「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
     嶋津 暉之

スリット(切れ目)を入れた「透過型」と呼ばれる砂防ダムは流木を止める効果があるようですが、その設置に取り組んでいる長野県でもスリット型砂防ダムは7%です。
他の都道府県ではわずかな割合であると思います。

◆流木被害防ぐスリットダム 県が整備推進
(信濃毎日新聞2017年7月15日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170715/KT170714ATI090006000.php

15日に発生から10日を迎える九州北部の豪雨は、大量の流木が被害の拡大を招き、行方不明者の捜索を難航させている。多くの森林を抱える長野県は、スリット(切れ目)を入れた「透過型」と呼ばれる砂防ダムの整備を進めている。スリット部分から水が下流に流れ、流木がダムを乗り越えにくくなる構造だ。ただ、危険箇所の全てにこうしたスリットダムを造ることは不可能なため、県は「事前に危険箇所を確認し、早めの避難を心掛けてほしい」としている。

 県砂防課によると、スリットが入っていない「不透過型」の砂防ダムは大雨時、水がダムを乗り越えるのと同時に流木が下流域に流れ出す危険性がある。国は2015年、砂防ダムを流木が乗り越える例があるとして、流木止めを設置するよう各都道府県に通知した。

 県はこれを受け、通知以降に建設する砂防ダムを透過型にしている。ただ、県内の砂防ダム約3300基のうち、スリットダムは今年3月末時点で通知前に建設した分を含めて237基。全体の1割に満たない。
 長野市若槻地区の田子川では昨年度、県が高さ12・5メートル、幅75メートルのスリットダムを整備。中央部には格子状の鋼製の枠(高さ8・5メートル、幅7メートル)が入り、流木や岩など4200立方メートルを食い止められる。1969(昭和44)年に土石流災害が発生したことや、下流域に人家や保育園があることから設置を決めた。

 5月に飯山市の井出川流域で起きた土石流災害で、大規模な山腹崩落地から3キロ下流にある桑名川砂防ダムは別タイプのスリットダム。ダム中央部に幅2メートルの切れ目が入っており、流木のほとんどをせき止めた。

 県砂防課によると、砂防ダムを造る費用は規模によって異なるが数億円かかり、県が整備できるのは年に10基程度とする。高齢者や障害者など要配慮者がいる施設や、過去に災害に見舞われた場所を優先して整備しているが、危険箇所のうち設置済みなのは2割程度。県はハード整備だけでは人命を守り切れないとして、防災マップ作りを担う人材の養成などを進めるとしている。


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【2017/07/17 18:30】 | 各地のダム情報
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      嶋津 暉之

長野県・浅川ダムの内部公開についての記事を参考までにお知らせします。

2001年に当時の田中康夫知事が脱ダム宣言をして、9基のダム計画の中止を進めました。
しかし、浅川ダムのみが推進勢力の巻き返しで建設されることになり、今年3月に完成しました。

9基のダムのうち、8基が中止されたのですから、脱ダム宣言の意味は大変大きなものがありました。
なお、角間ダムは中止になっていませんが、いずれ中止になる見込みです。

浅川ダムは穴あきダム(流水型ダム)として建設されましたが、常用洪水吐きの幅が1.3メートルしかありません。
穴あきダムは大洪水時には穴が流木等で詰まって洪水調節機能を失ってしまうことが心配されていますが、特に浅川ダムはその可能性が高いと思います。

◆「穴あきダム」の特徴は 県が浅川ダムの内部公開
(信濃毎日新聞2017年7月13日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170713/KT170712ATI090007000.php

県は12日、3月に運用を始めた県営浅川ダム(長野市)の本体内部を報道機関に公開した。県浅川改良事務所(同)の吉川達也所長らが「穴あきダム」の特徴や検査機器について説明。運用開始後、異常は見られないとした。県などは24日、現地で完成式を開く。

浅川ダムは治水専用。通常時はダム下部に設けたトンネル構造の穴「常用洪水吐き」(高さ1・45メートル、幅1・3メートル)から河水を流し、大雨時には自然と水がたまる仕組み。上流側は流木などによる「穴詰まり」を防ぐため、格子状の金属「スクリーン」で覆われている。

ダム内の点検用通路「監査廊」には、ダムの漏水量や傾きなどを測る機器を設置。監査廊最下部には、漏水をポンプで上げる装置があるが、平時に水をためないことから、他のダムに比べて漏水量は少ないという。監査廊内には地震計もあり、震度4以上の揺れを観測した場合などに、施設を点検するとした。
浅川ダム本体の高さは53メートル、上部幅165メートルで、総貯水容量は110万立方メートル。県はダムを含む流域の治水水準について「100年に1度」の大雨(日雨量130ミリ)に対応できる規模としている。総事業費は約380億円。

運用開始後、最も水位が上がったのはダムの雨量計が1時間当たり32ミリの降雨を観測した11日。常用洪水吐きの上部から1メートルほど高い位置まで水が漬かり、約1千立方メートルの水がたまったという。


◆【浅川ダム報道陣に公開】 曲折たどった治水対策 脱ダム宣言象徴、3月から運用 長野
(産経新聞 2017.7.13)
http://www.sankei.com/region/news/170713/rgn1707130016-n1.html

田中康夫元知事による「脱ダム宣言」の象徴ともなった県営浅川ダム(長野市)が完成し、県は12日、施設内を報道陣に公開した。ダムの建設工事をめぐっては、地元住民の一部が活断層の存在などを主張し、反対運動を展開。

一方で、長野市の中心市街地を流れ、氾濫を繰り返してきた「暴れ川」の浅川(長野市-小布施町、延長17キロ)流域の住民は、完成を心待ちにしていた。曲折をたどった治水対策を振り返る。 (太田浩信)



浅川ダムの本体の高さは53メートル、横幅165メートルで最大貯水量は110万立方メートルに上る。周辺の付け替え道路も含めた総事業費は約380億円。

浅川の流域全体で実施された河川改修事業と、千曲川との水位差で豪雨時に浅川の水があふれる「内水氾濫」への対策も講じたため、市街地の洪水も防げるという。内水の対策事業も今年度中にほぼ終了する。

工事の最終段階として昨年10月~今年2月、排水口(高さ1・45メートル、幅1・3メートル)をふさいで満水状態にする試験湛水(たんすい)が行われた。その結果、ダム本体や周辺の地形に異常はなく、3月から運用が開始された。



■田中元知事が中断

浅川ダムは当初、千曲川に流れ込む浅川の治水と利水を目的に計画された。平成12年9月に工事契約が結ばれたが、反対運動もあって同10月に就任した田中元知事が工事の中断を決断した。

13年2月には、唐突に脱ダム宣言を行い事業は白紙に。治水対策は有識者や地元住民らによる検討委員会に委ねられた。だが結局は、恒久的な対策を見いだせず、県議会は田中元知事の責任を問う形で14年7月、県政史上初めてとなる不信任決議を可決した。

ダム建設はその後、遊水池の整備などが検討されたが、国や地元の理解を得られず迷走を続けた。最終的には、村井仁前知事が19年2月、治水専用となるダム建設を容認し、動き出すことになる。

貯水せずに堰堤(えんてい)の底部に排水口を設け、常に川の水が流れ続ける特異な構造が採用され、大雨のときだけ一時的に水をせき止め、流量を調節する機能を持たせた。22年5月に着工し、同9月に就任した阿部守一知事も、第三者機関の調査で安全性が確認できたとして工事を継続した。



■「流域の住民に安心」

24日には県や浅川改修期成同盟会(会長・加藤久雄長野市長)が完成式典を開き、治水拠点の運用開始を祝う。だが、その一方で、一部住民による建設工事関連の公金差し止め訴訟は今後も続く。

東京高裁は今年3月、住民側全面敗訴の判決を出した。原告側は「建設地には活断層が存在し、周辺は地滑りが起きる危険もある。費用対効果もない」と主張し、上告の手続きを行っている。

県浅川改良事務所は「ダムの安全を常時監視しながら、流域の住民が安心して暮らせるように今後も適切な運用を図っていく」と話している。



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【2017/07/17 00:50】 | 各地のダム情報
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            嶋津 暉之

6月26日の下野新聞が思川開発問題について大きな記事を掲載しています。
その中で、「思川開発事業を考える流域の会」の代表である伊藤武晴さんがインタビューで次のように語っています。

「思川開発事業を考える流域の会」 伊藤武晴代表
水収支破綻の「欠陥ダム」

事業は治水、利水、環境面で問題がある。

まず治水効果が低い。南摩ダムは降った雨を集水できる面積が狭く、小山市乙女にある国の観測所でみた場合、水位で5センチ分の洪水調節機能しか見込めない。

利水についても人口減で水需要が減る中、ダムの無駄は全国で指摘されている。

特に本県は地下水に恵まれた土地柄。安く良質な地下水を使ってきた栃木、下野、壬生の3市町は南摩ダムの水を水道に使えぱ、高くてまずいダムの水を住民が強いられることになる。

また南摩川は水浴びも難しいほどの小川。そのため黒川、大芦川からの取水に大きく依存するが、両河川には取水制限基準があり、いつでも取水できるわけではない。

事業参画する自治体が予定している利水量を供給すれば、頻繁にダムの水が底を突く。
水収支が破綻した「欠陥ダム」だ。
両河川の渇水時には、ダムの水を補給する計画もある。
渇水時期のダムにはアオコでよどんだ水しか残っていない。その水で両河川が汚染されるのは明らかだ。


【2017/06/30 07:00】 | 各地のダム情報
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            嶋津 暉之

残念な記事ですが、山形県の最上小国川ダムの本体工事についての記事を参考までにお知らせします。
ダムに反対し続けた小国川漁協の沼沢勝善・元組合長が2014年2月にお亡くなりになってから、ダム事業が一気に進むようになりました。
ここでも有害無益なダム工事が進行中です。

◆最上小国川ダム、現地で説明会 13日に定礎式
(山形新聞2017年06月07日)
http://www.yamagata-np.jp/news/201706/07/kj_2017060700137.php

 県が最上町富沢に建設を進めている最上小国川ダムの定礎式が13日に行われるのを前に、報道関係者を対象にした施工状況説明会が7日、現地で開かれた。
 同ダムは東北初の流水型(穴あき)ダム。通常時は水をためず、洪水時は水量を制限して下流に流し、被害を最小限に食い止める治水機能を持つ。

 説明会では県最上総合支庁建設部河川砂防課の担当者がこれまでの工事の経過やダムの特徴などを報告した。現場ではステンレス製の二つの流水箇所の周りに、クレーン車でコンクリートを運び打設する作業が進められていた。定礎式までに地盤から約3メートルの高さまでの打設が進むという。

 堤体(ダム本体)工事は2015年2月に始まり、工期は19年3月までを予定している。総事業費は84億円。計画では堤体の高さ41メートル、幅143メートル。流水箇所は幅1.7メートルで上流部は高さ1.6メートル、下流部は同5.6メートル。50年に一度の大雨を想定し、最大210万立方メートルを貯水できる。


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【2017/06/09 20:17】 | 各地のダム情報
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        嶋津 暉之

設楽ダムの転流工の着工式についての記事です。
「設楽ダムの建設中止を求める会」の「事業の中止を求める」声明も紹介されています。
ダム完成予定は2026年度の見込みですから、予定通りに行っても今から10年後です。
巨大土木工事を行うことを自己目的化した有害無益な事業が進められています。

◆愛知)設楽ダム、豊川転流の着工式 19年完成予定
(朝日新聞愛知版2017年6月4日)
http://digital.asahi.com/articles/ASK634S2JK63OBJB001.html

 設楽ダム(設楽町)の本体工事に向け、豊川を迂回(うかい)させる転流工事の着工式が3日、同町であった。設楽町の関係者や地元選出の国会議員、下流5市の市長・副市長らが出席した。

 冒頭、根本幸典国土交通政務官が「豊川流域は洪水と渇水が頻発する地域。ダムは東三河だけでなく中部地域の発展に寄与する」とあいさつ。設楽町の横山光明町長は「水没し土地を失う方が多数いるなか、議論や協議に時間を費やし課題解決に心血を注いでいただいた。工事が順調に進み、東三河全体が恩恵に浴することを望む」と話した。最後に鍬(くわ)入れとくす玉割りで着工を祝った。

 転流工事では、14億6千万円をかけ全長560メートル(うちトンネル435メートル)の豊川迂回路を造る。下流側から掘り進め、2019年2月に完成予定。転流工事終了後に本体工事が始まる。

 1978年に実施計画調査が始まった設楽ダムは、民主党政権時に検証するダム事業に選定され、その後の自民党政権で継続となった。総貯水容量は9800万立方メートルで、総事業費は約2400億円。実施計画での完成予定は2026年度の見込み。

■中止を求める会 抗議声明を発表

 「設楽ダムの建設中止を求める会」(市野和夫代表)は転流工事の着工について、「ダム建設事業を強行する当局に断固抗議し、事業の中止を求める」とする声明を2日に発表した。


◆きょう設楽ダム「転流工」着工式
 計画から44年大きく動き出す/紆余曲折を経て巨大ダム建設工事本格化

(東日新聞2017/06/03)
http://www.tonichi.net/news/index.php?id=60785

 国土交通省設楽ダム工事事務所は3日、設楽ダム(設楽町)の本体関連工事として「転流工」の着工式を開き、工事が本格化する。計画提示から44年。地元の反対運動から建設同意、事業凍結の紆余(うよ)曲折を経て、巨大ダムの建設事業が大きく動き出す。

 転流工とは、川の水を迂回(うかい)させる仮排水路トンネル。これまで同事務所は用地補償や付け替え道路の整備などを進めてきたが、ダム本体工事に向けた本格的な工事に入る。全長560メートルで2019年2月の完成予定。

 設楽ダムは、豊川(とよがわ)上流の設楽町に、流水の正常な機能維持、利水、治水を目的に国交省が建設を計画。堤高129メートル、総貯水量9800万トン、ダム湖の面積は3平方キロになる。

 1973年に計画が提示され、地元の反対運動を経て、2009年2月に国と愛知県、同町が建設に合意。その後、民主党政権下で再検証の対象となり、住民移転などが進む中で工事は事実上凍結された。

 再開以降、対象となる用地300ヘクタールのうち約91%にあたる277ヘクタールで契約を結んだ。水没する124戸は新城市内などに移転した。

 総事業費は当初より膨らみ約2400億円。完成時期も計画提示時よりずれ込んで26年度を見込む。同事務所は3日、設楽町田口のふれあい広場で転流工の着工式を開き、同町関係者や豊川下流域の自治体の首長らが出席する。


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【2017/06/06 21:30】 | 各地のダム情報
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