「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
建設中のダムが違法と認められたことが画期的


◆熊本地裁、ダム建設「違法」と判断 計画の必要性認めず
(西日本新聞 2014年02月28日)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/72817

熊本県営路木(ろぎ)ダム(同県天草市河浦町)をめぐり、蒲島郁夫知事に事業費の一部約20億円の返還と公金支出の差し止めを求めた住民訴訟の判決で、熊本地裁は28日、「治水」としてのダム建設の必要性を認めず、ダム建設計画は「知事の裁量権の範囲を逸脱し違法」との判断を示した。返還請求は退けたが、判決確定時までに支払い義務が生じたものを除き、新たな公金支出や契約締結の差し止めを命じた。ダム本体はすでに完成しているが、ダム建設の違法性を認定する判決は異例。
 判決で片山昭人裁判長は、県の計画決定に重要な影響を与えた1982年7月の豪雨による浸水被害について「架空」だったと指摘。その上で、架空の被害などに基づく河川の氾濫形態や水位の想定は「合理性が欠如している」と認定した。さらに30年に1回発生する洪水でも県が想定する「堤防の破壊は発生しない」と判断。こうした堤防被害を除いた想定被害額から算出した費用対効果は「1」を大きく割り込み、事業の必要性が下がるとした。
 一方、ダムの「利水」計画は適法とし、知事に対しては「違法性を認識するのは極めて困難で、故意または過失があったとは認められない」と判断し、返還請求は棄却した。


【2014/03/01 00:28】 | 解説
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            嶋津 暉之

4/18の各紙で報じられているように、4/17、総務省が、人口推計(平成23年10月1日現在)の結果を公表しました。

発表資料を次のURLで見ることができます。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei03_01000008.html

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001088119

日本全体の人口は前年比でマイナス2.0‰(千分率)になりました。

都道府県別の人口の前年比をみると、首都圏でも人口増に陰りが見え、東京都と埼玉県は増加率が大きく落ち込み、千葉県はマイナスに転じ、群馬、茨城、栃木県は減少率が大きくなりました。
水道用水の減少傾向に拍車がかかっていくものと思われます。

(クリックで大きくなります↓)
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【2012/04/18 21:26】 | 解説
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                    嶋津 暉之

最近マスコミに報道されるようになった利根川治水計画の虚構、飽和雨量の問題について解説します。


国の説明「森林が生長しても利根川流域の保水力は不変」

 八ッ場ダムの裁判において治水面で大きな争点となってきたのは、利根川の基本高水流量22,000m3/秒に科学的な根拠があるかどうかでした。国交省は、1947年のカスリーン台風洪水が再来した場合の洪水流量を計算すると、八斗島(群馬県伊勢崎市)で最大22,000m3/秒にもなるので、それに対応できるように八ッ場ダムをはじめ、多くのダムの建設が必要だと主張してきました。

この22,000m3/秒は?マークだらけの疑惑の数字なのですが、特に大きな疑問が二つあります。一つは1947年当時の実績最大流量は17,000m3/秒(公称値で、正しくは約15,000m3/秒)であったのに、再来すると、なぜ22,000m3/秒に膨れ上がるのかということです。もう一つの疑問は、1947年は戦争直後のことで利根川上流域は多くのハゲ山を抱えていて、その結果として未曾有の洪水になったのであって、その後植林が行われ、森林が生長にしてきたのに、それによる保水力の向上をなぜ考慮しないのかということです。

前者については、国交省は「1947年当時は上流部で大量の氾濫があった。上流部の堤防が整備されれば、氾濫していた洪水が流れ込むので増加する。」と説明しています。しかし、当時そのように大量の氾濫があったという事実はなく、後からつけた理屈にすぎません。これについてはあらためて述べたいと思います。

後者については国交省は森林が生長しても流域の保水力は変わらないと説明してきました。その証拠として示したのが、植林後まもない1958年、1959年の洪水に当てはまる洪水流出計算モデルで、最近の洪水(1982年洪水、1998年洪水)の再現計算をすると、実績流量にぴったり一致するとしてその結果を審議会で示しました。

ところが、最近になってそれが虚偽の説明であることが明らかになったのです。


国交省がひそかに変えていた飽和雨量 実際は保水力の向上を認識 

洪水の流出計算で国交省が全国的に使っているのは貯留関数法という流出モデルです。この流出モデル自体の問題もあるのですが、それはさておき、貯留関数法で保水力を示す定数は「飽和雨量」というものです。これは洪水時に雨が降り続けると、累積雨量が飽和雨量になるまでは降雨の一定割合が流出し(残りは貯留)、飽和雨量に達したあとは、降雨の全量が流出するという定数です。飽和雨量を大きく設定するほど、降雨の流出量が小さくなりますので、保水力を表す指標です。

国交省は22,000m3/秒の計算で使った飽和雨量は48mmであると説明してきました。しかし、この値はハゲ山に近い状態で使うべき数字であり、森林が生長した現在の利根川流域に当てはまるはずがありませんが、国交省はこの48mmで最近の洪水流量も再現できたかのような説明をしてきました。

ところが、衆議院予算委員会で馬淵澄夫国交大臣が河野太郎議員の質問に対して、1958年32mm、1959年65mm、1982年115mm、1998年125mmと、洪水ごとに違う飽和雨量を使ったことを明らかにしました。計算流量を実績流量に合わせるために、植林して間もない昭和30年代前半は小さい飽和雨量を使い、森林生長後の最近の洪水に対しては大きい飽和雨量を使っていたのです。すなわち、森林の生長で流域の保水力が向上してきたため、最近の洪水は大きい飽和雨量を使用しないと、実績流量を再現できなかったのであって、国交省自身が森林の生長による保水力の向上を認識していたことを意味します。

今まで国交省は森林が生長しても流域の保水力は変わらないと主張してきたにもかかわらず、実際には保水力の向上を前提とした洪水流量計算を行っていたのです。国交省は臆面もなく、虚偽の説明をずっとしてきたのです。

当然のことながら、飽和雨量として48mmではなく、最近の洪水で使った115~125mmを使って1947年洪水の計算を行えば、22,000m3/秒よりもっと小さい洪水流量が求められます。


裁判では八ッ場ダムをつくるために、きわめて過大な基本高水流量が恣意的に設定されていることをいくつもの証拠によって明らかにしてきましたが、ようやくその事実が白日のもとにさらされるようになってきました。

これからの展開が楽しみです。 


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【2010/11/03 00:07】 | 解説
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                 嶋津 暉之

基本高水流量と八ッ場ダムの関係について説明いたします。

まず結論を先に述べれば、利根川の基本高水流量の数字で直接、今回の八ッ場ダム検証における治水上の必要性の有無が判断されるのではありません。
しかし、基本高水流量の計算の虚構が明らかになれば、八ッ場ダムの不要性が明白になると予想されます。

今回のダム検証は、再評価要領実施細目(有識者会議の中間取りまとめと同じ)に書いてあるように、河川整備計画と同レベルの目標を達成できるように、ダム案と非ダム案の評価を行うことになっています。

1997年の河川法の改正で河川整備の計画は河川整備基本方針と河川整備計画の二つを策定することになりました。
河川整備基本方針は、 河川整備の長期的な目標を定めるものであって、基本高水流量、計画高水流量の数字はきめますが、それはあくまで長期的目標の数字です。
基本方針には具体的な新規のダム計画は記載されず、それを位置づけるものにはなりません。

河川整備計画は今後20~30年間に行う河川整備の事業計画を定めるものです(利根川の場合は30年)。
整備計画としての目標流量を別途設定して、それを達成するために必要な河川整備の内容を記載します。
ダムが必要な場合はダム名を記載するので、河川整備計画がダム計画の治水上の上位計画になります。

あくまで、治水面でダムが必要か否かを位置づけるのは後者の河川整備計画であって、今回のダム検証はその考え方に基づいています。

このように、基本高水流量は河川整備基本方針の数字ですから、八ッ場ダムの必要性の有無に直接に関わってきません。しかし、間接的に大いに関係することは後述します。

利根川については2006年に河川整備基本方針が策定され、基本高水流量は22000m3/秒(八斗島)と再設定されました。これはカスリーン台風の再来流量で、200年に1回の洪水流量とされています。

利根川の河川整備計画の方はまだ策定されていません。2006年12月にそのための有識者会議が設置されましたが、その後の公聴会で厳しい意見が出たためか、策定作業が中断されています。このときの有識者会議の資料には、関東地方整備局の案が書かれていて、整備計画の目標流量は50年に1回の洪水流量が設定され、ダム等による洪水調節後の洪水ピーク流量(八斗島)は13000m3/秒となっています(河道対応流量)。ダム等による洪水調節量が何m3/秒になっているかは不明ですが、大きめにみて2000m3/秒とすれば、基本高水流量に対応する整備計画の目標流量は15000m3/秒程度になっていると考えられます。

このときの関東地方整備局の案では、上流の既設ダム群、八ッ場ダム、下久保ダムの治水容量増強、烏川の河道内調節地が洪水調節の手段と考えられていました。

関東地方整備局が行う今回の八ッ場ダムの検証では、八ッ場ダムの調節分を河道に振り替えて河道対応流量の13000m3/秒を大きくする方法が有力な代替案の一つとして扱われると思います。

ここで問題となるのは、50年に1回の洪水流量15,000m3/秒程度(あくまで推測)の妥当性です。これは、200年に1回の洪水流量22,000m3/秒を求めた洪水流出モデルと同じモデルで計算したものだと考えられます。
したがって、22,000m3/秒の計算の虚構が明らかになり、それよりかなり小さい数字が妥当ということになれば、同じモデルなのですから、50年に1回の洪水流量もかなり小さい数字になります。

そうすれば、50年に1回の洪水流量に対応するのに、河道対応流量を増やさなくても八ッ場ダムなしで対応することが可能ということになります。

以上のように、基本高水流量の数字で直接、今回の八ッ場ダム検証における治水上の必要性の有無が判断されるのではありませんが、しかし、基本高水流量算出の洪水流出モデルの虚構が明らかになれば、河川整備計画の目標流量も下がり、八ッ場ダムの不要性が明白になってくると予想されます

基本高水流量はあくまで将来の目標であって、現実的な意味を持っていません。分かりやすい例が多摩川です。
河川整備基本方針では200年に1回の洪水流量が想定され、
基本高水流量は8700m3/秒(石原地点)となっています。
計画高水流量(将来の河道対応流量)は6500m3/秒で、
ダム等で2200m3/秒のカットが必要とされています。
しかし、多摩川の上流でダムを建設する場所などありません(小河内ダムは利水専用ダム)。

そこで、多摩川の河川整備計画では
戦後最大の昭和49年の観測流量4500m3/秒
(「岸辺のアルバム」で知られる洪水)が目標流量と設定され、河道整備だけで対応することになっています。基本高水流量は「将来の目標はこうですよ」と言っているだけであって、多摩川に付いている看板にすぎません。

治水計画は実現性がなければなりません。
いつ達成できるか分からない、まだ、来る可能性がほとんどないどでかい目標流量ではなく、20~30年で達成できる目標流量を設定して、河川整備を具体的にきちんと進めていこうという観点も含めて行われたのが1997年の河川法の改正です。

それまでは工事実施基本計画という長期的な計画しかなかったのですが、この改正で河川整備計画方針(長期的な計画)とは別に、河川整備計画を策定し、その目標流量を基本高水流量とは別の数字に設定することになりました。
ただし、すでに動き出しているダム計画のある水系では河川整備計画の目標流量がなおかなり過大に設定されており、その見直しが必要となっています。

河川整備基本方針は計画中のダムの上位計画ではありませんので、そのダム名を記載しないことになっています。川辺川ダム計画がある球磨川など、全国の水系ではそうなっています。
ただ、利根川水系の河川整備基本方針は例外的に経過説明として計画中の八ッ場ダム、南摩ダムなどの名が書かれています。これは例外であって、本当は書くべきではありません。ただ、このことだけに関しては八ッ場ダムが中止になった場合はその名前を基本方針から削除する変更をすればよいだけのことです。行政の計画では事後的にそのように変更することがあります。

それから、河川整備計画が当該ダムの位置づけがされなければ、そのダムが中止となる例を説明しておきます。淀川水系の余野川ダムです。
淀川水系河川整備基本方針では計算上は余野川ダムの治水効果も含めた計画になっているのですが、昨年3月策定の河川整備計画では余野川ダムは落ちました。それにより、余野川ダムは現在、特ダム法によるダム廃止の手続きが取られつつあります。

利根川の場合、基本高水流量そのものの見直しの動きが出てきたことは望むところがですが、仮にそのままであっても、河川整備計画で八ッ場ダムの位置づけがされなければ、八ッ場ダムは治水上不要ということになります。


なお、裁判では被告は八ッ場ダムの治水上の必要性の根拠として基本高水流量を前面に出していますので(河川整備計画は未策定で、法定の治水計画は河川整備基本方針であるため)、私たち原告側はこの基本高水流量の虚構を明らかにするために力を注いできました。
基本高水水流量問題に関する最近の動きはその成果によるものです。



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【2010/10/31 02:13】 | 解説
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