「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
                嶋津 暉之

先週7月23日に第22回 気候変動に適応した治水対策検討小委員会が開かれ、その配布資料が国交省HPに掲載されました。

http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou/22/index.html

今回は国交省の会議開催のお知らせを見落としたため、皆さんにお伝えすることができませんでした。何しろ、傍聴の申し込みの期間が1日しかないので、1日見損なうと、アウトになります。全く非民主的な運営がされています。ひどいものです。

小委員会としては今回の会議が最後で、あとは社会資本整備審議会としての答申になります。

今回の答申は気候変動に対応して、治水対策をどのように改めていくべきを示す重要な答申であるはずですが、どうも総花的で、方向性がはっきりしません。
河川官僚たちがこれからの河川行政のあり方をどこまで真剣に考えているのかと思ってしまいます。
皆さんはこの答申案を見て、どう思われるでしょうか。

なお、今回の答申案をまとめるにあたって、パブリックコメントが行われ、私も意見を出しました。(提出された意見は後日、公表されるそうです)

私の意見は主に次の2点です。

〇 現実性を失った河川整備基本方針を廃止し、現実性のある目標流量を前提にして、
   想定最大外力の対応策を考えるべきである。

〇 想定最大外力への対応策として最も有効な堤防強化技術
  (ソイルセメント法、鋼矢板法など) の導入を前面に打ち出すべきである。


これに対する国交省の回答を読むと、ありきたりのもので、がっかりしてしまいます。

http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou/22/pdf/s1.pdf

ダム建設やスーパー堤防の建設に血道をあげ、人命を守るために必要な本当の治水対策に真剣に取り組もうとしない河川行政をどうすれば変えることができるのでしょうか。

【2015/07/31 23:59】 | 政策
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              嶋津 暉之

3週間近く前のことですが、水循環基本計画が閣議決定されました。その記事をお送りします。
水循環基本計画の概要と本文は、水循環政策本部のHPに掲載されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/mizu_junkan/kihon_keikaku.html

この計画は総花的・網羅的であってどうも具体性がないように思います。
これによって現在の水行政が果たして変っていくのでしょうか。よくわかりません。

この関連のシンポジウム「わが国の水政策の将来 ―水循環基本計画の光と影―」が東京の星陵会館で開かれました。

〇シンポジウム「わが国の水政策の将来 ―水循環基本計画の光と影―」
八ッ場(やんば)あしたの会 - http://is.gd/lAJRZr

◆流域ごとに協議会設置 水循環基本計画を閣議決定
(日本経済新聞2015/7/10 )
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H0E_Q5A710C1EAF000/

政府は10日、森林や河川、農地を保全し、水資源を確保するための「水循環基本計画」を閣議決定した。流域ごとに自治体や国、有識者などが参加する「流域水循環協議会」を設置するのが柱。複数の自治体にまたがり管理が難しかった河川を流域単位で一体的に管理する。

閣議に先立って開いた水循環政策本部で、安倍晋三首相は「豪雨による土砂災害が発生し、逆に貯水制限を行う地域がでるなど水の災いを受けることも多い。流域の関係者が一体となり、備えを万全にする必要がある」と語った。
協議会設置で水循環に関する情報を共有し、流域水循環計画を策定する。15年度から5年間の計画で、地下水を適切に利用できるような管理体制も整える。

地盤沈下や地下水汚染を防止する。基本計画には排水処理技術の海外展開も盛り込んだ。海外で頻繁に発生する洪水などの水災害を防止し、国際的な連携を促進する。



◆日本の河川は急流が多く、大量の雨が降った…
(VIEW POINT 編集局  2015/7/20  上昇気流) 
http://vpoint.jp/column/updraft/46513.html

 日本の河川は急流が多く、大量の雨が降った直後、一気に水かさが増し氾濫することがある。さらに今日、地球温暖化の影響などで、集中豪雨で被害が生じる可能性が列島のどこにでも出てきた。

 その一方で、雨が降らないと水筋は細くなり、干上がるケースも少なくない。マンションの乱立などで水需要が急増した地域では、地下水が払底するという事態も見られる。

 水に恵まれていながら水不足に悩まされ、他方では洪水にも注意しなければならないという深刻な状況だ。昔から「水は天からもらい水」と言われてきたが、今や、水のコントロールが危機管理の重要な部分になってきている。

 政府はこのほど、各省庁の水関連施策の方向性をまとめた「水循環基本計画」を閣議で決定した。この計画は昨年施行の水循環基本法で策定が義務付けられたものだが、渇水や水害に対処するため、河川、湖沼などの流域ごとに、国や自治体、企業などで構成する「流域水循環協議会」の設置を求めている。

 水質汚染防止や地下水の保全などに関する対策も求められる。つまり、河川の管理は流域の利害と結び付いているのだから、地元や民間がもっと関与すべきだと総力戦を要請しているのだ。

 明治以降、河川は政府や自治体によって管理され、全国的に堤防工事がなされて経済発展に寄与してきた。今後はさらに地域に密着したキメの細やかな防災事業が必須になる。


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【2015/07/29 17:11】 | 政策
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              嶋津 暉之

河川整備計画は策定された後、適宜見直すことになっています。
おかしな河川整備計画が策定された水系について住民側からの要請で、見直しが行われる制度にすべきですが、この記事のように、現状は河川管理者が自分たちの都合で形だけの見直しをするものになっています。

◆吉野川整備計画を点検 大学教授ら、第十堰など視察
(徳島新聞 2015/7/25 10:02) 
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2015/07/2015_14377861639076.html

 2009年8月に策定された吉野川水系河川整備計画に社会情勢の変化や事業の進捗状況を反映させるため、四国地方整備局は24日、学識者による現地調査を徳島県内の吉野川流域で行った。今後、学識者会議を開き、計画見直しの必要性について意見を聞く。

 整備局が意見を聞くことにしている学識者18人のうち、治水や植物生態などを専門とする大学教授ら8人が参加。三好市の池田ダムを出発し、東みよし町や美馬市脇町で進められている堤防整備の状況、昨年夏の台風で護岸が洗掘された阿波市阿波町の復旧現場などを見学し、徳島河川国道事務所の職員から説明を受けた。
 吉野川市山川町を流れるほたる川の内水対策として昨年完成した排水機場や、上板町側から吉野川第十堰の維持管理状況も視察した。

 吉野川水系河川整備計画は、おおむね30年間で取り組む河川整備の目標を定めており、吉野川では12カ所で延長15・7キロの堤防整備を進めることなどが盛り込まれている。新たな課題や整備の進捗、河川状況の変化に合わせ、必要な見直しを行うことにしている。


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【2015/07/29 17:05】 | 新聞記事から
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嶋津 暉之


四国・那賀川の直轄ダム「長安口(ながやすぐち)ダム」は堆砂が進み、洪水調節機能が問題になっています。
国交省の資料によれば、長安口ダム(昭和 31年 1月竣工)は総貯水容量5428万㎥に対して、堆砂量が1579万㎥になっています(平成24年度末現在)。


◆長安口ダム「堆砂」対策要望へ
(NHK 2015年07月27日 12時27分
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/8025931011.html?t=14380127779

7月、徳島県付近を通過した台風11号による大雨で県南部の那賀川流域を中心に、200棟を超える住宅で水に浸かる被害が出たことを受け、県は今後、国に対して、上流のダムにたまった砂を取り除くなど抜本的な対策を求めることになりました。

7月16日から17日に徳島県付近を通過した台風11号では、那賀川流域の那賀町などで、あわせて219棟の住宅が水につかる被害が出ました。

これについて、飯泉知事は、27日の定例会見で、「県としても対策を行ったが、それ以上の規模の台風が来てしまった。今後は温暖化が進みさらに大きな台風が来る可能性がある」と述べました。

その上で、那賀川の上流で洪水調節を行う那賀町の長安口ダムについて、「ダムにたまった砂、『堆砂』を取り除くなど、上流の対策を行い、洪水調節の機能を高める必要がある。

長安口ダムの上流をひとつのモデルとして、新しい知見にもとづく対策を進めたい」と述べ、国に対し、抜本的な対策を求めていく意向を明らかにしました。
具体的には長安口ダムに流れ込む砂の量を減らし、ダムにためる水の量を増やすため、さらに上流にある砂をせき止めているダムで土砂を取り除く作業を進めるとしています。

県は今後、長安口ダムを管理する国に対して要望を行い、具体的な方法について協議をしていきたいとしています。



◆ダムの堆砂 除去を要望(徳島県)
[ 四国放送 2015/ 7/27 18:15]
http://www.teny.co.jp/nnn/news8673483.html

飯泉知事は台風11号で浸水被害が出たことについて那賀川上流にある長安口ダムにたまった砂を取り除くなどの対策を取るよう国に要請していく考えを示しました。

今月17日に徳島付近を通過した台風11号、飯泉知事は、台風が来る前に国に要請して長安口ダムの予備放流を行い、ダムの水位を規定より1.2メートル下げて200万立法メートル分の 貯水量を確保したと話しまし
た。

しかし、それ以上の規模の台風によって、那賀川流域の那賀町などでは、住宅219棟に浸水被害がでました。

飯泉知事は、上流域から流れてくる砂が長安口ダムにたまっていて、洪水調整機能が低下しているとの見解を示し、今後は、砂を取り除き、貯水量を増やすよう、国に強く要望していく考えを示しました。


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【2015/07/28 09:26】 | 新聞記事から
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                嶋津 暉之

大同特殊鋼の有害スラグ問題で群馬県警が近く廃棄物処理法違反容疑で強制捜査に乗り出すという記事です。
八ッ場ダムの代替地や道路の工事にも有害スラグがかなり使われたようですので、鉄鋼スラグ問題がもっと注目されるようにしたいものです。

◆<大同特殊鋼>有害スラグ、強制捜査へ 不正処理委託の疑い
(毎日新聞 2015年7月27日(月))
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150727-00000014-mai-soci

大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の群馬県渋川市の工場から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、群馬県警が近く廃棄物処理法違反容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めたことが捜査関係者への取材で分かった。

同社を巡っては、高額な処分費を避けるため、事実上の引き取り料を支払ってスラグを建築資材として販売する「逆有償取引」も判明しており、県警は実態解明を進めるとみられる。

群馬県などによると、大同は2009~12年ごろ、渋川市の建設会社にスラグを販売する際、受取額以上の金額を「販売管理費」名目で支払っていた。環境基準を超えるフッ素を含んだ状態で出荷しており、さらに逆有償取引をしていることから、事実上の廃棄物処理に当たり、同法の規制対象となる。

スラグは鉄精製時に出る副産物で、さまざまな化学物質が残存することがある。大同は、建設会社が処理資格を持っていないと知りながら処理委託していた疑いがあり、県が近く同法違反容疑で刑事告訴、県警が家宅捜索に着手する見通し。

逆有償取引は、買い取る側が購入分だけ逆に収入が増えるため適正使途がないのに取引を続ける可能性があり、産廃が野積みされる温床と指摘される。スラグを産廃として処分すると費用がかさむため、県警は大同側が有害性を認識しながら取引を続けた可能性が高いとみて調べる。

この問題を巡っては同県の八ッ場ダム建設地から立ち退いた住民の移転代替地や、国道17号バイパスに大同の有害スラグが混じった建設資材が使われていたことが、毎日新聞の調べで判明。毒性の強い六価クロムも検出されている。【尾崎修二】

【2015/07/27 23:23】 | 八ツ場情報
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               嶋津 暉之

マレーシアの大型ダム計画の問題を取り上げた記事を紹介します。

◆大型ダム計画で小水力発電の村が危機、マレーシア
 電力を自給自足する地元の村々は計画に抗議
( ナショナル ジオグラフィック日本版 2015.07.2) 
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/a/072100019/?bpnet

 ボルネオ島マレーシア領に、熱帯雨林に囲まれた村々がある。道路も通っていないほどのへき地だが、電気は通じている。近くを流れるパパル川の水流を利用し、50世帯分の照明や冷蔵庫、電話の充電器をまかなえるほどの電気を起こして供給しているのだ。小水力発電と呼ばれるこのシステムは、大都市に電気を供給する水力発電ダムの縮小版だ。

 ところが現在、大規模なダムの建設計画がもちあがり、論議を呼んでいる。計画中のカイドゥアン・ダムが完成すれば、ボルネオ島西岸の都市部に飲料水と電気が供給されるかわりに、小水力発電を導入済み、あるいは稼働を目前にした村が少なくとも6つ、水没する恐れがあるのだ。(参考記事:「ダム建設に揺れるメコン川」)

 マレーシア政府は、ダム建設によって住居が水没するとみられる約2000人の移住を支援するとしているが、反対派は、南部に造られたバクン・ダムでも同様の約束が実行されていないと指摘する。カイドゥアン・ダムの建設が始まれば、約12平方キロメートルの土地が水の底に沈む。
 NPO「グリーン・エンパワーメント」のプログラムマネージャー、ガブリエル・ウィン氏は、「抗議は激化しつつあります」と話す。同組織はナショナル ジオグラフィックからの資金援助と、地域への電力供給を目的とした地元の団体「トニブン」との協力を得て、小水力発電の設置を支援してきた。
ウル・パパルはボルネオ島マレーシア領の北端に位置する、山あいの熱帯雨林地域だ。この辺りの村へは「四輪駆動車の運転が相当うまくないと行けません」とウィン氏は話す。

 現在、ダム建設に反対する村の住民は道路の封鎖や抗議活動を行い、カイドゥアン・ダム建設に必要な環境・社会的影響の評価をしようとする地元当局を妨害している。

 一方、小水力発電の設置は3カ所で進んでおり、今秋までには完成する予定だ。この事業はただへき地にある集落に電力を供給するだけのものではなく、「村が主導権を持つ」という共通の目標に向け、住民の団結を促進するものだとウィン氏は話す。

 クロッカー山脈を抱える熱帯雨林ウル・パパル一帯は、オランウータン、マレーグマ、ウンピョウといった希少種の生息地として、2014年にユネスコから生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に指定された。(参考記事:「アマゾンの巨大ダムが7割の動物を絶滅させる恐れ」)

 ウィン氏はウル・パパルを「とても健全で豊かな熱帯雨林」と評価し、自然資源として「深さ150メートルものダム湖に沈めるより、このまま残していくべきです」と話している。(参考記事:「米国に広がるダム撤去の動き」)
小さくても重要な設備:ティク村の小水力発電所でタービンを点検する技師。ウィン氏によれば、こうした設備の発電容量は平均10キロワット。発電量は少ないが、村1つの需要をまかなうには十分だという。

ブアヤン村の発電所とパパル川の取水口をつなぐ、金属製の導水管。小水力発電の設置費用はケースごとに大きく異なるが、現在設置中の3カ所でグリーン・エンパワーメントが負担する費用は、1カ所当たり約2万ドルになる見込みだとウィン氏は話す。

文=Christina Nunez/写真=Nicole Werbeck/訳=高野夏美


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【2015/07/23 10:30】 | Webの記事
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            嶋津 暉之

中国の三峡ダムについて懸念されることを取り上げた記事を紹介します。

◆「三峡ダム」の恐怖! 攻撃されたら万事休す・・・
 軍壊滅、民は「億単位で飲み込まれる」
=中国メディア
(livedoor NEWS 2015年7月22日 15時13分)
http://news.livedoor.com/article/detail/10378145/

中国の軍事情報サイト「捷訊網」は21日、米国や台湾と戦争の事態になった場合、三峡ダムがミサイル攻撃を受け破壊された場合には、戦争に必要な軍部隊も水に飲まれ、民間人の被害は数億人にのぼると紹介した。

三峡ダムの危険性については早い時期から指摘があり、応用数学などを研究した著名学者の銭偉長氏(1912-2010年)は、三峡ダムが通常弾頭付き巡航ミサイルで攻撃されて崩壊すれば、上海市を含む下流の6省市が「泥沼」となり、数億人が被害を受けると試算した。

記事によると、三峡ダム下流の長江沿岸には軍の駐屯地が多く、軍も戦争遂行が不能になるという。

記事は、三峡ダム攻撃をまず研究したのは台湾と指摘。中国軍が台湾侵攻を試みた場合、台湾は同ダムを含む大陸部のインフラ施設攻撃を念頭に置いたという。

記事は次に、尖閣諸島で対立する日本による攻撃も取り上げた。奇襲すれば「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)はポケットの中の物を取り出すのと同様に簡単に手に入る」と豪語するタカ派軍人もいると紹介する一方で、三峡ダムへの攻撃リスクを考えれば、「釣魚島奇襲は不可能」と指摘。それまでに、時間をかけて三峡ダムの水を抜いておかねばならないと主張した。

記事はさらに「釣魚島を奪取しても利は小さい。三峡ダムの被害は甚大だ。しかも、(尖閣奇襲で)先に手を出した方(中国)が国際世論の非難を浴びる」と論じた。

記事は、尖閣諸島が原因で戦争になった場合、米国による三峡ダム攻撃もありうると指摘。さらに、国境問題で対立するインドが攻撃する可能性にも触れた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO)



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【2015/07/23 10:10】 | Webの記事
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                   嶋津 暉之

札幌市水道の水需要予測の問題について報告します。

厚生労働省水道課が、各水道事業者の行う過大な水需要予測、架空予測を追認して、補助金を交付し、各地のダム事業推進の一翼を担っていることは周知のとおりです。

厚労省は、国土交通省と一体のダム推進の行政機関であると言っても過言ではありません。

〇札幌市水道の架空予測と総務省の指摘

このグラフ(札幌市水道の実績と予測)は札幌市水道の一日最大給水量の実績と予測を比較したものです。
※クリックで拡大されます
sapporo.jpg

旧予測は2007年度に当別ダム関係の事業再評価として行ったもので、実績が60~67万㎥/日の間で推移してきているのに、予測はどんどん増加して2025年度には現保有水源83.5万㎥/日〔〔注〕)を超え、当別ダム無しでは水源が不足することになっていました。

当別ダムの水源を札幌市に送水するのは2025年度の予定ですので、それに合わせるように実績と乖離した水需要予測を行っていました。

この事業再評価の予測に対して、総務省の行政評価局からクレームが付きました。あまりにひどい架空予測なので、目にとまったのかもしれません。

総務省は、一人当たり家庭用水(原単位)の予測を取り上げ、札幌市は、増加傾向にあった時期を含む過去30年間のデータを使うのではなく、増加傾向が止まった後の最近10年間のデータを使って予測を行うべきだと指摘しました。

〇厚労省の説明

これに対して、厚労省が札幌市の予測を擁護する説明を行いました。

過去10年間のデータでは増加するとは言えないので、定性的な話(世帯の細分化が進むと一人当たりが増えるとか、節水型機器の普及は限界に近づいているという怪しげな話)を持ち出して、総務省を説得し、総務省の政策評価分科会〔2009年5月)を乗り切ってしまいました。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/dokuritu_n/gijiroku/15566.html 

説明資料
http://www.soumu.go.jp/main_content/000023563.pdf

しかし、このように不合理な架空予測が罷り通ってよいはずがありません。

2010年度には「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」と「北海道自然保護協会」が厚労省に公開質問書を出し、(当時の大河原雅子参議院議員の計らいで)厚労省と総務省の担当者と面談して、予測のおかしさを追及しました。

厚労省の説明の誤りは 厚労省水道課長への公開質問書201006  をご覧ください。

〇札幌市の予測の大幅な下方修正

その後、当別ダムが2012年度に完成すると、札幌市はこの架空予測をやめるようになり、添付のグラフの新予測のとおり、将来の1日最大給水量は漸減し、2035年度には61.8万㎥/日まで低下するとしました。

この予測値は今年3月策定の「札幌市水道ビジョン」に盛り込まれました。

となると、2009年に厚労省が政策評価分科会で行った説明を札幌市が否定したことになります。一方で、総務省の指摘が正しかったことを意味します。

〇厚労省の弁明

この問題を現在、「北海道自然保護協会」の佐々木克之副会長が追及しています。
去る7月14日には畠山和也衆議院議員が厚労省と総務省の担当者のヒアリングを行い、佐々木さんと私が同席しました。
ヒアリングに先立ちに両省に対して、厚労省への要望書20150610  と 総務省への要望書20150610 を提出しました。

厚労省の弁明は、「当時の厚労省の説明は正しかったと考えている。札幌市水道ビジョンは再評価とは異なり、厚労省として指導する立場ではないので、関知しない」という極めて無責任なものでした。
総務省は過去の再評価が合理的か否かを突き詰める立場ではないと、逃げ口上でした。

国の役人はこんなものですが、このままでよいはずがありません。
今後、さらに追及していきたいと考えています。

札幌市だけの話ではありません。
厚労省の架空予測追認が不要なダム建設をつくり出す大きな要因になっています。


当日、「長崎県の石木ダムでは佐世保市の架空予測で13戸の住民の家が強制収用されようとしている。架空予測追認の責任を自覚せよ」と思わず、厚労省の担当者に対してつい声を荒立ててしまいました。
佐世保市水道の実績と予測)

〔注〕 札幌市水道の現在の保有水源は本来は96.5万㎥/日ありますが、札幌市は豊平川水道水源水質保全事業を起して、現保有水源を14.7万㎥/日減らしてしまいました。

この事業は、ヒ素を含む湧き水等の影響を減らすため、豊平川上流の水の一部をバイパス管で浄水場下流に導く事業で、費用は183億円にもなります。

ヒ素はさほど問題ではなく、浄水場での除去効率を向上させれば済む話なのですが、札幌市は当別ダムへの参加の理由につくるため、保有水源の一部を切り捨て、同時に183億円という大きな事業を起こしました。


【2015/07/20 21:36】 | 各地のダム情報
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               嶋津 暉之

水戸地裁で行われた霞ケ浦導水事業・工事差し止め訴訟の判決文が水源連のホームページにアップされました。

◇霞ケ浦導水事業差し止め訴訟 判決
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2015/07/6f42c03ccab9ceee236c42e9f1db579c.pdf

八ッ場あしたの会にまとめの記事があります。
  ↓
◇霞ヶ浦導水事業の差し止め訴訟、原告漁民ら敗訴(水戸地裁)
http://is.gd/ExsmzY


言い渡しについて各紙の記事、論説です。
残念ながら、原告(那珂川流域の漁協)の全面敗訴でしたが、茨城新聞がこの判決の問題と限界に触れた論説を書いています。
全面敗訴の判決を下した裁判官は後ろめたさがあったからだと思いますが、判決文の終わりに「導水事業は運用次第では漁業権を侵害する具体的危険の可能性がある」という文言を加えています。

◆論説  霞ケ浦導水事業判決 具体的成果、事業者に責任
(茨城新聞 2015年7月18日) )
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14371456324508

霞ケ浦導水事業の工事差し止めを那珂川、涸沼流域の4漁協と栃木県の漁連が求めた訴訟の判決が17日あり、水戸地裁(日下部克通裁判長)は「漁業権侵害の具体的な危険があるとまではいえない」として漁協側の訴えを棄却した。

霞ケ浦導水事業は、総額約1900億円を投じる本県に残された“最後のビッグプロジェクト”といわれる。同日の判決は導水事業の公共性・公益性については国側の言い分を全面的に認めたが、既に事業化から30年超。延々と終わりの見えないまま続く建設工事と、完成後の具体的効果も見えにくいことから、県民の間にも導水事業を疑問視する声は少なくない。関係者は導水事業を一刻も早く、より低コストで完遂し、具体的な成果を県民に示す責任があると言えよう。

公共事業差し止めのハードルはもともと低くない。司法は差し止めの要件として、事業によって生じる被害の具体的な立証を請求側に求めるためだ。

水戸地裁も同日の判決で、差し止めの適否を判断する基準として「(霞ケ浦導水事業の運用開始による)漁獲量の有意な減少、漁獲品質の具体的な悪化の客観的危険があるかどうか」を挙げている。漁獲量は通常でもさまざまな要因で一定ではない。ましてや漁協側が差し止めの理由の一つに挙げた「那珂川取水口にアユの稚魚が迷い込む」恐れについて、稚魚が導水完成後の将来どの程度迷い込むかを具体的に立証することなど、ほぼ不可能に近いだろう。

漁協側が差し止めを求める最大理由に挙げた導水事業の効果や公共性についても、判決は「霞ケ浦の水質は導水の希釈効果によって浄化が期待できる」と国側の主張を全面的に認めた。

差し止めを求めた漁業者らには極めて酷な判決とはなったが、司法はもともと被害を事後的に救済する機能を担う。判決は、公共事業の事前差し止めを司法に求める限界も示したともいえる。

ただ、水戸地裁は判決理由の最後に「導水事業は運用次第では漁業権を侵害する具体的危険の可能性がある」として、事業開始後は国に対し漁業者らに十分な説明を尽くし、その意見を真摯(しんし)に受け止めるよう求めた。また、漁獲量の減少が見られた場合には調査体制を確立し、運用を随時見直すなど不断の努力をするよう求めた。

かなり踏み込んだ付言とも言え、導水事業の関係者は是非とも裁判所の率直な提言を受け止め、漁業者の声に最大限の配慮をしてほしい。

霞ケ浦導水事業の着工はバブル期入り口の1984年。霞ケ浦の水質浄化や首都圏の都市用水確保が狙いだったが、計画はこれまでに4回変更され、この約30年のうちに人口減少など社会環境は様変わりした。一時は無駄な公共事業批判の矢面になり、事実、民主党政権時代には工事が凍結された。

橋本昌知事は先月の県議会で、世界湖沼会議を95年に続き再び霞ケ浦に誘致する考えを表明した。誘致が正式に決まれば、霞ケ浦や河川の水質への県民の関心は再び高まるだろう。

判決は結果的に国側の主張を全面的に認めたが、事業の行方や成果を疑問視する声は県民の中にも少なくない。事業者は一刻も早く具体的な成果を示す責任がある。導水事業に最後に審判を下すのは生活者・納税者である県民だ。


◆霞ケ浦導水訴訟で水戸地裁 漁協の差し止め請求棄却
(東京新聞茨城版2015年7月18日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150718/CK2015071802000149.html?ref=rank

県内の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結び水を行き来させる霞ケ浦導水事業をめぐり、那珂川流域の県内の四漁協と栃木県の漁連が「漁業権を侵害する」として国に取水口建設工事の差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁は十七日、請求を棄却した。

日下部克通裁判長は判決理由で「漁業権が侵害される具体的危険があるとまではいえない。被害の未然の防止措置が一応講じられ、事業には公共性がある」とした。原告側は控訴する方針。

事業は霞ケ浦の水質浄化や首都圏への水の安定供給が目的で一九八四年に着工。二〇一〇年に中断したが、民主党政権の指示で実施された事業検証の結果、国は昨年八月に継続を決めた。地下トンネル二本は、利根導水路(長さ約二・六キロ)が既に完成、那珂導水路(同約四十三キロ)は三十キロ近くが未完成となっている。

原告は〇九年三月に提訴。那珂川の取水口からアユの稚魚が吸い込まれるほか、水質や流量の変化で水産資源に深刻な被害が出ると訴えていた。

公共性について判決は「霞ケ浦と那珂川、利根川の化学物質の濃度差により希釈効果が期待でき、都市用水の確保のため必要」と認定した。一方で「事業の運用次第で漁業権が侵害される可能性がある。漁業環境への影響が最小限に抑制されるよう努力をすることが切に望まれる」と国に促した。

<霞ケ浦導水事業> 全国で2番目に広い湖沼・霞ケ浦と、渇水期が異なる那珂川、利根川を地下トンネルで結び、水を行き来させる国直轄の公共事業。霞ケ浦の水質浄化と茨城、埼玉、千葉、東京の1都3県への水の安定供給を目的に計画され、1984年に着工。当初は93年度の完成予定だったが用地取得が遅れ、地下トンネル2本のうち利根導水路(長さ約2・6キロ)は完成したものの那珂導水路(同約43キロ)は30キロ近くが未完成となっている。事業費約1900億円のうち約8割を使っている。

◆漁協の差し止め請求棄却 水浄化など公共性を認定 那珂川取水口差し止め訴訟
(下野新聞 2015年7月18日 朝刊)
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20150718/2024531

アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、栃木、茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた訴訟の判決公判が17日、水戸地裁で開かれ、日下部(くさかべ)克通(かつゆき)裁判長は、漁協側の請求を棄却した。漁業権侵害の訴えについて「具体的危険があるとまでは言えない」などとして退けた上で、国側が主張した事業の公益性を認めた。漁協側は控訴する方針。

取水口建設が不可欠である事業が漁業権を侵害するか、公益性のある事業かどうか、主に二つが争点だった。

アユの漁業権について漁協側は、稚魚が取水口に吸い込まれ、減少するなどと訴えていた。しかし、判決は「認めるに足りる証拠がない」と指摘。アユの減少について「具体的危険があるとまでは言えない」と判断した。

事業の公益性をめぐっては(1)霞ケ浦などの水質浄化(2)那珂川と利根川の渇水対策(3)都市部の水道・工業用水確保-という導水事業の目的が妥当かどうかが争われた。判決は国側の主張を全面的に認め、「公共性がある」とした。

漁協側は「不可能な立証を強いる判決だ」として控訴する方針。

事業は霞ケ浦と両河川を地下導水路で結び、水を行き来させる計画で着工は1984年。民主党政権下で一時中断されたが、国土交通省は昨年8月、継続を決定した。霞ケ浦と那珂川を結ぶ那珂導水路の進捗(しんちょく)は3割にとどまるが、既に総事業費約1900億円の約8割を執行している。


◆霞ケ浦導水、差し止め認めず 水戸地裁
(朝日新聞 2015年7月18日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11865858.html

茨城県の霞ケ浦と那珂川などを結んで水をやり取りする霞ケ浦導水事業をめぐり、茨城、栃木両県の那珂川流域などの8漁協が「漁獲高日本一のアユに壊滅的な打撃を与える」などとして国に建設差し止めを求めた訴訟の判決が17日、水戸地裁であった。

日下部克通裁判長は「受忍すべき限度を超える違法なものとまでは言えない」などとして訴えを棄却した。漁協側は控訴する方針。

事業は民主党政権のダム事業見直しに伴って、2010年に一時中断。自民党が政権を取り戻した後の昨年8月に継続が決まった。霞ケ浦の水質浄化などが目的で、霞ケ浦と那珂川、利根川を2本の地下トンネル(約45.6キロ)で結ぶ。


◆霞ケ浦導水事業 漁協の差し止め請求棄却 水戸地裁「公益性ある」
(産経新聞 2015.7.18)
http://www.sankei.com/region/news/150718/rgn1507180017-n1.html

霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結び、水を往来させる霞ケ浦導水事業で、「工事により漁業権が侵害される」として、茨城と栃木の那珂川流域の8漁協が那珂川取水口の建設差し止めを求めた訴訟の判決公判が17日開かれ、水戸地裁(日下部克通裁判長)は原告の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

訴訟では漁協側が那珂川の取水口からアユの稚魚が吸い込まれるほか、水質や流量が変化したり、霞ケ浦からの外来種が侵入したりして水産資源が深刻な被害を受けると主張。

これに対し国側は、取水口に魚の迷い込みを防ぐ網を設置するほか、生まれたばかりのアユの吸い込みは、遡上(そじょう)が多い時間帯に取水しないことでほぼ防げると反論していた。

判決理由で日下部裁判長は「アユの資源量が減少する具体的危険があるとまでは認められない」と述べた。

工事の公益性をどう判断するかも注目された今回の裁判。日下部裁判長は「霞ケ浦の水質保全対策の一つとして必要であり、公益性がある」としたほか、「新規都市用水など水利権確保上必要であり公益性がある」などと国側の主張をほぼ全面的に認めた。

その上で「今後の運用次第では共同漁業権が侵害される危険が発生する可能性もある」と指摘。漁業環境への影響が最小限に抑制されるよう努力することを国側に求めた。

判決を受け、橋本昌知事は「基本的に国の主張が認められたと聞いている。国に(工事の)早期再開を働きかけたい」と述べる一方、「漁協側に丁寧な説明をして理解を得ながら進めていくことが一番肝心だ」と語った。

霞ケ浦導水事業 国の直轄事業で、霞ケ浦の水質浄化や首都圏への水の安定供給などが目的。昭和59年に工事に着工し進捗(しんちょく)率は事業費(1900億円)ベースで約8割。地下トンネル2本のうち利根導水路(約2・6キロ)は完成したが、那珂導水路(約43キロ)は約7割が未完成。民主党政権下で事業は一時凍結されたが、昨年8月、事業継続が決まった。


◆霞ケ浦導水事業:漁協の請求棄却…水戸地裁判決
(毎日新聞 2015年07月17日 19時47分)
http://mainichi.jp/select/news/20150718k0000m040044000c.html

水質浄化を目的に、茨城県の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ国の霞ケ浦導水事業を巡り、取水口が建設される那珂川の流域8漁協が漁業権侵害を訴え工事差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁は17日、請求を棄却した。漁協側は控訴する方針。

漁協側は「取水口にアユなどの魚が吸い込まれ漁獲量が減る」などと主張していたが、日下部克通(かつゆき)裁判長は判決理由で「資源量が減少する具体的危険があるとまで認められない」と述べた。【松本尚也】



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【2015/07/18 22:43】 | 裁判の報告
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                 嶋津 暉之

今日、水戸地裁で那珂川流域の漁協が霞ケ浦導水事業の工事差し止めを求めた裁判の判決がありました。まことに残念ながら、原告側の全面敗訴でした。

この裁判では、被告(国交省)側の専門家証人が反対尋問で、原告側の主張を認めてしまうほど、国交省の主張はいい加減なもlのでしたが、判決には反映されませんでした。

この判決文は国交省に勝たせるように、原告側に求める実証責任のハードルを無茶苦茶高くしており、最初から原告敗訴の結論ありきのひどい不当判決でした。

私も証人の一人としてこの裁判に関わってきましたので、悔しい気持ちでいっぱいですが、次の対応策を考えなければなりません。

◆霞ヶ浦導水 差し止め認めず
(NHK 02015燃7月17日 17時48分)
http://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/1075922171.html?t=1437136041185

霞ヶ浦と県内を流れる那珂川などを地下水路で結ぶ霞ヶ浦導水事業をめぐり、漁に影響が出るおそれがあるとして那珂川流域の漁協が一部の工事の差し止めを求めた裁判で、水戸地方裁判所は「漁獲量が減るとまではいえない」として原告の訴えを退けました。

この裁判は、霞ヶ浦の水質浄化と首都圏向けの水源の確保を目的に、那珂川から霞ヶ浦を経て利根川までおよそ46キロを地下水路で結ぶ霞ヶ浦導水業を巡り、那珂川流域であゆなどの漁を行う茨城県と栃木県の8つの漁協が取水口の建設工事の差し止めを求めているものです。

これまでの裁判で原告側は、取水口が取り付けられると、ふ化したばかりのあゆが吸い込まれるなどして漁獲量に深刻な影響が出るおそれがあるなどと主張してきました。
これに対し国側は、あゆがふ化する時期には取水を止めるなどの対策をとるため漁業への影響はあってもごく僅かで、水質浄化などを目的とした事業の公共性は高いなどと主張してきました。

判決で水戸地方裁判所の日下部克通裁判長は「事業は霞ヶ浦の水質保全対策の1つとして必要で公共性はある」と指摘しました。

その上で「取水口にどのくらいあゆが吸い込まれる可能性があるのかを推測することはできず、漁獲量が減るとまではいえない」として原告の訴えを退けました。

霞ヶ浦導水事業は昭和59年に建設が始まった総事業費1900億円の大規模事業で、民主党政権でいったん工事が中断されましたが、去年、継続が決まりました。

判決について原告団は「行政に追従した不当な判決に怒りを込めて抗議します。那珂川を変わらぬ姿で残していくために、この判決に負けることなく最後の勝利まで戦いたい」とコメントしました。

判決について国土交通省の越智繁雄関東地方整備局長は「基本的には国の主張が認められたものと理解している。今後も漁業関係者の方々へ丁寧に説明を続けつつ事業の進捗に努めたい」とコメントしました。


◆霞ケ浦、漁協の差し止め請求棄却 導水訴訟で水戸地裁
(2015/7/17 13:40)
http://www.at-s.com/news/detail/1174215170.html

茨城県の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結び、水を行き来させる霞ケ浦導水事業をめぐり、那珂川流域の茨城県の4漁協と栃木県の漁連が「取水口の建設工事は漁業権を侵害する」として国に工事差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁(日下部克通裁判長)は17日、原告側の請求を棄却した。

日下部裁判長は判決理由で「漁業権が侵害される具体的危険があるとまでは言えない」と述べた。

事業は霞ケ浦の水質浄化や首都圏への水の安定供給が目的で、1984年に着工した。2010年に中断したが、民主党政権の指示で実施された事業検証の結果、国は昨年8月に継続を決めた。(共同通信)




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【2015/07/18 00:23】 | 裁判の報告
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