「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
         嶋津 暉之

メコン川流域での中国主導の「水運開発」問題についての記事です。

◆ASEAN50年
メコン川流域 中国主導の「水運開発」 岩礁爆破に住民反発

(毎日新聞2017年8月4日 東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20170804/ddm/007/030/076000c

 東南アジア最長のメコン川で、中国主導の水運開発計画が進められている。流域は、中国が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の「重要なプラットフォーム(現場)」(中国外務省)。だが、早瀬や岩礁を爆破して浅瀬をしゅんせつするやり方に、地元住民からは反対の声も上がっている。

 茶色く、渦を巻いて流れるメコン川。数百メートル先の対岸はラオスだ。ボートでさかのぼること約1時間半。地元非政府組織(NGO)代表のニワットさん(62)が、増水した川から岩がごつごつ突き出た場所を指さした。「爆破すれば二度と再生できない。生態系に大きなダメージとなる」

 ニワットさんによると、こうした場所は魚のえさ場や産卵地で、乾期には鳥の生殖地にもなる。メコン川流域では、今も新種生物が多数見つかり、メコンオオナマズなど絶滅危惧種も生息する。
 計画では、中国雲南省からラオス北部ルアンプラバンまで約890キロのうち、630キロで工事し、2025年までに500トン級の船が通れるようにする。中国、ミャンマー、タイ、ラオスの共同プロジェクトで、上流では以前一部作業が実施されたという。

 中国と関係を深めるタイ軍事政権は昨年、第1段階の計画を承認。4月にはチェンコン付近の岩礁などで約1カ月間、環境影響調査も実施された。ある当局者(43)は「調査を受け入れただけでまだ何も決まっていない」と言いつつ「環境保護は当然だが、経済発展のことも考えなくてはならない」と語る。

 かつては岸から投網でたくさんの魚が捕れたが、もうそういう光景は見られない。「上流の中国にはいくつもダムがある。我々は自然を守りたいだけなんだ」とニワットさん。子供の頃から舟を操るチャディンさん(64)も「大型船が通れば波で小舟はひとたまりもない」と心配する。

 チェンコンを訪ねた日、街では雲南省の視察団を乗せたバスが、警察車両に先導されていた。中国とタイの支援で建設された第4タイ・ラオス友好橋を渡り、ラオスのファイサーイへ出てみた。「福満多超市」「診所」「土地出租」--。漢字表記の看板があふれ、100店以上が集まる中国人による雑貨・機械類の市場もあった。チェンコンで飲食店を営む男性(53)がつぶやいた。「ここはメコン川の恵みで成り立っており、爆破には反対だ。でも、この中国の勢いには抗しきれないかもしれない」【チェンコン(タイ北部)で西脇真一】


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【2017/08/04 21:42】 | 新聞記事から
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      嶋津 暉之

文在寅政権の登場で韓国の4大河川事業に対する政策監査が実施されることになりました。
ハンギョレ新聞の社説と朝日の記事です。

◆[社説]「4大河川の災難」責任明らかにし根本対策を出すべき
(ハンギョレ新聞 5/23(火) 7:15配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170523-00027417-hankyoreh-kr

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が22日、4大河川事業に対する政策監査を実施するよう監査院に指示した。4大河川事業は22兆ウォン(約2兆2千億円)に及ぶ天文学的規模の予算を投じて大きな河川を整備した事業だが、当初計画した目的はまともに達成できず、川の水を激しく汚染させた「環境惨事」を招いた。事業推進当初から汚染を憂慮する反対の声が大きかったが、李明博(イ・ミョンバク)政府が強行した。その理由はまだ明確になっていない。今回の監査を通じて政策決定過程、執行過程を正確に問い詰め、問題がどこから始まったのかを明らかにし、河川を正常化するための根本対策を用意しなければならないだろう。

 4大河川事業に対する監査は今回で4回目だ。前例のないことだ。既存の監査が徹底されずに国民の疑問を解くことができず、水質汚染対策の準備も遅々として進まなかった。2回は李明博政府時期に着手され、事業の推進に事実上免罪符を与えただけだった。朴槿恵(パク・クネ)政府でも1回の監査を実施したが、建設会社の談合疑惑糾明に集中した。大統領府は、今回の監査の目的は個人の不正や違法事項を捜し出すことではないとしつつも、明白な違法・不法行為が発見されればそれに相応する後続措置は避けられないと明らかにした。極めて当然な話だ。

 政府が4大河川の水質汚染問題に積極的に対応する意志を明確にした点も歓迎する。文在寅大統領はこれから夏を控えてアオコ発生の憂慮が高い6個の堰の水門を来月1日から取水と農業用水利用に影響を与えない水準まで開放するよう指示した。大統領選挙時に公約した通り、国土交通部の水資源局を環境部に移管して、水の管理を一元化することにしたのも同じ趣旨から出た決定だ。この際、環境部は強引に事業が推進された時、自分の主張をできなかったことを反省しなければならない。

 政策監査は根本対策の準備につながらなければならない。朴槿恵政府は3月、「ダム-堰 貯水池連係運用方案」委託研究結果を発表したことがある。河川に水が豊富な時にダムと貯水池に水を貯め河川の水質が悪化すれば集中放流する方式と、堰の水位を大幅に下げる方式を連係し、アオコの発生を減らすモデル事業を提案した。しかし、水質改善に限界が明確で、全面施行するには魚道の改善と揚水場の改善に少なくない予算を追加で投じなければならないという問題点が指摘された。

 新政府は、4大河川民官合同調査・評価団を構成し、16個の堰を観察し評価した後、来年末までに堰を維持したまま環境を補強する対象と、撤去する堰とを選定すると明らかにした。すでに少なくない資金を投じて建設した堰を撤去することに心理的な拒否感を持つ人もいるので、明確な根拠を提示すべきだろう。4大河川事業の無理な推進とそれによる環境破壊が後世に与える反面教師ならば、対策準備とその執行過程は模範事例になるべく慎重で賢明に推進することを望む。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr)


◆河川事業の監査、文大統領が指示 李政権関係者、捜査も 韓国
(朝日新聞2017年5月23日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12950849.html

韓国大統領府は22日、文在寅(ムンジェイン)大統領が李明博(イミョンバク)政権が進めた4大河川事業を監査するよう指示したと発表した。

事業は李政権の重要政策だったが、「正常とは言えない方法で進められた」と指摘。政策決定や執行の過程に問題がなかったか調べ、不法行為があれば法的措置も講じるという。

文氏は大統領選で、「積弊(チョクペ)」(旧体制の弊害)の清算を訴えてきた。対象は朴槿恵(パククネ)政権だけではなく、李政権も合わせた保守政権の9年間に及んでいる。

4大河川は漢江(ハンガン)、洛東江(ナクトンガン)、錦江(クムガン)、栄山江(ヨンサンガン)。22兆ウォン(約2兆2千億円)を投じ、堰(せき)やダムを整備した。

環境を守りつつ、雇用など経済効果も生む李政権の「グリーン・ニューディール事業」の一環だった。ただ当初から、税金の無駄遣いとの指摘があった。生態系の破壊などへの批判も根強く、実際に水質の悪化も確認されていた。

文氏は、4大河川の堰が藻の発生など水質悪化の要因になっているとして、6月1日から一部を開放するよう指示した。今後、李政権関係者に対する捜査につながる可能性もある。
(ソウル)



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【2017/05/25 11:41】 | 新聞記事から
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                嶋津 暉之

兵庫県の武庫川ダムは、市民参加の武庫川流域委員会で徹底した議論を行って2011年に中止が決定しました。
この武庫川で既設の利水専用の千苅(せんがり)ダムを治水に利用する調査が行われることになりました。

◆神戸・千苅ダム 治水利用に向け、県が調査着手へ
(神戸新聞2017/4/5)
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201704/0010066750.shtml

 兵庫県は2017年度、神戸市が管理する利水専用の「千苅(せんがり)ダム」(同市北区道場町)について、治水利用に向けた調査に着手する。武庫川流域の水害を防ぐため、雨量の多い7~9月に水位を下げておき、雨水をためられる容量を確保しておくことを検討。放流用の稼働堰(ぜき)(ゲート)を設けるなど、えん堤が改修できるか強度を調べる。(斉藤正志)

 千苅ダムは神戸市で最大の上水道専用貯水池。約1160万立方メートルの水をためておくことができ、北区を中心に給水している。

 治水利用は、県の諮問機関「武庫川流域委員会」などの議論を受け、県が11年に策定した武庫川水系河川整備計画(11~30年度)で検討課題と位置付けていた。
 これを受けた県と市の協議では、大雨時の貯水容量を空けておくため、事前放流することによる水質の変化や、水不足になった場合の代替水源の確保が課題となっていた。

 事前放流は大雨の直前にせず、6月に数週間かけて実施することを検討。生活用水に適さない表層や底の水が、取水する中層の水に混じるのを最小限に抑える。7月から3カ月間、水位を1メートル下げておくことで、下流に流れ込まないよう雨水をためる容量を100万立方メートル(25メートルプール2500個分)用意できるという。

 代替水源についても、青野ダム(三田市)を水源とする三田浄水場(同)から、西宮市内へ連絡管を整備する県企業庁の計画を活用。途中で連絡管を神戸市の管路とつなぎ、水不足時には青野ダムから供給を受けることを考えているという。

 県は17年度当初予算に、調査費用1億円を計上。1919(大正8)年に整備された千苅ダムのえん堤が工事に耐えられるか、構造や地盤の強さなどを調べる。調査結果を受け、県と市は治水利用の具体化に向けた細部の検討に入る。国土交通省によると、利水ダムの治水利用が実現すれば、全国的にも珍しいという。


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【2017/04/07 07:45】 | 新聞記事から
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          嶋津 暉之

水道の民営化の道を開く水道法改正案が3月7日に閣議決定されたことを先日お伝えしました。
水道ではなく、下水道の方ですが、浜松市が下水処理施設「西遠浄化センター」などの運営権を20年間、仏ヴェオリア等で構成する企業連合に委ねる可能性が高くなりました。
浜松市はこのため、市の下水道条例を2016年2月に改正しました。PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)を活用して、下水処理施設等の運営権を委ねるというものです。

下水処理場の管理を民間委託している例は今まで多くあると思いますが、運営権を委ねるのは国内初とのことです。

今回の水道法改正案が成立すると、浜松市の下水道のように、外国資本も入った会社が水道の運営権を持つ例が増えていくのでしょうか。憂慮されるところです。

◆浜松市で下水道初の運営権 仏ヴェオリア陣営が取得
(日本経済新聞2017/3/21 14:36)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HIL_R20C17A3000000/

 浜松市は21日、国内初となる下水道の長期運営権売却「コンセッション」で、水処理世界最大手の仏ヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックスなどで構成する企業連合が優先交渉権を取得したと発表した。同市が下水道運営の一部を同陣営に20年間委ねる。コンセッションは空港や道路で始まっている。民間の効率的な運営ノウハウを生かせば収益性が見込めるとして、インフラ運営に参入する企業は増えそうだ。

 道路や空港、水道などの公共施設で、国や自治体が所有権を残したまま、運営する権利を民間事業者に売却するコンセッションは政府の成長戦略の1つ。国内で利用料収入を伴うインフラ資産は185兆円とされる。民間委託は行政にとってインフラ維持運営の財政負担を軽くできる。企業はほぼ手つかずだったインフラ運営という新市場に参入できる。
 国内のコンセッションは、仙台空港や愛知県の有料道路などで民間運営が始まっている。だが資産が約90兆円と国内最大のインフラである下水道では、浜松市が第1弾となる。

 同市が所有する下水処理施設「西遠浄化センター」などの運営権について、優先交渉権を得たのは、仏ヴェオリアの日本法人やJFEエンジ、オリックスなど6社。今年10月をメドに契約を結び、2018年度から20年間にわたり事業を担う。運営権対価は25億円で提案した。

 対象施設は市内の下水処理量の6割を占め、事業規模は年20億円程度。ヴェオリア陣営は期間中、施設の運営や設備更新などを独自に行う。センサーなどを使って少ない人員で効率的に設備管理する仕組みや、下水汚泥をバイオマス発電向けの燃料とする設備を設けて副次的な収入の獲得などを狙う。

 ヴェオリアは、海外でコンセッションの実績が豊富なほか、JFEエンジは、下水汚泥の処理技術を持つ。オリックスは下水道分野へ初参入となるが、関西空港でコンセッションを始めている。

 下水道は設備の老朽化が深刻になっている。30年には国内全体の更新費用が年1兆円と、現在の7割増に膨らむ見通しだ。だが人口減による利用料収入の減少で、自治体の運営は苦しくなっており、民間委託は必至の流れとの見方が強い。下水道のコンセッションを巡っては、大阪市や宮城県も検討している。
(大平祐嗣)


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【2017/03/26 07:08】 | 新聞記事から
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           嶋津 暉之

韓国では李明博政権時代に4大河川事業(漢江、洛東江、錦江、栄山江の4大河川を浚渫して、堰を多数建設する事業)が進められ、生態系を大きく破壊したとされています。
この4大河川の水質悪化問題についての記事です。

◆韓国政府、4大河川の水質悪化を認定…「堰を開いて大量放流」
(ハンギョレ新聞 2017/3/21(火) 17:20配信 )
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170321-00026845-hankyoreh-kr

韓国政府、4大河川の水質悪化を認定…「堰を開いて大量放流」

 政府がアオコで生態系が破壊されている4大河川の水質を改善するために、長時間にわたり堰の水門を開いて水を大量放流することにした。堰によって詰まっていた水を流れるようにするということだが、政府も4大河川の水質悪化の深刻さを認めたわけだ。だが、一時的な放流で毎年繰り返されるアオコを改善できるかには疑問が残り、水が抜けて魚介類の斃死などの憂慮も出ている。

 国土交通部、環境部、農林畜産食品部は20日、こうした内容が含まれた「ダム-堰-貯水池連係運用方案」委託研究結果を発表した。今回の委託研究は首相傘下の4大河川事業調査評価委員会が勧告したものだ。委託研究はダムと堰から水を放流した時、4大河川の水質改善効果を調べた。堰の水位を「地下水制約水位」(周辺の地下水に影響を与えない水位)まで低くするなど、水を大量に長期間(74~121日)放流した時、洛東江(ナクトンガン)、錦江(クムガン)、栄山江(ヨンサンガン)のアオコが一部改善されることが明らかになった。水が持続的に流れれば水質が良くなるという話だ。
 政府もすでに堰から大量放流できるように規定を変更した。堰の管理規定によれば、洪水や渇水を除いては常に管理水位(堰の最高水位)を維持するよう定めていたが、昨年12月にアオコなどの水質改善のために堰の水位を「揚水制約水位」(農業用揚水場の取水に影響を与えない水位)や地下水制約水位まで低くできるようにした。

 だが、堰の水を大量放流するとは言っても、再び堰の水門を閉じればアオコの発生が繰り返される可能性が高い。一時的に水質を改善させることはできるが、川を蘇らせるには力不足だ。さらに大きな問題は、委託研究報告書の内容どおり、アオコを解決するために2カ月以上にわたり地下水制約水位まで水を放流することが現実的には難しいという点だ。国土交通部関係者は「雨が少なければ農業用水も不足しかねず、堰の水を長期間大量放流することは容易でない」と話した。

 大量放流による弊害も解決を要する課題だ。今年2~3月に6個の堰を地下水制約水位まで低くして放流試験運用をしてみたところ、水位が低くなって一部地域では魚道が閉鎖され魚の移動が困難になった結果、魚介類の斃死の懸念も指摘された。こうした理由から政府は魚道16カ所、揚水場25カ所に対する改善が必要で、それには638億ウォン(約64億円)がかかると推定した。4大河川事業に22兆ウォン(現在価値で2兆2千億円)の予算が必要とされ、現在もなお毎年数千億ウォンの管理費が投入されているが、水質改善のためにもまた財政を使わなければならないということだ。

 カトリック関東大学のパク・チャングン教授(土木工学)は「地下水が影響を受けない範囲まで堰の水位を下げるために大量放流するということは、水が流れてこそ水質が維持されるということを政府自身も確認したということ」としながら「これは4大河川事業以前に戻してこそ川を蘇らせることができるという意味」と話した。パク教授は「4大河川の堰のために悪化した水質を、4大河川の堰の水を利用して改善するということで、あまりにも呆れ返る状況」と付け加えた。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )


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【2017/03/23 07:59】 | 新聞記事から
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