「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
全国のダムを回っているカメラマンの大西暢夫さんが五木村に通って撮りためた写真のドキュメンタリー絵本。
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(数ページ読める)ここで土になる|絵本ナビ : 大西 暢夫  みんなの声・通販
http://www.ehonnavi.net/ehon/110134/%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%A7%E5%9C%9F%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B/

みどころ
表紙には、葉を繁らせ空にそびえたつ、大きな木の写真。
ダムに沈むはずだった熊本県五木村(いつきむら)にある、鎮守の木、大銀杏です。
昔、この木の洞に入って修行したといわれる安心(あんじん)和尚の伝説と、根元によりそう村の共同墓地とともに、ひとびとの暮らしの根っこにあったふるさとの木です。
写真家の大西暢夫さんは、1996年頃からこの場所に通いつづけ、村と大銀杏と、ある老夫婦を撮り続けてきました。
本書はそのドキュメンタリー写真絵本です。

日本一の清流といわれ、アユが豊富に泳ぐ川辺川。
昭和30年代からダム計画がもちあがり、それから約50年、村はダム計画に翻弄されてきました。
貴重な生態系を残した一帯がダムに沈むことに根強い反対があり、ついにダム工事は中止されることになるのですが、紆余曲折あった長い年月を経て、村は高台への移転を決めます。
すべてのものは取り壊され何もなくなった村のなかで、尾方茂さん・チユキさん夫婦だけが暮らしつづけていました。

『おばあちゃんは木になった』で日本絵本賞、『ぶた にく』で産経児童出版文化賞など、写真絵本で数々の賞を受賞してきた大西暢夫さん。
あたたかで透明なまなざしは、ただただ、そこにある人間や生き物の、結晶のような息づかいをつかみだして、わたしたちに見せてくれます。
本文のモノクロ写真は、まるで大西さんが通い詰めたその土地の“光”に祝福されているように、輝く美しさです。

かつては子どもたちの歓声がひびくにぎやかな山村だった五木村。
食べ物も着る物もすべてあり、お金はなくても暮らしていけた村。
誰もいなくなってしまった村で、茂さんとチユキさんは次に畑を耕す人のため、小石をひろいます。
その心をおしはかることは、今の子どもたちにとってかんたんなことではないかもしれません。
でも……この本を読む子どもたちが、いつか大きくなり、先人たちからそっと届けられる有形無形のいのちの記憶を、感じる日がくるかもしれません。
「ここで土になる」という言葉にこめられたものは、そのときに魂をもつのではないでしょうか。

(大和田佳世 絵本ナビライター)


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【2016/08/30 23:49】 | 本・雑誌
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◇「不要ダム建設」が安倍政権のもとで続々復活中 
(週刊SPA! 2014年1月2日ニュース)
「不要ダム建設」が安倍政権のもとで続々復活中【前編】 http://nikkan-spa.jp/769247

計画から40~50年たつのにまだ完成していない“亡霊”のようなダム建設計画。眠っていたそれらの計画が「アベノミクス」の名のもとに復活、急激に推し進められている!!

〇建設停止のムダなダムが「アベノミクス」のもとで復活する!!

長崎県川棚町川原地区。小川沿いに住宅がポツポツと並ぶ風光明媚な土地には、約半世紀にわたって「石木ダム」建設計画がくすぶる。11月下旬、“強制収用”告知の看板が、まだ人の住む4世帯の人家の前に人知れず設置された。

現地住民は長年にわたる抵抗で、本体工事を押しとどめてきた。だが安倍政権発足後、事業者である県や受益者である佐世保市の強硬姿勢が目立つようになった。

佐世保市で石木ダム建設反対の住民運動に関わる松本美智恵さんは、同市長宛ての公文書のコピーを示しながらこう説明する。

「佐世保市は九州防衛局に依頼して、石木ダムが米海軍や海上自衛隊の水供給に『大きく寄与するものと認識しその推進について望んでいる』という文書を出してもらっているんです」

ところが、その理由すらも怪しい。「軍艦には淡水化装置がありますし、’94年の大渇水のときも米軍は自前で基地の水を確保しています」(松本さん)

石木ダムの建設目的は利水と治水だ。佐世保市は慢性的な水不足を訴えているが、水道供給実績は右肩下がり(グラフ参照)。洪水対策にしても、ダム建設予定地は川棚川水系の1割ほどの流量しかなく、大した効果は見込めない。

佐世保地区の一日最大取水量・市予測と実績の乖離
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それにもかかわらず、県の姿勢はますます強硬になる一方。県は地権者など23人を「工事を妨害した」として裁判に訴えた。いわゆる“スラップ(恫喝)訴訟”だ。

安倍首相のお膝元、山口県岩国市でもダム建設が急加速している。10月17日、平瀬ダム工事の安全祈願祭が行われ、本体工事が始まった。近年、このダム建設に予算はついても動きはほとんどなかった。現地のアウトドアガイド・吉村健次さんは、「ダムの治水効果が見込めない」からだという。

「大雨が降ればダムは満水になって放水しますから、洪水回避の効果はありません。一方、錦川水系の森林の保水力は平瀬ダムの23倍といわれています。放置された針葉樹林を手入れすれば十分です。長らくダム建設は先延ばしになっていたのですが、安倍政権になって急展開しました。当初計画では350億円だった予算が現在では740億円になり、ダム建設が加速。この錦川は“西日本一の清流”と呼ばれるほど水の澄んだ川。下流の錦帯橋も岩国市の大きな観光資源です。水が汚されると、その価値は激減するでしょう」

●石木ダム(長崎県川棚町)

計画/’62年 事業費/285億円

長崎県川棚町石木ダム建設予定地。まだ人が住む家と土地(右上)を強制収用します、という「お知らせ」の看板(左手)が突如現れた。「私たちを分断しようとしているんでしょう」(地元住民)

●平瀬ダム(山口県岩国市)

計画/’68年 事業費/740億円

本体工事が着工された平瀬ダム(山口県)。「1級河川清流日本一になった尻別川(北海道)よりきれい」といわれる錦川のファンは全国に数多く、ダムができれば観光業にも大ダメージ必至だ

取材・文・撮影/足立力也 図/futomoji



「不要ダム建設」が安倍政権のもとで続々復活中【後編】
(週刊SPA! 2014年1月2日ニュース)
http://nikkan-spa.jp/769248

計画から40~50年たつのにまだ完成していない“亡霊”のようなダム建設計画。眠っていたそれらの計画が「アベノミクス」の名のもとに復活、急激に推し進められている!!

〇ダム建設の補償金は1人あたり1000円

年間3万人もの鮎釣り客で賑う最上小国川(山形県)にダム建設計画が持ち上がったのは、20年以上も前のこと。建設予定の“穴あきダム”は「環境に影響ない」と県は主張する。それに対して、草島進一・山形県議(緑の党)は「あまりに非科学的。同じ穴あき式の益田川ダム(島根県)でも大量のヘドロが確認されています」と反論。「そもそもここに大勢の人が全国から集まるのは、“ダムがない清流”だから。その最大の理由を潰せば地域産業は衰退してしまいます」と憤りを隠さない。

主目的である洪水対策も、「堤防で守られた内側で水があふれる都市部の“内水氾濫”が問題であって、川があふれる“越流氾濫”ではないので、ダムでの治水は効果がありません」(草島氏)。

近畿大学の研究によれば、鮎による流域への経済効果は年間22億円。ダムができれば年10億円もの損失になると計算されている。地元漁協に払われる予定の補償金は113万円。組合員数は約1100人なので、1人あたり1000円ほどにしかならない。

民主党政権が誕生した’09年、政府は「コンクリートから人へ」のかけ声のもと、大型公共事業を再評価する姿勢を見せた。だが、すぐに変節する。象徴的なのが八ッ場ダムのケースだ。公約で中止を掲げるも、’11年に当時の前田国交相は建設再開を表明。安倍政権に代わった’13年度の予算では約87億5000万円の予算が付き、ついに’15年1月から基礎掘削工事が始まる予定だ。

水源開発問題全国連絡会・共同代表の嶋津暉之さんはこう語る。

「八ッ場ダムの目的は利水と治水ですが、どちらも机上の計算。水道の供給実績は右肩下がりだし、関東圏の洪水も現在は“内水氾濫”です。無意味な事業に、付帯工事も合わせて六千数百億円ものお金がつぎ込まれようとしています。有識者会議を設置したのにメンバーからはダム懐疑派が排除され、会議も非公開。環境への配慮と住民の意見の反映という、’97年に改正された河川法の原則が全く無視されてしまったのです」

それが安倍政権になってエスカレート。前出の草島氏はその強硬姿勢についてこう解説する。

「安倍政権の目玉のひとつ、“国土強靭化”路線は、これまで以上に都市や土建経済中心。そのツケは全部地方に回ってきます。これが、アベノミクス第三の矢の要ともいわれる“地方創生”の正体です」

●最上小国川ダム(山形県最上町)
計画/’91年 事業費/126億円
ダムがない最上小国川(山形県)は行楽客や釣り客にとって“ブランド”。現在、転流工(ダム本体工事のための川のバイパス)工事が進む。明治天皇にも献上された“松原鮎”も楽しめなくなるのか

●八ッ場ダム(群馬県長野原町)
計画/’52年 事業費/4600億円
旧川原湯温泉駅前から、民主党政権時に建設途中で中断された湖面1号橋を望む。八ッ場ダム(群馬県)ができればここも水底に沈むため、今年10月、新しい場所に駅が移転された

取材・文・撮影/足立力也





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【2015/01/04 01:28】 | 本・雑誌
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朝日新聞に梶原健嗣さんの労作『戦後河川行政とダム開発』の書評がでましたので、お知らせします。
戦後河川行政とダム開発: 利根川水系における治水・利水の構造転換 (現代社会政策のフロンティア)戦後河川行政とダム開発: 利根川水系における治水・利水の構造転換 (現代社会政策のフロンティア)
(2014/06/30)
梶原 健嗣

商品詳細を見る

(朝日新聞2014年8月3日) 
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11280844.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11280844

◇建設の論理を突き崩す労作

本書は、民主党政権下で「脱ダム」の象徴となった八ツ場ダムと利根川水系を中心に、膨大な資料の検証を通じて、戦後日本の河川行政の根底的な批判を試みた労作である。

本書の醍醐味(だいごみ)は、著者が一歩一歩、階段を上がるように国交省によるダム建設の論理を突き崩していく、その過程を追体験できる点にある。

本書を通じて河川工学に基づくダム建設の論理がその実、きわめて根拠薄弱で、時には誤謬(ごびゅう)を含む曖昧(あいまい)なものだということが次々と明らかにされていく瞬間は、思わず嘆息せざるをえない。

その結論が現実から大きく乖離(かいり)し、説明能力をもたないのは、用いられる「科学」そのものが根本的に誤っているか、あるいはダム建設を正当化するよう歪(ゆが)められているかのどちらかだ。

著者は、「何が何でもダム」ではなく、社会的弱者に被害が集中する最悪の「破堤」を回避する堤防強化こそが急務だと強調する。若い著者渾身(こんしん)のデビュー作の刊行を歓迎したい。

諸富徹(京都大学教授)
ミネルヴァ書房・8100円

【2014/08/04 01:20】 | 本・雑誌
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             嶋津 暉之

石淵ダム(1953年に北上川支流に完成)の建設の裏側を描く小説が出版されました。

石淵ダムは総貯水容量1615万㎥のダムですが、今年3月に完成した総貯水容量14300万㎥の胆沢ダムに吞みこまれてしまいました。

◆石淵ダム建設の裏側描く 水沢の宍戸さん 小説「湖底の記憶」自費出版
(岩手日日新聞2014/07/26)
http://www.iwanichi.co.jp/tankoh/item_40293.html

奥州市水沢区真城字中上野の元教員宍戸春雄さん(83)は、日本初のロックフィルダム・石淵ダム建設の背景に焦点を当てた小説「湖底の記憶」を自費出版した。

古里が水没し余儀なく移転した住民の苦悩や、若い女性の命を奪った工事中の事故などをつづり、ダム完成の裏で実際に起こった悲劇を伝えている。

石淵ダムは終戦直後の1946年、同市胆沢区若柳の胆沢川で建設が始まり、7年後に完成。工事に伴い、地権者は国から家屋や田畑を移転させられた。

ダム建設後の66年、宍戸さんが旧愛宕小学校石淵分校に赴任。学校統合で廃校になるまでの3年間勤務し、地元住民との縁ができた。91年に教員を退職後、文筆活動を開始。

石淵出身者に昔のことを聞き、96年にダム建設を含む歴史や伝説をまとめた「湖底に沈む里 石渕ものがたり」を発行した。

その後も資料収集に取り組み、「ダム建設の背景や住民の思いを後世に残しておきたい」という思いから同小説を執筆した。

登場人物の名前に一部変更があるものの、関係者から聞いた話や公的な資料に基づく事実を色濃く反映。

満足な移転補償が受けられなかった地権者の苦悩、暮らしに困って自ら命を絶った人たち、工事中に頭を負傷して亡くなった若い娘、水没した土地にかけられた不可解な固定資産税などが、住民らの怒りや悲しみとともに描かれている。

宍戸さんは「ダム建設時は人権を無視するような出来事が幾つもあったが、温厚で純粋な住民たちは厳しい条件の中でずっと暮らしてきた。胆沢ダムができたため、過ぎ去ったことではあるが、歴史上の真実として知っていてもらいたい」と思いを語っている。

小説はB6判、224ページ。価格1000円(税抜き)。
市内の松田書店などで販売している。問い合わせは宍戸さん=0197(23)6726=へ。

【2014/07/28 15:14】 | 本・雑誌
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          嶋津 暉之

「虚構に基づくダム建設」(北海道自然保護協会編)が緑風出版から刊行されました。
サンルダム、平取ダム、当別ダム等のダム建設の虚構にメスを入れた、なかなかの力作です。
佐々木克之さん、宮田修さん、安藤加代子さん、出羽寛さんが執筆されています。

虚構に基づくダム建設

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【2013/03/26 22:18】 | 本・雑誌
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