「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
              嶋津 暉之

8月1日、江戸川区北小岩一丁目スーパー堤防の差止め等を求めた控訴審の第2回口頭弁論が東京高等裁判所で開かれました。
この控訴審で、スーパー堤防事業がまったくの虚構の事業であることを明らかにする意見書を提出しました。

意見書を下記に掲載しましたので、お読みいただければと思います。
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2017/08/9e793f8385b1ba86494b4af10f4ff7a0.pdf

スーパー堤防はまことに愚かな河川事業であり、事業そのものを廃止させなければなりません。

意見書の要旨は次のとおりです。


① 本件対象地区は江戸川沿川において水害の危険性が最も小さいところであり、高規格堤防に変える必要性がまったくない。
・利根川水系利根川・江戸川河川整備計画が目標とする治水安全度(1/70~1/80)を確保する上で必要な堤防が本件対象地区ではすでに十分に整備されており、江戸川沿川の地域において最も安全度が高い地区である。

・国土交通省の計算では利根川水系河川整備基本方針の長期的な目標の治水安全度(1/200)に相当する洪水が来ても本件対象地区では溢れることはない結果が示されており、治水安全度が極めて高い。

・本件対象地区は江戸川区の中では標高が比較的高く、東京湾満潮面以下のいわゆるゼロメートル地帯ではないため、万が一、江戸川からの溢水があったり、未曽有の集中豪雨があったりしても、水害を受ける可能性が極めて低い地区である。


② 本件対象地区で整備される高規格堤防は延長がわずか120mの高規格堤防であり、今後、この高規格堤防を上下流に拡張する具体的な実施計画が存在しないから、江戸川の治水対策としての役割を何も果たさない。

・高規格堤防は超過洪水到来時の決壊の防止を名目に整備を進めるものであるが、それなりの長さで連続的な整備がされなければその役割を果たすことができない。右岸側の既設の高規格堤防は本件対象地区の上流側では3km以上、下流側では5km離れており、本件対象地区は孤立した点の高規格堤防をつくるだけである。

・右岸側で整備が計画されているのは約2km下流の篠崎公園地区の高規格堤防420mだけである。しかも、完成予定は2026年度であり、実際の完成は数年以上遅れるから、順調に行っても今から十数年以上先のことである。

・わずか120mだけの高規格堤防で、その上流と下流は通常堤防であるから、超過洪水の到来時には上下流で越流することになり、本件対象地区には溢れた洪水が押し寄せることになる。


③ 江戸川下流部等において計画通りに高規格堤防を整備するためには、気が遠くなるような超長期の年数と、巨額の河川予算が必要であり、高規格堤防整備事業は現実性が欠如している。

・江戸川下流部の両岸で高規格堤防が整備されたのは、6地区で、総延長は1730mであるが、高規格堤防としての基本断面ができている延長は一部であって、延べ510mしかない。計画整備距離数22kmに対してわずかその2.3%しか完成していない。

・江戸川下流部は20年以上前から高規格堤防事業が始まっている。20年経過して、整備率が2.3%とすれば、計画通りに22kmの整備を終えるためには、20年÷0.023 =約870年もかかることになる。

・このように整備の完了に気が遠くなるような年数を要する高規格堤防の整備は治水対策としての意味を持つものではなくなっている。

・高規格堤防を計画通りに整備するためには巨額の公費が必要である。本件北小岩一丁目高規格堤防の整備単価を使うと、江戸川下流部の未整備区間を約20kmとすれば、今後、 0.78兆円という巨額の公費が必要となり、高規格堤防は費用の面でも現実性が欠如している。


④ 北小岩一丁目地区高規格堤防について国土交通省は「その敷地を水防活動や一時的な避難場所として活用することが可能となる」と述べているが、それは虚構である。本件高規格堤防の周辺は通常堤防であるから、超過洪水の到来時には越流の危険に晒されており、江戸川に面する長さわずか120mの高規格堤防の上に避難しようする人がいるはずがない。


⑤ 江戸川の高規格堤防整備事業の無意味さは国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会(2016年2月22日)でも指摘されている。篠崎公園地区の高規格堤防整備について事業の是非を問う厳しい意見が繰り返し出された。「江戸川でスーパー堤防の整備を進めていく具体的な計画がなくて、ここだけ、スーパー堤防にする意味がどこにあるのか」と、事業の必要性に強い疑問が投げかけられた。


⑥ 耐越水堤防工法はすでに確立された技術であり、旧・建設省は2000年に耐越水堤防工法の普及を進めようとしたが、その後、国土交通省は高規格堤防やダム建設の推進の妨げになるとして、耐越水堤防工法を認めない方針に転換してしまった。

・フロンティア堤防などの耐越水堤防の工法は旧建設省土木研究所で研究開発され、その研究成果に基づいて1980年代後半から一級水系の一部河川で整備が実施されてきた。その実績をもとに、旧・建設省は2000年3月策定の「河川堤防設計指針(第3稿)」に耐越水堤防の必要性と工法を明記し、全国の関係機関に通知した。

・ところが、2000年12月の川辺川ダム住民討論集会で、耐越水堤防の導入でダム建設の理由の一つがなくなることが明らかになったことから、国土交通省は「河川堤防設計指針(第3稿)」を廃止してしまった。

・国土交通省が耐越水堤防工法の普及に現在、ストップをかけるもう一つの理由は高規格堤防の推進である。耐越水堤防工法の普及を認めれば、極めて長い年月と巨額の公費を要する高規格堤防はその存在理由そのものが失われてしまうからである。

・そのことによって、日本の河川は耐越水堤防工法による堤防強化がいつまで経ってもされず、破堤の危険性が放置される由々しき事態になっている。



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【2017/08/03 01:01】 | スーパー堤防
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             嶋津 暉之

国交省の第3回「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」が7月27日、開催されました。

第3回検討会の配布資料及び第2回検討会の議事要旨が国土交通省HPに掲載されましたので、お知らせします。

◇第3回 高規格堤防の効率的な整備に関する検討会(平成29年7月27日開催)の資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai3kai/index.html

議事次第(PDF:20KB)
資料 とりまとめ(案)(PDF:239KB)
参考資料 第2回高規格堤防の効率的な整備に関する検討会 議事要旨(PDF:71KB)

この検討会は第3回で終わりで、取りまとめ案が掲載されています。
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai3kai/pdf/1-2_matome.pdf

この検討会はスーパー堤防の整備をスピードアップさせる方策を検討するものですが、そのような妙案はなく、課題を羅列しただけのとりまとめ案をつくって終わりのようです。
スーパー堤防そのものが無理のある事業なので、整備のスピードアップはできないと思います。

◆スーパー堤防、街づくりメリット拡大へ
 国交省、税制など支援のほか工事改善も

(リスク対策2017/07/28)
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3388

国土交通省は27日、「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」の第3回会合を開催。報告書のとりまとめを行った。「スーパー堤防」と呼ばれる高規格堤防の整備促進へ、共同事業者であるデベロッパーなどが堤防整備で生まれる土地を生かした街づくりを行いやすいよう、インセンティブ付与や事業化へのスピードアップ支援などを行うべきだとした。

高規格堤防は土でできた緩やかな勾配のある堤防。幅が広く、防災以外に堤防の上を利用した街づくりを行える。しかし共同事業者にとってメリットが少なく、河川管理者である国との協定締結など事業化、さらには構造物撤去や盛り土、地盤改良など整備にも時間がかかるといった課題がある。

2010年の民主党政権下での事業仕分けによりいったん廃止が決定。その後に検討会が開かれ、従来計画の約873㎞を、荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川のゼロメートル地帯を中心とした緊急性のある約120㎞に縮小し整備を進めることとなった。3月末時点での整備状況は整備区間の約12%の約14kmで、高規格堤防の基本的な断面形状が確保されているのは約2.8%の約3.3kmにとどまっている。

報告書では共同事業者に対し税制や融資での支援を検討すべきだとした。また手続きの改善として、高規格堤防整備の予定区域を明示し、共同事業者を公募する仕組みが必要と指摘。コスト縮減や工期短縮へ向け、盛り土や地盤改良と建築物や基礎の一体施工、さらなる新技術作りに取り組む。コスト縮減が実現した新技術の活用実績を事例集として作成し、ほかの地区へ広めることも行うべきとしている。
(了)


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【2017/08/03 00:25】 | スーパー堤防
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         嶋津 暉之

国交省の第3回「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」が下記のとおり、開催されます。
一応公開となっているものの、すでに傍聴申し込み期限を過ぎており、傍聴できません。
傍聴させないようにしているようです。
スーパー堤防は整備が遅々として進まず、治水対策としての体をなしていません。
スピードアップできる妙案があるわけでもありません。
第3回で、形だけのとりまとめ案をつくって終わりのようです。

◇第3回「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」の開催
~高規格堤防の効率的な整備にむけて~
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo05_hh_000032.html



1.日 時 平成29年7月27日(木)14:00~16:00
2.場 所 国土交通省 水管理・国土保全局 A会議室 (合同庁舎3号館1F)
3.委 員 別紙のとおり
4.議 題 とりまとめ(案)

5.その他
  ・検討会は公開にて行います。
  ・会議の傍聴を希望される場合は、7月26日(水)14:00までに、
  件名を「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会傍聴希望」とし、
  氏名(ふりがな)、所属、連絡先(メールアドレス、電話番号)を明記の上、
  以下のメールアドレス又はFAXあて、お送りください。


【2017/07/27 00:05】 | スーパー堤防
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         嶋津 暉之

6月20日に国土交通省で、第2回 高規格堤防の効率的な整備に関する検討会が開かれました。
その資料が国土交通省のHPに掲載されましたので、お知らせします。

この検討会は遅々として進まないスーパー堤防の整備をスピードアップする方策を検討する会議です。
今回の会議で、とりまとめ骨子案が示されています。
次の第3回会議でまとめるようですが、とりまとめ骨子案はそれほど内容があるものではありません。

人々が居住しているところを堤防にするというスーパー堤防の考え方そのものが間違っており、スーパー堤防の整備をスピードアップする妙案があるはずがありません。

とりまとめ骨子案に次の記述があります。

「平成29 年3 月末時点の高規格堤防の整備状況は、整備区間の約120km に対して約14km(約12%)。このうち、高規格堤防の基本的な断面形状が確保されている延長は、約3.3km(約2.8%)。」

スーパー堤防が整備されたところの大半は窪地になっていて、不完全なものです。

堤防幅を堤防高の30倍にするのがスーパー堤防ですが、その断面形状が確保されたのはわずか2.8%でしかありません。

約20年かけてわずか2.8%ですから、この進捗率から計算すると、スーパー堤防の整備を終えるのに20年÷0.028=714年かかることになります。
治水対策として無意味で、居住している人々を追い出すスーパー堤防事業は中止すべきです。


第2回 高規格堤防の効率的な整備に関する検討会の資料 
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai2kai/index.html

2017年6月20日(火)
治水課

第2回 高規格堤防の効率的な整備に関する検討会(平成29年6月20日開催)の資料を掲載いたします。
議事次第(PDF:23KB)
資料1 高規格堤防の整備の背景(PDF:4.4MB)
資料2 効率的に整備を進めるための主な課題と方策(案)(PDF:1.9MB)
資料3 とりまとめ骨子(案)(PDF:187KB)
参考資料 第1回高規格堤防の効率的な整備に関する検討会 議事要旨(PDF:74KB)


【2017/06/23 05:15】 | スーパー堤防
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       嶋津 暉之

5月18日(木)に国土交通省で「高規格堤防(スーパー堤防)の効率的な整備に関する検討~高規格堤防の効率的な整備に向けて~」の第1回検討会が開かれました。
その配布資料が国土交通省のHPに掲載されたことはすでにお知らせしました。

http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai1kai/index.html

その議事要旨も掲載されましたので、お知らせします。下記のとおりです。

とにかく、高規格堤防の整備は遅々として進んでいません。
荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川の下流部、延べ119kmが対象になっていますが、現在までの進捗速度ですと、整備完了まで700~1000年以上かかると思われます。
この整備のスピードを上げるための検討会ですが、配布資料と議事要旨を読む限りでは、 スピードアップは難しいように思います。
人の住んでいるところを堤防にするという考え方そのものが間違っているのです、

◇第1回 高規格堤防の効率的な整備に関する検討会(平成29年5月18日)の議事要旨
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai1kai/gy01.pdf

平成29 年5 月18 日(木)10:00~12:00

中央合同庁舎3 号館 1 階 水管理・国土保全局A 会議室

【方策の検討における配慮事項】
○ 高層ビルを建設する時に、ビルの下の階は危険だという自覚がでれば、高層ビルの事業者が、せめて盛土の部分だけでも高規格堤防と調整して河川管理者に施工してもらえないかという考えになるのではないか。

○ スケジュールが不明確だと事業者や住民あるいは周辺の方々が不安になり、結局、関心が薄れたりして事業が進みにくくなるのではないか。河川管理者が大まかなスケジュールを示すことで、共同事業者等に安心感を与えることが重要。

○ 約120km に絞り込んだ中で、どうやればもう少し早く進められるのかを検討し、そのために何らかの打開策を示すということは良いが、具体的にどういう打開策なのかを明確にすべき。

○ 共同事業者のメリットについて川裏法面の敷地の分だけ広くなることは示しているが、それ以外についても明らかにすべきではないか。

○ 約120km の沿川の都市計画審議会の委員や自治体の首長に対し、ゼロメートル地帯等の水害の危険性等について、しっかりと伝えるべきではないか。

【高規格堤防の整備に対する河川管理者の姿勢】
○ 高規格堤防の整備について、緊急を要する区間として約120km に絞り込んだことをしっかり示すべき。

○ 河川管理者が前面にでて高規格堤防を強力に進めていくという姿勢を示す必要がある。このため、広報はこれまで以上にしっかり実施すべき。

○ 河川管理者がまちづくりと連携して高規格堤防の整備が実施できる可能性があるところを積極的に拾い出し、高規格堤防を進めることを意思表示すべき。


【2017/06/09 20:14】 | スーパー堤防
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