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「ダム建設の時代は終わった」by米国内務省開拓局長官ウィリアム・ピアーズ
今後の更新はこちらをご覧ください。


【2019/08/08 23:00】 | 未分類
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       嶋津 暉之

東京都水道局には外郭団体が二つあります。
東京水道サービス㈱と㈱PUC(Public Utility Services Center)です。

前者は水道施設の管理、施工、水質調査分析等、後者は水道料金徴収業務等の代行を行っています。東京都水道局の出資比率は前者が51%、後者が84.5%です。

東京都多摩地域の各市は、未統合の武蔵野市、昭島市、羽村市以外は現在は水道担当部門がなく、東京水道サービス㈱と㈱PUCが水道の業務を行っています。

2020年度に東京水道サービス㈱と㈱PUCに統合するということで、新会社のコーポレートアイデンティティ(CI)のデザインを募集しています。

その情報をお伝えします。

両社とも、東京都水道局の元局長、元次長が社長になっていましたが、今年5月に小池百合子都知事の元特別秘書の野田数氏が東京水道サービス㈱の社長になりました。

野田数氏は就任時に「将来的には和製の水メジャーになるための土台を作る」と述べており、この新会社が日本の水道民営化の受け皿の一つになっていくことも予想されます。

◇【東京水道サービス㈱×㈱PUC 共同企画】
新会社のコーポレートアイデンティティ(CI)デザインを募集中
東京水道サービス株式会社
2019年8月2日 17時18分
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000044870.html

 この度、東京都の政策連携団体である東京水道サービス㈱と㈱PUCは、令和2年に統合し、「国内最大級の水道トータルサービス会社」へ生まれ変わることになりました。
 つきましては、新会社が目指すコンセプトイメージにふさわしい企業ロゴマーク、商号、商標、スローガンのデザインを作成し、それぞれを組み合わせたコーポレートアイデンティティのデザインを下記のとおり企画コンペ方式で募集いたします。
 過去にデザイン業務の契約実績がある企業であれば応募ができますので、積極的なご応募をお待ちしております。

             記
 
        
1.委託件名
  新会社コーポレートアイデンティティ(CI)デザイン作成委託

2.企画コンペ申込期間
  令和元年8月1日(木)から令和元年8月20日(火)17時まで

3.企画提案書(デザイン案)提出締切
  令和元年8月26日(月)17時まで

4.契約方法
  企画コンペ方式

5.企画コンペ参加資格
  企画コンペへの参加申込をする方は以下の全ての要件を満たすものとします。
(1)過去にデザイン業務の契約実績を有する者。
(2)業務実施にあたり必要な人員体制が整備されていること。
(3)法人格を有する企業又は団体であること。
(4)会社更生法に基づく更生手続き開始の申し立て、又は民事再生法に基づき民事再生手続開始の申し立ての手続きを行っていない者(更生手続開始又は民事再生手続開始の決定を受けた者を除く)。
(5)東京都暴力団排除条例に定める暴力団関係者又は東京都が東京都契約関係暴力団等対策措置要綱第5条第1項に基づき排除措置期間中の者として公表された者でないこと。

※詳細は、下記Webページをご覧ください。
https://www.tssk.jp/company/bid/schedule.html#cicompe

【本件に関するお問い合わせ先】
担当:東京水道サービス株式会社 総務部広報担当 田中、石田
電話:03-5325-1021
Mail:tss-pr@tssk.jp
URL:https://www.tssk.jp

【東京水道サービス株式会社  会社概要】
■社名 東京水道サービス株式会社

■本社所在地
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-14-1 新宿グリーンタワービル5階

■設立年月 昭和62年2月

■資本金 1億円

■株主 東京都(51%) 等

■従業員数 1,251名(平成31年4月現在)

■事業内容
水道施設の整備・管理等、水道に関するコンサルティング及び各種研修 等


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【2019/08/05 02:53】 | 未分類
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     嶋津 暉之

イギリスの中部で、降り続いた大雨の影響により、ダムが一部損傷し決壊するおそれがあるとして、6000人を超える住民が避難したという記事をお送りします。

◆英中部 大雨でダム決壊のおそれ 住民6000人超が避難
(NHK2019年8月4日 7時04分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190804/k10012020851000.html

イギリスの中部では、降り続いた大雨の影響でダムが一部損傷し決壊するおそれがあるとして、6000人を超える住民が避難していて、当局がダムを補強するなど安全対策を急いでいます。

イギリス中部ダービーシャー州では先週から大雨が降り続いた影響で、今月1日、トッドブルック貯水池にあるダムの表面のコンクリートが剥がれて損傷しました。
イギリス政府はダムが決壊して洪水が起きるおそれがあるとし、下流の住民6000人以上が避難する事態となっています。
このダムはおよそ180年前に建設されたもので、総貯水量は130万トンに上るということです。
2日にはイギリス空軍の大型輸送ヘリコプターが出動して、砂袋を次々と降ろしてダムを補強し、損傷している箇所の修理ができるよう貯水池の水をくみ上げて水位を下げるなど、安全対策を急いでいました。
ジョンソン首相も現場を訪れて地元の住民と面会し「ダムの上空を飛んだが、とても恐ろしく感じた。まだ先は長いかもしれないが、必ず再建する」と話し、元の生活に戻れるよう対策を急ぐと強調しました。
関係者によると、依然としてダムは決壊するおそれがあるということで、警察などは周辺に近づかないよう注意を呼びかけています。


◆英イングランド中部でダム決壊の恐れ、住民1000人以上が緊急避難
(AFP 2019年8月3日 11:08 )発信地:ウィーリー・ブリッジ/英国 [ 英国 ヨーロッパ ] https://www.afpbb.com/articles/-/3238272?cx_part=top_category&cx_position=1
英イングランド中部でダム決壊の恐れ、住民1000人以上が緊急避難(写真)英ダービーシャー州で、トッドブルック貯水池ダムの決壊を防ぐため、砂袋を下ろす英王立空軍(RAF)のヘリコプター(2019年8月2日撮影)。(c)Roland HARRISON / AFP

【8月3日 AFP】英イングランド中部ダービーシャー(Derbyshire)州で、豪雨によりダムに決壊の恐れが発生し、近隣住民1000人以上が緊急避難したほか、2日には英空軍のヘリコプターが出動する事態となった。

 このダムは、ダービーシャー州ピークディストリクト国立公園(Peak District National Park)にあるトッドブルック(Toddbrook )貯水池ダム。19世紀に建設されたもので、総貯水量は130万トン。

 最近続いた豪雨でダム片端の越流部が劣弱化。1日には表面のコンクリート板がはがれ始めた。このため、英国政府はダム下流地域のウィーリー・ブリッジ(Whaley Bridge)の住民に対し�、「命に危険が及ぶ恐れのある深刻な洪水警報」を発令。ダービーシャー警察によると、ダムが決壊すれば即時に水没する恐れのある地域に住む1000人以上が避難した。

 ウィーリー・ブリッジはピークディストリクト国立公園の端にある町で、大都市マンチェスターの南東26キロの位置にある。

 2日には英王立空軍(RAF)の大型輸送ヘリコプター「チヌーク(Chinook)」が出動し、コンクリート板がはがれたダムの越流部に1トンの砂袋を約400個、次々と下ろして崩落を防止。英各地から動員された消防隊員150人が貯水池からの水抜き作業に当たった。

 警察は、ダム決壊を防ぎウィーリー・ブリッジを保護するため人間にできる手段は全て尽くしたとしているが、ダムは依然として決壊の危険があるため、周辺には近付かないよう要請している。(c)AFP

 


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【2019/08/05 02:46】 | 未分類
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      嶋津 暉之

7月31日に国土交通省で「第5回 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」が開かれました。この会議でまとめられた提言の内容を毎日新聞が詳しく報じています。

この技術検討会の資料は国土交通省のHPに掲載されています。、

「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会(令和元年7月31日)配布資料」http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/chisui_kentoukai/dai05kai/index.html

この提言は治水計画のあり方を根本から変えていこうというものです。

すなわち、「気候変動の予測精度等の不確実性が存在するが、現在の科学的知見を最大限活用したできる限り定量的な影響の評価を用いて、治水計画の立案にあたり、実績の降雨を活用した手法から、気候変動により予測される将来の降雨を活用する方法に転換する」というものです。

しかし、気候変動による将来の降雨変化を予測することが本当にどこまでできるのでしょうか。所詮は予測モデルによる計算でしかなく、そのモデルの作り方で予測値は大きく変わってきます。

そして、CO2の増加で地球温暖化が進み、気候変動が進行しているという考え方そのものにも異論が出されています。

参考のため、冨永靖德氏(お茶の水大学名誉教授)の見解を紹介しておきます。

◆冨永靖德氏(お茶の水大学名誉教授)の温暖化論争のまとめ   
IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル
(Intergovernmental Panel on Climate Change)

◇IPCCの温暖化論:
  ・化石燃料を消費することに伴って、大気中のCO2が増える
  ・CO2の増加は地球温暖化をもたらす
  ・地球温暖化はさまざまな害悪をもたらす

◇良心的な科学者の考え方:
 ・気候変動の原因はCO2だけでなく、太陽活勣が重要である。
  これは、自然現象であるから制御できない。(商売にはならない)
 ・CO2による温暖化と太陽活動の変化による寒冷化は打ち消し合い、

  今後の気温は50~IOO年にわたってほぼ横ぱいか寒冷化する可能性が大きい
   *太陽活勣の低下⇒宇宙線の増加⇒雲の増加⇒寒冷化
 ・大気中のCO2増加そのものはなんらの害ももたらさない。(自然の恵み)

◇今後の政策の望ましい変更
  ・大気中のCO2濃度を問題にするのではなく、
   炭素資源の浪費を防ぐエネルギー政策を追求すべきである。
  ・温暖化防止一辺倒の政策は改めるべきである。
   *排出権取引による、年間数兆円の支払いは無駄!

◆地球温暖化
増える豪雨に備え 過去データより将来予測重視 国交省検討会、「温暖化前提の治水」提言

(毎日新聞2019年8月1日 東京朝刊)
 地球温暖化で深刻化が懸念される豪雨災害に備えるため、国土交通省の有識者検討会は31日、治水計画に降雨量の将来予測を反映すべきだとの提言をまとめた。過去の豪雨に基づく対策から、温暖化の影響予測を活用する対策へと治水の大転換になる。昨年の西日本豪雨など想定を上回る水害の頻発を受けたものだが、コスト増が見込まれ、課題も多い。【大場あい、斎藤有香】

 国や都道府県などの現在の治水計画は、戦後に河川の各流域で発生した最大の豪雨が再び起こっても被害を防げるよう考えられている。提言は「今後、豪雨の更なる頻発化、激甚化はほぼ確実視されている」として、温暖化による降雨量増加予測を反映させたものに改めるよう求めた。

 これまでは温暖化で想定を上回る豪雨が発生した場合、避難などソフト面の対策強化で対応する方針だった。しかし、近年の豪雨災害頻発により、堤防などハード面でも影響を考慮せざるを得なくなった。温暖化に伴う影響の予測技術が向上したこともあり、有識者検討会は昨年4月から議論を進めてきた。

 提言は、治水計画に活用する降雨量の将来予測について、来年始まる温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が世界の平均気温の上昇を産業革命前から2度未満に抑える目標を掲げていることを踏まえ、世界の平均気温が2度上昇した場合を基本にするとした。

 その上で、降り方の違いから全国を15地域に分けて降雨量の変化を予測し、北海道と九州北西部の降雨量は現在の想定の1・15倍、他の地域は1・1倍になるとして、これに基づく治水計画を策定すべきだとした。降雨量が1・1倍になると、洪水の発生頻度は約2倍になるという。倍率は暫定値で、今後必要に応じて見直す。

 具体的な計画策定では、河川管理者が定める河川整備基本方針で対策の基本となる河川流量を設定する際、この予測降雨量を活用することになる。治水計画改定は全河川が対象になるが、提言は、基本方針策定後に想定を上回る大規模な洪水が起きた河川から優先的に見直すよう求めた。

 また、実際には2度目標を上回るペースで気温上昇が進んでいるため、提言は4度上昇した場合の予測も参考にするよう明記した。耐用年数の長い施設整備などに関しては、4度上昇に備え、低コストで改造できるような設計上の工夫をすべきことも盛り込んだ。

 治水計画の見直しには堤防の設計やダム計画、排水設備などの変更が必要になり、コスト増も見込まれる。国交省河川計画課は「実現に必要な(河川管理などの基本となる)河川砂防技術基準の見直しなどを今後検討していく」としている。

 有識者検討会座長の小池俊雄・土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長は「温暖化の進展に伴って毎年各地で深刻な被害が起きる中、先手を打ちたいと考えてきた。被害防止・軽減による経済的メリットが対策コストを上回ると期待され、国民の理解も得られるのではないか」と語った。

短時間、滝のように

 温暖化の進展で、短時間に降る強い雨など災害をもたらす可能性の高い雨は増えている。気象庁によると、日本の年平均気温は100年当たり1・21度のペースで上昇し、1時間に50ミリ以上の「滝のように降る雨」の発生回数は統計を取り始めた1976年以降、10年ごとに27・5回ずつ増加している。

 更に近年、これまでの経験に基づく対策では対応できないような豪雨や台風の被害が発生している。2015年9月の関東・東北豪雨では鬼怒川の堤防が決壊し、茨城県常総市の3分の1に当たる約40平方キロが浸水した。昨年7月の西日本豪雨では270人以上(災害関連死含む)が亡くなった。西日本豪雨について気象庁は個別の豪雨災害で初めて、温暖化が一因との見解を示した。

 世界の温室効果ガス排出量は増加し続けており、人間の活動が原因の温暖化によって、短時間強雨などは更なる増加が予測される。

 気象庁によると、世界全体で効果的な対策を取らず、今世紀末に世界の平均気温が産業革命前より約4度上昇した場合、1日の降雨量が200ミリ以上の大雨や「滝のように降る雨」の年間発生回数は日本全国平均で現在の2倍以上になる。気象庁気象研究所の分析によると、日本の南海上で猛烈な台風が増加し、現在の10年に3回程度から5回程度に増えるとされる。

 温暖化の被害軽減策に詳しい三村信男・茨城大学長(地球環境工学)は「多くの人が気候変動を実感するようになり、治水に関して本格的な適応策の導入が提案された意義は非常に大きい」と提言を評価した。一方で「影響予測技術は政策に活用できるように向上してきているが想定を超える豪雨災害は十分起こり得る。ハード面の対策を急ぐと同時に、住民への迅速な情報提供など、ソフト面も含めた何重もの備えが重要だ」と話している。



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【2019/08/05 02:41】 | 未分類
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      嶋津 暉之

先にお知らせしたように、東京都江戸川区のスーパー堤防の差し止めを求める控訴審で7月16日に東京高裁の判決がありました。
まことに残念ながら、住民側の敗訴でした。

都築政則裁判長は判決言い渡しを瞬時に終わらせるのではなく、判決文の要旨を述べる姿勢を示しましたが、敗訴には変わりはありませんでした。

都築裁判長は国に対して地耐力関係の全データの文書提出命令が出すなど、訴訟指揮はよかったのですが、判決は行政に忖度するものでした。

判決文は
スーパー堤防差止東京高裁判決 20190716 
スーパー堤防差止東京高裁判決の要旨20190716 

それぞれお読みください。

弁護団は7月26日にスーパー堤防差止訴訟東京高裁判決に対する弁護団声明を出しました。 
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2019/08/e7a4442df4de2148669937734e125ea7.pdf

そして、最高裁判所に上告兼上告受理申立を行いました。

大江弁護士が「裁判支援の会たより」に書かれた文章を引用します。

2019年7月27日
弁護団事務局長 弁護士 大江 京子

1 はじめに

2019年7月16日、東京高等裁判所民事第19部(裁判長都築政則)は、江戸川区スーパー堤防事業差止め等請求訴訟について、控訴棄却の不当判決を言い渡しました。判決の問題点について詳しくは別紙の弁護団声明をご参照ください。

2 控訴審の成果について

 判決の結論は不当であり、とりわけ行政追随型司法(行政に対して違法と言えない裁判所)の姿勢に対して、強く抗議したいと思います。

 しかし、本件控訴審の審理は大きな成果を生みました。成果の第1は、何といっても国に対して地盤調査結果のデータ等の文書提出命令を出した画期的な決定です(平成30年3月27日)。本決定が、「土地に関する情報は、国民の生命、身体及び財産に関わるものとして公共性を有する」としたことは、個人情報を盾に地盤の情報開示を拒否してきたこれまでの行政の在り方に大きな影響を及ぼすものと期待します。

成果の第2点目は、控訴人らが要求した証人のすべてを採用して十分な証拠調べが行われた点です。スーパー堤防の必要性については、嶋津暉之証人、国の青野正志証人の尋問が行われ、その結果、治水事業としてのスーパー堤防事業が完全に破綻していること、国もその必要性については、結局のところ高台事業としか言えなかったことなどが誰の目にも明らかになったといえます。また、盛り土の安全性についても、国側の青野・金沢裕勝証人に対する反対尋問により、重要な事実が次々と明らかになりました。これらの立証の結果、控訴人らが、国らを圧倒していたと思います。国や行政を相手にする訴訟は、はじめから証拠の偏在があり、原告としては不公平な戦いを余儀なくされるのが通常です。本件の都築裁判長の訴訟指揮は、他の裁判体とは異なり、高く評価されるものです。

また、成果といえるかは疑問ですが、判決言い渡しの法廷で、裁判長自ら判決理由を口頭で述べたことも、今の裁判所の実情から見れば異例のことでした。

都築裁判長は、本件スーパー堤防訴訟の控訴人らの主張に真摯に耳を傾けて、公正な訴訟指揮を行ったと思います。

3 今後に向けて(最高裁)

それだけに、判決の内容は非常に残念です。国を勝たせる結論ありきの判決という点では、1審判決と同様でした。違うのは木で鼻を括るような1審判決と違い、控訴人らの主張に対して、一応ひとつひとつ答えようとしている点でしょうか。しかし、法的権限論のところはいかにも自信なさそうに書いていたり、スーパー堤防の必要性のところでは、裁判所自体が証拠の矛盾や不合理を分かっていながら理由を書いたとしか思えない箇所が散見されました。

控訴人ら4名は、本東京高裁判決を容認せず最高裁に上告いたしました。今後、弁護団としては、最高裁に提出する上告理由書等で徹底的に判決の矛盾を追及していくつもりです。

2011年11月に第1次訴訟を提起して以来これまで本当に多くの方に応援をいただきました。改めて深く感謝を申し上げます。今後とも、ご支援のほどよろしくお願い致します。



【2019/08/05 02:33】 | 未分類
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     嶋津 暉之

水道法が昨年12月に改正され、政府が民営化推進の旗振りをしていますが、多くの水道事業体は民営化について消極的です。
その中で突出して民営化を推進しようとしているのが宮城県です。宮城県が民営化を計画しているのは二つの水道用水供給事業、三つの工業用水道事業、四つの流域下水道事業です。

ただし、民営化の対象は各事業の管路を除く処理場等の部分で、資産の割合としては3割にとどまります。
宮城県がこの民営化の実施方針案をつくりました。
民営化は2022年1月1日から20年間の予定です。

宮城県は民営化により、20年間で水道・工業用水道・下水道で335~546億円の費用を削減できるとしていましたが、その見込み通りに本当に進むのでしょうか?

◆水道「みやぎ方式」 県、実施方針素案 「運営権対価」競争条件除外
(河北新報2019年07月31日水曜日)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201907/20190731_11045.html

 水道3事業の運営を民間に一括して委ねる「みやぎ型管理運営方式」で、県が定める実施方針素案の概要が30日分かった。

事業者が県に支払う施設使用料に当たる「運営権対価」は県が決め、事業者選定の競争条件にしないことなどを盛り込む。
 運営権は対象となる9事業ごとに設定し、選ばれた事業者とまとめて契約を交わす。

運営権対価は事業開始までに一括で支払ってもらう。事業期間は2022年1月1日から20年間とする予定。
 事業者を選ぶ際は、事業運営にかかるコストの削減効果を重視する。

県が運営し続けたと仮定した場合を上限として、消毒に使う薬品代や光熱費、人件費、利益などの削減幅や実効性を見極める。
 実施方針素案では、県と事業者の業務分担、利用料の決め方、災害や物価変動などのリスク負担、モニタリング体制なども定める。

県議会11月定例会に提出予定の実施方針条例案、来年3月に公表する募集要項の基になる。
 県は8月1日に開かれる県民間資金等活用事業検討委員会で素案を示す。

9月に実施予定の意見公募、県議会での条例案審議などを踏まえ、12月に実施方針を公表する。

【2019/08/05 02:28】 | 未分類
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    嶋津 暉之

7月30日、山形県の最上小国川ダムへの公金支出の差し止めを求める裁判の判決が山形地裁でありました。残念ながら、原告側の敗訴でした。
日本の司法はどうしようもありません。

◆最上小国川ダム訴訟で原告側の訴え退ける 山形地裁
(毎日新聞  2019年7月30日19時15分)
https://news.infoseek.co.jp/article/mainichi_20190730k0000m040218000c/

 山形県が最上町に建設している「最上小国川ダム」を巡り、市民団体「最上小国川
の清流を守る会」が公金支出の差し止めなどを求めた住民訴訟の判決が30日、山形地
裁であった。貝原信之裁判長は、ダムの建設に違法性はないと判断し、原告側の訴え
を退けた。

 ダムは洪水時だけ貯水する「穴あきダム」。水の流出口が土砂や流木で閉塞(へい
そく)する危険性や、アユをはじめとした生態系への影響の有無などが争点となっ
た。

 判決は、ダムの設計が合理的だとして、流出口が閉ざされる危険性は大きくないと
判断。上流側がダム湖化する恐れがあるとした原告側の主張を否定した。また、環境
には一定の影響が出るとしたものの、重大とまでは認めなかった。

 原告団の清野真人事務局長(75)は「訴訟の中で、穴あきダムの問題を議論でき
た。全国の人にもプラスになれば」と話した。控訴するかどうかは今後、検討すると
している。

 これに対し、山形県の吉村美栄子知事は「最上小国川の内水面漁業の振興、流域の
治水対策に努める」とのコメントを出した。【日高七海、的野暁】

最上小国川ダム

 アユがすむ清流として知られる山形県北東部の最上小国川で、流域の温泉街周辺の
治水対策として県が建設しているダム。生態系や水質への悪影響を懸念する地元漁協
が反発し、住民団体も2012年に建設費用の差し止めなどを求めて提訴した。県が漁業
振興策を提示するなどしたため漁協が容認に転じ、15年に本体工事が始まった。

 
◆最上小国川ダム訴訟判決 「建設は合理的」原告の訴え退ける 山形地裁
(さくらんぼテレビ2019/7/30(火) 21:05配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190730-00010004-sakuranbo-l06

7年にわたる住民訴訟に判決。山形県が最上町に建設中の最上小国川ダムを巡り、反
対派の住民が事業費の支出差し止めなどを訴えた裁判で、山形地裁は30日、原告の訴
えを退けた。
この裁判は、最上町の
<https://search.yahoo.co.jp/search?p=%E8%B5%A4%E5%80%89%E6%B8%A9%E6%B3%89&ei
=UTF-8&rkf=1&slfr=1&fr=link_direct_nws> 赤倉温泉の治水対策として県が建設中の
最上小国川ダムをめぐり、反対派の住民が事業費約5億1700万円の支出差し止めと、
2012年に支出した約5500万円の返還を求め、2012年に提訴していた。
原告側は、「水害は雨水などが溜まる内水の被害によるもので、ダム建設では防止で
きない。生息するアユへの影響も大きい」と主張していた。
判決で、山形地裁は「ダムの建設が内水被害だけでなく、被害の大きい外水被害、さ
らには下流への被害も想定していて合理的」として、原告の訴えを退けた。また、
「アユへの影響も重大ではない」とした。
原告側は「今後、意見を集め控訴について検討する」としている。判決を受け、吉村
知事は「今年度の完成に向け着実に工事を進め、最上小国川の漁業振興・治水対策の
充実に努める」とコメントしている。

 
◆ダム費返還の訴え退け 山形の清流・最上小国川
(iza 2019.7.30 20:40)
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/190730/evt19073020400038-n1.html

 アユ釣りで有名な山形県最上町の清流・最上小国川で、県が進めるダム建設に反対
する住民団体が2012年度に支出した費用の一部約5490万円を吉村美栄子知事
に返還請求することなどを県に求めた訴訟の判決で、山形地裁は30日、訴えを退け
た。

 ダムは下流域の治水のため、増水時だけ貯水する「穴あきダム」。当初は約70億
円だった総事業費は工期延長などで約88億円に増え、18年度末までに約76億円
を支出。19年度内に完成の見込み。

 原告側は「下流域で想定される、増水した川に排水できなくなって起こる内水氾濫
にダムは無力だ。洪水時に水が長く濁り、アユに影響を与える」と主張したが、判決
理由で貝原信之裁判長は「大雨で川から水があふれる外水氾濫も想定し、ダムを建設
するのは不合理ではない。アユの成育環境への影響の程度も重大とはいえない」と述
べた。

◆公金支出「違法性なし」 最上小国川ダム訴訟で山形地裁、原告の請求棄却
(山形新聞2019年07月31日 09:27)
https://www.yamagata-np.jp/news/201907/31/kj_2019073100634.php
 
県の最上小国川ダム(最上町)建設に関し、反対派住民らが工事費などの公金支出差し止めを求めた訴訟の判決が30日、山形地裁であった。貝原信之裁判長は「ダム建設の公金支出に違法性はなく、河川環境への影響も重大とは言えない」などとし、原告の請求を棄却した。訴訟は提訴から約7年が経過。地裁は賛否が分かれた流水型(穴あき)ダムによる治水対策を容認する司法判断を示した。

 判決理由で貝原裁判長は、ダム建設は治水の観点から違法性はなく、他の手段と比較すると経済的でもあると判断。洪水時以外は水を貯めない流水型ダムを選択した点は「放流量を調整できず、流出口が閉塞(へいそく)されたとしても、危険性が重大とは言えない」とした。

 自然環境への影響について「県は建設過程で十分考慮しており、重大な影響を及ぼすとは言えず、原告側の主張する影響は抽象的だ」と指摘。費用対効果も「国土交通省のマニュアルに基づき算定しており、違法性はない」と退けた。

 原告側はダムの必要性の一つとされた同町赤倉地区の水害について、川の越水による「外水被害」だけでなく、降雨時などに川に排水できないことで発生する「内水被害」もあり、ダム建設では防げないと主張。川床掘削で流量を確保する河道改修で十分で、温泉への影響もないとしてきた。

 流水型ダムは流出口が土砂や流木で閉塞する危険性もあり、魚類の遡上(そじょう)阻害や濁りの増加で、アユなど河川環境への影響が大きいと強調。費用対効果についても、県の想定は誤りがあり、ダム建設への公金支出は不当で地方自治法などに違反すると訴えていた。

 ダムは現在、堤体(ダム本体)の工事がほぼ完了。総事業費は当初、70億円を見込んでいたが、労務費や資材費の高騰、透水性の高い地盤の改良工事などで増加し、88億円。昨年の豪雨で工事と工程で変更が生じている。実際に水をためて安全性を確かめる試験湛水(たんすい)を今冬に行い、2020年3月に完成予定。その後、運用を開始する。
   


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【2019/08/05 02:23】 | 未分類
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    嶋津 暉之

駿河湾のサクラエビの歴史的な不漁の原因を探る研究会が設置されました。

◆サクラエビ不漁原因、3年かけ探る 静岡県有識者研究会が初会合
(静岡新聞2019/7/31(水) 7:57配信 )
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190731-00000005-at_s-l22

 駿河湾サクラエビの深刻な不漁を受け、静岡県が設置した有識者による「『森は海の恋人』水の循環研究会」の初会合が30日、静岡県庁で開かれ、今後3年かけて不漁の原因などを探ることを確認した。南アルプスが源流の富士川、大井川と駿河湾の相関について多分野の専門家らが研究し、生物多様性の保全や資源の持続的利用について考える。

 冒頭あいさつした川勝平太知事はサクラエビ不漁を念頭に「漁師から『海が濁っている』との叫びがある」と指摘。富士川の濁りの一因とされ、日本軽金属が管理する堆砂率93・4%の雨畑ダム(山梨県早川町)に触れ「こうなるまで放っておいたのはざんきに堪えない」と批判した。
 研究会顧問の秋道智弥・山梨県立富士山世界遺産センター所長は「各分野の特性を生かし、他分野とコラボレーションしてほしい」と学際的なアプローチを委員らに指示した。
 10月下旬に2回目を開き、各委員が専門分野ごとに研究成果などを発表する。一方、研究会の目的や進め方について話し合った委員からは「提言ではなく、実践的な活動にすべき」との意見や期間の短さを指摘する声が相次いだ。
 議事の取りまとめを担う委員長の鈴木伸洋・水産研究教育機構フェローは「地方自治体がこれほど広い分野を扱う研究会の設置を実現できた例はない。多角的な議論で県民の暮らしに資するようにしたい」と述べた。

 ■「濁り、海底湧水ふさぐ」 顧問の秋道氏

 深刻な不漁にあえぐ駿河湾サクラエビ。日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から駿河湾に流れ出る強い濁りとの関係を漁師らが心配する中、「濁り成分が長年海の底に沈殿し、海底湧水の出口をふさいでいるのでは」との仮説が30日の「『森は海の恋人』水の循環研究会」で新たに指摘された。
 唱えたのは研究会顧問の山梨県立富士山世界遺産センター所長の秋道智弥氏。「森と海をつなぐ水循環」と題した基調講演で、河川から流入する強い濁りにより海底湧水の吹き出し口が目詰まりを起こし、海洋生態系に影響が出た播磨灘の例を挙げ、「駿河湾でも長年泥がたまり湧水が出なくなっている可能性がある」と述べた。
 放水路沖にも海底湧水の吹き出し口があることから、秋道氏は「河川などとともに海底湧水には非常に注目している。調査してもらいたい」と訴えた。

 

【2019/08/05 02:18】 | 未分類
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     嶋津 暉之

日本軽金属の雨畑ダム(富士川水系)は先にお伝えしたように堆砂量/総貯水容量が93%に達しています。この雨畑ダムがもたらす水害の可能性と、今後雨畑ダムの堆砂状況をどうすべきかを、静岡新聞社がダム周辺の住民に質問しました。
この住民調査の結果についての記事をお送りします。

◆ダム堆砂 水害不安、9割超 静岡新聞社・雨畑地区住民調査

(静岡新聞2019/7/30(火) 7:52配信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190730-00000017-at_s-l22

ダム堆砂 水害不安、9割超 静岡新聞社・雨畑地区住民調査(写真)堆砂が進んでいる雨畑ダムがもたらす水害の可能性についてどう思いますか、今後雨畑ダムの堆砂状況をどうすべきだと思いますか

 アルミ加工大手日本軽金属(東京都)が管理し、土砂で埋まる雨畑ダム(山梨県早川町)について、静岡新聞社がダム周辺の住民35人を対象に7月2~3日に行った意識調査で「水害が不安」と答えた人が9割を超えた。同県など関東甲信地方は29日に梅雨明けしたが、秋の台風シーズン前に抜本的な対策が必要になっている。
 今回の調査でダムがもたらす水害の可能性を聞いたところ「非常に不安」「不安」と答えた人は計94・3%に上った。理由に「(地区の中には)前の台風で床上浸水した住民がいた」「集落につながる橋が洪水で通れなくなったら地元は孤立する」が挙がった。1人暮らしの高齢女性から「文句は言いたいが1人で反対しても仕方ない。我慢している」との声もあった。
 ダム湖のほとんどを覆う土砂についてどうすべきか聞いたところ、「日軽金に除去してもらう」を選んだ人が「その他・分からない」とした答えと同じ39・5%。理由は「(上流からの土砂流入はあるが)ダムによって結果的にこうなってしまった」「全責任は管理者の日軽金にある」などだった。

 一方、「日軽金だけでは無理。国や山梨県にも責任がある」との声も出た。「その他・分からない」を選んだ人の中にも「誰でもいいので早くやってほしい」との意見があった。雨畑ダムが完成した1967年前後の地元を知る21人に対し、ダム建設を今どう思うか尋ねたところ「後悔している」と答えた人は約5割に達した。
 住民意識調査結果を受け静岡新聞社は日軽金、山梨県、国土交通省富士川砂防事務所に対し雨畑地区の水害対策をどのように行うかなどを聞いた。日軽金は「一企業の対応だけでは難しい状況になりつつある」と回答。同県は「地元から要望がある旨を国に対して伝えている」とし、同事務所からは「関係者間で情報を共有し、それぞれの立場で対策を行っている」との回答が29日までにあった。
 


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【2019/08/05 02:13】 | 未分類
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       嶋津 暉之

諫早干拓訴訟の上告審弁論が7月26日に行われ、結審になりました。
最高裁の判決は秋にも言い渡される見通しです。
遅くなりましたが、その記事をお送りします。

諫早干拓訴訟はいくつかあって分かりにくいので、佐賀新聞の解説記事と、6月26日の最高裁判断「開門認めず」についての朝日新聞の記事もお送りします。

◆諫早干拓、上告審が結審=開門強制で秋にも判決-最高裁
(時事ドットコムニュース2019年07月26日18時50分)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072600852&g=soc

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、国が漁業者に対し、潮受け堤防の開門を強制しないよう求めた訴訟の上告審弁論が26日、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)で開かれた。国側は「開門請求の根拠となる漁業権は既に消滅した」と、漁業者側敗訴とした二審判決の維持を求め、漁業者側は「漁業実態に反する」などと主張し結審。判決は秋にも言い渡される見通しで、期日は後日指定される。
 訴訟は2010年に確定した福岡高裁の「開門」判決の無力化を求めたもの。小法廷は6月、別訴訟の「非開門」判決に対する漁業者側上告を退けたが、開門の是非については明言しなかった。司法判断のねじれは解消されておらず、今後の判決で開門の是非が示されるかが注目される。
 
 弁論が開かれたのは、10年の開門判決確定後、長崎地裁が開門差し止めの仮処分を決定したことから、国が14年に起こした訴訟。一審佐賀地裁は請求を退けたが、二審福岡高裁は「開門請求の根拠となる共同漁業権は消滅した」と国の主張を認め、国が負っていた開門まで一日90万円の制裁金支払い義務も否定。開門判決を無力化し、漁業者側が上告した。
 弁論で国側は「共同漁業権は10年間の免許期間の経過で消滅した」と改めて訴え、漁業者側は「漁業の実態に反し、確定した開門判決の解釈も誤っている。こうした論理がまかり通れば国民は司法を信用できなくなる」と主張。「最高裁が話し合いによる解決に向けた適切な判断を示すことを期待する」とも述べた。
 原告の漁業者も出廷し、「頑張って裁判を闘い、判決を取ることに意味がないということか」と訴えた。


◆<そこが知りたい>諫早湾開門訴訟 26日に最高裁弁論、重要局面
(佐賀新聞2019-7/24 13:31 )
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/404593

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門を巡る訴訟が重要な局面を迎えている。最高裁が今後示す司法判断が一連の訴訟の流れを左右する可能性があり、26日に開かれる上告審弁論を前に干拓事業の歴史や裁判の経過を整理する。

 なぜ争っている? 

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、湾奥を閉め切った約7キロの堤防。この堤防の南北2カ所にある排水門を常時開き、内側の調整池に海水を入れる「開門調査」について、漁業者と営農者、国の3者の考えは割れている。佐賀県などの漁業者側は「有明海異変の原因を究明する手段に」と望む一方、堤防内の干拓地の営農者側は「開門すれば農業被害が起きる」と反発。国は非開門の姿勢を明確にし、開門を巡る法廷闘争は混迷が続いている。

 諫早湾干拓事業の始まりは、終戦直後の食糧難を背景とした1952年の「長崎大干拓構想」にさかのぼる。平たん地の乏しい長崎県が、諫早湾全体の約1万ヘクタールを堤防で閉め切って農地と淡水湖を造成する方針を打ち出した。64年からは国の直轄事業の「長崎干拓事業」として本格的に動き出した。

諫早湾は有明海の漁業資源供給を担う「有明海の子宮」とも呼ばれ、漁場を失う湾内の漁業者をはじめ、有明海への影響を懸念する佐賀県などの漁業者の反発は強かった。国は閉め切りの範囲縮小や防災名目の追加など計画を変更し、湾内の漁協や佐賀など沿岸3県の漁連と漁業補償で合意を得て、89年に「諫早湾干拓事業」として着工にこぎ着けた。97年4月、「ギロチン」に例えられる293枚の鋼鉄板が海に落とされ、湾奥部が閉め切られた。

 着工や閉め切り以降、湾内外の有明海で高級二枚貝タイラギなどの不漁が叫ばれ、2000~01年には養殖ノリが記録的な不作に見舞われ、海況異変の要因として諫早湾干拓事業がやり玉に挙がった。農水省は02年、工事を中断して排水門を開放する2カ月の短期開門調査を実施した。

 調査で5年ぶりに堤防内に海水が入り、富栄養化した淡水が希釈されて汚濁度が低下したことなどが報告された。ただ、国の第三者委員会が提言していた中・長期開門調査を巡っては、04年当時の農相が見送りを表明。そのまま干拓事業は完成を迎え、堤防内に新しく造成された干拓地で08年春から営農が始まった。

 訴訟の動きも並行し、漁業者側は02年、工事差し止めを求めて佐賀地裁に提訴し、仮処分も申し立てて一時認められた。営農開始直後の08年6月、佐賀地裁は5年間の開門を命じる判決を出した。控訴審でも福岡高裁が10年12月、堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を認定した上で、5年間の開門を3年以内に実施するよう命じた。当時の菅直人首相は上告断念を表明し、高裁判決が確定した。

 営農者側は11年に開門差し止めを求めて長崎地裁に提訴し、仮処分も申請。国は開門に踏み切らず、期限が迫る13年11月に差し止めを認める仮処分決定が出された。17年4月には長崎地裁が差し止めを命じる判決を言い渡し、国側は控訴しなかった。漁業者側の対抗手段の手続きも最高裁で認められず、確定した。国は相反する司法判断の確定判決によって「開門」と「非開門」を課される形になっている。


◆諫早干拓訴訟「開門認めず」 最高裁が初判断、判決確定
(朝日新聞2019年6月27日18時19分)
https://digital.asahi.com/articles/ASM6W5VV2M6WUTIL039.html?iref=comtop_8_05

 長崎県の諫早(いさはや)湾干拓事業をめぐる二つの訴訟で、堤防排水門の開門を認めない判決が確定した。最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)が26日付の決定で、開門を求めていた漁業者の訴えを退けた。一連の訴訟で、最高裁が開門の是非についての判断を確定させたのは初めて。最高裁に残る1件の関連訴訟は同じ第二小法廷が担当し、7月に弁論が予定されている。この訴訟の判決によって、長年の法廷闘争が実質的に終わる可能性がある。

 干拓事業をめぐっては、「開門派」の漁業者と「開門反対派」の営農者がそれぞれ国を相手取って訴訟を起こしている。漁業者が2002年、佐賀地裁に起こした訴訟(①)は開門を命じた一審判決が10年に福岡高裁で支持され、当時の民主党政権が上告しなかったために確定した。一方、別の漁業者が08年、長崎地裁に起こした訴訟(②)は一、二審ともに開門を認めず、漁業者が上告していた。

 営農者側も①の判決に反発して11年、開門の差し止めを求めて長崎地裁に提訴(③)。早期に結論が得られる仮処分も申し立てて、13年に認められた。開門を命じた確定判決と差し止めの仮処分という司法判断で「板挟み」になった国は14年、①の判決による開門を強制しないよう漁業者に求める「請求異議」訴訟(④)を提起。一審は国が敗訴したが、18年の福岡高裁で逆転勝訴したことで①の判決が無力化され、漁業者が不服として上告している。③の本訴も開門の差し止めが17年に地裁で認められ、国は控訴しなかった。

 今回、最高裁は②と③をめぐる決定を出した。②については開門を認めなかった一、二審判決を支持して上告を棄却し、漁業者敗訴が確定した。③では、控訴しなかった国の判断を不服として、「独立当事者」としての参加を申し立てた漁業者の訴えを退け、営農者勝訴が確定した。ともに、詳しい理由は示さなかった。

 7月26日に弁論が予定されているのは、残る④の上告審。二審判決は「漁業権がすでに消滅している」と判断して、国を勝訴させた。最高裁が民事訴訟で弁論を指定する場合は、二審の結論を見直すことが多いが、二審の問題点を指摘したうえで結論を維持することも可能だ。現在は開門を命じた①と認めない②、③の判決がいずれも確定して「ねじれ」が起きているが、②と③を確定させた第二小法廷が④も審理しているため、この点も踏まえて判断するとみられる。(北沢拓也)

     ◇

 〈国営諫早湾干拓事業〉 農地の確保と洪水被害の防止を目的に、全長約7キロの潮受け堤防排水門で湾を閉め切り、干拓地と淡水の調整池を設けた。総事業費は2533億円で、農林水産省が1989年に着工し、07年に完成した。漁業者は閉め切りで漁業が不振になったとして開門調査を要求。干拓地の営農者は、農地に塩害などが出ると訴えて開門に反対している。



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【2019/08/05 02:10】 | 未分類
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