する取り組みの進捗(しんちょく)状況などについても報告。参加者は二津野ダムの濁水防止フェンスなどを視察した。


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【2016/05/23 01:23】 | 新聞記事から
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『ダム・ネーション』スペシャル上映会「Dam Nation上映+辻井トーク」
(2016.5.20 (金) 14:00)
http://top.tsite.jp/lifestyle/lifetrend/campaign/28951263/index
28951263_56122.jpg

6月18日、湘南T-SITEカーライフラボにて、『ダム・ネーション』スペシャル上映会を開催いたします。

数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画、「ダムネーション」の上映と、この映画を提供した、パタゴニアの日本支社支社長、辻井隆行さんのスペシャルトークショーの2本立てのスペシャル上映会。

当日は183インチの巨大スクリーンを設置し、カーライフラボの開放的な空間の中でスペシャル上映会を楽しんでいただけます。

映画あり、トークショーもありのまたとないこの機会、
本作品が映し出す川の生命力と美しさ、新しい未来をつくりだす希望の光をぜひご覧ください。


■ストーリー
~役立たずのダムを取り壊せ~
アメリカ全土につくられた何万基ものダム。それらの多くは、川を変貌させ、魚を絶滅させ、
それにもかかわらず期待される発電・灌漑・洪水防止のいずれにおいても低い価値しか提供していない。
むしろダムの維持には高い経済的負荷がかかっている。
そんな負の面ばかりのダムを「撤去」する選択が、アメリカでは現実になってきた。
だが、「ダム撤去」が当たり前に語られるようになるまでには、「クレイジー」と言われながらも川の自由を求めつづけてきた人びとの挑戦があった。
彼らのエネルギーにより「爆破」が起こるドキュメンタリー。(プレスリリースより抜粋)

【映画ホームページはこちら】
http://damnationfilm.net

■辻井 隆行(つじい・たかゆき)
辻井社長_s.jpg
プロフィール:
パタゴニア日本支社長。1968年東京生まれ。
会社員を経て、早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程修了。
1999年、パートタイムスタッフとしてパタゴニア日本支社に入社。2009年より現職。
入社後も長期休暇を取得し、グリーンランド(2003年)やパタゴニア(2007年)でシーカヤックと雪山滑降を組み合わせた旅などを行う。
2014年より、長崎県の石木ダム建設計画見直しを求める活動(ishikigawa.jp)を通じて、市民による民主主義の重要性を訴える。

開催概要
会期 2016年6月18日(土)
時間 19:00~21:00
場所 カーライフラボ A棟
※2号館1階BOOKカウンターでお会計をお済ませのうえ、会場へお越しください。
参加費 1,000円(税抜)
小学生:500円(税抜)
小学生未満:無料
申し込み方法 電話受付
湘南蔦屋書店
0466-31-1510(代表)
※お申し込みの際にイベントの日時とタイトルをお伝えください
※店頭でのお申し込みの場合は2号館1階BOOKカウンターまでお越しください
定員 100名
講師/ゲスト パタゴニア日本支社 支社長
辻井隆行
主催 湘南蔦屋書店
共催・協力 ユナイテッドピープル株式会社
パタゴニア日本支社
問い合わせ先 湘南蔦屋書店 0466-31-1510(代表)
ホームページ http://damnationfilm.net


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【2016/05/22 21:25】 | お知らせ
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          嶋津 暉之

群馬県にも活断層があるという記事です。

◆大地震 「熊本と群馬」似た地形 各地に痕跡「無縁ではない」 熊原康博・広島大准教授に聞く /群馬
(毎日新聞群馬版2016年5月18日)
http://mainichi.jp/articles/20160518/ddl/k10/040/104000c

 2度の震度7を引き起こした熊本地震では、熊本県内を走る二つの活断層が震源だった。現地を調査している熊原康博・広島大准教授(地理学)によると、「熊本の地形は実は群馬と似ている」という。2009年に群馬県内を走る新しい断層を解明した熊原准教授は「群馬も大規模地震の発生と無縁ではない」と警告する。その根拠はどこにあるのか。どう備えるべきなのか。熊原准教授に聞いた。【聞き手・杉直樹】

 −−群馬は「大規模地震とは無縁」とも言われますが。

 ○日本全国どこでも、地震が起きない場所はないと考えるべきです。県内では、強い震動が過去に生じたことを示す地割れや、砂が噴出した形跡が太田地域周辺で見つかりました。伊勢崎や桐生などでも大規模地震の痕跡が残っています。群馬も大規模地震の発生と無縁ではありません。

 −−しかし、県が12年に公表した報告書では、「関東平野北西縁断層帯主部」(長さ約82キロ)による地震発生確率は、今後100年以内で「ほぼ0~0・03%」とされるなど、試算ではいずれの断層も発生確率が低いですが。

 ○試算は根拠が不十分な面があります。断層の真上には市街地が広がり、発掘調査が進んでいないからです。例えば、関東平野北西縁断層帯主部の場合は、断層の裏にある地層の一部から確率を推計しているにすぎません。「低い」のではなく「不明」と捉えた方が実情に即しています。「太田断層」「片品川左岸断層」でも、現時点では確率を算出するだけの情報がなく、警戒が必要です。

 −−仮に地震が発生した場合の被害はどうなりますか。
 ○最も危険とされる関東平野北西縁断層帯主部では、熊本地震と比べものにならない被害が出るでしょう。むやみに危機をあおるつもりはありませんが、活断層がある以上、地震は確実に起きる。その前提に立って備えるべきです。

 −−熊本県内では余震が続き、家屋の倒壊や土砂災害が相次ぎました。

 ○地震の揺れ自体で人が亡くなるより、家屋の倒壊や土砂災害などの2次災害で死傷するケースが圧倒的に多い点に注目すべきです。熊本県南阿蘇村には阿蘇山の降灰が積もり、地震で崩れやすくなっていました。活火山の多い群馬は、この点で熊本の地形とよく似ています。関東平野北西縁断層帯主部が通る県南部では特に、建物の耐震化を早急に進めるべきでしょう。

 *人物略歴
くまはら・やすひろ

 1975年生まれ。群馬大在任中の2009年に太田断層を「発見」した。12年に県が公表した「地震被害想定調査報告書」の作成に当たっては「想定見直し委員」を務めた。熊本地震では、発生直後から広島大研究グループの一員として現地を調査し、4月18日に熊本県益城町中心部の直下に延びる新たな断層を発見したと発表した。
想定される被害

   断層の名称   想定される地震の規模    死者     負傷者 全壊・全焼する建物

(1)関東平野北西縁断層帯主部 M8.1  3130人 1万7740人   6万 460棟

(2)太田断層         M7.1  1130人   7880人   2万2280棟

(3)片品川左岸断層      M7.0    20人     90人      340棟

 ※Mはマグニチュード、県の調査報告書に基づく


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【2016/05/20 23:16】 | 新聞記事から
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