「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
          嶋津 暉之

1971年完成の早明浦(さめうら)ダムで村役場を含め村の大部分が水没した高知県大川村は、人口の激減で、村議会を廃止して、「町村総会」設置の検討を開始しました。

大川村はピーク時の1960年には4114人の人口がありましたが、早明浦ダムの建設と白滝鉱山の閉鎖で、人口が急減し、現在は約400人になっています。

1960年ころには大川村中切地区に「早明浦ダム絶対反対」の大看板が掲げられ、村内 600ケ所に反対の立て看板が立ち、ダム反対運動が展開されましたが、その約10年後にダムが完成してしまいした。

早明浦ダムは総貯水容量3億1600万㎥の四国最大のダムです。

◆高知・大川>村議会を廃止、「町村総会」設置検討を開始
毎日新聞 (2017/5/1(月) 3:01配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170501-00000001-mai-pol

【高知県大川村の写真特集】

◇人口400人 議会維持難しく、迫られた「直接民主主義」

離島を除けば全国で最も人口が少ない高知県大川村(約400人)が、地方自治法に基づき村議会を廃止し、約350人の有権者が直接、予算などの議案を審議する「町村総会」を設置する検討を始めた。四国山地にある村を訪ねると、過疎化と高齢化で議員の担い手が足りなくなる現実が浮かんだ。人口減少の最先端で迫られた「直接民主主義」の動きを追った。【和田浩幸】

◇有権者が「直接民主主義」を担うことは可能なのか

議会に代わり、有権者が「直接民主主義」を担うことは可能なのか--。そんな議論が浮上した高知県大川村は高知市から車で約2時間。標高1000メートル以上の山々の斜面に16の集落が点在している。1971年に「四国の水がめ」と言われる早明浦(さめうら)ダムの建設に伴い、中心集落が水没。翌年には160年あまりの歴史がある主要産業の白滝鉱山が閉山したため、人口が急減した。

村は2003年、合併特例法に基づく周辺2町との法定合併協議会設置の是非を問う住民投票を実施し、賛成が多数を占めた。しかし同時に住民投票を実施した土佐町で反対が上回り、合併構想は頓挫した。

現在の6人の村議の平均年齢は70.8歳。半数の3人は75歳以上の後期高齢者だ。毎日新聞が6人全員に2年後の選挙への対応を聞いたところ、複数の村議が体力の問題などから今期限りで引退したい意向を示した。村議らは人脈をたどって若手の起用を模索しているが、「今のところ新人が出る気配がない」(村議の一人)という。

有権者は約350人。選挙に立候補できない公務員らを除く25歳以上65歳未満は100人程度で、議員の担い手は限られる。村づくりに積極的な若者も多いものの、人口減のため青年団や消防団、祭りの実行委員などの掛け持ちが増えたことに加え、月額報酬約15万円で引退後の保障もない議員活動に手を挙げる人はほとんどいない。

村の青年団長で社会福祉協議会職員の筒井渉さん(25)は「村をなんとか盛り上げたいが、仕事や生活を考えると議員は難しい」と町村総会の設置に理解を示す。

実は村議会では13年と14年にも町村総会への移行が検討された。しかし村議からは「入院や介護施設に入所する高齢者が多く、総会に出席するための交通手段の確保が難しい」「有権者が一堂に会すること自体できない」などの疑問が出て立ち消えとなった。

通算8期の村議時代に全国町村議会議長会会長を務め、元村長でもある合田司郎さん(85)は「国は地方創生を掲げるが、大川村は全国の地方の縮図だ。若者が離れ、政治への無関心が広がる悪循環は何も変わっていない」と町村総会への移行に疑問を示す。

村関係者によると、村外で入院や入所している高齢者は50人前後に上るとみられる。村内を東西に貫く県道を走る路線バスは1日3往復しかなく、県道沿いの停留所まで徒歩で30分以上かかる世帯もある。70代の農業男性は「車を運転できるうちはいいが、できなくなったらどうにもならん」と語り、自らも村政を担う事態を不安視する。

村議会を通じた代議制から直接民主制への移行に向け、村民レベルの議論はこれからだ。13年、町村総会を検討する必要性を村で最初に提案した朝倉慧(あきら)議長は「村民が村の危機を共有できるよう、周知することが課題だ」と指摘。議会の見解を取りまとめるよう、近く議会運営委員会に諮問する考えだ。


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【2017/05/02 02:28】 | 未分類
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           嶋津 暉之

今年の関東地方の水事情の予想記事です。
この予想によれば、今年は積雪量が多く、6月、7月の降水量は平年並みであるから、昨年のようにはならないということです。
ただし、昨年の利根川の取水制限はダムの過剰放流によるものでした。
また、給水制限はなく、生活への影響はありませんでした。

◆関東 2017年は水不足大丈夫?
(livedoor NEWS 2017年4月26日 15時39分)
http://news.livedoor.com/article/detail/12987272/

昨年(2016年)は関東地方で取水制限が行われるなど水不足が心配されましたが、今年の状況はどうでしょうか?

各ダム貯水率(2016年6月14日と2017年4月25日の比較)

昨年と現在の貯水率

2016年は関東の冬季の雪不足や5月からの雨が少ないことが影響し、利根川水系(関東の水がめ)の貯水量が減り続け、取水制限も行われました。上の貯水率の表を見ると、昨年の日直予報士で取り上げた2016年6月14日の時点では矢木沢ダムで9%、利根川の8ダム合計でも37%と少ない状況でした。

今年(2017年)は、4月25日の0時の段階で、8ダム合計で76%、平均比で93%。いずれも若干下回っていますが、この先徐々に雪融けによる水がダムに流入する見込みです。

今年の積雪の状況は?
では、各地の積雪の状況はどうでしょうか?4月24日現在の積雪量を見てみると、青森県の酸ケ湯で237センチ(昨年は139センチ)、山形県の肘折で63センチ(昨年は0センチ)、福島県の桧枝岐で100センチ(昨年は0センチ)。過去にはこれよりも多く雪が残っていた年もありましたが、昨年と比べるとはるかに多くなっています。

国土交通省関東地方整備局のデータによると、群馬県の尾瀬沼地点で162センチ(4月25日9時現在)。関東の山も融雪水が期待できそうです。

さらに、最新の3か月予報では、関東の降水量は5月は平年並みか少ない予想ですが、6月は平年並み、7月は平年並みか多い見込みです。梅雨時は例年通り、雨の量が多くなることが予想され、昨年のような深刻な水不足には至らなそうです。


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【2017/04/28 01:27】 | 未分類
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※「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」代表個人の意見を掲載します。

             河登 一郎

〇今年3月の初めに、水道法改正案が閣議決定されました。
・これをベースにして、浜松市(但し、下水道の運営権のみ)や大阪府(維新の会:賛成/自民党:継続審議/公明党:反対)で水道民営化の議論が起こっています。

〇但し、当会会員の多くは、国民の健康と安全にかかわる水道事業は、収益を目的とする「民営化」にはなじまず、公営で行くべきだ;欧米諸国でも民営化がうまく行かずに再公営化の動きがある、として民営化への動きを「憂慮すべき」と考えています。

〇しかし、私は必ずしもそう思いません。
・民営化すれば、民間事業者は「収益を上げるために」、水道設備の所有者であり事業の依頼主である行政や市民の目的に従って、民の強みであるコスト削減とサービスの改善に全力を挙げる、という面があります。
・反面、行政は権限と予算(最近は司法も)押えているので、どうしてもコスト高は放置されます。
・ですから、事業自体は民が行ない、官は(プレイヤーとしてではなく)民の仕事ぶりをきちんと監視する、という分業が正しいのではないでしょうか。

〇もっとも、民が公正な仕事をするためには、「公正な競争」が大前提ですから、水道事業のように一定期間運営権を任されると、その間は独占事業体になり、その上受託事業者が外国企業の場合には、短期的な収益を目的とすることもあり得ることではありますので監視が必要です。
・公共事業の民営化は、単に「麻生副総理」の思い付きではなく、長年の間、世界中の碩学者たちや実務家が緻密な研究を重ねてきた理論的背景があります。

〇現在の日本では、政権のバラマキと官の横暴で財政が危機的な状況にあります。
・私は、このような日本の財政危機を乗り越えるための数少ない方法が、「公営事業の民営化」だと思っています。
・私の住む町でも(皆さんの住宅地でも)最近、図書館や自転車駐輪場などの民営化が進んでいます。これを批判する人はいますが、私はやり方次第で非常に良いことだと思います。
・勿論、「民営化」はやり方で大きく変わりますので、「民営化」すれば良いことではありません。
・一例として、約10年前に行われた「道路公団民営化」上場案も、本来は高速道路を地域を分けて管理することで、儲からない(利用者が少ない)道路については赤字垂れ流しになるので廃止する、という力が働くはずでしたが、道路族と道路官僚の主張で東名道路のように儲かる道路と儲からない道路を一緒の財政で見ることになったので、利用者が極端に少ない高速道路が廃止されず、赤字が垂れ流されても道路は作る、という実態があります(構想日本:代表加藤秀樹)。
・このように、「民営化」についても、そのやり方を細かくチェックしないと、不正が温存される結果になりますので、行政と市民による厳しいチェックは欠かせません。



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【2017/04/01 18:01】 | 未分類
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             嶋津 暉之

国土交通省が2015年の水害統計を公表しました。

◇平成27年の水害被害額(確報値)を公表 
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000918.html

◇平成27年水害統計調査 
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001098275&requestSender=search

鬼怒川の氾濫があった茨城県の被害額は約1,590億円でした。

◆2015年の水害被害額は3,900億円 - 都道府県別被害額1位は茨城県
(マイナビニュース2017/3/23)
http://news.mynavi.jp/news/2017/03/23/357/

国土交通省は3月22日、2015年の水害被害額(確報値)が全国で約3,898億円に上ったと発表した。被害額は暫定値(約3,850億円)から約50億円増加し、2006年~2015年の10年間で3番目の大きさとなった。
水害被害額の内訳は、一般資産等が約2,212億円、公共土木施設が約1,605億円、公共事業等は約81億円。なお、被害額には、人的損失、交通機関の停止などによる波及被害、被災企業の部品・製品供給機能、本社機能等の損失による他地域の企業への影響等に係るものは含まれていない。

都道府県別の水害被害額上位3県は、1位が茨城県の約1,590億円、2位が栃木県の約660億円、3位が宮城県の約330億円となった。

主な水害の被害状況をみると、2015年9月に発生した台風18号に伴う豪雨は、利根川水系鬼怒川で洪水を引き起こし、関東地方の国管理河川では1986年の利根川水系小貝川以来、29年ぶりに堤防が決壊。茨城県常総市では、鬼怒川から東側のエリアは市役所を含め、ほぼ全域が浸水するとともに、電力や上下水道、鉄道等のライフラインが停止し、8,991棟の浸水被害が発生した。

被災建物棟数は2万6,671棟で、内訳は床下浸水が1万5,136棟、床上浸水が4,672棟、半壊が6,756棟、全壊・流失が107棟。浸水区域面積は2万7,486ヘクタールで、内訳は農地が1万9,809ヘクタール、宅地・その他が7,677ヘクタールとなった。


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【2017/03/27 16:10】 | 未分類
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          嶋津 暉之

大阪市の水道局民営化がとん挫する見通しになりました。
水道・下水道の民営化は望ましいとというご意見もありますが、下記の論考「市民に悪影響なのに 大阪市水道民営化のなぜ」には、
「世界各地では民営化が水質の悪化や水道料金の高騰を招き、巨額のコストを負担して公営に戻す自治体が続出していることだ。パリ、ベルリン、アトランタなど先進国の都市でも再公営化されている。」
と書かれており水道民営化が良い方向に働くとは言えないと思います。
水道は生活に直結する公共財ですから、各市に水道部門があって、市民がチェックできる体制のもとで管理されるのが望ましい姿ではないのかと思います。

◆大阪市の水道局民営化、頓挫…議案廃案の見通し
(読売新聞2017年03月24日)
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20170324-OYO1T50020.html?from=tw

 大阪市の吉村洋文市長が来年4月の実現を目指していた市水道局の民営化が頓挫する見通しとなった。民営化議案は前任の橋下徹市長時代に否決後、吉村氏が昨年2月に再び提案。開会中の市議会での採決を求めたが、慎重論が根強く、廃案となる公算が大きくなったためだ。

 市議会では、少数与党の大阪維新の会が民営化に賛成だが、他会派からは「生活の基盤である水道は市が責任を持って運営するべきだ」(自民党市議)、「高い技術力と豊富な人材を誇る水道局は重要な資産」(公明党市議)といった慎重意見が相次ぎ、3度にわたって継続審議となった。

 今回は維新が賛成、自民が継続審議、公明が反対の方針で、いずれも過半数に届かないため、採決できずに廃案となる見通し。

◆市民に悪影響なのに 大阪市水道民営化のなぜ
(ニュースソクラ 2017/1/6(金) 13:00配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170106-00010002-socra-pol

維新の「大阪都構想」へのこだわりが背景に

今、大阪市では大阪維新の会の市長が打ち出している水道事業の民営化を巡って、市議会が紛糾している。民営化されれば全国初だが、品質の維持や安定供給できるのかなどを巡って議論は紛糾、可決には至らず、継続審議案件となった。「貧乏人は水も飲めんようになるのか」という反発も広がっている。
大阪市の水道民営化の出発点は2008年にさかのぼる。タレント弁護士から転身して大阪府知事に就任したばかりの橋下徹・前府知事が、大阪府守口市の淀川沿いに大阪府と大阪市の浄水場が近接して建っているのを「二重行政」と批判して、水道事業の統合協議が始まった。

大阪府も大阪市も水道施設は水の需要を大きく上回る処理能力があり、数字上は「一つでも賄える」。そのうえ、高度経済成長時に整備が進んだ水道管などの設備が更新時期を迎え、多額の費用がかかることも背景にあった。

しかし、協議に入ると大阪府、大阪市だけでなく、大阪府から水供給を受けている衛星都市も含めて思惑や利害が対立し、2010年に大阪府と大阪市の水道事業統合は破たん。翌年、大阪府で水道事業を担当する府水道部を府から切り離して「大阪広域水道企業団」という一部事務組合とし、市町村は各自の判断でこの企業団に参加することとなった。

一方、大阪市は、2011年12月に府知事からくら替えした橋下・前大阪市長が就任し、水道事業の一本化に再チャレンジする。大阪市水道局を企業団に統合する協議が大阪市と企業団の間で始まった。

しかし、企業団の一員になると「安さが自慢」の大阪市の水道料金が維持できないと予想されることなどから、大阪市議会は2013年5月、企業団との統合を「市民にメリットなし」と否決した。橋下前市長は2010年4月に旗揚げした地域政党「大阪維新の会」の代表であり、大阪市議会でも維新が与党ではあったが過半数はなかったためだ。

すると、大阪市議会が企業団との統合を否決した翌月、大阪市長、副市長以下、市幹部職員らで構成される「大阪市戦略会議」の方針として「水道事業の民営化の検討」が発表された。

これは、同じ頃に閣議決定された安倍政権の「骨太の方針」と成長戦略に歩調を合わせたもの。大阪市議会が大阪市の水道事業は独立路線を選択したため、橋下前市長が「二重行政の解消」と振り上げた拳の下ろし先が「民営化」になったのだ。

そもそも、何のための民営化なのか。大阪市水道局は、高品質の水を安い料金で提供してなお年間約100億円の黒字を確保している。リスクを冒して民営化に踏み切る状況にはみえない。

2015年12月に橋下前市長からバトンタッチした吉村洋文・大阪市長は、民営化によって水道料金が値下がりしたら市民にアピールできる「実績」になると考えているふしもある。

吉村市長は、「人件費削減による効率化」を全面に打ち出している。大阪市の試算では、民営化したら30年間で910億円のコスト削減ができ、一方で法人税や法人住民税で570億円の負担が発生するため、吉村市長は政府に税制優遇措置を求めている。

吉村市長の号令の下、大阪市が検討する民営化とはどんな形態なのか。まず、水道局を市から切り離して「株式会社」に改組し、市の100%子会社にするとしている。3~5年後をめどに株式を売却して民間出資を受け入れる方針だったが、これは議会や市民の反発を招き、吉村市長は株式売却については発言しなくなった。民間出資の方向性をあいまいにしているため、株式「上場」の話には至っていない。

問題は、世界各地では民営化が水質の悪化や水道料金の高騰を招き、巨額のコストを負担して公営に戻す自治体が続出していることだ。パリ、ベルリン、アトランタなど先進国の都市でも再公営化されている。

具体的にどんな問題が生じたのか。アトランタでは人員削減と料金値上げの末、浄化処理のレベルを落としすぎて水道の蛇口から茶色の水が出たこともあった。インディアナポリスでは、何百万人もの市民に対し「水道水は煮沸してから使用するように」という警告が発せられ、学校が休校になるところまで追い詰められた。

既にこれほどに、海外で失敗例があるのに、今更なぜ民営化なのか。市民の間からは「時代遅れの政策」と反対運動もでてきている。

長年にわたって大阪の水道事業をウオッチしているNPO法人「水政策研究所」(大阪市北区)の北川雅之理事は「人口減少などで水道事業を支え切れなくなっている中小の自治体と、水道が優良公営事業である大阪市では事情が違う」と話す。

「安倍政権は成長戦略で上下水道事業の民営化を打ち出しているが、水道供給に負担の大きい中小の自治体が民営化という形で人件費を削減して乗り切る逃げ道を作ったに過ぎない。生命維持に不可欠な水の供給に携わる仕事でむやみに人件費を削っていいのかという問題もあるし、大阪市がそんな方針に乗っかるのは優良な水道サービスを享受している市民の利益を考えていない」と語る。

では、大阪市の水道事業は未来永劫、安泰かと言えばそうではない。人口減少などにより今の水道料金では二十数年後に「赤字」になるという試算もある。しかし、需要の低下は民営化しても避けられず、むしろ、そういう事態が想定されるからこそ、「命の水」は公営で支えるべきものだ。

民営化=コストカット=商品の値下がり=消費者にメリット、という考え方は水道事業にはあてはまらない。水道は洋服を買うように消費者が自由に商品を選べない。民営化=コストカット=水道サービスが悪化=消費者に被害、もしくは、民営化=会社の利益優先=水道料金の上昇=消費者に被害、という結果は海外の失敗例を見ても容易に予想される。

大阪市営事業の民営化を考える上で、松井一郎府知事、吉村大阪市長をはじめ大阪維新の会の政治家たちが、2015年5月の住民投票で否決された「大阪都構想」にまだこだわっていることを忘れてはならない。

大阪市を廃止して東京のような特別区に解体するのが大阪都構想なので、大阪市営事業は邪魔なのである。大阪市がなくなれば、大阪市営事業は混乱が避けられないからだ。

前述の水政策研究所の北川理事が更に問題点を指摘する。「今後、水需要が高まる予測はなく設備過剰は確実なのだから、浄水場の規模を半分にして、土地の販売を売却したら大阪市の収入になる。設備縮小だって10年がかり。早く手をつけるほど早く合理化できるのに、民営化計画が出て来て設備縮小の話はストップしてしまった」と民営化論議が、必要な政策の先送りにつながっているという。

「二重行政の解消」という大阪維新の会の看板に端を発した大阪市の迷走はいつまで続くのだろうか。

■幸田 泉(ジャーナリスト)
立命館大学理工学部卒業。1989年に大手新聞に入社。大阪本社社会部で大阪府警、大阪地検など担当。東京本社社会部では警察庁などを担当。2012年から2年間、記者職を離れて大阪本社販売局に勤務。2014年に退社し、販売局での体験をベースに書いた『小説・新聞社販売局』(2015年9月、講談社)がその赤裸々さゆえにベストセラーに。


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【2017/03/26 07:23】 | 未分類
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