「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
 八ッ場ダムの建設再開(本体工事費の予算案計上)を政府が決定したことに対し、全国自然保護連合も12月29日付けで抗議声明を野田佳彦首相と前田武志国交相に送りました。

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             2011年12月29日

 内閣総理大臣 野田佳彦 様                
 国土交通大臣 前田武志 様

                  全国自然保護連合
                   代表 川村晃生


  八ッ場ダム建設再開決定に対する抗議声明

 政府が八ッ場ダム本体工事費の予算案計上を決定したことにたいし、強く抗議します。

 八ッ場ダムは60年も前に計画されたものです。首都圏の利水と治水が目的でしたが、いまや水需要は予想を大きく下回っています。

 治水面でもダム効果の過大評価が指摘されています。実際に、八ッ場ダム計画の契機となった1947年のカスリーン台風の降雨に対しては、八ッ場ダムの効果はゼロであることが国交省の資料によって明らかになっています。また、当時よりも森林が整備され、吾妻川周辺の保水力は格段に高まっています。

 治水対策でいま緊急に求められているのは、堤防補強と避難対策です。国交省利根川下流河川事務所の「平成19年度 利根川下流管内堤防詳細点検結果とりまとめ資料」によれば、利根川と荒川では、堤防強度の安全基準を満たしていない区間が利根川57%、荒川62%です。

 また、国交省が公表した“首都圏水没”の報告書によれば、荒川や利根川の堤防が決壊して大規模水害が東京を襲ったら、最悪の場合は死者6300人、孤立者110万人とのことです。利根川が決壊すれば、
場所によっては、千葉県や埼玉県も甚大な被害を受けることになります。

 しかし、国交省の治水予算が巨大ダム建設に偏っているため、堤防改修はほとんど進んでいません。
 そこで私たちは、八ッ場ダムの建設を中止し、堤防補強と避難対策に力を入れることを求めます。あわせて、吾妻渓谷の美観を保全しつつ、地元の方々の生活再建策を早急に実施することを強く求めます。

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☆★こちらもどうぞご覧下さい★☆

 ・「八ツ場あしたの会」ニュース
 ・「八ツ場ダムをストップさせる千葉の会」
 ・まさのあつこさんの「ダム日記2」

【2012/01/04 10:45】 | 意見書
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       八ッ場ダムの建設中止を求める意見書
 
                   2011年(平成23年)12月22日
千葉県弁護士会
 会長 木村龍次

意見の趣旨
 国は、速やかに、八ッ場ダムの建設中止手続を履行した上で、地元住民の方々の生活再建に取り組むべきである。

意見の理由
1 当会ならびに関東弁護士連合会は、かねてから、開発と公害、環境保全問題に継続的に取り組んできた。とりわけ、当会は平成12年に「追原ダム建設計画の即時中止と公共事業の抜本的見直しを求める会長声明」を発表し、関東弁護士連合会も平成15年度の定期大会におけるシンポジウムにおいて「ダム問題-脱ダムをめざして-」をテーマに取り上げた。同シンポジウム開催の準備過程においては、利根川水系の群馬県八ッ場ダムをはじめとする全国各地のダム、湖沼、遊水池を調査対象とし、関係者からヒアリング等の調査を行っている。こうした調査研究活動の結果、同連合会は、ダム建設には、自然環境保全の観点からはもとより、事業の必要性の観点からも、根本的な見直しが行われるべきであることを決議した。さらに、同連合会は、平成17年12月には、「利根川水系河川整備基本方針策定審議に対する意見書」を公表し、利根川水系河川整備基本方針案の策定に関して毎秒22,000立法メートル(八斗島地点)の基本高水流量が過大なものであり、算定を根本的にやり直すべきであること、審議方法も、不公平、不透明かつ拙速に過ぎ、審議方法を根本的に改めるべきであると指摘した。コンクリートの巨大なダムは、川の流れをせき止め上下流を分断し、生き物の往来を妨げるなど、環境への負荷の高さは改めて指摘するまでもない。それゆえ、ダム建設は、あらゆる代替案を徹底的に検討した最後の手段と考えるべきである。

2 八ッ場ダムの目的は、首都圏の利水と洪水対策とされている。しかし、首都圏の水需要は近年減少の一途である。たとえば東京はいまだに人口が増加しているが、水需要は減少している。水需要の減少は、節水型機器の普及など構造的変化によるものであって、この傾向は全国的にも同様である。今後水需要が増加する要素は見あたらず、一方で水源には十分に余裕がある。洪水対策についても、八ッ場ダム建設の契機となった1947年のカスリーン台風の降雨に対しては、八ッ場ダムの効果は0であることが国交省の資料によって明らかになっている。また八ッ場ダムのダムサイトは地盤が悪いことで、一旦は建設地が変更になったほどの危険な場所であり、地滑りの可能性も高い。八ッ場ダムの建設は無駄なだけではなく、貴重な自然環境を破壊し、さらには有害・危険ですらある。それにもかかわらず、八ッ場ダムの建設がこれまで見直されることがなかったことについては、「政・官・業」が癒着した利権誘導公共事業との謗りを免れない。

3 八ッ場ダム建設中止は、政権交代を成し遂げた民主党の公約である。ところが、その民主党政権が公約を破り、八ッ場ダムの建設を続行する可能性が出てきた。
 八ッ場ダムをめぐる最近の経過は以下のとおりである。
 建設事業者の国交省は、関東地方整備局を中心に関係住民の意見聴取、パブリックコメント、事業評価監視委員会での審議を経て、本省の有識者会議で結論し、準備した再検証のスキームを完了して、八ッ場ダムの事業継続が妥当との結論を国交大臣に提出した。これらの検討、検証の場では、推進への疑問や建設中止の意見も委員から出されたが、結論は変わらなかった。これに対し、民主党国土交通部門会議からは、八ッ場ダムの治水効果、利水の問題点、暫定水利権の変更の施策を提言し、費用便益を科学的根拠のない数値であり、地すべり費用の増大にもふれながら八ッ場ダムの検証は検証の名に値しないものである、との「意見書」が提出された。
 すなわち、これまで国交省が治水上の必要性の最大の根拠としてきた基本高水毎秒22,000立法メートルの基礎が、その後の科学的な検証によって大きく崩れた。また、利水上の必要性についても、静岡県の富士川から延々200キロメートル導水した場合にかかる経費との対比から八ツ場ダムの経費的優位性を導くなど、およそ無意味で欺楠的なものですらある。民主党の前記部門会議の意見は、これまでに明らかになっているこれらの客観的で科学的な知見に基づいたものである。
 このように現在、政府が八ッ場ダムの建設続行のために動き出し、これに民主党が待ったをかけているという状況にある。そして、八ッ場ダムの建設を続行するか否か、年内には政府が結論を出すとも報じられている。
 民主党は、ダムによらない治水・利水をマニュフエストに掲げて総選挙に勝利したのであり、これを理解しない国交省の「建設継続を妥当とする」結論を政府が容認すれば、明らかに民意を裏切ることになる。また、八ッ場ダムという「壮大な無駄使い」を容認するのであれば、消費税増税への国民の理解などとうてい得られない。八ッ場ダム問題は、わが国の公共事業のあり方を根本的に問うているといえる。
 いままさに八ッ場ダム建設を中止する政治的決断が求められているのである。
 千葉県民主党県議会議員会は12月9日に開かれた議員総会で、八ツ場ダムの本体工事を容認しないだけでなく中止にまで踏み込むことを決定した。当会も、この決定と見解を一にする。

4 八ッ場ダム建設計画に長年翻弄されてきた地元住民の方々の生活再建は、もちろん極めて重要な問題であり、緊急かつ十二分な対応を要する。八ッ場ダムの建設をめぐって、地元住民の方々は、地域コミュニティーを破壊され、また、将来の生活設計が立てられないなど、これまで計り知れない犠牲を強いられてきた。地元住民の方々の悲痛な叫びは、ダム問題がいかに深刻なものかを、改めて示した。しかし、八ッ場ダムの建設の是非と、地元住民の方々が受けた苦しみに対する償いは、全く別の問題であって、国家的立場から総合的に見て、やはり八ツ場ダムの建設は中止すべきと言わざるを得ない。そして、当然のことながら、地元住民の方々に対しては、観光や産業の振興策、土地の買上げや代替土地の提供等生活再建のために考え得る、あらゆる手段を講じるべきである。

よって、国は、速やかに、八ッ場ダムの建設中止手続を履行した上で、ダム建設以外のあらゆる手段を講じて地元住民の方々の生活再建に取り組むべきである。

以上


【2011/12/24 19:20】 | 意見書
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