「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
         嶋津 暉之

国土交通省は秋田県・子吉川の由利本荘市に鳥海ダムの建設を進めようとしています。
鳥海ダムはダム検証が始まるまでは休眠状態であった計画ですが、ダム検証で動き出しました。

秋田県下では、国土交通省が現在、雄物川上流で成瀬ダムの本体基礎掘削工事を進めています。
この成瀬ダムに続く大型ダムとして、鳥海ダム事業を進めようというものです。

しかし、今年7月、8月の記録的豪雨で、雄物川は大氾濫し、多大な被害が生じました。治水効果がほとんどない成瀬ダムの建設に河川予算をつぎ込み、雄物川の河川改修をなおざりにしてきたことによるものです。

国土交通省は鳥海ダムで同じ轍を踏もうとしています。


◆水没予定地の歴史を記録に
(読売新聞秋田版 2017年10月02日)
http://www.yomiuri.co.jp/local/akita/news/20171002-OYTNT50312.html

由利本荘・百宅地区で委員会を発足

 国土交通省鳥海ダム工事事務所は2日、ダム建設に伴い水没する由利本荘市鳥海町百宅地区の歴史を記録として残すため、有識者による「百宅地区の記録保存委員会」を発足させる。

 同地区は平家伝説や鳥海修験、マタギといった独特の伝承や文化で知られる。委員会は3年ほどかけて歴史学や考古学、民俗芸能、美術、建築、地質、教育などの視点から、調査と研究の光を当てる。

委員会は13人の有識者で構成され、初会合が開かれる2日には早速、現地に入り、史跡「弘法平」や猿倉人形芝居の創始者・池田与八の顕彰碑、雷神社などを視察する。

 百宅地区は子吉川源流部の鳥海山麓にある。平家の落人伝説に加えて、弘法伝承も色濃く残り、「法体の滝」入り口には、空海が修行したと伝わる弘法平がある。

洞窟の奥に弘法大師像が安置され、古くから鳥海修験者の修行の場とされてきた。国指定史跡・鳥海山への追加指定が期待されたが、ダムの建設で水没するため、見送られた経緯がある。

 国指定重要無形民俗文化財・本海番楽の里としても知られ、下百宅講中の舞は番楽の原形を最も忠実にとどめるとされる。しかし、ダム建設への対応で住民の足並みが乱れたといい、10年前から休止状態にある。

今回の調査を機に復活を期待する声も強い。鳥海ダムは洪水調節や水道用水の確保、安定した川の流れの維持が狙いの多目的ダムだ。

流域面積約84平方キロで、総貯水容量は約4700万立方メートル。百宅地区を中心に310ヘクタールが水没、48戸が移転を余儀なくされる。

【2017/10/04 11:02】 | 各地のダム情報
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     嶋津 暉之

栃木県は、必要性がない思川開発事業の水源を無理矢理使うため、栃木市、下野市、壬生町水道の地下水源を大幅に減らす県南水道用水供給事業を推進しつつあります。

このことに関する日刊建設新聞の記事です。

県南水道用水供給事業によって栃木市、下野市、壬生町水道は地下水源が大幅に減り、まずくて料金が高い水道になることは必至ですので、この事業に反対する運動が進められています。署名活動も始まりました。

◆実現可能な施設計画抽出へ 県南3市町の水道水 南摩ダム再開で調査着手(県生活衛生課)
[日刊建設新聞 栃木版 2017/9/30] 
http://www.jcpress.co.jp/wp01/?p=19251

 南摩ダム建設に伴う思川開発事業の再開が決まり、県と栃木・下野・壬生の3市町は、水道施設の整備に向け調査や検討が始まった。7月に県南広域的水道整備事業検討部会が開かれ、施設計画等の基礎的な調査検討に着手。県生活衛生課によると、一級河川思川にある取水堰など既存施設の活用に向けた調査検討や施設配置を検討、今年度末を目途に取水候補地を選定し、実現可能な施設計画を抽出していくとしている。施設計画の抽出に伴う水道施設広域化調査検討業務は、日水コン(東京都新宿区)が担当している。

 南摩ダムに保有する県水は、毎秒0.403立方m。県は思川の取水位置を決め、取水施設や導水施設、浄水場などを整備し、参画の3市町に供給する計画。3市町は現在、全量を地下水で水道水を賄っており、24年度末にまとめた「栃木県南地域における水道水源確保に関する検討報告書」では、野木町を合わせ平成42年度を目標に表流水の比率を35%、日量3万5000立方mまで高めていくとしている。

 地下水の代替水源として表流水の比率を高めていくことは、県南地域における地盤沈下や地下水汚染が危惧されるためで、同報告書では水道水源を地下水のみに依存し続けることは望ましくないとしている。また、異常気象による渇水リスクが高まる中、県南地域には水道水源として水資源開発施設がないことに危機感を示し、水資源開発には相当な期間を必要とすることから、長期的な展望に立って、事前対策を講じていく必要性に言及した。

 今年度の調査では、水道水を供給するに当たって、取水先の思川から3市町のエリアに、活用可能な施設がどこにどのような形で存在しているか、既存施設の資料を収集し把握するとした。具体的には、取水・導水施設、浄水施設、配水施設等その他関連施設としている。

 調査では、資料による把握が可能な範囲内で、新設や既存設備の活用など複合型の可能性を検討し、考えられる組み合わせを整理する。また、組み合わせの中で実現可能な施設計画を3パターン程度抽出するとしている。

 実現可能な施設計画を抽出した上で、30年度以降は最適案を抽出。最適案による施設の概略設計をまとめ、概算事業費を試算するとした。

 思川開発事業は、30年度に導水路工、31年度には南摩ダム本体工を公告。導水路工は取水放流工を含め35年度まで、南摩ダムは基礎掘削や盛立工を経て36年度に試験湛水を行うとしており、計画では37年度にも表流水への転換が可能になる。

【2017/10/04 10:06】 | 各地のダム情報
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          嶋津 暉之

2013年に中止が決まった宮城県の直轄ダム「田川ダム」の予定地の住民が国に補償を求める要望書を提出しました。
ダム計画に翻弄され、ダム予定地の住民は多大な損害を受けてきているのですから、生活再建措置が取られて当然であり、そのための法整備が必要です。
民主党政権下で「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」がダム中止後の生活再建支援法案をつくりました。
それがベースになって、内容面では後退しましたが、2012年3月に「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」が国会に上程されました。
しかし、まったく審議されないまま、廃案になってしまいました。

◆宮城)ダムに翻弄された37年 加美町寒風沢
(朝日新聞宮城版2017年9月6日)
http://digital.asahi.com/articles/ASK954J0FK95UNHB00M.html

 国が着工することなく2013年に中止になった田川ダムの建設予定地、加美町寒風沢(さぶさわ)地区の住民らが6日、補償を求める要望書を国交省鳴瀬川総合開発工事事務所に提出する。未着工のダムに関する補償要求には、法的根拠がない。それでも、県の調査にさかのぼれば37年間、ダムに振り回され続けた。そのことで被った不利益を、住民らは「損害」ととらえている。

 寒風沢地区地域振興協議会の24人。ダムができていれば住宅が水没した4軒、田畑などを失うはずだった9軒が含まれる。すでに寒風沢を離れた人も名を連ねる。要望書は、ダムが建設されるかの見通しが立たないうちに人口流出が進んだことを指摘。計画がなければ、もっと快適な生活が送れるはずだったと記す。5日には加美町に対し、国が補償するようはたらきかけることを求めた。

 住民らは中止方針が発表された2013年から、当時の総合開発調査事務所に補償を求めたが、「制度がない」「前例がない」と退けられてきた。今回の要望書提出は、国による補償の可能性の有無を確認する意味を持つ。と言うのも、町が住民の生活再建と地域振興に使える交付金を準備したからだ。

 交付金は、住民の家屋改修や、グループでの研究会などに使うことができ、協議会を通じて申請して支給される。予算計上した8200万円は、町が国交省から得た9200万円の「行政需要費」から捻出した。

 需要費はダム事業のために町職員が働いた分への対価で、町が自由に使える。町は当初、中止決定後に住民が要求していた生活再建のほか、堰(せき)の改良と林道や集会所の整備などに使う予定だった。ダム到来を想定し、インフラ整備が不十分だった所だ。

 ところが、住民の多くはこの間に年老いていった。将来には消えゆくかもしれない集落の整備より、個々の生活に結びつく支援の方を重視するようになった。町は要求が多かった町道整備に1千万円を使い、残りを生活再建などに対象を絞った交付金に充てる。

 協議会は補償要求を優先し、その後に会長ら役員が町の助言を受けながら、交付金の分配基準を決める。だが、難しい作業になりそうだ。老朽化した家屋の手入れの全額を交付金に頼れば、たちまち底をつくので、出費に対する支給割合を決める必要がある。家屋の水没、土地だけの水没、いずれでもない住民、不在者が混在する。来なかったダムによる「損害」をどう調整し、申請額を算出するのか――。

 協議会の今野年行会長(65)は言う。「最初は向こうが、ダムを造らせてと頭を下げた。次は、こっちが補償をと頭を下げる。交付金調整は難しそうな仕事。不思議な話だ」

 ダムは幻と消えた。だがその残影は、今後も住民たちの現実を翻弄(ほんろう)し続ける。行政区長によると、中止が決まる前年、60人以上が暮らした寒風沢。住民は今、43人。(島田博)

     ◇

 〈田川ダム〉 洪水調節と灌漑(かんがい)用水補給、水道用水供給などが目的。1976年の県の予備調査に続く92年、当時の建設省が鳴瀬川支流の田川に二つのダムの建設を前提にした実施計画調査を始めた。後に、一つのダムに計画を変更。民主党政権による未着工ダム事業の見直しに伴い、13年8月に中止が決まった。その分の機能は同町内の別の支流に着工する筒砂子ダムの規模拡大などで補完する。


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【2017/09/07 00:53】 | 各地のダム情報
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       嶋津 暉之

水需要の減少で水あまりが各地で問題になっています。
鬼怒川の川治ダムで開発した工業用水道の水利権のうち、86400㎥/日が未利用になっており、その費用約157億円を栃木県の一般会計で負担してきています。

◆工業用水、55%が35年間未利用 栃木県「鬼怒工水」事業 管理費157億円、一般会計で負担
(下野新聞2017年9月5日 朝刊)
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 県企業局が企業に水を供給する工業用水道事業で、最大取水量の55%の水が1982年の事業開始から35年間未利用であることが4日までに、県や同局への取材で分かった。社会情勢の変化などによって需要が生まれず、水余りの状態が続く。県は毎年、未利用水分のダム管理費などを一般会計から拠出。繰り出し金は2016年度末で累計約157億円に達し、未利用水の活用が長年の懸案となっている。

 事業は「鬼怒川左岸台地地区工業用水道事業(鬼怒工水)」で、水源は川治ダム(日光市)。工業用水として毎秒1・83立方メートル分(日量15万8100立方メートル)の取水が可能だ。

 そのうち55%に当たる同1・0立方メートル分(日量8万6400立方メートル)が事業開始以来未利用で、県が負担する。県民1人当たりが使用する1日の平均水量に換算すると、約25万人分に相当する。

 残る45%の同0・83立方メートル分(日量7万1700立方メートル)は企業局が管理する。だが4月時点で供給しているのは、宇都宮市の清原工業団地などの工場に同0・286立方メートル(日量2万4700立方メートル)。同局分の約3割にとどまり、最大取水量の84%の水が余っていることになる。

【2017/09/07 00:48】 | 各地のダム情報
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       嶋津 暉之

ナイル川上流にエチオピアが建設している巨大ダムに対して下流のエジプトが危機感を強めています。

◆ナイル川 エチオピアのダム建設、エジプト水不足懸念
(毎日新聞2017年8月23日 12時25分)
https://mainichi.jp/articles/20170823/k00/00e/030/280000c?inb=fa

 【カイロ篠田航一】ナイル川上流でエチオピアが建設している巨大ダムを巡り、下流のエジプトが危機感を強めている。ダムが完成し、ダム湖に水がたまり始めれば、下流に向かう水量が減少し、エジプトが水不足に見舞われる懸念があるためだ。「エジプトはナイルのたまもの」(紀元前5世紀の歴史家ヘロドトス)の言葉通り、現代のエジプトも水需要の95%をナイル川に依存しており、水資源を巡る神経戦が続いている。

 「わが国は人口も増え、水不足が始まっている。流域国は水資源維持のため協力すべきだ」。エジプトのシシ大統領は今年6月、ウガンダで開かれたナイル川流域国による国際会議でこう訴えた。

 問題のダムは、スーダン国境に近いエチオピア西部で2010年に建設が始まった水力発電用の「大エチオピア・ルネサンス・ダム」。イタリア企業が工事を受注し、総工費は約33億ユーロ(約4300億円)。全長約1・8キロのアフリカ最大のダムで、今年中に完成予定だ。

 だが稼働を始めれば下流域への水量が減るとして、エジプトは度々懸念を表明。一方でエチオピアは「下流への影響はない」と反論し、両者の協議は続く。干ばつによる食糧不足などに悩むエチオピアにとって、安定的な電力確保につながるダム稼働は悲願でもある。
 エジプトが懸念を深める背景には人口増もある。1970年に約3500万人だった人口は現在約9500万人で、1億人突破も目前だ。一方、地元メディアによると、70年に1972立方メートルだった1人あたりの年間の水消費量は、2013年には663立方メートルまで激減。国連が「絶対的な水不足」のラインとする500立方メートルも近付いている。

 1929年以降、エジプトは英国やスーダンと協定を結び、ナイル川の年間流量840億トン(うち100億トンは蒸発)のうち75%の取水権をエジプト、残りの25%をスーダンが持つと定めた。その他の流域国が水資源開発を行う場合、両国の同意が必要と規定する強気の内容だ。だが20世紀後半以降、アフリカ諸国の独立や経済発展が進む中、エジプトとスーダンが水資源を独占する状況に各国から反発が強まった。エチオピアやケニア、ウガンダなど上流の流域国は2010年、エジプトの同意がなくても事業ができるとする新たな協定を締結したが、エジプトは署名を拒否している。

 ナイル川は全長約6700キロ。エチオピアから流れる「青ナイル」と、ビクトリア湖周辺の高原地帯から流れるとされる「白ナイル」がスーダンで合流し、エジプトに流れ込む。


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【2017/09/03 11:58】 | 各地のダム情報
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